今回は、TS所属の踊り子・春野いちじくさんの夏の演目二つ「真夏☆侵食」「Paradise」を題材に「いちじくオリジナリティ」について語ります。

 

 

H29年7月頭の大和ミュージックに顔を出す。

今週のメンバーは次の通り。①MOKA(TS)、②潤奈(天板)、③玉(TS)、④松本なな(東洋)、⑤寿恋花(晃生)、⑥春野いちじく(TS)〔敬称略〕。今週の大和はいいメンバーだね。

春野いちじくさんが夏の新作を出しているという噂が聞こえて大和にやってきた。

 

最近のストリップ界では、ロック系では清本玲奈さん、非ロックでは春野いちじくさんがアイドルとしての人気を二分しているように見える。若さと可愛さから納得する。

しかし、私は、前回渋谷5結で春野いちじくさんの東電OL殺人事件の演目を拝見して、いちじくさんはアイドルの域を超えているのではと感じている。アイドルのステージというのは、あまり考えることなく、若さと可愛さそのままの状態でファンに受け入れられていく。ところが前回のいちじくさんの作品の真意は彼女のファンの5%位しか理解されていないと思える。

彼女の表現する世界には、これまでのストリップファンが垣間見たことのない摩訶不思議なところがある。それはアングラな世界でもあり、「いちじくオリジナリティ」とも云える。その材料は最新音楽からの影響が大きい。これまでの彼女の選曲を見るに、大森靖子、水曜日のカンパネラ、銀杏BOYZ等のアーティストの作品が多い。残念ながらストリップファンのおじさん方は殆どこれらの音楽を知らない。これらを勉強しないと、いちじくワールドは理解しがたい。

私はそのことを確かめる意味もあり、いちじくさんの次の新作に関心を持っていた。実際に、私のスト仲間で既に彼女の新作を観た方から連絡があり、「内容をよく理解できなかった」という感想をもらっていた。そして、今回その新作を拝見して、私の考えが確信へと変わった。

 

早速、新作をご紹介しましょう。なんと新作は二個あった。

1,3回目ステージは演目名「真夏☆侵食」。2,4回目ステージは演目名「Paradise」。

「前者は夏!海!タコ!って感じ。後者はサイケな南国の夜って感じ。バリエーションを増やそうとスローな踊りです。」といういちじくちゃんのポラコメ解説を頂く。このヒントが作品理解に大いに役立つ。

さて、今回は演目名「真夏☆侵食」を中心にして話を展開していく。

いつもの可愛いいちじくちゃんが、ツインテールにして、夏らしい青い衣装で登場。肩紐で吊るした上着は青いラメできらきらしている。スカートは濃いブルーでふわふわしている。赤い紐を腰に巻き、そこに白いルーペや黄緑色の虫かご等の子供の玩具を吊るしている。いちじくさんらしい、子供時代を回想したファンタジーな真夏のイメージなのだろう。

選曲が、いつもの不可解ないちじくちゃんらしく、おじさんにはよく分からない。一曲目「グッとくるサマー」というフレームが繰り返されるのは分かるが、他の歌詞がよく聴き取れないので、何がグッとくる夏なのか分からない。たまたま「私はいつだって極彩色で、君は君が美しいと思う色をあたしから絞り出して♪」「それが私の夏の穴」というエグイ歌詞を聴き取り、それが心に強く残った。

アリスがウサギの穴に落ちる如く、我々も勝手にいちじくちゃんの穴に落ちればいいじゃん!と思えた(笑)。可愛いいちじくちゃんから、おじさんが美しいと思う色を絞り出しちゃうぞー♪

そう思って見ていたら、いちじくちゃんが青い衣装を脱いで白い水着姿に着替える。眩しいばかり♡ そうそう、これこれ!これがおじさんが思う美しい色だよーん~♡

おじさんはアイドルらしきいちじくちゃんと、爽やかな夏の海のイメージに遊ぶ。

すると突然、海の底に足を引きずりこまれる。足にぬるぬると絡まってくるものがいる。なんとタコではないか。いちじくちゃんの夏の穴にはタコが生息していた!

いちじくちゃんが、白いふわふわのドレスを着て、赤茶色の太くて長い蔓を手に持ち舞い踊る。この蔓がタコのイメージなんだね。

 それにしても、なぜに真夏の海がグロテスクなタコになるんだぁ~!?

  そんなことを考えてもムダかなぁ~。いちじくちゃんだからタコなんだろうと思えた。

 ふと、曲の中で「芝居 浄瑠璃 芋・蛸・南瓜」というリズミカルな歌詞があった。江戸時代の浮世草子作家、井原西鶴の一節に<とかく女の好むもの 芝居 浄瑠璃 芋蛸南瓜>とあり、芋・蛸・南瓜は女性の好きな食べ物。なんきんは、かぼちゃのこと。女の子はタコ焼きが好きだから、いちじくちゃんもそういうところからタコなのかなぁ~!?

 難しいことを考えても面白くないので、おじさんはエッチな空想を始める。いちじくちゃんにはタコツボがあり、その中に入るとタコが吸引してくるような快楽があるのかも・・・むふむふ(^0^)

 すると、夢から引き戻されるように悪魔の声が聞こえる。我々おじさんのアイドルである南沙織や森高千里の心くすぐられる甘い声の「17才」ではなく、銀杏BOYZのおどろおどろした濁声の「17才」に興醒めする。

なんで、なんで、こうなの?・・・そう、それがいちじくワールドなのさ。

いちじくちゃんにかかると真夏の甘い夢もタコに侵食されてしまうのである。

 若くて可愛いいちじくちゃんに鼻の下を伸ばしているおじさん達に対して、いちじくちゃんは小悪魔のように「えへっ!」て舌を出し微笑む。

 可愛さにころっ!

 

 はいっ!私は一生懸命に勉強して、いちじくワールドに付いて参ります。よろしくです。

  私はいつものように、童話を創造し出した。なぜか私はタコになっていた。

 

 

平成29年7月                           大和ミュージックにて

 

 

 

 

『百本足のタコ』 

~春野いちじくさん(TS所属)の演目「真夏☆侵食」を記念して~

 

 

 ある劇場にて。

 私が夢中になっている新人の踊り子さんが突然こんなことを言い出した。

「太郎さんは新人好きと聞きました。私が新人でなくなったら、もう応援してくれなくなっちゃうのかなぁ。太郎さんにはずっと応援してほしいなぁ~」

 私は慌てて「きみは別だよ。もちろん、ずっと応援するつもりだよ。」と彼女に答えた。

 

 その晩、私は夢を見た。

 一匹の雄タコが、雌タコに求愛していた。顔を真っ赤にして「いかに自分があなたのことが好きか」を口を尖らせながら滔々と話していました。雌タコは雄タコの熱い求愛にうっとりしていました。

 ところが、雄タコの八本の足は下の方でゆらゆらしていました。タコは新しい美しいタコが現れると、すぐに食指を伸ばしました。

 どんどん新人さんが現れるので、タコの足はいつしか百本くらいになっていました。

 東京の海に飽き足らなくなると、大阪の海まで長い足を伸ばしました。

 気に入った新人さんが順番に現れてくれるといいのですが、ある時、お気に入りの子が東京三人、大阪一人、仙台一人と別々に現れました。1人に決めればいいものを、どれもこれも相手しようとしたため、タコの足は絡み合ってしまい、とうとう歩けなくなってしまいました。

 タコは「百本の足はもう要らない。。。二本足の人間に戻りたいよぉ~」と泣き出しました。

 

 夜中に目が覚めると、隣に寝ていた妻が心配気に私の顔をのぞきこみました。

「あなた、人間に戻りたい~」って寝言で何度もつぶやいていたわよ。

 

 私は二本足で歩けることを幸せだと思いました。

 でも懲りずに、今日も新人さんを求めて劇場通いしています。

 

                                    おしまい