三村妃さん(ロック所属)の、渋谷道頓堀劇場のR1(2019)年10月中における公演模様を、演目「祭氣delic(サイケデリック)」を題材に語りたい。

 

 

2019年10月中の渋谷道頓堀劇場に8日目に顔を出す。

今週の香盤は次の通り。①るあん(道劇)、②平井あんな(道劇)、③永瀬ゆら(栗橋)、④浅葱アゲハ(フリー)、⑤水咲カレン(TS)、⑥三村妃(ロック) 〔敬称略〕。

 

今週はなんとロックの三村妃さんが初乗り。

つい最近になって、ロックの三村妃さんが急遽、渋谷道劇にのるという情報が届く。渋谷道劇は非ロック系なので基本的にロックはのらないが、今年の8月中にロックの空まことさんが乗った。DX歌舞伎も閉館し、ロック系も乗る劇場が少なくなってきたので次第に渋谷道劇にもロック系が乗るようになったようだ。昔は渋谷道劇にもロック系が乗っていたから久しぶりのことだ。社長も新しくなったので昔のしきたりに囚われなくなったみたい。今週は、もともと晃生の目黒あいらさんが出演メンバーに決まっていたが体調が悪いようなので、突然ロック系に切り替わった。10/11-15の前半は小野今日子さんがのって、後半10/16-20に三村妃さんが急遽入った。ポラ代も500円というし、こりゃ是非に行きたくなった次第だ。

三村さんの応援にたくさんのロック客が渋谷に来ていた。初めて渋谷道劇に来た客も多いようだ。渋谷道劇側としても、客が増えてウエルカムだろう。今後もどんどんロック嬢を乗せた方がいいだろう。

 

さて、三村妃さんとは、今年の3月頭にDX東寺で会って以来、実に7か月ぶりとなる。なかなか関西の劇場にのってくれないので早くお会いしたいと思っていた。

久しぶりの妃さんは眩しいばかりにキレイだった。渋谷道劇は照明がきれいなのでロック系の綺麗なお姐さんは本当にステージ映えすると思う。

 

この日は、二個出し。1,3回目ステージでは一周年作「心華魁(シンファーラン)」、2,4回目ステージは、夏に出したという演目「祭氣delic(サイケデリック)」。

今回は、後者を観劇レポートさせて頂く。

 

今回の作品は、一言でいうと、「日本の祭り!!」といった印象です。

タイトル名にそれが凝縮されていますね。「祭氣delic(サイケデリック)」というのは、当て字だと思いますが、まさしく字の通り「祭りの気分」を味わってほしい!という趣旨ですね。サイケデリックというのは辞書を引くと「LSDなどの幻覚剤によってもたらされる心理的感覚や様々な幻覚、極彩色のぐるぐる渦巻くイメージ(またはペイズリー模様)によって特徴づけられる視覚・聴覚の感覚の形容表現」とあります。要は、ストリップで幻覚のように性的興奮を高めてね!といった意味と感じ取りました。

今回の作品には、そのための仕掛けがたくさん散りばめられている。

最初に出てくる般若の面と、最後に出てくる鬼が描かれる法被。般若の面といえば、「嫉妬や恨みの篭る女の顔」としての鬼をイメージします。能の世界では狂気に満ちた女性を般若の面を付けて演じられるので、そういうイメージが定着してしまいました。しかし、般若の本来の意味は仏教用語で「智慧」ということです。どうも、般若心経で怨霊を退治したことから、鬼と言えば般若となったらしい。源氏物語の中で、嫉妬や恨みのために生霊となった六条御息所が、祈祷によって退散する場面が描かれますが、この時の祈祷が般若心経だったと言われています。

魔除、招福を祈願して般若のお面が飾られることがある。昭和初期には、結婚式に般若の面を着けることもあったようです。また、今でも島根県の西部地方には、石見神楽という天下泰平、五穀豊穣、無病息災を祈念する神楽があります。地元では大変人気のある神事舞で、子供たちには「どんちっち」とも呼ばれ親しまれているそうです。今も地元に根付いている神楽があるからでしょうか、石見地方のお宅では、邪気を払うために般若の面を玄関に飾る風習があるそうで、新築祝い等で贈られることもあるそうです。

鬼は妖怪のひとつですが、妖怪というのはもともと八百万(やおろず)の神々が化けたものです。「鬼=神」なのです。だから鬼は神事につながります。この神事こそがお祭りです。

今回の作品でお祭りを演じてますが、それに般若の面や、鬼が描かれる法被というのはとても良いセンスです。

 

さらに選曲がいい。妃さんから「曲はとってもお気に入りのもので作った作品だよ。楽しいけどとっても動くのでアツイ。」というコメントを頂いた。最初は、和風テクノな音楽に乗せて踊る。最後に、日本古来のソーラン節に乗せて踊る。これらがアツイ。

また、最後のベッドショーでの赤い褌(ふんどし)がアツクする。赤の色彩が性的興奮を高める。

 

以上、最初に感想を述べてしまいましたが、以下にステージ内容をおさらいします。

祈祷師を彷彿させるような斬新な衣装で登場。白地に、浮世絵のような絵柄の着物を着て、黄色の大きな帯で締める。手には赤い手袋。

 髪は後ろにひとつ結びし、白と赤の髪飾り。

 白い般若の面を付け、黒いロングブーツを履いて、軽快な音楽に乗って舞う。

一曲目は、Samurai Noise の曲「Kamikaze」。Samurai Noise は、都内で活躍する人気DJ「DJ TORA」「DJ DAIKI」のユニット。

いったん暗転。音楽が変わり、オレンジと赤の軽装に着替える。

髪はひとつ結びで、白い狐の面を付ける。銀の首飾り。上半身は袖なし、下半身は前垂れのみ。両手に「祭」と書いたオレンジの団扇を持って、黒いロングブーツを履き、音楽に合わせて踊る。

二曲目は、竜馬四重奏の楽曲「疾風迅雷」。

竜馬四重奏(りょうま しじゅうそう)は、ヴァイオリン担当の竜馬(りょうま)、津軽三味線担当の雅勝(まさかつ)、篠笛担当の翠(すい)、小鼓など打楽器担当の仁(じん)の4人による日本のインストゥルメンタルグループ。「音楽の力で人と人とを繋ぎたい」「伝統楽器の響きを新しい形で伝えたい」「日本人の魂を音楽にのせて世界に発信したい」という強い信念のもと集った4人のサムライ達。表現するのは、古典音楽をベースにEDMやポップスなど現代的な音楽を取り入れた、新しい形のオリエンタルサウンド。

さらに音楽が変わり、袖で衣装を脱ぐ。

赤い褌が見える。銀の首飾り、赤い手袋、黒いロングブーツはそのまま。鬼が描かれた法被を羽織る。そのまま盆に移動。

赤い褌の下には、黒い紐パン。そのパンティを脱いで、左手首に巻く。

赤い褌が性的興奮を高める。

手のマニキュアはピンクの上に銀のコーデが煌く。

三曲目のベッド曲は、Showtek(シュウテック) ft. We Are Loud & Sonny Wilsonの「Booyah」。最高のノリの良さ。「Booyah」はShowtekの代表曲で、同じくオランダのプロデューサーWe Are Loud! との共同プロデュースで、オランダのシンガーソングライターのSonny Wilson(ソニー・ウィルソン)がヴォーカルを務めています。

Showtekはオランダ出身で、Sjoerd Janssen (通称Duro, 1984生まれ) とWouter Janssen (通称Walt, 1982生まれ)の2人からなるなんと兄弟EDMデュオ。2001年にプロデュースを始めた頃は、テクノ中心の音を作っていましたが、その後ハードスタイルというハードテクノやハードコアの影響を受けたエレクトロダンスの一種のジャンルに移行し、現在のプログレッシブハウス/テクノなどのEDMに至りました。

立ち上がり曲は、「南中ソーランぶし」。ドラマ・金八先生でも生徒たちが学園祭で踊っていた曲です。

南中ソーラン(なんちゅうソーラン)は、民謡歌手の伊藤多喜雄が北海道の民謡であるソーラン節をアップテンポにアレンジした曲を用いた踊りの通称名。北海道の稚内市立稚内南中学校の教員と生徒が考案した事が名前の由来である。アレンジされ派生したパターンも含め、国内の学校の運動会や体育祭等で広く踊られる事で知られる。

 

 

2019年10月                         渋谷道頓堀劇場にて