今回は、TSの海宙まみんさんとの「まみんブルーな思い出」を語らせて頂きます。

 

 

 H25年4月1日、新年度を飾る週、私のホームTSに、TSのエースあいかわ優衣さんがのった。その初日、私は会社帰りにTSに寄る。

 お正月ぶりで少しご無沙汰してしまったが、優衣さんは笑顔で迎えてくれた。

 初日に渡した手紙は、あの1月28日のTSガサ入れ事件を話題にした。「今までで一番、心に響いたお手紙でした。TSのこと、まみんのこと、みんなのこと、大切に思ってくれてありがとう。」

当日二回目の手紙には、まみんさんに贈った童話「まみんブルーな天女様」を同封した。優衣さんを見ていると無性にまみんさんのことを思い出す。二人のチーム・ショーが蘇る。まみんさんに言わせると「ゆいりぃはプロ意識がすごいよ☆ まみんとゆいりぃは正反対だと思う。だけどステージに対する熱や愛は同じだったよ。」

私は、優衣さんと、もっとみまんさんのことを話したかった。

 

まみんさんは、あの事件以来、ステージにあがらなくなった。

出演した踊り子さんが検挙される中、唯一、まみんさんだけが踊り子を辞めてしまった。まみんさんは引退を4月頭のTSで迎えることになっていた。ある意味、非常にタイミングが悪かった。きれいな引退劇を期待していたファンとしては落胆させられた。もちろん、それはまみんさんのせいではない。

まみんさんは底抜けに明るい性格。だからガサ入れなんか跳ね除けてくれると思っていたが、実際の彼女はとてもナイーブな娘。このショックに二度とステージにあがれなくなってしまったのだろう。みまんさんのことをよく知っている人であれば彼女の気持ちは理解できる。

あの事件は、悲しいかな、一人の踊り子の踊り子人生の分かれ道になってしまった。

 

この4月頭のTSに、まみんファンの方が優衣さんに会いに来ていた。優衣さんがまみんさんから預かっているポラを渡していた。彼は神妙な表情を浮かべていた。

すると、私も、優衣さんから、まみんさんからの預かりポラを頂いた。「こんなに仲良く、楽しい週はありませんでした。だからこそ、みんな楽しく、楽日を迎えたかったです。 たくさんたくさん笑った 大事な思い出いっぱいです。」とコメントされていた。

合わせて丁寧に手紙が添えてあった。「まさか、こんなことになるなんてー。びっくりでしたね。 踊り子を見守ってくれる太郎さん♡ 楽しくにこにこ、エロエロ♡ 愛情たっぷりな太郎さん♡ 短い間でしたが、たくさん学び、たくさん成長した1年と10ヵ月でした。ありがとう。太郎さん。元気でね。」

 

 私はこの手紙を読んだ瞬間、まみんさんとの色々な思い出が次から次へと頭の中に浮かんできて、涙が溢れてきた。

 デビュー週のこと。きしくも二年前のH23年4月1日が初顔合わせ。「初めましてのまみんです。一生懸命頑張りますので宜しくお願いします。お手紙めっちゃ嬉しいです。」初日から楽しい文通をさせてもらった。「最終日を迎えることができました・・・うーん・・・とても感慨深いです・・。淋しくもあり、誇らしくもあります・・・。最後まで頑張ります。」デビュー週は五日間通った。

 

  一周年を前に、まみんレポートを書き上げてプレゼントしたのが私的には思い出深い。「まみんレポート楽しみにしています♪」

私はレポートの最後にこう記した。<まみんさんは根っからのストリッパーである。いつもフレンドリーに客を笑わせるユニークなキャラクターのように捉えられやすいが、どっこい本質はもっと奥深い。>この部分が気に入ったようで、「深く考察して下さりありがとうございます。嬉しいです。」すごく喜んでくれた。

 

 まみんさんの後輩思いな面を知る。TSの後輩、憂(うい)ちゃんがデビューした週。H24年2月1日、初日に私は新人の憂さんを一目で気に入り皆勤した。そのとき一緒にのっていたまみんさんが「今週はデビューのういちゃんがいるので太郎さんいつ来るかなーと思ってました。」「憂ちゃんかわいいです☆ 太郎さん、まみんにして下さったように、憂ちゃんのこと応援してあげて下さいね。」

 その週、楽日に憂ちゃんが突然休みになった。「あと一日ですね! しかし憂ちゃん身内に不幸があり、楽日出れなくなりました。残念です↓ でも太郎さんは絶対来て下さいね。」正直、憂ちゃんが休んで気が抜けてしまったが、残りラスト一日はまみんさんのために皆勤した。楽日に顔を出したら、フィナーレで踊り子さん皆から皆勤賞を頂いた。この一日に重い(=想い)意味を感じた。

憂ちゃんは次の池袋ミカドを最後に二週で消えてしまった。私としては彼女の突然の引退がかなりショックだった。親バレのせいと、後にまみんさんに聞いた。

 

H24年3月17日、大阪の晃生に遠征。「わーい、太郎さんだあ。びっくりしました。初晃生がんばってます。」私の顔を見つけて大喜び。「太郎さんは明日も来てくれるのですか? とっても心強いです。」

当日、怪我で休養中の羽音芽美さんが晃生にいた。芽美さんが自分のデビュー作をまみんさんにプレゼントし指導していた。「二回目は芽美お姐さんのデビュー作で、とっても緊張しました。」 芽美さんも、明るいまみんさんのことを気に入ったんだろうな。

 余談だが、私はこの翌週も晃生に行き、青山はるかさんとの運命的な出会いをした。

 ガサ入れがあった週、TSには青山はるかさんも一緒に出演中。「今週は太郎さんの大好きなはるかちゃんが一緒だね。かわいくてセクチーなはるかちゃんだね。」「太郎さん大好きなはるかちゃん面白いね・・・今日もたくさん話したよ。」「はるかちゃんとダブルポラ楽しかった、笑。」

 

 ガサ入れが入る直前日、私はMY童話「まみんブルーな天女様」をまみんさんにプレゼントした。というのは、その週、最近書いたMY童話を出演した踊り子さんに渡したら、真っ先にまみんさんが「私の童話も書いて!」とお願いしてきた。私は快く引き受けた。

 まみんさんの出し物は『ちょうちょ』。まみんさんがポラ裏に作品解説を書いてくれる。「テーマはちょうちょです。少女から大人へ。サナギからちょうへ。そんなことをイメージしています。また「ちょうが羽ばたくと地球の裏側でモンスーンが吹く」(風が吹くと桶屋が儲かると同じ意味の)という諺があるのですが、私のように小さな影響力ですが、「虹色の未来へのエネルギーになるように」一生懸命ステージに立たせてもらった2年間を思っています。すべてはつながっていると信じて。また一歩新しく踏み出し、前進します。」「3曲目のカラー・オブ・ザ・ウインドとっても好きな曲です。日本語歌詞だと「命は関わりをもつ丸くて永遠のもの」というところがあって、好きです。 2曲目は「私は、小さなちょうちょ 私のサムライはどこ?」という歌詞です。かわいいでしょ♡」「「あなたには分かるかしら、風の色は何色?」三曲目カラー・オブ・ザ・ウインド」私が書き易いようにと、いろいろヒントを送ってくれる。

 ちょうちょをモチーフにした童話かぁ~。あっ! つい最近創った童話にいいのがある!

先ほど話が出た晃生の羽音芽美さんにプレゼントした童話に「天女降臨(愛の蔓Part2)」があり、芽美さんの出し物の蔓をテーマに書き上げたもの。最初の原案ができたときに物足りず、いろいろ試行錯誤するうちに童話の中にモンシロチョウを描き込んで完成した経緯があった。この作品をアレンジして、みまん風に創り直そう。まみんさんのステージを観ながら‘みまんブルー’という言葉が浮かぶ。引退間際を結婚間際‘マリッジ・ブルー’に置き換え、‘みまんブルー’と造語。雷様の子息と結婚が決まった天女様という舞台設定にした。それに天女降臨を重ね合わせ、真実の愛を求めていくストーリー展開にした。

ベースがあったので一晩で童話「まみんブルーな天女様」は仕上がった。土曜日に依頼され、翌日にプレゼントしたので、まみんさんが驚き大喜び。「すてきなドリーミーな童話ありがとう。とっても嬉しいよ。まみんブルー(笑)。白い蝶々のシーン好きです。ありがとう♡」一緒にのっていたTSの鏡乃有栖さんと2人で私の童話に感心した!と話してくれた。

 まみんさんとは凄く残念な別れになってしまったが、前日にこの童話をプレゼントできたのが、私としてはせめてもの救い。まさに‘まみんブルー’な思い出である。

 

 

平成25年4月  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                  H25.1

 

『まみんブルーな天女様』 ~海宙まみんさんの演目「ちょうちょ」を記念して~

 

 

 御空(=海宙)遥か彼方から、天女が下界を眺めていました。

天女はため息をつきながら「私の結婚相手はこの人でいいのかしら?」と呟きました。というのは、天女の結婚相手は、既に御空の神様により、雷様の子息と決められていました。雷様の子息は厳つい顔をして、とても強そうでした。でも天女には、彼を見ていても雷に打たれたようなビリビリした恋愛感情が湧いてこないのです。

「本当の恋って、どんなものなの? 私は、このまま、この人と結婚してしまっていいのかしら?」・・・天女は‘まみんブルー’になっていました。

 

天女は、ある日、一本の蔓を下界に垂らし、その蔓をつたって下界に降りました。

たくさんの花々が咲き誇る野原に降り立つと、白いモンシロチョウが天女の周りを舞いました。初めてモンシロチョウを見た天女は、そのかわいい舞い姿に心を奪われ、一緒に戯れました。

 

 ある若者が、近くの広い畑で農作業をしていました。

 彼は空の上から天女が降りてくるのを目にして驚きました。恐る恐る近づいてみると、天女の美しさはこの世のものとは思われないものでした。若者は一目で天女の美しさの虜になりました。

 若者は、天女に声をかけました。「蝶々が気に入りましたか。私も蝶々が大好きです。私の家には蝶々の仲間であるカイコをたくさん飼っています。よかったら私の家に遊びに来ませんか。」彼は天女を自分の家に案内し、何日か共に暮らしました。

 天女はしばらくすると、空が恋しくなり、若者に別れを告げました。

 そして、天女は空から降りてきたときの蔓を登り始めました。

 

 若者はどうしても天女と別れたくなくて、蔓をつたって天女を追いかけました。

 若者が登ってきたのに気付いた天女は驚きましたが、いずれ疲れて帰るだろうと考えました。ところが、若者はどんどん上まで登ってきます。天女は仕方なく、障害物として蔓にたくさん白い花を咲かせ彼の視界を遮りました。ところが、若者はそんな障害物をもろともせず白い花を掻き分けて登り続けました。

 もうすぐ天空に届く距離になりました。下界に住む若者を天空の世界まで行かせるわけにはいきません。天女は已むなく、次なる障害物として蔓から棘を出しました。若者の手や足は血まみれになりました。それでも若者は登ることを止めませんでした。

 若者は天空に届く直前についに息絶えました。

 すると不思議なことに白いモンシロチョウが彼の周りを舞い始めました。おそらく若者の衣類にたくさんのモンシロチョウの卵が付いていたのでしょう。

 天女は、モンシロチョウが舞う姿を眺めながら、自分のことを慕って命懸けで登ってきた若者をたまらなく愛おしく感じ、涙しました。

 天女はこの切ない想いこそが恋であると悟り、息絶えた若者の身体を強く抱きしめました。そして、御空の神様にお願いしました。「この若者は下界の人間としては既に死んでいます。もう一度、天界の存在として生き返らせて下さい。私のことを想い、命がけで追いかけてきたこの人こそが私の結婚相手に相応しい方です。神様、どうか私の願いをお聞き入れ下さい。」

 神様は必死でお願いする天女のひたむきさに心を動かされ、彼女の想いを叶えてあげようと決めました。

 生き返った若者と天女は強く抱き合いました。白いモンシロチョウが二人を祝福するように周りを舞っていました。

                                    おしまい