今日は「ストリップ・ファンの予定外の行動」という話をします。
ストリップ・ファンというのは今週の行動スケジュールをどうやって決めているのだろうか?
ふつうはお気に入りの踊り子さんが出演する劇場を中心に決めていく。そのため遠征スケジュールを組む人も多い。お気に入りの子が複数の劇場にまたがると、スケジュール割をする必要がある。また、新人好きの人は新人さんデビューの劇場をチェックして回ることになる。
人によっては仕事の出張に合わせて、そこの劇場に寄ることもある。私も関西出張の折り、東洋ショー劇場や京都DX東寺に行ったこともある。
ちなみに、私は手紙を中心とした応援スタイルをとっているので、どこの劇場のどの踊り子さんに手紙を渡すか事前準備をしているので、計画外の行動はとらない。
そんな私でも全く予定外の行動をとることがある。それは香盤が全く予定外になったときだ。
先日、新宿ニューアートで大型新人がデビューする予定だった。初日が金曜日だったこともあり、私は会社を休んで仙台から東京に遠征した。一回目ステージの三人目が終わった時点で場内放送があって「トリの新人さんが急病のため本日はお休みになりました。今日は五人香盤となりますのでご了承ください。」とのこと。新人さんをお目当てに来ていた客が「今日はメイン・デッシュがないのかよ~」とこぼしていた。名古屋から来ていた顔見知りの方も「明日また来てもいいけど、また出演しなかったら目も当てられない。そんなんだったら東洋に行くんだったなぁ~。名古屋からだったら大阪の方が近くて交通費も安かったのになぁ~」とラウンジで嘆いていた。そのとき、彼の話から東洋の香盤が私の見たことのない新人さんが4人も出演しているのを知った。
SNAの従業員(ちゅうやん)に聞いても、トリの新人は明日出るか分らないと言っていた。私はもともとその新人さん目当てで、金曜・土曜の二日間SNAに通う予定にしていた。しかし、従業員の言葉に急遽予定を変更。関東の他の劇場にもあまり食指が動かなかったので思い切って東洋に行くことにした。三連休だったので夜行バスで日帰りし安く行くことが可能。
金曜の深夜、SNA終演後、すぐに新宿南口のバス・ターミナルに向かう。ところが、休日前しかも夏休みとかぶっているために関西方面はすべて満車。最終バスのキャンセル待ちにした。万一行けなかったら、関東の他の劇場を回ることにして、気楽な気分。最終バスは結構空席が出ていて楽勝に乗れた。新宿23時40発で大阪駅桜橋口に着いたのが翌朝8時少し過ぎ。仙台行きと違い、大阪行きは時間が随分かかるなぁ~。すぐに天満に向かい、東洋ショー劇場に8時半頃着いた時には先客が荷物を置いてあり、私は六番目だった。
近くにマンガ喫茶もなくシャワーを浴びる所がないので、前回同様、床屋で洗髪してもらいサッパリ爽快。食事をして10時に劇場に戻ったら関東からの顔見知りが二人いて話が弾んだ。SNAの新人が初日から飛んだのを二人とも知っていた。今のストリップ・ファンは携帯があるお陰で香盤情報にはめっぽう敏い。1人は新人が出ることが決まったらSNAに行くつもりと言っていた。二人とも関東方面から今日東洋に来たのは初めから予定の行動であり、逆に私が急遽予定を変更して東洋に来たことを知って驚き、かつ私の行動力に感心していた。(ホントかな?)
東洋の席は正面の四席が照明もよくお気に入りだが、六番目なので残念ながらお目当ての席がとれず、サイドの席とした。顔見知りの二人は正面の席に座っていたが、隣の人が二回目で帰るのを聞いてくれ、三回目ステージからは三人そろって正面席で観劇できた。仲間がいるとこういう嬉しいことがある。
今回は予定外の行動なので手紙の事前準備は全くしていない。A4コピー用紙はいつも持参しているので、馴染みの踊り子さんには挨拶がてら手書きの手紙を準備した。問題は新人さん(なお四人のうち今週デビューが二人)。東洋の場合は一日一回しかポラ・サインが頼めない。挨拶だけの手紙じゃ詰まらないので、一回目にステージを拝見して、そのステージ感想を添えて手紙を渡そうと考えた。一回目のステージはステージを真剣に見て感想を考えた。馴染みの踊り子さんには一回目でポラを買いサインを頼んだが、新人さんの一回目はポラを買わず感想を書いていた。四人分のステージ感想をA4コピー用紙いっぱいに書いたのでけっこう大変だった。そして、二回目のステージのとき、感想付の手紙を仙台土産(萩の月とくるみゆべし)と一緒に渡した。
今回の新人四人はとてもよく、ステージを観るだけで十分満足していた。はるばる大阪まで来た甲斐があったと気分をよくした。SNAの新人がこけたお陰で、むしろ不幸中の幸いか。
新人四人からポラが返ってきた。一人は「遠い仙台からありがとう」、一人は「萩の月、大好き。ありがとう」、一人は「お手紙、感動しました」と一言ずつコメントされてあった。そして、もう一人の方から丁寧に手紙付で返ってきて、その内容に私がじーんとした。私はその子に丁寧にお返事を書いた。ポラを預けることはできないが、返事だけは渡すことができた。関東の劇場にのるときには必ず応援に行こうと思った。ちなみに、彼女の手紙には「仙台ロックにものりたいので、(東洋の)ママにお願いしてみますね」と書いてあった。是非とも実現してほしいものだ。
東洋の新人さんは全て関東に来るとは限らない。でも今回、大阪で種をまき、関東で花が咲けばいいなぁと心から思った。
今回、予定外の行動をとったお陰で楽しい観劇ツアーができた。
ふと、昨年も予定外の行動をとったことを思い出した。
忘れもしない11月15日(金)。この日も休みをとって仙台から東京に遠征。
SNAで新人さんを見たくて入場したところ、この日から急に新人さんが降盤。一回目ステージの途中で新人さんが遅れているという放送が流れ、一回目は5人香盤。結局その日は欠盤になり翌日以降も出演なし。従業員から「昨日まで出ていたのに、ほんと、太郎さん運が悪いねぇ」と慰められる。
お目当てが見られず、SNAは2回目で切り上げ、最近応援し出した多岐川美帆さんに会いに渋谷道頓堀劇場に向かった。事前に進行具合を確認しようと劇場に電話をかけたが全く通じない。嫌な予感はあったものの、渋谷に到着。劇場の前に来て驚いた。劇場が閉まっているではないか。そんなことがあるのだろうか、、私は呆然とした。
今日はなんて散々な1日なんだろう~!!! 気が滅入りかけた・・・
しかし、その夜、私は予定外の行動をとった。京都DX東寺に向かうことにした。東寺には、仙台ロックでデビューしたばかりの柊あすかさんがのっていた。仙台ロックでデビューするのは滅多にないので彼女を精力的に応援していた。関東の劇場には欠かさず通ったが流石に京都は無理と話していた。もし私が東寺に現れたらサプライズだろうと考え、思い切って夜行バスに乗り込んだ。
翌朝早くDX東寺前に並んでいたら、先ほど東洋で会ったという顔見知りの一人が来ていた。情報通の彼から、昨日渋谷道頓堀劇場に警察の手入れがあったことを聞かされた。それにしても驚いた。よりによって私が観劇しようと思った日に。。美帆さんも連行されたらしく心配になった。
当日、DX東寺では金銀銅杯と称して各劇場のトップスターが出演していた。ロックでは灘ジュンさん、豊田せりかさん、東洋の篠崎ひめさん、道劇の西野さゆりさん、ミカドのHIKARUさんと超豪華メンバー。あすかさんも私の姿を見つけて凄く喜んでくれて、その日は楽しい1日を過ごし、十分に満足して日帰りでまた夜行バスで東京に戻った。
その後、DX東寺に大変な事件が発生した。翌日の日曜日、二回目で終演。その週は急遽中止となった。
渋谷道劇に警察の手入れがあった翌日、栗橋劇場に出演中の道劇メンバー詩田笑子さんが警察に連行。道劇メンバーが狙われているという情報が出回り、DX東寺に出演している西野さゆりさんも危ないとなる。ロックの看板スターである灘ジュンさんも前年に東洋で警察に連行されていることもあり、ロックはすぐに出演中の三人の踊り子を引き戻した。その時点で興業は中止となった。
他の劇場でも動きがあった。道劇メンバー匠悠那さんが出演している大和でも、トリで出演中の矢崎茜さんをロックが急遽引上げさせたという話が聞こえてきた。その週は、道劇を中心にストリップ業界全体が警察の手入れ絡みで大変な状況になった。結果的に、それを契機にして、渋谷道劇、栗橋劇場、DX東寺は休館に追い込まれた。(DX東寺の場合は素人大会が直接の引き金のようだが)
私はこの騒動の中で冷静になった。
渋谷道劇が閉まっていて嘆いたが、万一初めから入場していたら私も連行されていたかもしれない。実際に数人の客が事情徴収されている。家族なんかに通報されたら大変なことになる。それを考えたら青くなった。だから私は運が良かったと言える。警察のガサ入れは一回目ステージの最初の方であったわけだが、客は入場料は払い戻してもらえなかった。入場した客はそれこそ散々な目に遭っている。
しかも、DX東寺の場合は1日ずれていたら観劇できなかった。わざわざ京都まで行って、途中で終演されたら泣くに泣けない。非常に運が良かったわけだ。
長くストリップ通いしていれば、いろんなことがある。そして、それに遭遇することでいろんなことが学べる。
● どんなときでも立ち止まらず臨機応変に対応すれば必ず道は開ける。
● 運が悪いと嘆かなくてもいい。長い目で見れば運が悪いと思ったことが実は運が良かったと思えるかもしれない。運がいいとか悪いとかはすぐに結論は出せないもの。
ストリップひとつとっても、それはまさに人生そのものなのである。
平成21年8月