今回は、H29年4月結のライブシアター栗橋における、新條希さんとRUIさんとの二度目のチームショーの模様を話します。

 

4月結のライブシアター栗橋は渋谷道劇大会。今週のメンバーは次の通り。①多岐川美帆(道劇)、②美月春(道劇)、③新條希(道劇)、④平野ももか(道劇)、⑤高崎美佳(ロック)〔敬称略〕。

最後の土日4/29(土)と30(日)の二日間限定で、栗橋所属のRUIさんが特別参加で、新條希さんとのチーム「Bitter chestnuts」を結成してくれた。前回一か月前の3月結のここ栗橋で初チーショーをやって二度目になる。そのときに演じた演目「HAYANAMI☆LADY」をもう一度観れるかと楽しみにしていたら、なんと今回はチーム新作を二つももってきた。

私は、この週にのぞみんのレポートを三つも一度に提出したこともあり、その時のチームショーのレポートは次の5月中の渋谷道劇でゆっくり観劇してから書こうと考えていた。ところが、一回目の演目がかなりショッキングな内容でずーっと頭の中に残った。

 

演目名「RUI先生」のステージ内容を紹介しよう。

最初に、のぞみん扮するセーラー服を着た少女が後ろ向きにうずくまっている。背中に「バカ」と書いた紙が貼られている。ノートの表紙にも「バカ、ブス、死ね」なんてマジックで書いてある。あきらかに少女はいじめに遭っている。黄色いカッターを鞄から取り出してリストカットする場面。(このシーンは初日のみで二日目には省略されていた。意識的に省いたのかな!?)

そこに、RUIさん扮する先生が登場。白いブラウスに黒いスカートを颯爽と着こなした教師姿。先生はいじめに遭っている生徒を優しく慰める。お陰で元気になった生徒は先生を慕うようになる。

ある日、先生が楽しく踊っているのを見かける。生徒は双眼鏡で先生を眺め、デジカメで撮影する。先生が生徒を見つけ、一緒に楽しく踊る。まさしく、生徒と先生のいい雰囲気。

ところがドラマは意外な方向に展開していく。

生徒の先生に対する想いは、単なる憧れを超え、恋愛の感情になっていく。生徒は盆の上に先生の写真を並べる。そして先生のことを想いながらオナニーに耽る。

場面は変わって、先生が彼氏とデート。一緒にジュースを飲んだりして楽しくやっている。(ちなみに彼氏役は一作目「HAYANAMI☆LADY」の女子プロレスの時に登場した白い人形。RUIさんの力作らしい。かなり傷んできたね(笑))

その様子を、あの生徒が双眼鏡で覗いている。二人はいちゃいちゃしながらSEXにつながっていく。生徒の目には嫉妬の炎が燃え上がっていた。手には呪いの藁人形をもつ。

ある日、生徒は先生の彼氏を待ち伏せしてナイフで刺す。ズタズタに刺殺したうえで黄色い袋に詰めて死体を海に投げ捨てる。

そして、次に先生を誘い出して、眠り薬をかがせ眠らせる。先生のスマフォを壊し逃げられないようにする。まさに周到に計画された誘拐である。先生に手錠をかけて動けないようにする。

生徒は目が覚めた先生に求めようとする。しかし、先生から激しく拒まれる。生徒はカッターを突き付けて脅かす。それでも抵抗されたので、生徒は先生の首を絞めて殺す。生徒はぐったりとなった先生の死体にキスをしてSEXをする。最後に、生徒は自分の首をカッターで切って自殺する。三人の死をもって、このドラマは結末を迎える。

 

以上、いじめ、リストカットによる自虐行為、同性愛、麻酔による誘拐、暴力的な性行為、殺人と自殺による三人の非業な死という、「すさまじい猟奇的な内容」であった。たしかに、最近の世相を反映したドラマ仕立てで、こういう事件は珍しくないのかもしれない。TVドラマやAVでもよく採り上げられるシナリオとも言える。しかし、アイドルである二人の踊り子がこういう内容を選択して演じてくるのに、驚きを隠せない。

二人で考えたのだろうが、この作品の主体はのぞみんのような気がした。のぞみんの演ずるときの表情は終始淡々としていた。なんの衒い(てらい)もなく役になりきっている。一方のRUIさんは、ベッドのときに少し苦笑いする場面もあり、どこかに照れがある。激しいレズ行為でも、のぞみんはAV慣れしていることもあり臆することなくキス等できるが、RUIさんは未経験なのかもしれない。仲良しの二人で演ずることによってシリアスさが多少なり緩和されている気もする。

私は、ストリップというのは非現実の世界と考えており、ある意味「なんでもあり」と思っていて、どんな内容も受け入れる。しかし、他の観客の反応を見ていて、一瞬引いてしまった客が多い感じがした。昔は、ストリップというのはエログロ路線を追求し、本番まな板を始め、白黒ショー、SMショー、獣姦ショー、出産ショーとどこまでもエスカレートしていった。当時を知るストリップ客は免疫があるが、最近のアイドル路線で育ったストリップ・ファンは受け入れる素地が希薄かもしれない。

私は、のぞみんファンとして、彼女の意外な面に触れ、気弱なファンにショックを与えないか心配になる。のぞみんにはまだまだ、これまでの作風では計り知れない奥深い魅力があると感じている。こんなもんで驚いてどうするの!?と言う、彼女の顔が思い浮かぶ。

杞憂かもしれないが、渋谷で演ずるに当たって、藤波社長に事前に相談しておいたらどうかな。社長が笑って受け入れてくれたら問題は小さくなる。のぞみんの役者の可能性を考えて作品をやらせたとか説明して、うまくフォローしてくれるだろう。元渋谷道劇社長だった清水ひとみさんも踊り子なのにTVドラマに出演する女優もやっていたからね。

まぁ、単なるアイドルを超えた問題作として評判になってほしいとは思う。

 

 

平成29年4月                          ライブシアター栗橋にて

 

 

 

 

【おまけ】童話「しがらみ男爵とリセット少女」

 

 二人のチームショーを見ながら、私の頭の中にストリップ版のシナリオが勝手に流れた。そのまま小説仕立てにしてみた。もちろん、フィクションであり、実在の人物はいない。

 

「リセット少女」というのは私がいずれ童話にしようとメモしていた題名です。いろいろメモしていると突然ストーリーが飛び込んでくる。こういう瞬間が物書きの醍醐味なんだなぁ。「しがらみ男爵とリセット少女」という対の題名は、言葉の響きがよかったので、今回の小説を書く前から童話の題名として密かにメモっていたもの。なかなか、この題名に沿った童話が思い浮かばずにいたところに、先に今回の小説を書き上げてしまった。

今回の小説には「しがらみ男爵」という登場人物は出てこないが、主人公の男性を「しがらみ男爵」とみなす意味で、題名はそのまま使うことにした。

 

 題名の話はそのくらいにして、小説の内容を味わってみて下さい。今回のチームショーを見たショッキングさがかなり反映しています。

 いつもの童話とは違い、けっこう長くなりました。時間のある時にでもゆっくり読んでみて下さい。なにかを感じてくれれば幸甚です。

 なにはともあれ、私は自分になにかを書かせてくれるステージがとても貴重です。いつもの童話とは全く違う小説を書けたことに満足しています。のぞみんとLUIさんに心から感謝します。

 

 

 

 

 

                        H29.4

『しがらみ男爵とリセット少女』

~新條希さん(道劇所属)のチームショーを記念して~

 

 

 これから話すのは、ありふれた中年男と不良少女とのドラマである。

 

 男は、生まれてこの方、ひたすら人間関係を大切にすることで生きてきた。実家の家族・親戚縁者を始め、学生時代の友人関係、そして結婚してからの新しい家族関係、仕事での会社関係、近隣の付合い・・・すべてにおいて人間関係を大切にすることで今まで生きながらえてきた。言い換えると、それだけ彼には取り柄が無く、一人で生きてこれなかったとも云える。もちろん、人間関係が多くなればなるほど、彼はたくさんのしがらみに絡まれることになる。

 しかし、彼はそのしがらみをも嬉々として受け入れた。いや、むしろ彼自身がひとつひとつの人間関係にこだわり、こだわり、こだわり抜いてきた。それが彼をいい人にした。彼にはいつもいい人オーラが漂っていた。

 ただひとつ、彼はある事情のため大切な人間関係を壊してしまった。それは家庭崩壊。大切な家族と別れることになった。これについてはここでは言及しないことにする。

 

 一方、少女は、家庭環境に恵まれなかった。母子家庭で、母親とも兄弟姉妹とも仲良くなかった。そのため、家出を繰り返し、不良仲間とつるんでいるような少女だった。

 彼女はかわいい顔をしていたので男がたくさん寄ってきた。適当に相手をしていても、うざくなると簡単に関係を断ち切った。粘着するような男には牙をむいた。彼女の感情の激しさや苦悩はたくさんのリストカットした傷跡からも窺いしれた。

 彼女の口癖は「おまえなんかリセットしてやる」。そう言っては、これまで親しくしていた友人でも、親子関係までも、簡単に縁切りするような子であった。

 

 そんな二人が、ひょんな事から知り合う。

 少女がコンビニで万引きしている現場を目撃した。化粧品を鞄の中に入れようとした。男は彼女の側にすり寄って「そんなことをしたらダメだよ」と耳打ちして、化粧品を取り上げた。少女はきっと彼を睨んだ。男は「これが欲しかったのなら私が買ってあげる」と言って、レジに持っていって購入して彼女に渡した。

 その後も、何度もコンビニで会った。時には不良仲間とコンビニの前で屯していることもあった。未成年なのにタバコを吸ったり、酒を飲んだりしていた。

 彼は黙っておけない性分だった。「キミたち、そんなところで屯していちゃダメだろ。親元に帰りなさい。」と注意した。すると「この前、彼女にちょっかい出したのはおまえかよ!」とすさんできた子がいた。危うく親父狩りに遭いそうになったがコンビニの前で人通りがあったので難を逃れた。

 彼は少女のことがほっとけなかった。今では縁遠くなった自分の娘と変わらない年頃であったからかもしれない。しかし、少女は冷めた目で彼を眺めていた。心の中で「おまえなんかリセットだよ」と叫んでいるようだった。それなのに、彼の性分からか、気になる人へのおせっかいは止まらなかった。

 

 いつしか少女はホスト通いを始めた。気に入った男でもいたのだろうか。いや、おそらく淋しかったんだな。誰とも心を開いて関係を持たなかったので心の中は淋しさが渦巻いていたことだろう。

 それを知った男は、少女にホスト通いを止めさせようとした。彼女の通うホストクラブの入口で彼女を待ち伏せしていたら、ホスト達に行動を遮られ、最後にはボコボコにされた。それでも彼は少女のことがほっとけなかった。

 案の定、少女はたくさんの借金をして、お金に窮することになる。

 お金のことを相談した友達の女の子が「私、ストリッパーをやっているんだけど、あなたもやってみる?」と言うので、少女は友だちのステージを観に行くことにした。

 劇場に一歩足を踏み入れたら別世界があった。まぶしいばかりの光と音、その中を華麗な衣装に身をくるみ舞い踊る。少女はステージに一目で魅了された。「好きな音楽にのって踊れるなんて最高。それでお金になるのなら喜んでストリッパーになりたい。」と思った。これまでも沢山の男性にちやほやされてきたので、容姿にはそれなりに自信があった。劇場側に申し入れ面接したら、若くて可愛い彼女の採用はすぐに決まった。

 

 少しの研修を受け、いよいよストリップ・デビュー。

 最初はかなり緊張した。慣れないダンスに苦労した。ただ不思議と、裸になって客に性器を見せることに抵抗はなかった。自分のサービスで客の顔がほころぶと嬉しかった。

 彼女はステージの上で精一杯の笑顔を作った。今までこれだけの笑顔を作ったことはなかった。明るいスポットライトの下、彼女の明るい笑顔は一段と映えた。多くの客が彼女の営業スマイルにまいった。

 デビュー週、三日目で、あのおせっかい男がやってきた。彼の顔を見つけたとき、彼女は驚いた。

 実は、彼は熱心なストリップ・ファンだった。長く劇場通いしていて、多くの踊り子さんから「みんなのお父さん」として慕われていたのだ。彼は自分の人生哲学を押し通すように、まさしく踊り子とファンとしての関係を全て大事にしていたのだ。

彼は少女のポラを買い、「これからは君だけのストリップの父になって応援してあげるね」と約束した。彼は、それから彼女の一番客としていつも彼女の側にいて、リボンを投げたり、ポラをたくさん買い、チップもたくさんあげるようになった。

 可愛い少女は笑顔を振りまき、一躍ストリップ界の人気者になった。

 ところが、客の中には下心をもって近寄ってくる者もいる。彼らは連絡先を聞きたがり、アフターに誘ったりした。少女はそういう粘着してくる男が大っ嫌い。以前の顔が蘇る。「おまえなんかリセットしてやる」てな感じで、次々と嫌なファンを切っていった。出禁処分にして二度と近づけないようにした。多少ファンを切ったところで次から次へと新しいファンが増えるので彼女の人気はびくともしなかった。

 彼女の一番客である彼はいつも側に居たため、彼女の周りのファンの出入りを常に観察できた。突然のように夢中になって通ってきては、彼女にプレゼントやチップをあげて気を引こうとしているが、突然パタリと来なくなる客もいた。彼女にリセットされたのが窺いしれた。彼女はそのことを誰にも相談しなかった。もちろん一番客の彼にも。

 彼女のステージのポラタイムには、いつもプレゼントの山で溢れかえった。OPショーではいつもチップの嵐。彼女は大喜び。

 そんな彼女を見ていて、一番客の彼は心配になってきた。手紙で「お金になびいたらダメだよ」と注意した。最初のうちは「わかった。わかった。心配しなくても大丈夫だから。」と返事が返ってきたが、次第に彼の忠告がうざくなってきた。

 ある日、決定的なことが生じた。どんどん嫌なファンを切っていくのは仕方ないことだが、一番客と仲のいい応援客まで切り出した。仲間内で「どうしたんだ」と相談したら、「彼女がどんどん冷たくなってきた」と言うのだった。「人気が出てきたら忙しくて相手にされなくなるさ。一番客の俺だってそうだよ。機嫌を直して彼女の応援をしてくれよ。」と説得しようとした。しかし、仲間はどんどん離れだした。

 ストリップの良さはみんなでお気に入りの踊り子を応援することにある。陰でアフターを誘ったりする輩は排除されて当たり前だが、ストリップを純粋に楽しむ仲間は貴重な存在。みんなで応援し盛り上げるから楽しかった。そんな仲間が一人また一人と抜けていくことには危惧を感じた。彼は「昔から応援してくれるファンのことはもっと大事にしような」と彼女に手紙で忠告した。彼女を怒らせないようにかなりオブラートに包んで話したつもりだった。

ところがそれが彼女の逆鱗に触れてしまった。「そんなことを言うんだったら、あなたももう来なくていい!」と言い出した。「お客が離れていくなら勝手に離れていけばいいわ。ファンなんてどうでもいいの。」そして「私はステージで目の前の客を喜ばせることでいっぱいなの。ファン一人一人との関係はストレスになる。私はストレス・フリーになりたいの。」という言葉が返ってきた。最後は「おまえなんかリセットしてやる」ってな感じで切られた。

 

 彼は、泣く泣く彼女の出禁処分に従わざるをえなかった。

 よく好きな踊り子さんにフラれた客の中には、逆恨みして彼女の悪口をネットに書き込む奴がいる。人間として最低の輩である。少女の場合も「性格の悪い女」「金・金・金の女」「カネゴン」等たくさんの誹謗中傷の書き込みがあった。彼は決してそんなことをする人ではなかった。ただ只、自分の真意が彼女に伝わらなかったことが悲しかった。むしろ、このままでは踊り子としての人気を保てなくなると彼女のことを心配した。

 ともあれ、大好きな少女に会えなくなった彼はショックで劇場通いを止めた。しばらくはアパートにこもり、彼女を撮った沢山のポラの整理をしつつ、彼女との思い出に浸った。

 デビュー当時はまだあどけない顔をしていた。不安や自信のなさが表情に表れていた。この頃の彼女が懐かしく、一番かわいく見える。どんどん人気が出るようになり、たしかに大人の女として綺麗になり、いい意味でストリッパーの顔になっていった。ただ、この短い期間で劇的に顔の表情が変貌しているのが判った。お金に染まったのが一番の原因だろう。

 彼は、自分ことを「ストリップの父」と慕って頑張っていた初期の頃を懐かしく思い出した。そして、あの時の彼女との思い出があれば十分だと思うようになった。

 出会った当初から、まめに付けていたストリップ日記、それから彼女とのたくさんの手紙(ポラ)の交換、それらを元に私小説を書こうと考えていた。

 

 一方、さすがのリセット少女も、これまで親身になって応援してくれた一番客を切ったことが気になった。顔を見なくなった彼がその後どうしているかと心配になる。私のことを盲目的に愛してくれていたから万一自殺なんかされたら大変!とも思った。そんなかんなで気が散りステージに集中できなくなる。

「やっぱり、私が今まで踊り子として頑張ってこれたのは一番客としての彼の支えがあったからだわ。いつも彼の視線が優しく、安心して踊ってこれた。今や、劇場における風景が一変してしまった。どうしても気持ちが落ち着かない・・・」

 少女は、彼と仲良しだったスト仲間に声をかけた。彼の安否を尋ね、そして彼に連絡をとりたいと話した。

 

 少女は彼のアパートを訪ねた。

初めて彼のアパートに来たことになる。彼は一番客になるもお互いの連絡先は教えないこと、アフターは絶対にしないこと、を自分から彼女に申し入れた。もちろん他の客ともそういうことをしてはダメだと話した。そうしないと踊り子を長く続けられないことを長年の経験で知っていた。踊り子をダメにするのは殆どが客とのトラブルによる。彼女も黙って彼の忠告を聞いていた。だから、踊り子と客の関係が続いていたならば彼は決して彼女を部屋に入れたりはしなかっただろう。

 ともあれ、彼は連絡を受けていたので黙って彼女を部屋の中に通した。

 部屋の中に入った彼女はいきなり叫んだ。

「私のことが好きでしょ⁉ 抱かせてあげる。その代り、私が言う通りにして!」

 彼は驚きながらも、黙って彼女の指示に従った。

 彼女は持ってきた自分のバックの中から、手錠や縄などの拘束器具を取り出した。彼をベッドに横たわらせ手足をベッドに括り付けた。目をぎらつかせた彼女は彼の衣類をはがして裸にし、自分も裸になって彼の上に飛び乗った。彼の顔の上に自分の秘部を押し付けたまま、彼女は彼の秘部をくわえ込んだ。彼女は激しく中心に向かって何度も何度も攻撃を仕掛けた。彼は動けないまま快感に身体をくねらせながら、ついに彼女の刺激に耐えられず果てた。

 彼女は激しい快楽で満足している彼の顔にそっとキスをし、そしてすぐに自分のバックの中からナイフを取り出し、彼の胸を突いた。彼は驚きもせず、それが当然の流れであるかのように受け入れ、表情をゆがめることなく息絶えた。彼としては彼女とのしがらみを最後まで貫き通したという、どこか満足そうな死に顔だった。

「これで全てはリセットされたわ」

 その後、二人の死体が重なるように発見されたのは数日後のことだった。

 

                                    おしまい