今回は、TSの盃島楓さんを題材にして「TSのエース論」を話させてもらいます。
H24年9月結の池袋ミカド劇場に、二つのポスターが貼られてある。
ひとつは、12月いっぱいで引退を表明している早瀬みなさんの11月頭の「ラストステージin ミカド」。もうひとつは、10月頭に七周年を迎える水咲カレンさんのポスター。
H24年度は多くのTSメンバーが去っていく。その中でも、6月の桜井ななみさんの引退が記憶に新しい。私は彼女に「TSのエースは君だ」と言っていたが、ななみさんは「今も昔もTSのエースは早瀬みな姐さんです」と言っていた。いずれにせよ、その二人が今年いっぱいでいなくなる。
ある踊り子さんから「TSのエースは水咲カレンさん」と言われ、人気・実力から見て、この意見が一番的が当たっていると思った。ところが肝心のカレンさんは昨年仲良しの徳永心さんが辞めたこともあり、私もそろそろ・・そんなに長く踊り子を続けるつもりはないの、なんて弱気を吐く。そんな言葉とは裏腹に、今TSの看板として頑張ってくれている。TSには、宮坂レイアさんやあいかわ優衣さんという知名度の高い美人AVがいるものの、彼女たちはプロ野球でいう四番を打つ助っ人外人選手みたいなところもあり、プロパー的なTS選手としては水咲カレンさんがTSのエース的存在なんだと思う。
カレンさんがどのくらいTSの看板エースとして頑張ってくれるか定かではないが、カレンさんの次のTSエースは誰かなとふと考える。人気・実力から考えて、その答えは盃島楓さんだと私は思う。
今週のミカド公演での、盃島楓さんのステージを眺めながら、私は自分の答えを確信している。たまたま長いストリップ歴をもつ楓ファンの方と話したが、彼は楓さんのことを絶賛していた。
今週の演目は「フラワー」。花いっぱいに彩られた衣装を身にまとい、花に飾られた豪華な帽子をかぶって、華麗に楽しく踊る。楓さんはどんな花にも負けないくらい美しい。
もちろん女の子はみな花好きなわけだが、楓さんも大好きな花を演目にて自由にステージを楽しんでいるのが伝わってくる。
楓さんの、性格も含め、ひとつの特徴はマイペースにあると私は感じている。この業界は人間関係を含めいろんなことがあると思うが、ささいなことには動じない、常に自分を見失わず、自分のペースを守れるという強さを楓さんは持っている。一種の‘鈍感力’と云えるかな。これは踊り子として生きていく上で非常に大事なこと。
楓さんの視線は、常にステージにあり、そしてお客とファンの方向を見ている。だから、これだけのステージを魅せられ、たくさんのファンの心をつかんでいる。
一方、劇場の看板やエースとなると、もう一段上のことを要求される。自分のことだけでなく、常に劇場全体のこと、楽屋の雰囲気作りまで意識しないといけない。それがエースの自覚である。
マイペースな楓さんにそれができるか? 私は大丈夫だと信じている。
私にとっての楓さんの魅力とは、もちろん容姿やステージもさることながら、なんと言っても文通の楽しさである。
私は多くの踊り子さんと手紙でのコミュニケーションを楽しんでいるが、たくさんあるネタの中から誰にどの話題を提供するか常に腐心している。当然ながら他の踊り子さんのことに関心のない方が多い。そんな中で、今この業界で最も私の手紙をたくさん読み、最近の私の状況を知り、そして私のことをよく理解してくれているのは間違いなく楓さんである。それだけで私にとって楓さんは絶対的な存在。
彼女は私の手紙をすごく楽しんでくれ、常に私の立場で感想を述べてくれる。それがたまらなく嬉しい。他の踊り子さんの話題でも面白いし勉強になると、私の手紙をストリップの教科書のように学ぼうとしてくれる。常に冷静で、賢いのがよく分かる。楓さんこそ、まさに良妻賢母タイプ。
今年いっぱいで引退するTSの早瀬みなさんや東洋の篠崎ひめさんは、私にとってストリップの母なる存在であった。愚痴を含め、今私が最も関心が高いこと・贔屓にしている踊り子さんなど赤裸々に話すことができた。そして、まさに母親のごとく親身に耳を傾けてくれた。この二人が抜ける今、楓さんこそが私の母なる存在の一人として大きくなった。
そんな彼女だから、全体を見て、先を見て、周りに気配りするなどのリーダー的資質は十分に兼ね備えていると私は確信している。
水咲カレンさんや桜井ななみさんにとっては、早瀬みなさんという素敵なお姐さんがいたからエースとしても伸び伸びやれた。ななみさんとみなさんが辞めて、カレンさんがどこまで頑張ってくれるか分からないが、これからは楓さんもエースの自覚をもって望んでいかなければならない時期に来たと思う。
たしかに今の状況で、万一、カレンさんまで抜けたら、TSは大変なことになると思う。
ただ、いつのときも物事はなるようになるものです。会社でも、よく「この人に部長なんか務まるの?」と言われても、実際に部長になれば部長らしくなるものです。まさにポストが人を作ります。
だから、楓さん、心配はいりません。なにより我々ファンが必ず支えます。今まで通りマイペースで頑張ってくれればいいだけです。
平成24年9月 池袋ミカドにて