今回は、TS所属の踊り子・玉さんについて、新作「KISS」を題材に「観客を酔わせる玉さんの魅力」を語ります。
H29年10月結のシアター上野に顔を出す。
今週の香盤は次の通り。①黒井ひとみ(栗橋)、②相田樹音(フリー)、③玉(TS)、④多岐川美帆(道劇)、⑤新條希(道劇) 〔敬称略〕。
玉さんとは7月頭の大和ぶり。ここ上野では二度目になる。
今回、三作目となる演目「KISS(仮称)」を拝見した。一目で今回の作品は玉さんのイメージによくマッチしているなと感じた。「(玉さんには)ロックがイメージに合ってるということで振付の四谷ももこ先生が全てプロデュースしてくれました。太郎さんにもそう言って頂けて嬉しいです。」四谷先生、流石です!
次のような演目内容である。
最初に、ゴールドの華やかな衣装で登場。長い袖や帯という着物風の斬新なドレス。襟や袖などが赤いフリルで縁取りされている。ゴールドと赤のコントラスがいい。頭にもゴールドの髪飾りを付け、左側頭部に赤い花飾り、後ろに赤い布が二本垂れている。黒いロングブーツを履き、大きな白い羽扇子を振って舞い踊る。楽曲はKISSの名曲「I Was Made For Lovin' You (ラヴィン・ユー・ベイビー)」(1979年5月に発表)。
一旦暗転し、イギリスのハードロックバンドDeep Purpleの名曲「Black Night」(1970年発表)に変わる。
ブラとパンツの軽装に着替えて現れる。黒いブラにも黒いパンティにも黒い細紐がフレンジされている。黒い長手袋と膝下の黒いロングブーツを履いて軽快に踊る。黒尽くめなので引き締まったカッコよさがある。
最後に、赤い襦袢風の衣装を羽織って登場。長い袖、そして膝までの丈。浮世絵風の絵柄、桜が描かれている。日本風でありながら、黒いブーツを履いて、Earth, Wind & Fireの名曲「Fantasy(宇宙のファンタジー)」に合わせて踊るところがカッコいい。
赤い衣装を脱ぐと、下には黒いTバック、そして黒いロングブーツだけ。
そのままベッドショーへ。楽曲はPrinceの「Purple Rain」(1984 年発表)。
妖しくセクシーなベッドを演ずる。アクセサリーとしては、右耳の細長いピアス、ネックレス、右手ブレスレットがさりげなく純金に輝く。
立上り曲は、最初のKISSに戻る。この「Beth (ベス)」(1976年発表)は地獄の使者KISS による珠玉のバラードと言われ、ドラムのピーター・クリスがボーカルをとる曲で、全米チャート的には KISSの最大ヒットになっている。
やはり演目名は「KISS」が相応しいね。改めてKISSというバンドの解説を読むと・・
キッス(KISS)は、1973年1月にアメリカで結成されたロックバンド。白塗りの化粧と奇抜な衣装でストレートなロックンロール、ハードロックを演奏する。巨大なロゴを中心にした大規模なステージセットで、当初より炎やパイロテクニクスを多用している。彼らのファンは、キッスアーミー(KISSARMY)と呼ばれる。
キャッチフレーズは、「You Wanted the Best!? You Got the Best! The Hottest Band in the World, KISS!!(最高を求めていただろう!? お前は手に入れた! 世界一熱いバンド、キッス!!)」であり、1975年のライヴから現在にかけて、オープニングアナウンスとして使用されている。シングル、アルバム総売り上げは1億1000万枚にのぼる。(Wikipedia参照)
KISSは偉大なる最高のロックバンドである。
さて、最初に感想として述べた通り、イメージが合うということは、玉さんの持つ雰囲気で観客を酔わせることができる。極端な言い方をすれば、踊りや振付は二の次になる。だから今回は激しい動きがなくても、曲の良さと衣装だけで十分に玉さんの魅力を観客に伝えることができている。
しかも、玉さんが言っているように「新作は70~80年代ロックで、ディスコの設定で、コカインやってセックスして・・・という感じです。笑」当時のロックには、コカイン、酒、セックスに溺れた伝説をもつバンドがたくさんいて、悪玉のヒーローであった。玉さんの持つ魅力というのも彼らのようなロックバンドに共通した堕天使のイメージなのかもしれない。よく、役者というのは汚れ役を上手にこなして初めて本物になると云われる。聖天使のような清純派アイドルだけがストリップで人気が出るわけではない。
今回の演目で新しい玉さんを見たようでもあり、いや、本来これが玉さんの理想形ではないかとも思えた。まだデビュー間もないので、本当の自分探しの旅はこれからも続きそうだ。
平成29年10月 シアター上野にて
