今回は、ロックの踊り子・清本玲奈さんについて、H30年6月結の大阪東洋ショー劇場
の模様を、2周年作「The Greatest Showman」を題材に語ります。
最初に、こんな話をして申し訳ありませんが、昨日(八日目の6/28)は急に病院に行かれたと聞いてびっくりしました。お目当ての清本さんがいないと、公演自体がほんと気が抜けたコーラ状態。三回目で戻ってこられ、元気な姿をステージで見せてくれてホッとしました。
前回の東洋でも、楽日前日に二回目だけ欠場されたことがありました。あの時もファンとしては無理をさせたくないと思いながらも頑張って最後までやり抜きましたね。今回も相当に頑張っているのが伝わってきてファンとしてはいたたまれない気持ちで応援しています。
清本さんのステージは激しい踊りが売りなので相当に体力を消耗するだろうし、今回はそれに加えリング演技も入っているため体力消耗度は想像が付きません。張り切って頑張ってしまうところでパンクしちゃうんでしょうね。浅草公演でも三日ほど欠場されたと聞いてます。清本さんの今後の課題は「体調管理」にありそうですね。体調維持と体力増強が大切です。ファンとしては無理をしてほしくありませんが、やはり清本さんのステージを楽しみにきている客に対する責務となりますね。きつい話をしてしまってごめんね。
余談ですが、今週は2018FIFAワールドカップ ロシア大会の一次リーグ戦と重なる。予想外の日本代表の活躍(第1戦でコロンビアに2対1で勝利、第2戦でセネガルと0対0の引き分け)もあり盛り上がっている。昨夜は決勝トーナメント進出をかけて第3戦目のポーランド戦。1対0で負けはしたものの、運よく決勝トーナメント進出を果たした。はらはらしながら深夜一人でTV観戦していた。なんか、先ほどの清本さんのステージと重ねながら一喜一憂しちゃったよ。(笑)
さて、H30年6月中の大阪東洋ショー劇場に後半から顔を出す。
今週の香盤は次の通り。①榎本らん(東洋)、②藤咲茉莉花(ロック)、③紗凪美羽(東洋)、④宮野ゆかな(TS)、⑤清本玲奈(ロック) 〔敬称略〕。
清本玲奈さんは前回12月結から半年ぶりの東洋となる。前は出演期間が短かったので、今回は少し間が空いた感じ。私としては1月結の栗橋ぶりとなった。
今回の出し物は、2周年作「The Greatest Showman」一本。4月中の川崎ロックで初披露し、今回で二週目となる。(その間は5月の浅草ロック公演のみ)
2周年週の模様はスト仲間からも情報がいろいろ入ってきていた。初めてリング演技に挑戦していること。しかしナイスダンスが売りの清本さんが慣れないリング演技をする必要があるのかな、という疑問まで出ていた。まぁ実際に自分の目で確かめるまで分からない。今回漸く拝見できた。
本題に入る前に、今回の作品のモチーフになっている映画「グレイテスト・ショーマン」について話したい。私はこの映画のことを知っていたが映画そのものを観たことがなかった。
今年4月結の大阪東洋で川越ゆいさんの新作「Jungle Tiger」で、ミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』のサントラ曲「タイトロープ(Tightrope)」が使用されていた。この時に映画のことを一通り調べていた。いずれ機会を見つけて拝見したい映画になっていた。ちなみに“タイトロープ”というのは、綱渡りに使う張り綱。危険を冒すこと、危ない橋を渡ることのたとえに用いる。人生を綱渡りに例えたこの曲は、映画の中でもじっくり意味を噛み締めて味わいたい一曲。
もうひとつ、つい最近の、私のマイブームが「X-MEN」シリーズなんですよ。たまたま遠征先のDVD試写室にあり観たら完全に嵌り、ただいま夢中でこのシリーズを観ている最中なのだ。主役のウルヴァリン役がなんと映画『グレイテスト・ショーマン』のヒュー・ジャックマンであることに気付いて、これにはびっくりした。「X-MEN」シリーズでは筋骨隆々のハード・アクションを見せる彼が、実は元々ミュージカル出身で俳優となり歌唱力はしっかりしているのに驚くばかり。私はまだ観ていないが、彼は2012年にミュージカル映画『レ・ミゼラブル』に主人公のジャン・バルジャン役で出演し、ゴールデングローブ賞主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞し、アカデミー賞主演男優賞にもノミネートされていたんだね。
そういう縁があったため、私は清本さんの出し物を観た瞬間に映画『グレイテスト・ショーマン』と分かり、すぐさまTSUTAYAに走った。特設コーナーにたくさん飾られているほど超人気の映画。私が観るべくして観た映画だね。しかも、このレポートを書くこともあり、三日連続で三回観た。完全に映画に魅了されました。
余談だが、映画の中でバーナムが変わった外見や特殊能力を持つ人達を集めて、派手な見世物ショーを行う。小人や大男、ヒゲの生えた女、曲芸が得意な兄妹などが次々と登場したとき、思わず、「X-MEN」のミュータント(突然変異体)とイメージがかぶって笑ってしまった。「X-MEN」で様々なミュータントが物語を面白くしているのと全く同じだ。
映画の感想と絡めて、清本さんの今回の2周年作「The Greatest Showman」について以下に内容を紹介します。
最初に、「地上最大のショウ」という名のサーカスを主宰した興行師P.T.バーナムに扮して登場。赤地に鮮やかな金箔模様の上着、黒いズボン、そして黒いハットを小粋にかぶり、黒いステッキを持って、黒いブーツを履いて、軽快に踊る。
一曲目は、映画の冒頭と合わせて、「The Greatest Show」で始まる。この歌は主役のヒュー・ジャックマンをメインボーカルに共演者が参加。本作全体のイメージ・トーンを観客に与えるべく、いきなり圧巻の歌唱が披露されている。
以下、音楽は全て映画のサントラから引用される。本サントラはミュージカル映画に相応しい最高の名曲が並ぶ。この映画はまさしく音楽あっての名作になっている。ちなみに、音楽を担当したのは映画『ラ・ラ・ランド』でタッグを組んでいるベンジ・パセック&ジャスティン・ポールのコンビ。2人は見事アカデミー賞主題歌賞に輝いている。
清本さんが演目「ラ・ラ・ランド」に引き続き、2周年作に「The Greatest Showman」を持ってきたのは、音楽を聴いただけで想いが伝わってくる。
監督を務めたマイケル・グレイシーは本作が長編映画デビュー作となるが、パセックとポールがオスカーに輝く前、それどころか無名時代に楽曲制作を依頼していたというのだからその慧眼には驚かされる。そんな制作チームが目指した音楽は「ひとつひとつの楽曲が印象に残る、耳に馴染むもの」。その目標のお陰で、さっそく1曲目から「OH! THIS IS THE GREATEST SHOW!(ああ! こんなすごいショーは観たことがない!)」という明確なフレーズとともにキャッチーなメロディが響き渡る。
二曲目「Come Alive」に変わって、ステッキを捨て、赤い上着を脱ぐ。下には白いブラウスの上に金色のベスト。それに黒いズボンのままで踊る。
映画では、バーナムが“ODDITIES=ユニークな人”を自身の興業で表舞台へと立たせるミュージカルナンバー「COME ALIVE」に突入すると、いよいよ軽快なポップスサウンドが前面に打ち出されて映画のテーマカラーがさらにはっきりと提示されていく。
ここで、暗転し、一旦幕を閉める。スクリーンに文字映像が映し出される。
幕が開くと、ピンクのリングが舞台中央に吊るされている。リングには飾りとしてピンクとパープルのスカーフが巻かれている。金線が入った鮮やかなブラと短いスカート(下着は履いていない)を身に付けて裸足で登場。両手に同じ柄の手かせ。
ブラを取って、リング演技を始める。周年週ではリングに慣れずに苦戦していた噂を聞いていたが、かなり慣れて様になっている。舞台の前方でステキなヌードを眺めていると幸せな気分になる♡
音楽は「Rewrite The Stars」。白人の演出家フィリップ(ザック・エフロン演ずる)と黒人のパフォーマー・アン(ゼンデイヤ演ずる)の人種の壁を越えた求愛を綴った曲で、2人の華麗なロープパフォーマンスもあって一際美しさが目立つ、本作の名場面の1つになっている。同時にアンが受ける差別への苦悩も浮き彫りにされている。何より、その差別がフィリップに最も近い人間(両親)から放たれていることを考えると、アンの苦しみは計り知れない。苦難の道を受け入れて進もうとするフィリップと、その気持ちに本当は応えたいアンの心情が乗せられたデュエットソングはまさに星空のような輝きを放っているが、アンが立ち止まってしまう姿も「IT FEELS IMPOSSIBLE(無理だと思うわ)」といいった歌詞に反映されている。アンが立ち止まってしまう姿が、「差別」という拭い去れない理不尽さを改めて観客の胸に問いかける歌になっている。
リングから降り、そのまま盆に移動し、ベッドショーへ。
ベッド曲は「Never Enough」。映画では歌姫ジェニー・リンドが唄う圧巻の名曲。
バーナムの“サーカス”に役者が揃ったところで、本作は次の展開に踏み込むことになる。イギリスで出会った歌姫ジェニー・リンドの登場は本作の転換点であり、彼女が歌う(演じているのはレベッカ・ファーガソンだが歌唱はローレン・オールレッドによる吹き替え)壮大なバラード「NEVER ENOUGH」は本作で観るものの感情を揺さぶる一曲になっている。同曲はこれまでの曲調から一転して、美しいオーケストラの旋律が寄り添う。また、「NEVER ENOUGH(足りないわ)」と語りかける内容になっており、リンドが舞台袖のバーナムを見つめることからも同曲がバーナムに宛てたメッセージとして受け取れる。
盆の近くでアクセサリーを目で追うと、銀と赤のマニキュアがきらきらしている。
最期の立上り曲は、映画の主題歌になっている「This Is Me」。一旦、舞台に戻り再度リングの演技で締める。
映画では、バーナムがリンドに傾倒しサーカスの面々を蔑ろにしてしまったために、改めて現実を突きつけられたレティたちメンバーが奮起。その心情をパフォーマンスに込めたのが本作の主題歌にもなっている「THIS IS ME」だ。憂いを帯びたピアノをバックに、レティを演じるキアラ・セトルが静かにしかし力強く歌い始める冒頭から、スネアドラムがレティを鼓舞するようにビートを刻みアンサンブルメンバーがコーラスに加わってくる構成の巧さ。それはやがて圧巻のダンスパフォーマンスへと昇華されていく。
「THIS IS ME=これが私」という自己肯定と、仲間という家族とサーカスという自分の居場所を見つけたレティの魂のシャウトは、セトル本人の感情も交じり合いながら神懸かったパワーから導き出されたもの。ゴールデン・グローブ賞主題歌賞を獲得するといった評価も頷ける名曲中の名曲。
最期のOP曲を「From Now On」で締める。終盤で流れるナンバー「FROM NOW ON」は、ある意味では俳優ヒュー・ジャックマンの真骨頂となる楽曲。バーナムのソロパートから始まる同曲は一曲の中で感情の流れが一気に昂ぶっていくのが特徴的。ジャックマンは完璧なまでにその流れをミュージカルという名の演技で乗り切っており、なおかつ伸びと張りのある圧倒的な歌唱力を披露している。
映画を観ないで観劇レポートは書けないとつくづく痛感した。前に映画を観ないで作品「ラ・ラ・ランド」の観劇レポートを書いたことが無性に恥ずかしくなった。
映画の感想について個人的にはまだまだ書きたいことがあるが、観劇レポートと逸脱してしまうので割愛する。
最後にひとつ明言したい。「なぜ、ダンスの上手い清本さんが苦手な(?)リング演技に挑戦したのか」この映画を観たらリングの意味にすぐに気づく。サーカスのショーにリングがたくさん登場することと、先ほど曲「Rewrite The Stars」のところで述べたように、フィリップとアンの華麗な空中パフォーマンスを観たらリングを入れたくてたまらなくなるはず。
最近のストリップでは、空中ショーがひとつの流行りで、それに憧れて挑戦したがる踊り子さんが多い。しかし、リングなど空中ショーは習得が難しく、それを維持するのも大変。空中パフォーマンスの浅葱アゲハさんやロックのMIKAさんのレベルになると一味違ってくるが、そのレベルでないと、身体を痛める危険性などデメリットも大きい。だから、ステージを観ながらリングにどれほどの意味があるのかなと疑問に思うこともある。ただ、演目の中で素晴らしい効果を発揮することもある。私が最近拝見したステージでは、清水愛さん(ロック所属)の作品「ハリーポッター」でファンタジーな魔法の世界を演じたこと、いちるさん(TS所属)の演目「かぐや姫」でリングで月に還る場面を演じたことは印象的だった。今回の清本さんの2周年作「The Greatest Showman」もサーカスを演ずる上でリングが最高のパフォーマンスになっている。清本さんに拍手喝采。
平成30年6月 大阪東洋ショーにて
※小文字の部分はネット「『グレイテスト・ショーマン』サントラ全曲徹底解説! ミュージカルナンバーに込められた想い」(文:葦見川和哉)を参照しました。
