ロックの踊り子、藤月ちはるさんについて、「アイドルという名のストリッパー」という題名で語ってみたい。

 

 

H26年9月21日(日)、仙台ロックに遠征。

今週の香盤は次の通り。①夏木りりか、②西園寺瞳、③安田志穂、④藤咲茉莉花、⑤藤月ちはる〔敬称略〕。全員ロック。

先月お盆特別興行の大阪東洋で、久しぶりに藤月ちはるさんのステージを拝見し、改めて、なんてかわいいんだろう!と感激した。今度機会を見つけて、このかわいさにたっぷり浸りたいと思う。そして機会はすぐにやってきた。

9月結の仙台ロック興行、私は飛び石連休の月曜日を休みにして三連休を仙台に滞在。今週後半の土日も合わせて五日間をちはるWEEKにしようと計画。今週はちはるさんの可愛さにどっぷり溺れてみよう♪

 

ちはるさんを初めて拝見したときから、その類稀なかわいさに注目していた。かわいさでは現ストリップ界トップクラスと断言できる。

 是非レポートを書いてみたくて、昨年一度、その花のような笑顔を「精華」と評してレポート&童話を書かせて頂いた。今回も違う切り口でレポートしてみたいと考えていた。

 今週の出し物は、初出しの新作「フェアリー期」。

 まるでデビュー作のような、かわいさの塊のような作品。四年目に入るので別の路線で来るかと予想していたので正直驚いた。私自身、もう一度‘原点’に帰るような気分でステージを拝見した。

 アイドルのような、かわいいピンクの衣装で決める。ピンク生地のドレスの上に、ピンクと黒のチェック柄のベストと膝上のスカート。肩口がふわふわした布。同じチェック柄の帽子をかぶり、銀のハイヒールを履き、軽快に踊る。全て松田聖子という選曲が作品によくマッチしている。なんと大阪東洋で一緒だった美緒みくるさんが全曲選んでくれたそうだ。

 次に、チェック柄の衣装を脱ぐ。下にはピンクのワンピース。裾部分は白いひらひら布。襟周りに赤い花が括り付けられてあり素敵なアクセントになっている。髪には白いリボンの中に白い羽根が華やかに立つ。

 最後は、白いドレス姿。胸元は羽根だらけ、そこから下に透け透けの布が流れ、白い花の刺繍が散在している。裸足のままベッドへ。白いパンティが眩しい。アクセサリーとしては純金のネックレスがぽちっとあるが、ちはるさんのかわいさがあれば何も要らないという気分にさせられる。

 全体として、ちはるさんのかわいさが爆発している作品と言える。

 ちはるさんからのコメントによると、「イメージは乙女心!! 乙女から女性へという感じ」とのこと。私は「フェアリー期」という題名が気になった。フェアリーというのは妖精のこと。妖精は人と神との中間的な存在で、人とも神とも違う性格と行動はしばしば気まぐれとも形容される。

 飲み会で流れてきた集団客の一人が、ちはるさんのステージを観ていて「まるでAKBにいるようなかわいこちゃんだな」とつぶやいた。私はその言葉にうなづきながら「どういう気まぐれで、ちはるさんがストリップの世界に飛び込んできたのかな」と気になった。私がストリップにはまった15年前、当時人気絶頂だった麻生祥子さん(東洋所属)という踊り子がいた。彼女はAV出身の美人さんだった。彼女がこんなことを話してくれた。「AV時代、これだけ沢山のかわいいAV嬢のビデオが並んでいて、その中から私のビデオを選んでもらえるなんて考えられなかった。そんな私でもストリップなら活躍できるかもと思って飛び込んだの。」麻生さんは絶大な人気を博した。ステージだけでなく、客対応でも相当な努力をしていたことは客自身よく分かっていた。ポラが売れまくっていたのに、いつもポラにたくさんのコメントを書いてくれ、ある客が「翔子ちゃん、忙しいんだからポラ・コメントをこんなに書かなくてもいいよ。食事する時間もなくなるよ。」と言ったら「私は書くのが大好きなの」と笑顔で返していたのを覚えている。彼女はストリップに自分の生きる場所を見つけストリッパーとして立派に駆け抜けた。最初はアイドルと言われたが、最後は間違いなくアイドルを越えていた。

 そんなことを思い出しながら、ちはるさんのステージを眺めると、今のちはるさんはアイドルそのものだと感じる。

 ストリッパーというのは「おじさんのアイドル」。ちはるさんはAKBに近く、若いファンが多いかな。ともあれ、ふつうのアイドルと違うのは、ブラウン管(表現が古くてごめん!)を通してではなく、劇場という舞台を通して客と接すること。しかも距離がかなり近い。マイクなどの仲介役はなく、生身の裸体ひとつで直接勝負している。生の臨場感が決めて。写真もプロマイドではなく、生のポラとなる。(笑) そうした客とのコミュニケーションが今のストリップの売りになっている。

 かわいさという強力な武器をもっているちはるさんが、ストリップという世界で、これからどう成長していくのか楽しみ。ファンとしてしっかり応援していきたい。

 

 フェアリーなので、かわいい妖精の童話をプレゼントしたかったのだが今回は「アイドルという名のストリッパー」という話を作ってみたのでプレゼントさせて下さい。読んですぐ分かると思うが、昨年2013年前半のNHK朝の連続小説『あまちゃん』をモチーフにした。主人公の天野アキがストリッパーになると考えるのも面白い。今度、AKB48人が一度にストリップ界に殴り込みする物語でも書いてみようかな(笑)。ともあれ、かわいい妖精の童話は次回の楽しみにしておいて下さいね。

 

平成26年9月                            仙台ロックにて

 

 

 

 

 

『アイドルという名のストリッパー』 

~藤月ちはるさんの演目「フェアリー期」を記念して~

 

 

 ちはるは海女で有名な町のご当地アイドルだった。くりくりした瞳、花のような笑顔、誰からも愛されるかわいさと愛嬌を持っていた。

 スカウトの目にとまり、元アイドルだった母親の勧めもあり、ちはるは人気アイドルグループAKBのオーデションを受けるために上京。ところが、そこには全国から集まったたくさんのAKB予備軍がいた。右も左も知らない世界で来る日も来る日もレッスンが続き、デビューを待つ日が続いた。周りの女の子たちも必死で、お互い励まし合ったり、時には足を引っ張ったり、夢をあきらめていく子も続出。そんな中、元アイドルの母親とプロデューサーとの過去の確執など人間関係のどろどろした面も見せつけられたりし、芸能界への憧れが揺るぎ始めた。

 ちはるは自問自答し始めた。「こんなにかわいい娘たちがたくさんいて、私がその中で選ばれることは本当にあるのかしら。また万一選ばれたとしても、AKBの中で生き残っていくために総選挙とか選抜選挙とかいう人気投票に常に勝ち残っていかなければならない。かわいいだけでは生き残っていけない。甘い世界じゃないし、本当に自分に合った世界なのか分からない。」

 

 実際、AKBという登竜門をくぐれるのはごく限られた人だけ。そのため、AKB予備軍の中には、AKBというアイドルだけではない、別の道を模索している仲間もたくさんいた。モデルになったり、女優を目指して劇団に入る人など。

 かわいさというのは女性としての最大の武器になる。しかし、かわいさだけではダメ。プラスなにか個性になるものを身に付けないとこの世界では生き残っていけない。

 ちはるは思った。「海女で鍛えた体力と身体がある。裸で海に飛び込んだ昔の気持ちにもう一度戻ってみよう!」

 ちはるはストリップの門を叩いた。

 劇場側は驚いた。AVから流れてくる娘はたくさんいるが、AKB予備軍からの転身は初めて。これを宣伝材料にしたらトップスターになるかもしれない。

 

 ストリップ・デビューの日。

音と光の中を、花のような笑顔を観客に振りまき、一人の美少女がステージを駆け抜ける。ちはるに迷いはなかった。レッスンで鍛えたダンスを披露。観客は盛大な拍手で彼女のデビューを祝福した。

 ちはるはアイドルという名のストリッパーになった。

 

                                    おしまい