今回は、TS所属の踊り子・玉さんについて、シアター上野H31年3月中の公演模様を、二周年作「遊び女Rart3~白拍子~」を題材に、「遊び女シリーズという金字塔」という題名で語ります。
H31年3月中のシアター上野に顔を出す。
今週の香盤は次の通り。①水鳥藍(道劇)、②栗鳥巣(フリー)、③さつき楓(晃生)、④玉(TS)、⑤水咲カレン(TS) 〔敬称略〕。
玉さんとは、お正月の大和ぶり。ちょっとお久しぶりになった。
この大和の時に、新作「遊び女Part2~飾り窓の女~」を拝見。前作のPart1は吉原の花魁で、Part2はオランダの飾り窓のイメージ。キヨシローの曲がよく合っていた。
今週は、玉さんの二周年週。そして、二周年作が「遊び女Rart3~白拍子~」となる。
白拍子と聞いて驚いた。よく知っているなぁ~と感心した。以前、道劇の踊り子(一宮紗頼さん)が白拍子を題材にステージを演じたことがあり、その時に観劇レポートして白拍子を詳しく調べた記憶がある。
白拍子(しらびょうし)とは平安末期から鎌倉時代にかけて起こった歌舞の一種であり、それを演ずる芸人を意味している。巫女舞が原典であり、辞書で見ると、赤と白を組み合わせた巫女風の衣装。烏帽子(えぼし)を被ることが多い。烏帽子は男性の帽子なので、今でいえば宝塚歌劇団の男役みたいな感じか。また前にNHK大河ドラマでタッキー演じた義経の衣装をイメージさせられる。
白拍子というのは、今でいえば高級クラブのホステスみたいなものか。お酒の相手をしたり、客の前で舞を踊ったりする。相当高貴な人のお邸にも出入りしていたので会話も上手で頭もよくなければならない。なにより美人であることが必要最低条件とされた。そのうえ歌舞ができたわけだから、都の男性からはアイドル的な存在でもあった。しかし、時に娼婦としての仕事もあり、身分的には賤しいものとされ、色目で見られたり蔑まされたりした。
今回、「遊び女」シリーズの第三弾として、吉原の花魁、オランダの飾り窓、そして白拍子と続く。風俗の世界と歴史というのは興味深い。それを演目として昇華させることに、凄い試みであると思うとともに、表現者としての玉さんの踊り子魂を見た気がした。
まだ二度しかステージを拝見していないが、さっそく、演目の内容をおさらいしたい。
最初に巫女風の衣装で登場。
赤い着物の上に、白い上着を羽織る。頭には、烏帽子(えぼし)を被る。烏帽子は上が金で下が赤、そして赤い紐を後ろに垂らす。
音楽に合わせ、白足袋を履いて、舞い踊る。
一曲目は、今様の「かたつむり」。まさしく遊び女である白拍子にピッタリの曲である。
『梁塵秘抄』(りょうじんひしょう)は、平安時代末期に編まれた歌謡集。今様歌謡の集成。編者は後白河法皇。治承年間(1180年前後)の作。この「梁塵秘抄」に収められた今様の一首に、「<訳>まいまいかたつむり、舞え舞え、舞わぬなら 馬の子や牛の子に、蹴させてしまうよ、、踏ませてしまうよ、ほんにかわいく舞ったなら、花の園であそばしょう」平安時代の日本人は「粋(いき) 」だった。 かたつむりが、頭の角 ( つの) をフリフリさせながらノロノロと進む姿を観察し、舞(まい)を舞っていると見た。昔からカタツムリは舞え舞えと囃されていたので、転じて、まいまい。 まいまいつぶりと呼ばれるようになったらしい。
作品のテーマを選んだのは玉さんであろうが、これ以降の選曲と振付は桃子先生であろう。ロックの古典的名曲を並べ、白拍子と融合させ、作品を圧巻の仕上がりにしている。
二曲目はディープ・パープルの「Smoke on the Water」。
ここで白拍子の白い上着を脱ぎ、赤一色になる。その赤い上着をはだけると、下に白い下着が見える。
一旦、暗転。音楽がエアロスミスの「Dream On」に変わる。
合わせて衣装を変える。先ほどの上部の白い下着。下部は白い腰巻。
舞台の上で全て脱いで全裸になる。そのままベッドショーへ。
ベッド曲は、レッドツェッペリンの名曲中の名曲「天国への階段」。
盆近くに来たので、アクセサリーを目で追う。ウエストの純金ブレスレットが最初に目につく。すると、それに呼応するように身体中に純金が散りばめられているのに気づかされる。左手首に純金ブレスレット二本。右手首にも純金ブレスレット。右手中指と薬指に純金リング。右足首に純金ブレスレット。いやぁ~おしゃれだねぇ~♪
私は若い頃、ビートルズやカーペンターズ等のポピュラーソングに傾倒していて、ハードロック系は殆ど興味を示さなかった。ところが、今になって聴いてみると、こうした曲が懐かしいほどに耳障りがいい。同じ世代のせいか桃子先生と音楽のフィーリングがぴったり一致する。
白拍子に合わせてハードロックなんて、その斬新な演出センスに脱帽する。
前に、「遊び女Part1~吉原~」は昨年9月結の栗橋で観劇レポートさせてもらった。そのときにはPart3まで続くとは思わなかったので、今回「遊び女Rart3~白拍子~」をレポートしながら、玉さんの類まれなる見識に感動している。追って、「遊び女Part2~飾り窓の女~」も観劇レポートし、三部作を揃えたい。
こうして、遊び女シリーズは三作を並べることで間違いなく芸術の域に達したと断言できる。わずか二年で、ストリップにおける、ひとつの金字塔となった。玉さんに心から拍手を送りたい。
平成31年3月 シアター上野にて
