H25年の年末週、シアター上野でのTSの踊り子、盃島楓さんとの引退週の思い出を「さようなら、TSのマドンナ」と題してメモリアルしておきます。
先週は水咲カレンさんの引退週でした。連日たくさんのファンが押しかけ別れを惜しんでいました。四回目のポラタイムが遅くならないように、進行はずっとダブル・トリプルだったので深夜を超えることはありませんでした。楽日も23時55分に終わる。ちなみに、楽日はカレンさんに限りポラサインはなく、ラスト四回目は個人ポラもなく集合ポラのみ。
13週連続出演という新記録を樹立。途中、芦原温泉で多少気を休めることもできたようですが、それでも、とんでもない記録です。この引退興行を気力で乗り切ったことが分かります。完全に燃え尽きたことでしょう。
ファンも同様です。ずっと追いかけていたAさんは引退興行が終わり三日間ぼーっとなっていたと言ってました。「カレンショックはたった三日間で終わりなの?」とからかわれていましたが。ファンのヒロさんは、引退を聞いてからカレンさんのためにリボンを始めました。引退週はかなり様になっていましたよ。こうやって、カレンさんのオーラを浴びれたストリップ・ファンはみんな幸せだったと思います。
さて、今週は楓さんの番です。
H25年12結、シアター上野の香盤は次のとおり。①星愛美(晃生)、②飯島しき(渋谷道劇)、③KAERA(TS)、④永瀬ゆら(栗橋) 、⑤盃島楓(TS)〔敬称略〕。
その週は、他の踊り子さんにも、カレンさんと楓さんとの別れについてのエッセイやレポートを意識的に渡した。その中で、KAERAさんのコメント「今週は楓chan引退だし最後来てくれると思ってたよん。先週のカレンchanラストも行きたかったけど、芦原にのってたので行けなかった。(中略)でも太郎さんの云う通りいつでも会えると思った人が急にいなくなること・・・存在の大きさは無くなって初めて気付くのが人間の愚かなところですね。有ることが難しいから有難い、納得!」、そして永瀬ゆらさんのコメント「後悔のない付き合い・・の部分、泣きそうになりました。いつでも会えるって思ってても、そんなことないもんね・・・心大事に・・・」にじーんときた。また、仲良くしている飯島しきさんのコメントがなんか嬉しかった。「太郎さん、しきが辞めてもショックに感じるかにゃ? 悲しませたくはないけど、そう思ってしまったよ。」
今週は最初に三連休、後半は年末と休みが多いのでかなりの混雑が予想されます。上野は狭いから大変だね。私は平日しか時間がとれなかったので、三連休後のH25年12月24日(火)に顔を出しました。混んでるかと思いきや意外と空いていました。連休の反動かな。
会社から車で来て途中交通渋滞しましたが、三回目ラストの楓さんのステージにはどうにか間に合いました。後ろの席が空いていたので座ったら、疲れのためか、つい、うとうとしてしまいました。引退週なのにー、ごめーん!
ラスト四回目は、気合を入れてステージを拝見。熱心な客がいたため、かぶりの席には座れず、正面二列目で観る。
新作を披露。最初に和傘、そして最後に孔雀の尾を使い、豪華絢爛に決めてくれた。素敵なオーラを発していた。私は気持ちが高ぶったときに、ベッド入りの曲に感情移入してしまい涙が止まらなくなった。感謝の気持ちで胸がいっぱいになり、そして惜別の想いが重なり、嗚咽するほどに涙があふれた。
この涙は‘愛’だと思った。私はもちろん楓さんを愛していた。楓さんが男としての私を愛してくれたとは思っていないが、間違いなく楓さんは私の文章を愛してくれた。私の文章は私そのもの。だから楓さんは私のことを愛してくれたのだ。私の涙は、恩返しならぬ、彼女への‘愛返し’。
恥ずかしくも何とも感じない。ただ二列目に一人で座っていたので、楓さん本人にも、周りの客にも、気づかれなかったことだろう。私はラスト・ステージに思いっきり泣けて幸せだった。また引退を前に泣けるほどの踊り子さんと出会ったこと、そして引退を見送れる幸せを噛みしめていた。
最後の文通になった。
最初に、まさご座の観劇レポートを渡す。私の想いは全て書き尽くしていた。「楓のことが書いてある! すごく嬉しかった。色んな踊り子さんのエッセイや童話を読むのもすご~く好きだけど、最後に書いてくれて、やっぱり嬉しいよ! ありがとう。」最後に、まさご座で思い出が作れて本当に良かったよ。
これまで手紙の準備をしていて毎回渡しそびれたコピーがかなりたまっていた。いつもは引退したら全て捨てるのだが、楓さんなら読んでくれるかな。そう思って、ファイルごと差し上げた。30通くらいあったかな。ちょうどクリスマスイブだったので「文章のクリスマスプレゼント♪」と喜んでくれた。
次の12月26日(木)には、最新のMY童話「踊り子になった堕天使」と別れの童話「僕の愛犬」を渡した。「太郎さんの最後の童話、とっても暖かくて素敵」大切な読者を失う悲しみがまた襲ってきた。
最終ステージはかぶりでしっかり拝見でき幸せだった。観終わった後、見送りに出てきた楓さんと握手をして別れた。幸せにね!
改めて素敵な踊り子でした。楓さんは私のストリップ日記の中で永遠に生き続けます。
あなたのことは一生忘れません!
平成25年12月 シアター上野にて