今回は、ロックの踊り子・徳永しおりさんについて、H29年12月頭の大阪東洋ショー劇場の模様を「ロックの看板としての風格を醸す」という題名で語ります。

 

 

H29年12月頭の大阪東洋ショー劇場に初日から顔を出す。

今週の香盤は次の通り。①青山ゆい(東洋)、②澤木夢(ロック)、③misaki(ロック)、④ゆきな(ロック)、⑤徳永しおり(ロック) 〔敬称略〕。今週は澤木夢さんの東洋初乗り。

 

徳永しおりさんが大阪東洋にのるのはこれで四度目。H28年10月前半、H29年3月中、8月結、そして今回の12月頭となる。出演間隔もどんどん短くなり、ほぼ3~4カ月毎にのってくれるようになる。いつも新しい作品を披露してくれるので、彼女の殆どの作品を拝見できて私としては嬉しい限り。毎回レポートするのが楽しみ。

今回は和洋二個出し。1,3回目は和物「月の子」、2,4回目は洋物「Noisy Party of People」。

「和物の方は前回が初出し、洋物の方は今回が初出しです。でも先月はずっと浅草だったので、両方とも初めてみたいな心持ちです。」とのこと。

 ステージを拝見するところ、とても初出しとは思えないほど踊りがこなれている。しかも「どちらも後半の振りを自分で考えてみました。」とのこと。観るたびに踊りが上達しており、やはりロックの看板としての自覚、そして風格を醸し出していると感ずる。

 

和物「月の子」は次の通り。

最初に、ピンクの着物姿で登場。なんという華やかさ。ステージに徳永しおりという美しい花が咲き乱れる。

艶やかなピンク色に、金箔模様の白い帯、白い足袋、頭には白い花輪を付け左右にガラス玉細工が垂れる。白いかつぎを高く掲げて舞い踊る。

音楽がインスト曲から、心に沁みる名曲「恋におちたら」(歌手はCrystal Kayかな?  2014年リリース、作詞:H.U.B.、作曲:坂詰美紗子)に変わる。

白・紫柄の扇子を取り出して舞い踊る。

音楽がリズミカルなインスト曲に変わったところで、帯を取り、着物を脱ぎ、白い襦袢姿になる。更にそれも脱いで全裸になったところで暗転。

別のしっとりしたインスト曲が流れ、袖の長い高貴な白い襦袢姿で現れる。

裸足のままベッドショーへ。

音楽が平原綾香の「Jupiter」(ジュピター)になる。2003年12月17日に発売された大ヒット曲。平原綾香のデビューシングル。イギリスの作曲家グスターヴ・ホルスト(1874~1934年)の「木星」(管弦楽組曲『惑星』の第4曲)の主題の1つをモチーフにして吉元由美が詞を付けたもの。今回の演目「月の子」に、同じ惑星である木星Jupiterを持ってくるのは乙だね。日本語の曲二つが演目を盛り上げている。

私は今回の和物と演目名になった漫画「月の子」とのつながりが気になって彼女に尋ねてみた。「日舞の振りの中に『忍ぶ恋』だったり『儚い夢』を感じ、月の子とのつながりがあると思いました。」とのポラコメ回答。直接ストーリー的に絡んでいるわけではなく、空気を読む感じなんだね。改めて、素敵な演目名だと思います。

 

次の洋物「Noisy Party of People」はガラリと雰囲気が違う。賑やかなパーティという意味だが、さて、この演目のテーマを尋ねたら「パーティにはこういう人達がいそうだなという私の妄想です!」とのポラコメ回答。

最初に、暗い中、しおりさんの声でアナウンスが流れる。パーティ開始の挨拶。

白いタキシード姿で登場。胸ポケットがキラキラ。髪は後ろにひとつ結び。白いブーツを履いて、ドラムの利いたダンス音楽にのって、かっこよくバシッと踊る。

次に、トランペットが利いたお馴染みの曲「ピンクパンサーのテーマ」にのって、ピンクの豹が登場。蛍光色ピンクのブラ、パンツ、脚絆というアニメキャラクターの格好。世界屈指のダイヤモンド「ピンク・パンサー」を探すというお騒がせ泥棒を演ずる。

インスト曲が流れ、一旦、暗転。

男性ボーカルの洋楽が流れ、真っ赤なラグジュアリードレスで登場。髪は後ろにひとつ結びで、染色したカールが靡く。盆に移動。

ベッド曲に変わり、赤い衣装を脱ぐと、下には露出たっぷりのフリル付き赤い紐下着。銀のハイヒールを履いたままベッドショーへ。美しいヌードを心置きなく見せてくれる。

アクセサリーとしては、純金のネックレス、そして白やピンクに鮮やかにキラキラ輝く手足のマニキュア。

最後の立上り曲も男性ボーカルの洋楽。ハイヒールを脱ぎ、赤いドレスを再び着て、音楽に合わせてノリノリで踊って締める。

 

徳永しおりさんのステージにはいつも満足させられる。

ロック最強の美貌の持ち主である上に、踊りの上手さを習得し、魅せるステージに徹している。いつもは盆周りのかぶり席だけで観劇している私だが、今週は踊りを味わいたくて舞台の近くで観劇しているほど。

また、私としては、いつもレポートを書くネタを頂き、知的刺激に満ちている。

ストリップを観ていると最近の若い女の子の関心事がよく分かる。最新のアニメやアニソン、コスプレなどのファッション等、おじさんの苦手分野も多いが、私は大好きな徳永しおりさんに一歩でも近づけるなら喜んで新しい領域に踏み込んでいきたい。今回も清水玲子さんの「月の子」という漫画に出会い、読み始めた。非常に面白い。アンデルセン童話の人魚姫をモチーフにしているSF漫画で、童話好きの私の琴線に触れた。毎日ストーリーが読み進んでいくことに心が躍る。ステージを味わい、同時並行で漫画も楽しめるなんて最高の贅沢。

今週も、しおりさんのお陰で楽しい楽しいstrip lifeを送れて感謝に耐えない。

 

平成29年12月                           大阪東洋ショーにて

 

 

 

 

『月のうさぎ』 

~徳永しおりさんの演目「月の子」を記念して~

 

 

 昔昔、月はうさぎの星でした。

たくさんのうさぎが月に生息していたのです。昔はみんな仲良く、盛大にお祭りをやったものです。その代表が餅つきでした。

月のうさぎ達は、秋になったら餅つきをします。餅つきの作業を行う多くのうさぎ達が赤いはっぴを着ます。赤いカーペットまで敷かれ、そこにたくさんの杵(きね)と臼(うす)が用意されます。毎年恒例の行事なので、うさぎ達は手慣れた感じで、蒸したもち米を臼に入れ、杵で叩きます。リズムよく餅をひっくり返します。

ぺったんこ ぺったんこ♪

出来上がった餅は細かく切られます。餅はふっくらと白い丸の形にしたうえ、二つの長い耳を付けて、うさぎの形にします。目と耳の部分に赤い色をつけます。その餅は‘うさぎ餅’と称され、とても美味しいものでした。

 

うさぎの数が多くなるにつれ、当然の原理として、縄張り争いが起こります。最終的に二つの勢力に別れて争うことになりました。

そのうち、ひとつの勢力は争いに負け、このまま月にいられなくなりました。

 元々、うさぎは、地下に穴を掘り、そこで暮らしていました。いわゆる‘うさぎの穴’です。古来から、うさぎの穴はワンダーランドの入口とも言われました。

 争いに負けたうさぎ達は、うさぎの穴の魔力を使って、月から一番近い世界である地球に移動することにしました。

 

 一匹のうさぎが日本のストリップ劇場に瞬間移動しました。名前をジミーといいました。

 ジミーは目の前のステージで、この世の者とは思えない絶世の美女がマジシャンの格好でステッキをもって颯爽と踊る姿に一目で心が奪われました。彼女の名前は徳永しおりといいました。

 ジミーは、うさぎの穴の魔力を身につけ、移動した場所に住む人間に変身することができました。その際、しおりの心を読んで、彼女の好きな男性像に合わせて変身しました。

 ステージを観ていたジミーの方をしおりがちらっと見ました。目が合った瞬間に、しおりはニコッと微笑みかけてきました。ジミーはその瞬間に恋に落ちました。

 ところが、その直後、しおりの目が驚きに変わりました。

 ジミーの後ろに、ジミーそっくりな別の男性が現れたのです。その男性こそがしおりの彼氏でした。しおりはジミーのことを彼氏だと思って微笑んだのでした。

 そうか、彼女の心を読んで好きな男性像にすると、今付き合っている彼氏そっくりになってしまうのか、ジミーは後悔しましたが後の祭りです。

 ジミーは、その恋を諦めました。

 その夜、月を眺めたら、仲間のうさぎ達が餅つきをしている姿が思い浮かび、自然と涙がこぼれました。無性に月が恋しくなりました。

 

 運命は不思議な展開を見せました。

 ジミーはストリップが気に入り劇場通いを始めました。もちろん、しおりのステージはその後観ることはありませんでした。会えば気まずくなるだけですから。

 ある日、劇場内でジミーは突然しおりに声を掛けられました。しおりが出演していないはずが、客席にしおりがいたのです。ジミーは驚きました。

 しおりは、すぐに話し始めました。ジミーとしおりが初めて出会ったあの日、彼氏は帰宅途中、交通事故に遭って死んでしまったというのです。

 ジミーは驚きながら、しおりの話を聞き続けました。しおりはジミーのことが気になって、どうしても会いたいと探していたといいます。

 しおりの目は潤んでいました。彼氏のことを想い出したのか、ジミーに会えて嬉しいのか、その真意は測りかねました。いずれにせよ、ジミーは彼女を放っておくわけにはいきません。

 彼女を誘い、一緒に食事をし、お酒を少し飲みました。

 初めて地球に来て、初めて好きになった女性です。しかも自分を探して会いに来てくれたわけです。このまま別れることはできません。

ジミーはしおりとお付き合いすることになりました。

 

 しばらくして、しおりは周年作として演目「月夜のうさぎ」をやることになりました。

 スクリーンに大きな満月を映します。その中を、しおりはピンクの着物姿で登場し、白いかつぎを高く掲げて舞い踊りました。

月のやさしい光を浴びながら、しおりは月明かりの影踏みを始めました。

とんてか とんてか とん

すると、それに呼応するように、スクリーンの中に浮かび上がる満月のうさぎ達も動き始めたのです。餅つきの格好です。一人が杵をつき、もう一人が餅をひっくり返す仕草を繰り返す。

ぺったんこ ぺったんこ♪

その周りをみんなが囲んで踊り出す。まさにお祭り。

最後に、月のうさぎ達の大合唱が始まりました。月が大きなスピーカーになります。

それは幻想的でもあり荘厳な風景。

月が発するこの光と音に呼応するように、ジミーの身体が震えました。

最後は、かぐや姫のように月に還っていく場面で、うさぎの穴を通って得たジミーの超能力が狂い始めました。

「しおり、さようなら。君に出会えて幸せだったよ。」

 うさぎの身体に戻ったジミーは、スクリーンの満月に向かって飛び込みました。

 

                                    おしまい