渋谷道劇のニュー・ヒロイン、新條希さんの新作「School idol project」のレポートです。
GW週5月頭のTSで、新條希さんのJKものを拝見して希さんの初レポートを書いていた。それを中々渡せないまま、6月結の渋谷道劇でようやく再会できた。そして、初日に希さんへレポートを渡す。正確に書けたか自信がなかったので直すところがあったら直そうと思っていた。希さんからかわいい返事が返ってきた。
「レポありがとう!! 5頭までのレポだね~♡ 直すところかぁ・・・太郎さんが感じたことを観たまま正直に書いてくれたと思うから、特にないよ~!! 」その返事にホッとする。
「ちなみに無表情っぽかったのは、デビュー演目がけっこう暗くってさ・・・あんまりにこにこ出来るような曲ではなかったの。」もうひとつ「ちなみに『塩対応』ってのは、お話しちゃってダラポラすると怒られちゃうから。。 先に『さくさくやっちゃいますよ!』って言ったほうがお客様も傷つかないかなぁって」なんか、希ちゃんの性格が分かって嬉しくなる♡
これで気分をよくして、童話を書いてあげよう!と考える。 実は、石原さゆみさんの公立っぽいセーラー服と新條希さんの私立っぽいセーラー服でなにか書こうとずっと考えていた。なかなかいいアイディアが浮かばずにいたところ、希さんのステージを観ていたらインスピレーションが飛び込んできた。童話「セーラー軍団とスケバン軍団」のストーリーが頭の中を流れた。翌日、希さんに渡す。「面白かったよ!! すっごく面白かったから、明日も書いてー!! もっと色々太郎さんのお話読みたい!!」という嬉しい感想。また「ついついももかちゃんにも見せちゃった・・・wwごめんね」とあり一瞬慌てた。ももかさんの活躍を書いてないよぉ~「(ももかさんが童話を見て)バッチリ笑ってたよー。大丈夫大丈夫」とのフォロー(笑)
さて、遅ればせながら、この週の香盤は次の通り。①渚あおい(東洋)、②永瀬ゆら(林企画)、③平野ももか(道劇)、④新條希(道劇)、⑤園田しほり(フリー) 、⑥北川れん(道劇)〔敬称略〕。新人の平野ももかさんは希さんと同じ事務所LIGHTの後輩で仲良しらしい。
今週の希さんは二個出し。
1.3回目は、3作目「先生大好き♡」。今回このJKものの演目名を初めて知る。「振りも音も全部自分でやったよー!!」これには感心させられた。希さん、いいセンスしているね。
2,4回目は、新作(5月結の渋谷で初出し)の4作目「School idol project」。
ちなみに、中日6/26から2,4回目に、2作目「童話迷宮」に中日替え。これはデビュー作のリメイク。タイトルはダンス1曲目の曲名から付けたとのこと。
私は、童話「セーラー軍団とスケバン軍団」に気分をよくして、次に新作もレポート&童話にしようと考えた。ところが、最初にステージを拝見したときに、曲も初めてなので全く内容が理解できなかった。さて、困った!! そこで希さんに演目の内容を解説してほしいとお願いした。希さんも、先のレポート&童話が嬉しかったのか、すぐに丁寧な返事が返ってきた。別の手紙で頂いたので感激。
最初に、演目名とダンス曲名が並ぶ。
「新作の演目『Scool idol project』
・ダンス①START:DASH!! (高坂穂乃果(cv新田恵海)、南ことり(cv内田彩)、園田海未(cv三森すずこ)
・ダンス②Angelic Angel(μ's)
・ベッド入ダンス③ Snow halation(μ's)
・中立ち上がりダンス④ ふたりハピネス(lily white) 」
その後で解説が続く。
「『ラブライブ!』というアニメの曲のみで構成してます。『ラブライブ!』は女子高生がアイドルグループをするというコンセプトの作品なので、作中たくさんの楽曲やダンスがあります。今回私もダンスをコピーして、踊っています。you Tubeで検索するとアニメのキャラが作中で踊っている動画が出てきます。絶対、動画見てね!! 今回の新作への私のこだわりが分かると思います。」
なるほど「START:DASH!! 」「Angelic Angel」は、振りがアニメ通りなんだ。
そして、私は彼女の助言に従い、それをインターネットで検索してみた。
「school idol project」⇒「ラブライブ」⇒「μ's(ミューズ)」次々と知識が増え出す。
30分で分かる「school idol project」の動画を観てストーリーを理解。そして、実際に声優9人が「μ's(ミューズ)」としてデビューしていることを知りビックリ★ 声優なのにみんな可愛い女の子ではないか。歌も踊りも上手い。なんとNHK紅白歌合戦にも出ているし、さいたまスーパーアリーナや東京ドーム公演までやっているではないか★ 驚きの連続。
私は自慢ではないが、AKB48の顔と名前が全く一致しない。そんなレベルなのでアニメやアイドルに全く疎い。曲は全てストリップで聴いているに過ぎない。
そんな私が、希さんのお陰で、興味をもってここまで知識を得た。ストリップのお陰で、若い女の子の興味の領域に入って行けた。
そして、童話のネタが飛び込んできた。私が求めていたのはこれだ!と実感した。
そして、童話「Strip Idol Project」が完成した。これこそ私の求めていたストリップ生き残りのための企画書である。
平成28年6月 渋谷道劇にて
『Strip Idol Project』
~新條希さん(道劇所属)の演目「Shcool idol project」を記念して~
1. ストリップ冬の時代
ストリップ冬の時代が始まっていた。
かつては風俗の代表であったストリップは風俗営業法施行により規制が厳しくなり、劇場数が激減。劇場としてはアイドル路線に方針転換して生き残りをかけてきた。しかし、風俗の多様化とともに、ストリップは衰退の一途をたどる。若者が直接的な刺激を求めてソープやヘルスに足が向くと、観るだけのストリップは直接的な刺激を卒業した高齢者向けとして残ってきた。それも、アダルトビデオ(AV)などの普及もあり、ストリップ人口はどんどん減ってきていた。それに伴い劇場の数は減る一方で、かつては温泉場を含め全国に200以上あった劇場は、いまや20足らずとなっている。
昨年H27年には、4月16日に埼玉の西川口テアトルミュージックが閉館。また同じ埼玉のライブシアター栗橋も五月末に閉館する予定になっていた。しかし、栗橋については、そこを本拠地にしていた林企画のメンバーが存続を熱望したこと、出演メンバーが多いロックが協力要請を受諾したこともあり、どうにか閉館の危機を免れた。しかし、相変わらず客足はよくなく、いつ潰れてもおかしくない状況が続いている。
今年H28年に入ってからは、更に大変な事態が続く。まずは地方から始まった。六月に入って仙台ロックが閉館。そして広島第一劇場が八月末で閉館を発表。この二つの地方劇場は客足が悪く、もともと採算にのっていなかった。仙台ロックは踊り子のコース確保のため本拠地の浅草が採算度外視で支援していた。また、広島第一劇場も他の風俗で稼いでいる経営者が赤字覚悟でストリップ劇場を趣味としてやっていたが、ここに至り継続の意欲が無くなる。
また来年H29年1月15日で、業界老舗の新宿TSミュージックが閉館する予定。TS系は今年H28年6月に大和ミュージックを傘下に治めたものの、業界全体として新宿の劇場が無くなるのは大きな痛手。
こうした流れは、2020年の東京オリンピック&パラリンピックに向けて加速していくものと懸念されている。実際、東京オリンピックの話が決まる前から、警察はストリップに対して定期的にガサ入れを実施、個々の劇場を順繰りに約一年間の休館に追い込んでいた。そのため経済的基盤の弱い劇場は次々と倒産する羽目になった。まさに弱い者いじめの扱いである。東京オリンピック&パラリンピックで追い打ちをかけ、ストリップ規制が強まれば、ストリップは壊滅してしまう。こうした懸念が現実化していた。観客数が少なくなって衰退していくのは時代の流れかもしれないが、警察の規制でストリップをいじめるのだけは我慢がならない。
2.ストリップの社会的存在意義
ストリップは悪いことなのか?
以下に、私が考えているストリップの社会的意義をいくつか語りたい。
そのひとつとして、なにより、ストリップは多くの社会的弱者を救う。
恋人がおらず結婚できないでいる淋しい男性にとって、ストリップ劇場は心地よい居場所になる。結婚している男性でも、家族に相手にされなくなった人にとってはお小遣い程度で遊べる楽しい場。そうした男性弱者を救う。
以前、ある踊り子さんが話したことを思い出す。2008年、トラックで歩行者天国になっていた交差点に乗り入れ、次々にナイフで切り付け、死者7人、負傷者10人を出した通り魔事件、いわゆる秋葉原無差別殺傷事件が起こった。加害者の加藤智大(ともひろ)(当時25歳)は元自動車工場派遣社員で、携帯ネットに「彼女ができない」とこぼす淋しい青年だった。私はこの事件が起こった直後にある踊り子が話した言葉を忘れられない。「この人、ストリップに来ていたら、こんな事件を起こさないですんだと思うわ」。
また、今のストリップは多くの高齢者を救う。若い人はどうしても直接的な刺激を得られる風俗を求めてしまうが、性的に弱くなった50~60代の客層には若い女性の裸を眺め、女の子を適度にからかって相手してもらう遊びの場としてストリップは最適な場所。
さらに、ストリップは高齢化社会の性福祉に役立つかもしれない。高齢者にストリップで性的な刺激を与えることで、近年社会的な大問題となっている認知症の増加や、健忘症・痴呆症の予防につなげる。
次に、ストリップは性犯罪の防止につながる。
最近のストリップでは、パンティ・プレゼントが人気。このイベントがあるとたくさんの客が集まる。TSミュージックでは二日に一日はパンプレDayになっているほど。これにより、下着泥棒などの軽犯罪がどれほど減っているか計り知れない。他にも、性的に鬱屈した男性のストレス発散にストリップは最適。ストーカーなどの犯罪防止に大きな役割を果たしている。ストリップはギャンブルと同じく、社会において必要悪な存在と捉えることもできる。
最後に、ストリップを大切な文化遺産として残していくことを考えたい。
毎日、多くの外国からの観光客が浅草や新宿のストリップ劇場に押しかける。ツアーのひとつに組み込まれているわけだが、ストリップは海外にはないのでかなり興味津々そう。楽しそうに観劇している彼らの姿を見ていると、ほんとストリップに国境はない!と思わざるをえない。
ストリップは日本に昔からある大衆文化。しかし、娯楽の殿堂であったストリップも今や人気低迷。ストリップ劇場がどんどん減っている。娯楽や風俗の多様化で、ストリップ人口がどんどん減っているからであるが、もう一度ストリップの良さ・意義を見直してほしい。ストリップは単なるエロではなく、むしろアートであり、大切にすべき庶民文化である。昔は本番まな板ショーなどえげつない路線もあったが今は全く違う。相変わらずストリップを昔のエログロ路線のままと思っている人もいる。こうした誤解を解き、気楽に楽しめる娯楽場としてもっとストリップに足を運んで欲しい。
男が女のヌードを好きなのは本能。今日の疲れを癒し、明日への活力を培うのにストリップは最高の場。しかも小遣い程度で楽しめるという庶民の娯楽場なのである。
今は趣味・嗜好が多様化しているが、東京は人口が多いためストリップ・ファンも多く、たくさんの劇場が賑わっている。問題は地方。昔は地方の大きな都市には必ずストリップ劇場があった。今や100万人都市でさえ、名古屋にも博多・札幌・神戸にもストリップ劇場がないという信じ難い事実。多くのストリップ・ファンが全国を行き交えば経済的効果も大きいはずなのだが。
3.女性パワーの台頭
今、ストリップ界にひとつの異変が起きている。それは、劇場への女性客の進出。
たしかに、これまで親父だけの居場所と言われたところに若い女性が行きだしている。パチンコや競馬場などのギャンブル、酒場などの男の遊び場へ。世に言う‘親父ギャル’の登場である。男女均等法施行から女性も男性と同等に仕事をするようになったわけだから、同じようにこれまで男性だけの遊び場と思われてきた場所に進出するのもおかしくはない。しかし、いくらなんでも男の性産業であるストリップ劇場にまでかと思ってしまう。
しかし、これには背景がある。先ほど既に触れたが繰り返す。昔のストリップは本番まな板ショーを始めとしたエログロ路線を突き進んでいたが、風営法を境にストリップはアイドル路線に変更した。そのため、かなりショーアップされた見世物となっている。浅草ロックはその代表で観光スポットになり、ツアー客のひとつのルートになっている。ストリップも日本独自の文化として認識されることは嬉しい話である。ストリップでは女性の裸体を見せるものの、エロというよりアートの世界。まさにヌードは芸術なのである。
このことを直木賞を受賞した著名な女性作家が主張している。彼女の名前は桜木紫乃(しの)さん。2013年の第149回直木賞を小説「ホテルローヤル」で受賞している。当時48歳なので今は51歳くらいか。北海道の釧路出身。私は仕事で釧路に何度も出張したので親近感を覚えた。ストリップ・ファンで札幌道頓堀劇場に通っていたという。彼女は相田樹音さんという現役のベテラン踊り子さんと大和ミュージックにて対談し、その記事が女性週刊誌に紹介された。こういう有名人がストリップの魅力をアピールしてくれるのは誠に有難いこと。
その記事を読んだ女性客が全国の劇場に顔を出すようになる。私が常連として通っている渋谷道劇にも毎日10人前後の女性客が来ている。数人のグループで来ていることもあるが、一人で堂々と観劇している方も多い。別に彼女たちがレズというわけではなく、ショーとして楽しんでくれている。中には特定の踊り子のファンになる。これは宝塚に憧れる女性ファンと全く同じ目線。いまはアイドル全盛なので、アイドルを求める軽いノリでストリップ劇場に顔を出している。
こうなると、こうした女性客の中から「私もストリップをやってみようかしら」と思う人が出てきても不思議ではない。昨年H27年12月に引退した一宮紗賴さんのファンにとても綺麗な若い女性がいた。その方が12月結に踊り子としてデビューしたときには驚いた。葉鳴ゆりささんである。私は彼女の活躍を期待し応援してあげようと思っていた。しかし、残念なことに渋谷道劇に二週のり、その後がない。
私が応援している石原さゆみさんにも若くて可愛い女性ファンAさんができた。今年の二月の渋谷でさゆみさんを観てファンになったらしく、渋谷の興行には必ず二三日顔を出す。私はさゆみさんの一周年イベント幹事をしたこともあり、その可愛いファンとも親しく話すようになる。一緒にステージかぶりでペンライトを持ってさゆみさんの応援をしたこともある。さゆみファンの中には直接に彼女に「絶対応援するから」と踊り子デビューを勧めた者までいた。彼らは私にも是非踊り子デビューするよう彼女の背中を押してほしいと言う(笑)。ほんと女性客の中には踊り子にしたいと思わせるチャーミングな方が多い。
4.ストリップはラブライブ!
渋谷道劇に新條希さんという若きホープがいる。今年H28年2月結にデビュー。AV出身でステージ度胸があり、なにより21歳と若い。きれいなヌードを惜しげもなく見せてくれて人気沸騰中。
H28年6月結に、四作目になる新作を拝見。(なお、新作は5月結の渋谷道劇で初出し)
演目名「School idol project」。
私は、最初にステージを拝見したときに曲も初めてなので全く内容が理解できなかった。そこで希さんに演目の内容を解説してもらった。丁寧な手紙を頂く。「『ラブライブ!』というアニメの曲のみで構成してます。『ラブライブ!』は女子高生がアイドルグループをするというコンセプトの作品なので、作中たくさんの楽曲やダンスがあります。今回私もダンスをコピーして、踊っています。you Tubeで検索するとアニメのキャラが作中で踊っている動画が出てきます。絶対、動画を見てね!! 今回の新作への私のこだわりが分かると思います。」私は彼女の助言に従い、それをインターネットで検索してみた。
「school idol project」⇒「ラブライブ」⇒「μ's(ミューズ)」次々と知識が増え出す。
これだ!!
ストリップこそラブライブだ! だって、愛に満ちた生のステージを観せるのがストリップだもの。よしっ、ストリップ版の「school idol project」である「Strip Idol Project」を企画しよう! この「Strip Idol Project」はストリップ生き残りプロジェクトだ!
私の意志は固まった。
5.ストリップ版「μ's(ミューズ)」の結成
私は渋谷道劇で親しくしてもらっている石原さゆみさんと新條希さんに自分の企画を打診してみた。もちろん、二人にこの企画に入ってもらう前提で。「すごくおもしろそう!」というのが二人の返事。
この結論を受けて、私は詳細な企画と実行に入った。
実際の「μ's(ミューズ)」と同じく、9人にしたい。私は、できるだけストリップ慣れしていないフレッシュなメンバーにしたかった。そこで劇場に来ている女性客の中からμ'sに入りたいと思う人を募ってみたいと考えた。
実は、私は個人のブログを開設していた。ブログ名は「ストリップ・ファンタジー」。そこで私は自分で創作したストリップ童話を紹介していた。毎週一作品ずつ披露していて好評を得ていた。特に劇場に来ている女性客のかなりの数が私の童話の読者になっていた。また、そのブログで私はまじめにこれからのストリップを語ろうと声をかける。私と同じく、今のストリップの危機的状況を心配しているストファンが多かった。そこで、私の企画を紹介し賛同を求めた。予想以上にたくさんの賛同の声が上がった。
問題は、「μ's(ミューズ)」メンバーの公募。
ストリップ人気とアニメ人気のお陰でかなりの応募があり、すぐに選考に入った。
一人、驚く人が公募してきた。昨年2月にTSから衝撃的なデビューをしたにもかかわらず人気絶頂の中、年末にスト界から忽然と消息を絶った天上くるみさん。今は地下アイドルとして歌手をやっていると噂されていた。彼女なら、歌のレベルも保証付だし、ストリップの経験もありリーダー的な存在になれる。迷わず選抜メンバに加えた。
ちなみに、この企画がストリップ界最大手のロックに情報が流れ、ロックとしても全面的に賛同したいと申し入れがあった。その条件として、ロックの新人も一人加入させてほしいという。その結果、今年3月にデビューしたばかりの南まゆさんが加入することになった。
現役の踊り子としては、石原さゆみさん、新條希さん、南まゆさん、そして元経験者の天上くるみさんの四人。残りを公募から選んだ。現役と新人を約半々の構成にしたが、あくまでフレッシュさを売りとしているので新しい顔を多くしたかった。合わせて、私は、今回のメンバーに目玉になる新星が欲しかった。それは石原さゆみさんのファンであるAさん。必死で口説いた。なかなか首を縦に振らなかったが、最終的に私の熱意が伝わり彼女は承諾してくれた。
これでメンバーが揃った。
6.「μ's(ミューズ)」の大活躍
私は彼女たちのマネジャーになり、劇場側との交渉に入った。私はこの「μ's(ミューズ)」で全国のストリップ劇場を全て制覇することを目標にした。
合わせて、9人メンバーを、歌って踊れてストリップもできるよう纏め上げる必要があった。15年ほど前に、渋谷道劇でやっていたストリップ・ミュージカルがひとつの完成形であった。彼女たちは一ヶ月の合宿による特訓に耐え、見事なチームに仕上がった。
劇場側は、私の企画に好意的だった。
最初の興行は、石原さゆみさんと新條希さんの所属である渋谷道劇。経営者や従業員は昔のストリップ・ミュージックを懐かしみ全面的に協力してくれた。
最初の渋谷での興行スタートは順調な滑り出し。その結果を聞きつけ、次々とオファーが入る。最初は道劇と親しいTS系列で、新宿→池袋→上野→大和と回る。そして蕨ミニで実績を重ね、関東ではDX歌舞伎を一区切りにした。
長い公演スケジュールのひとつの山場が、関西の大阪東洋ショー劇場での公演。たくさんのお客が駆けつける。西日本最大の晴れ舞台を見事に乗り切った。引き続き、同じ関西では、広いDX東寺の劇場を満員にし、晃生でも活況を呈した。関西にファンが多い石原さゆみさんの人気も功を奏した。
さらに地方からも声がかかる。すごく嬉しかったのは閉館が決まっていた広島第一劇場での公演。西日本のファンがたくさん駆けつけて、あの広い広島が大入り。経営者がこの興行に感激して劇場経営を続けることになった。我々「μ's(ミューズ)」も定期的に広島にのることを約束した。
他の地方劇場としては、小倉A級、道後ミュージック、そして岐阜まさご座と回り、各地で盛大な歓迎を受けた。関東や関西からの遠征客の力が大きかった。
そして、最後はロック系列を回る。ロックがこの企画に賛同してくれて、ストリップ業界が完全にひとつに纏まった。新宿ニューアートを皮切りに、川崎ロック、浜劇へ。そして、ここでも嬉しいニュースが出る。閉館が決まっていた仙台ロックでも公演が決まり、仙台ロックの経営継続が決まる。
本興行の最後は、浅草ロックで飾ることになっていた。あの広い浅草が連日立ち見の大盛況。平成21年6月に催された小向美奈子さんのロック座25周年特別興行、そして今年五月の有名AV上原亜衣さんの引退興行の入場者数記録を大きく塗り替えた。最終日には「μ's(ミューズ)」のメンバーだけでなく、長い興行をずっと遠征して応援してくれた熱烈なファン同士が抱き合って喜んでいた。歓喜と涙の最終公演となった。
この興行を通じて、女性客が多かったことがひとつのポイント。男性のためのストリップから男女が認めるストリップへ。こうしてストリップはエロではなくアートであることが認められたのである。ストリップは大切な日本芸能としての市民権を得たのである。
2020年の東京オリンピックを機に衰退していくと思われていたストリップが逆に復活の兆しを見せ始めた。
芸能界からもストリップに対する熱烈な指示者が現れた。昔、ストリップの合間に出演していた漫才コント出身者たちの存在が大きい。その中で、奥さんが元踊り子という二人、TVでの愛称:欽ちゃんこと萩本欽一さんと、今や日本を代表する映画監督になったビートたけしさんが全面的に協力を表明してくれたことが効果絶大。他にも、青春時代にストリップにお世話になったたくさんの著名人がストリップを無くしてはいけないと声を上げた。
「Strip Idol Project」は大成功で、その後も興行は続いた。
ストリップ業界としては「Strip Idol Project」だけではなかった。この若手の活躍に刺激を受けたベテランの踊り子さんがさらにステージをレベルアップさせ、ストリップ界全体が活性化された。
ストリップは単なる男性向け風俗から脱皮し、総合エンターテイメント産業の代表格として認知され大きく飛躍・発展することになった。
おしまい