今回は、H27年8月結の大阪東洋ショー興行における、ロックの武藤つぐみさんについて「ストリップにおける陰陽の魅力」と題して観劇レポートします。

 

 

8月26日(水)深夜、夜行バスで東京から大阪に向かう。

8月下旬になり、東京では急に涼しくなって半袖では肌寒くなったというのに、大阪はまだまだ暑い夏が続いていた。

私は予定通り、平日の8月27日(木)、28日(金)に遅い夏休みをとって、大阪東洋ショー興行を観劇。

出演メンバーがいいので土日は激混みになるだろうからと、それを避けて平日にしたわけ。しかし甘かったねー。

深夜バスが一時間ほど遅れて、天満の劇場に翌朝9時前に着く。平日の木曜日というのに既に場所取りの荷物が置いてあって4番目だった。まぁ4番なら正面席に座れるからいいやと安堵。ところがその後がすごかった。とても平日とは思えないほど激混みになり、開場時には下の階段まで客が並び、開演したら立ち見が2列になった。激混みの土日とほぼ同じ客入り状態。それもそのはず香盤が奇跡のようにいい。

今週の東洋の香盤は次の通り。①渚あおい(東洋)、②上野綾(東洋)、③宮野ゆかな(TS)、④武藤つぐみ(ロック)、⑤周防ゆきこ(東洋)〔敬称略〕。後半3人はそれぞれのTS、ロック、東洋の3劇場の看板級。しかも、周防さんは東洋限定で出演頻度も多くない。一方、ロックの武藤つぐみさんは浅草出演オンリーでポラ館は初めて。そのためロック客が大勢遠征してきている。

 

ロックの武藤つぐみさんは昨年H26年5月1日に浅草デビューしたロリ系の有名AV嬢。1994年8月4日生まれというから現在21歳と非常に若い。浅草出演ばかりで、一度だけ2月結にポラ館の新宿ニューアートに出演したものの、たまたまその週に大雨浸水トラブルがあり4日ほどで休館になってしまった。お蔭で、その時にポラを撮り損ねたファンが今回大挙大阪に遠征している状況。

親しいスト仲間が、昨年デビューの新人さんで武藤つぐみさんが断トツで№1だと話していた。彼はロックだけでなく全ての劇場をくまなく観劇しているストリップ情報通。今回、彼の情報が正解であったことを私自身が直にこの目で確認させてもらった。

8月27日の当日、顔見知りのロック常連が武藤つぐみさんの応援に駆け付けていた。彼から観劇前につぐみさん情報を教えてもらう。彼は先ほどの新宿ニューアートの初日につぐみさんのポラを撮っていたようだ。次のようなコメントをしてくれた。つぐみさんはポラのない浅草オンリーなので客対応ができていない。すごい人見知りで殆ど話さないので愛想がないように感ずるかもしれないがとてもよい娘だよ。美少女だし、一発で気に入ると思うよ。ロリ系美少女で売り出したけど、今回の東洋での演目はちょっと違うので、ロリ好きの人に受け入れられるかどうか心配であるが・・、と言う。

 

何はともあれ、初めてつぐみさんのステージを拝見した。

ある意味、私が想像していた美少女系アイドルのイメージは完全に覆された。完璧なダンサーであった。私には衝撃の連続。

最初に、おかっぱ頭に近いショートヘアで、白いシュミーズのような布ドレスで登場。乳首と白いパンティが透けて見える。派手さは全くない。とても質素な出で立ちである。

登場した瞬間、一種異様な空気を醸す。すぐに裸足で激しくダンスを始める。動きはシャープ。バレエの素養があるのは一目で分かる。しかし普通のバレリーナ―とは違う。これは前衛バレエと言うのかな。ロリ系どころか、彼女は完全なるダンサーであった。

自分のダンスの世界を持っている。それを表現するために余計なものは一切省いている印象を受けた。完璧なる美少女であるが笑顔を振りまくようなことはしない。しゃれっ気も極力排除。衣装も先ほどの白い布ドレスとベッド時にチェック柄のシャツのみ。東洋の大舞台でこれだけ衣装にお金をかけていないのは始めてだろう(笑)。アクセサリーも殆ど見当たらない。純金の細いプチ・ネックレス、そして薄いピンクのマニキュアくらいかな。飾りっ気を無くし、よりシンプルに、そしてダンスのみに特化したピュアなステージになっている。

ベッドでは、白地に黒と茶の線が入ったチェック柄の長いシャツを1枚持参。男性用のシャツみたいだ。ベッドでシャツを着てから白いパンティを脱ぐ。パイパンが眩しい。プロフィールには身長155㎝、B87・W60・H85とあるが、バストは87には見えないなぁ(失礼!)。ファンの方から、つぐみさんはデビュー時は今より少しぽっちゃりしていたがステージを重ねる毎にどんどん痩せてきたと聞いていた。なにせアイスクリームが主食らしく、もっとしっかり食べないといけないよなぁとファンが嘆いていた。おそらくバストが痩せちゃったのかも。(変なことを書いてごめんなさい!)

近くで観ると、まさしく完璧な美少女である。若くてきれいなヌードにうっとり♡ しかし、当の本人はあくまでヌードはダンスの延長線みたいな感じ。最高のブリッジを決める。身体の柔軟性が抜群にいい。

 

最高の素材を持った踊り子である。踊り子になるべくしてなった「踊り子の申し子」と言えそう。

ステージで笑顔を振りまいたり、ポラ時に愛嬌のある応対はしない。あくまで、自分のペースで、自分の世界を理解してくれる人のみ応援してくれればいいという、そんなクールな雰囲気を醸している。

自分から客に迎合することなく、周りが勝手に彼女の魅力に惹き込まれていき、自然に盛り上がっている、という形で今の彼女の人気は出来ている。非常に珍しいタイプ。

なんというか、無駄なモノをどんどん差し引いていき本物だけを残すという「引き算の美学」みたいなものを感ずる。

 

たまたま、トリに周防ゆきこさんが出演しているので比較すると面白い。私は他の人と比較するのは極力したくないのだが、今回はご容赦願いたい。

周防さんは当代ストリップ界№1の美少女。まさにディズニーの世界から飛び出してきたお姫様。ステージでは笑顔を振りまき、ポラの対応も愛嬌たっぷり。衣装も華やかで、かなり高価なはず。明るく、陽気なイメージ。当代№1の人気を誇るのも頷ける。

その点、武藤つぐみさんは、美少女という素材では全く負けていない。にもかかわらず、かわいさで押さず、かわいさを押さえている。周防さんとは対照的。陰陽で言うと、周防さんの‘陽’に対して、武藤さんは‘陰’。では、陰は暗いからダメかというとそんなことはない。

この世は陰陽でできている。昼と夜。太陽と月。暗いところがあるからこそ明るさというものが分かる。明るい陽だけでも疲れるから、暗い陰の部分が癒しになる。陰陽はバランスしてこの世を構成している。

今回の東洋興行の構成も、陰陽から観ると、渚あおいさんの「サマーメドレー」、宮野ゆかなさん、周防ゆこさんの演目は陽の部分を演じ、渚あおいさんの「一心不乱」、上野綾さん、武藤つぐみさんは陰の部分を演じることで、全体のバランスがうまく構成されている。

 

武藤つぐみさんは浅草ではアイドル系の楽しい踊りも披露しており、陽の部分も演じられるようだが、こと今回の東洋での演目では、陰の部分を見事に演じ切っている。

陰というのも、たまらなく魅力的。実際、何度も武藤さんのステージを観ている東洋客が完全にこの魅力にはまっている。かくいう私も、こうしてレポートを書きなから、彼女に魅了されている一人。

今回の演目名は「Konstantine」。Something Corporateというアーティストの洋楽名から命名している。とても耳に残るロック・サウンドだったのでSomething Corporateに興味をもって検索してみたら既に解散している米カリフォルニアのバンドなんだね。まさに、この曲があって今回のつぐみワールドは出来上がっている。選曲も振付も全て自分でやった!とファンの方が言っていたな。素晴らしいの一言。

武藤つぐみは単なるロリ系アイドルではなく、まさに表現者(アーティスト)である。本物のダンサーである。

ストリップ界に新しい風を起こしている。

 

 

平成27年8月                           大阪東洋にて