今回は、ロックの踊り子、小宮山せりなさんの観劇レポート「ヴァンパイア・ロマンス」について語ります。

 

 

H26年7月21日(月曜日、海の日)初日、ライブシアター栗橋で小宮山せりなさんと再会。

今週の栗橋の香盤は次の通り。①渚あおい(東洋)、②泉るい(林企画)、③水沢美波(ロック)、④桃瀬れな(ロック) 、⑤小宮山せりな(ロック)〔敬称略〕。私としては最高の香盤。その中で小宮山せりなさんがトリを務めていた。

 

せりなさんは先月6月1日に三周年を迎えていた。今回の新作は周年作になる。

これまでのせりなさんは楽しいダンス作品が多い。ところが今回の作品はストーリー物で全く装いが変わっており驚いた。口もとからかわいい牙が二本出ているので私は「女ドラキュラかな」と尋ねたら「ヴァンパイアです」と答えが返ってきた。もともとの映画ではドラキュラもヴァンパイアも男性なので、それに噛まれた女性ということかな(笑)。せりなさんから「三周年作のヴァンパイアの恋物語は人間に恋をしちゃったヴァンパイアのお話です。」というコメントを頂く。

 

ステージのインパクトがかなり強烈。

特に最初の、眩いばかりの真紅のロングドレスの華やかさが半端ではない。足元が大きく裾広がりし、長い袖口も裾広がり。腰から下のスカート部にはたくさんの赤い花びらが縫い付けられ、また生地にラメが入いりキラキラ光る。首の周りのネックレスも素敵。そして白い縁取りのある赤い帽子を小粋にかぶる。帽子にも赤い花と緑の葉が縫い付けられている。

この華やかな衣装を身に纏い、一本の薔薇の花を持ち、一枚一枚花びらを千切っていく。私はこの場面に最高の「ステージ美」を感じた。素敵な衣装とそれを演ずるせりなさんが、ひとつの絵になっている。

黒い椅子の上に置かれた大きな十字架をせりなさんが握りしめる。恋のドラマが流れていく。

次に、軽装に着替える。乳房を露出し、胴回りを赤いコルセットで巻く。透け透けの黒いベールをマント風に羽織る。足には黒い網タイツ。そして、ベッドへ。白い裸体が輝く。せりなさんの表情が、いつものダンスものと違い、女優の顔になっている。彼女の新境地であり、それがとてもよく似合っている。

盆周りのかぶり席で見ていたので、せりなさんの口元からかわいい牙が出ているのがよく分かった。私は可愛いせりなさんなら喜んで噛み噛みされたい気分になる♡

私の頭の中でドラマが流れた。最初に「ヴァンパイア・ロマンス」というお気に入りの題名が浮かび、私自身うれしくなってきた。初日4ステージをしっかり観劇。

その後四日間、せりなさんの美しい笑顔が脳裏から離れなかった。私は童話の世界を彷徨った。五日目の朝に童話「ヴァンパイア・ロマンス」は完成し、そのまま土曜日朝一にせりなさんに届けた。せりなさんは大喜び。「ステキなステキな童話ありがとう! なんてステキなお話ー!!」「太郎たんのようなステキな感性をもった方に観て頂きたい作品でした」と一日中毎回喜びのコメントを頂いた。これだけ喜んでくれると書いた甲斐があったよー。

私にとって今週二日目になるが、もう一度ステージを観ながら童話を微調整したくなった。せりなさんに「もう少し書き直してみるね」と話すと、「もう十分にステキですよ」とキョトンとしていた。せりなさんへの周年プレゼントを可能な限り最高の作品としたかった。童話作家の血が騒ぐ(?)。基本的なストーリーは変えず、細部をもう少し丁寧に表現し直した。また主人公セリーナに小鳥の友達を作った。ディズニー童話を意識したかな(笑)。もう童話作家の気分ですよ。(^0^)

ひとつ解説しておくと、今回の童話においては‘至福’という言葉がキーワードになっています。二か所に登場します。ロミオとセリーナは至福の一夜を過ごします。そして最後にセリーナはストリップで観客に至福を与えます。これがロミオへの弔いなのです。

 

「私は太郎さんの感性ステキだなぁといつも思うんです。どうすれば感性磨けるかな・・?」という嬉しいコメントをせりなさんから頂いた。

 答えは‘愛’なんです。私は童話でもレポートでも、相手があって書くときは、その踊り子さんに恋をしています。相手を好きになれなければ書けないんです。少なくとも書いているときは、その人が一番と思って書いています。

 私にとって、ストリップは踊り子さんに恋をする場です。今週はずっと、せりなさんに恋しています。来週はまた新たに恋するかもしれません。浮気者と言われても構いません。ストリップは浮氣してもかまわない場だと勝手に考えています。だって、踊り子さんの数だけ、ステージの数だけ、美しさや味わいがあり、こんなに童話がたくさん書けるのですから。全ての物語が踊り子さんの個性を反映し味わい深いものになります。それを表現できる私はとても幸せです。

 今週は、せりなさんに心から感謝します。ステキなステージに、そしてステキな童話を与えてくれて本当にありがとう。

 

 

平成26年7月                       ライブシアター栗橋にて    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヴァンパイア・ロマンス』  

~小宮山せりなさん(ロック所属)の三周年作「ヴァンパイア」を記念して~

 

 

西洋の、ある街の話。

日照りが三か月も続き、農作物が全く収穫できない年がありました。街の人々の心は荒(すさ)み、その怒りのはけ口がある一家に向けられました。その一家は、街はずれの山の上にある古びた城に住んでいました。昔から、満月の夜になるとヴァンパイアになると噂されて街の人は近づきませんでした。

街の人々は日照りの災害をヴァンパイアのせいだとして、城を焼打ちにしました。城に住んでいた老夫婦と若夫婦は村人に殺されました。そのとき、城には小さな少女がおり、神父がこっそり彼女を匿(かくま)い助けました。

 

 少女は教会で育てられました。名前をセリーナと言います。

 彼女は怒るとヴァンパイアの血により牙を剥き出しました。神父は彼女の気持ちを諌(いさ)めるために大きな十字架を常に携えさせました。そうして、セリーナはヴァンパイアの本性を心の奥底にしまい込みました。

 少女は近所の子供たちと遊ぶことを許されなかったので、教会の中で一羽の小鳥を友達にしていました。小鳥はいつも少女の肩にのり楽しく口ずさみました。

セリーナはいつしか年頃の美しい娘に成長していきます。

 

 ある時、街で舞踏会が催されました。

 踊りに自信のあったセリーナはドレス姿でめいっぱいのお洒落をして出かけました。

 眩(まばゆ)いばかりの真紅のロングドレス。足元が大きく裾広がりし、長い袖口も裾広がりしていました。腰から下のスカート部にはたくさんの赤い花びらが縫い付けられ、また生地にラメが入いりキラキラ光っていました。そして白い縁取りのある赤い帽子を小粋にかぶる。帽子にも赤い花と緑の葉が縫い付けられていました。

 この華やかな衣装を身に纏い、銀のハイヒールを履き、華麗なダンスを披露しました。笑顔がとても愛らしく、口元にはかわいい八重歯がのぞいています。

 参加した人々は誰もがセリーナの美しさ、ダンスの腕前に見惚(と)れました。

 

 舞踏会に参加した中に一人の青年がいました。身長が高く、優しい顔立ちをしています。名前をロミオと言いました。

 ロミオはセリーナに熱い視線を送りました。セリーナはそれに気づき、ロミオを意識し始めました。

 ロミオはセリーナの前に跪(ひざまず)き、手を差し伸べました。「私とダンスを踊って下さい」セリーナはロミオの手を取り、ダンスの誘いに乗りました。二人は狭いホールを十二分に使い舞い踊りました。

 二人はステージ美と化し、周りの人々を魅了しました。

 

 それをきっかけに二人は交際を始めました。

 付き合い始めてしばらく経った頃、セリーナは、青年の両親が自分の城を焼打ちした首謀者であることを知りました。彼女は悩みました。でもセリーナは既にロミオを心から愛していました。

 ある夜、セリーナはロミオの誘いにのり一夜を共にしました。

 ロミオはとても優しくセリーナに接しました。甘い口づけ、優しい愛撫、包み込む抱擁・・・セリーナはロミオの動きに身体を預け、そして長い髪をかき乱すほどに身体が激しく反応しました。二人が一体となったとき、セリーナはエクスタシーに達し意識が遠のきました。

 そのとき満月の明かりが窓から二人に差し込みました。

 セリーナの八重歯が牙に変わり、にょきっと現れました。セリーナは無意識のうちにロミオの首筋を噛みました。抱き合ったまま二人は動かなくなりました。

 翌朝、仲良しの小鳥の囀(さえず)りが聞こえ、セリーナは目を覚ましました。そばに横たわっているロミオは冷たくなっていました。セリーナは気が動転し、髪を振り乱し狂ったように叫びました。小鳥がセリーナの狼狽ぶりに驚き羽根をバタつかせました。

 我に返ったセリーナは、しばらくロミオの顔を見つめていました。そこにはいつものように優しい面影があります。涙が止まることなく溢れセリーナの頬を伝わりました。

 ロミオの死に顔は、愛するセリーナと結ばれたお蔭で、とても至福の表情を残していました。それがセリーナにとってせめてもの救いでした。しかし、セリーナは、自分の身体の奥に棲む獣の血を思い知りました。「私は男性(ひと)を愛してはいけない」と悟りました。

 

 街は大騒ぎ。

 ロミオの両親は、セリーナが焼打ちした城の娘だと知り、復讐するためにロミオに近づいたんだろうとセリーナを責めました。もちろんセリーナには復讐の気持ちなど全くありません。しかし、皮肉にも街の人々はこの事件を復讐劇と捉えました。

 セリーナはもう街にいられなくなり、小鳥を連れて、街を離れました。

 セリーナはどうやって愛するロミオの弔(とむら)いをすればいいのかと悩みながら彷徨いました。

 ふと、ストリップ劇場の看板が見えました。セリーナはその扉を押しました。

 

 いまセリーナはステージに立っています。

 美しい容貌、きれいな裸体、そして華麗なダンス。セリーナは一躍人気を博しました。

 ベッドでオナニーに耽るとロミオの優しい息遣いと愛撫を思い出しました。そのたびにエクスタシーに達し、彼女の八重歯が鋭く光りました。セリーナの中の性獣の血が騒ぎます。観客はセリーナの迫真の演技に酔いしれました。そして観客の誰もが至福の表情になりました。

 小鳥が劇場の隅で、嬉しそうに音色を上げていました。

 

                                    おしまい