黒瀬あんじゅさん(TS所属)について、H30年11月頭のライブシアター栗橋での空中大会模様を、二作目「真夏の世の夢」を題材に語りたい。

 

 

H30年11月3日(土)、ライブシアター栗橋に顔を出す。

今週の香盤は次の通り。①黒瀬あんじゅ(TS)、②永瀬ゆら(栗橋)、③浅葱アゲハ(フリー)、④MIKA(ロック)、⑤清水愛(ロック)〔敬称略〕。黒瀬あんじゅさんが栗橋初乗り。

今週は、第三回栗橋空中大会。全体の模様は別レポートにするので、ここでは黒瀬あんじゅさんに特化して語りたい。

 1回目ステージは新作「真夏の世の夢」、2回目はチームショー、3回目はデビュー作、4回目は?(3回目で帰ってしまい未確認)。

 新作については、前に9月結のミカドで拝見済み。そうそう、その時に、あんじゅさんに初めてお絵描きしてもらった。ちびまる子ちゃんの絵で、とてもかわいかった。最近の私は‘お絵描きブーム’のため沢山の踊り子さんに絵を描いてもらっている。あんじゅさんが快くお絵描きをしてくれたので私のあんじゅさんへの好感度は一気に上がった。そして、今回の栗橋でも、キュアホワイト、セーラーマーキュリー、そして魔女の宅急便と三日連続で絵を頂く。あんじゅさん自身も可愛いが、その絵もたまらなく可愛い。絵に惚れちゃったよー♡ 今回の栗橋は激混みでお忙しいのに私のためにお時間を割いてお絵描きしてもらい恐縮至極。お陰で、あんじゅさんは私の踊り子応援リストの中で赤マル急上昇。

 今回は、お絵描きの御礼も含めて、観劇レポートさせて頂きます。

 

あんじゅさんと云えば、バレエ経験者。ポールも凄く上手い。しかも身体の柔軟性が半端でない。足が背中を回って頭に付くポーズには度肝を抜かれる。

今回の新作『真夏の夜の夢』もバレエの有名な演目なのかな。ユーミンの歌で、『真夏の夜の夢』がシェイクスピア作の有名な喜劇であることは知っていた。ただ内容は知らないので、興味が湧いて、ネットで調べてみた。『真夏の夜の夢』は、妖精のいたずらに迷わされる恋人たちが月夜の夜に繰り広げる幻想喜劇である。

 最初にティンカー・ベルに見えた妖精は、原作のパックのことか。妖精パックはトリックスターとしての役割を果たしている。トリックスターとは神話や伝説の中で活躍する悪戯者で、その狡猾さと行動力において比類ない。善であり悪であり、壊すものであり作り出すものであり、変幻自在で神出鬼没な存在。『真夏の夜の夢』では、妖精の世界と人間の世界を行き来できる唯一の存在として活躍する。

 

 さっそく、新作のステージ模様について私なりに紹介したい。

 最初に、メンデルスゾーンの組曲『真夏の夜の夢(序曲)』が流れる。

 緑色の衣装に身をくるんだあんじゅさんが現れる。妖精パックだね。

 衣装は肩出し、胸から下を肩紐で吊るす。上半身は黄緑色で、スカート部は緑色。オレンジ色のベルトをしている。茶色のロングヘアを黒い紐で結びツインテールにして、青い花輪をヘアバンドのように頭に付ける。

 左足に黄色い紐を巻き付ける。裸足で、バレエをベースにした踊りを披露。

 音楽が、ユーミンの名曲『真夏の夜の夢』に変わったところで、一旦袖に入って白い大きな羽扇子を二つ持って現れる。

 衣装もワンピースを脱いで、ショッキング黄緑色の上下セパレートの衣装に着替える。上半身はブラのみ。下半身は、サイドが青い紐になっている黄緑のパンティの上に、緑の布を巻き付け、キラキラした緑のバンドで締める。右足に黄緑色の紐を巻き付ける。裸足で舞い踊る。

 三曲目が、Rihanna(リアーナ) の「Where Have You Been」に変わる。ノリノリな洋楽。盆の上に移動して踊る。リアーナ(1988年2月20日 - 現在30歳)は、バルバドス出身の女性シンガーソングライター、女優、モデルである。身長173cm。2017年までに14曲が全米1位を記録しており、これは全米チャート史上ザ・ビートルズ、エルヴィス・プレスリー、マライア・キャリーに次いで4番目の記録である。また、全米チャートトップ10以内にランクインした曲は31曲であり、こちらも歴代4位である。

 ここで一旦、暗転。

 四曲目は、ケイトブッシュの「嵐が丘」。ケイト・ブッシュが19歳の時に発表された1枚目のシングルであり、1978年1月20日に発売された。彼女の唯一の全英ナンバーワン・ヒットである。「嵐が丘」は、19世紀に英国の女流作家エミリー・ブロンテによって書かれた長編小説で、 今もなお世界中で読まれている名作。

 紫っぽいドレス姿に着替えて現れる。首に回した紐で胸から下を吊るしており、透け透けでふわふわなドレスだ。音楽に合わせて踊る。

 ドレスを脱いで、ベッドショーへ。先ほどの黄緑のパンティを左手首に巻き付ける。

 まぶしいばかりのヌードにそそられる♡ 一般にバレエやポールをする人は痩せ型が多いが、あんじゅさんはとても肉感的なヌード。それがたまらない魅力だ。

 ベッド曲はsupercellの「君の知らない物語」。supercellの1枚目のシングル。2009年8月12日に発売された。UHFアニメ『化物語』エンディングテーマ。クリエイターチーム・supercellのメジャーデビューシングル。ボーカルには、ニコニコ動画にて2008年3月まで「メルト」をはじめ多くの楽曲をカバーした動画をUPしてきたガゼルことnagi(やなぎなぎ)が参加している。

 立上りに、ポールに絡んだ演技を行う。すごく見応えがある。まさしく空中大会らしい作品である。

 

この観劇レポートを締めるにあたり、戯曲『真夏の夜の夢』の最後のある台詞を引用させてもらう。・・・

真夜中の鐘が24時を知らせている。「恋人たちよ、さあ、ベッドへ。もう妖精の時間だ。」

これは貴族たちが舞台を去る時の台詞だ。「妖精の時間」とは人間が妖精のように愛し合う夜のひとときを意味する。なんてロマンチックな言葉だろう。

今回のあんじゅさんのステージで「妖精の時間を旅した」気分になったよ♪

 

 

平成30年11月                       ライブシアター栗橋にて

 

【付録】シェイクスピアの『夏の夜の夢』

 

 まず、題名について話しておく。

 この作品は、『真夏の夜の夢』とか『夏の夜の夢』と訳されるが、正確には『夏の夜の夢』が正しいようだ。

 この作品の原題は‘Midsummer Night’s Dream’なので、坪内逍遙ら先人により最初に『真夏の夜の夢』と名訳された。しかし、Midsummerとは夏至のことで、聖ヨハネ祭(Midsummer Day)が祝われる6月24日の前夜を指すこと。また、真夏では日本の暑苦しさをイメージさせ誤解を抱く恐れがあることから、近年では『夏の夜の夢』とすることが多い。

 

 以下に、あらすじを紹介する。

 

 アテネの公爵シーシアスはアマゾンの女王ヒポリタとの婚儀をあと四日に控え、幸せな焦燥感を味わっていた。そこへ貴族イージアスから訴訟が持ち込まれる。娘のハーミアが親の意思を無視して別な男と結婚したいと言って聞かないというのだ。アテネの法律によれば、親の意向を無視した娘に与えられる選択は死か、修道院に行くか、どちらかしかない。公爵はハーミアに考える猶予を四日間与える。絶望のどん底にいるハーミアに恋人ライサンダーは駆け落ちを持ちかけ、あくる夜、実行することにする。

 一方、アテネの職人たちは公爵の結婚を祝って、披露宴で劇を上演しようとしていたが、その内容はどうやら本人たちの意気込みとは裏腹にとんでもないドタバタ劇になりそうである。趣向が人々にバレないように森でリハーサルをすることにする。

 さて、アテネの森には緊迫した空気が漂っている。妖精の王オベロンと女王のティターニアがインドから連れ帰った子供をめぐって夫婦げんかの真っ最中。怒り狂ったオベロンが惚れ草の汁で女王に恥ずかしい思いをさせようと計画を立てているところへ、ディミートリアスとヘレナがやって来る。彼はハーミアをライサンダーの手から取り返そうとやって来たのだ。邪険に扱われるヘレナに同情したオベロンは惚れ草の汁を女王の目に塗った後、ディミートリアスにも塗ってやろうと、パックに命じた。

 だが、パックはディミートリアスを見ていないため、駆け落ちの途中で眠ってしまったライサンダーを当人と勘違いして、彼の目にも惚れ草の汁を塗ってしまう。しかも、そのライサンダーが目覚めて最初に見たのが、ヘレナだったから、さあ大変!ライサンダーがハーミアではなく、ヘレナを好きになってしまったのだ。間違いに気づいたオベロンは自分の手でディミートリアスの目に惚れ草の汁を塗る。そこにヘレナがやって来て、目覚めた彼から熱烈な求愛を受けるが、喜ぶどころかみなハーミアの差し金と思いかんかんに怒り、女同士の大喧嘩になる。止めに入った男同士も決闘騒ぎ。パックは魔法で眠らせライサンダーの目には惚れ草の解毒剤を塗る。

 さて、女王の眠る森の一角で職人たちのリハーサルが始まった。悪戯者のパックはボトムの頭をロバの頭に変えてしまう。職人たちは恐れおののき、逃げていく。その騒ぎで妖精の女王が目を覚まし、ロバ頭のボトムに惚れてしまい、熱烈な求愛をする。しばらく、女王の醜態を見ていたオベロンだが、哀れを催し、女王の魔法を解き、仲直りする。

 朝になり、目を覚ました二組の恋人たちは、夢とも現実ともつかない昨晩の不思議な体験を語り合いながらアテネの宮廷に帰っていく。もとの頭に戻ったボトムもアテネに帰っていく。

 もめごとが納まり、いよいよ待ちに待った公爵の結婚式である。二組の恋人たちも一緒に式を挙げた。披露宴では職人たちのおもしろおかしい「悲劇」が演じられ、真夜中の鐘が鳴ると、みな床に就く。寝静まった宮廷を森の妖精たちが清めて舞台は終わる。