引き続き、渋谷道劇の新人、石原さゆみさんについて「My Sweet Spot(その2)」と題してデビュー週楽日の模様を語ります。
久しぶりに心の高ぶりを覚えた。
私は石原さゆみさんとの出会いに歓喜していた、このまま彼女の魅力に溺れたかった。私は夢中で手紙を書き続け、私の言葉たちは言霊になって彼女の心の扉を叩き続けた。言霊の一部は彼女に開け入れられ、ポラのコメントとして返って来た。私はそれを僅かな望みの蔓として彼女の心を手繰り寄せようした。しかし、三日目まで増えつつあった彼女の言葉たちが四日目から細りだした。恋愛では言葉数が少なると危険信号。私は諦めずに手紙を発信し続けた。反応は無くても読んでもらっている確信みたいなものがあった。
そのまま残りを皆勤したい気持ちも強かったが、私は当初の予定通り二日お休みした。
その間、さゆみさんは私の頭の中を独占した。私はこの四日間を大切にしたくてストリップ日記に記録し出した。一気に書き上げた。自然、レポートというよりラブレターみたいになった。さゆみさんがどう受け止めるか分からないけど、大切なデビュー記念として渡したくなった。
楽日前日に持参した。残念ながら何の反応もなかった。
私は踊り子さんと仲良くなりたくて手紙を渡す。何も反応がなければ私に関心がないものと諦めて、手紙は打ち切るようにしている。もちろんポラも買わない。つまり応援を止める。きれいな方でも仲良くなれなければポラを買う意味がない。ポラを買う金銭も手紙を書く時間も有限ではないからね。
でも、さゆみさんの場合は応援を止めるつもりはさらさらなかった。
すでに私は恋に落ちていた。さゆみさんのステージを観るたびに心がときめいた。そして、さゆみさんが目の前にいないと、彼女が消えてしまう不安感に苛まれた。これは完全な恋する状態。この年齢になり、こんな風になるのは恥ずかしい限りであるが、それがストリップの最大の魅力であり、何歳になっても恋のときめきが可能なのである。恥ずかしいどころか、なんて素晴らしいことだろう。
建前は、ストリップの父として応援したいと言いながら、心は乙女に恋する純粋な青年の心になっていた。
後半二日間の、さゆみさんのステージと私の心模様を記録しておく。
デビュー週楽日前日12/29(月)から話そう。
私は休みをとって、朝から観劇する。この日を休むと年末年始は9連休になる。ほとんどの会社員はそうしていることだろう。今年はさゆみさんのお蔭で特別な年末になった。
土日二日間は劇場をお休み。二日ぶりに会ったら、さゆみさんは笑顔で迎えてくれた。
私を惹きつけて止まない、さゆみさんの最大のチャームポイントはステージの上からみせるこの笑顔にある。ダンスの時も、ベッドの時も、ちらちらと私の方を見る。私はニコニコ笑顔で見ているだろうし、時に真剣に見つめている。そんな私の視線が気になるのだろう。私と目が合うとにこっと微笑んでくれる。こんな私の顔がさゆみさんの精神安定剤になっていれば嬉しい限りである。何度も足を運んでくれるファンがたくさんできることが踊り子を続けられるポイントなのである。この十日間にも何人かいるだろう。
ちなみに、私は今週六日間通ったが、きっと多い方だろう。さゆみさんのポラ回数でも一番かな。今週十日間を通して、さゆみさんはかなりポラが売れていたが、私ほど夢中になって通い詰めていたファンはいなかったな。
私は毎回、一番にポラに並んだ。その日も、一日四回のポラがあっという間に過ぎる。一日がほんと短い。さゆみさんも「あっという間の十日間」と話す。「明日の楽日は泣くかもしれない」とこぼす。私は「さゆみさんの感動の涙を見たくて明日も来るよ」と話す。
渋谷道劇は楽日にサインポラがない。踊り子さんとの文通を楽しみたい私にとって、これはネックになるため、楽日には来ないことにしている。しかし、今回は特別な日。さゆみさんデビュー週の楽日なのだから万難を排してやってきた。
前日に初めて渋谷のカプセルホテルに泊まった。道玄坂を登り切ったところ、警察の交番向かいにセンチュリー渋谷がある。電話予約がきかないため、途中20時頃に劇場を抜け出して予約してきた。少し遅かったら満室で予約がとれなかった。劇場に近くていいのだが、10階建ての細いビルで、非常に狭っ苦しい感じで、一個しかないエレベーターがやけに遅いのが難点。値段もスタンダードで3,990円と高い。しかし利便性を考えれば文句はいえない。
楽日当日、早朝7時頃にホテルを外出して場所取りに行ったら、駅の方から知ってる顔が来るではないか。昨日、ここ渋谷でお会いしている。彼も二日続けて来た。ご挨拶がてら朝から話が弾んだ。
私の最大の関心事は、さゆみさんがこのまま踊り子を続てくれるかどうか、この一点に絞られた。
私は何度かそのことを手紙で質問した。しかし明確な回答はなかった。ひとつだけ・・・さゆみさんが昨日、紫りょう姐さんのステージをお勉強したとポラ・コメントしてくれた。「昨日初めて紫姐さんの勉強させてもらい、とても感動しました。ストーリーがあるステージがやりたいです。」このコメントだけが続けてくれる予感を感じさせるもの。
年末ぎりぎりで私はストリップの妖精に出会った。しかし、妖精はとても儚い存在。このまま年を越したら、この夢は消えてしまうのではないか。不安で不安でたまらない。
昨年も同じことがあった。同じ渋谷道劇の花形美由さん。あの悪夢が蘇る。あのときのショックは今でも尾を引いている。さゆみさんを来年の私のストリップ・ライフの中心にしたいと心から望んでいる。
さゆみさんの楽日の様子をそっと眺めていた。フィナーレのときには、なんとなく憂鬱そうな顔をしている。新人なんだから当然10日間の疲れもあるだろう。しかし、この表情は違うな。良く考えれば、今日で終わるので寂しいのか。いや、悪く考えれば、これで踊り子を辞めるので名残惜しいのか、特に私のように応援してくれた方々に申し訳ないと考えているのか。などなど色んな憶測が頭の中を駆け巡る。私はいつまでも彼女の顔を見つめていたいと思う反面、心がしめつけられるように苦しかった。まるで初恋のような気分。
恋の本質は楽しさにあるのではなく、この切なさにある。まさに切られるような苦しみなのである。男たるもの、この苦しさを何度も乗り越えて成長してきた。これが青春なら、私は今も現役かもしれない。忘れかけた恋心を甦らせてくれるストリップに感謝する。
私は三回目の最初を抜け出し、駅前の東急の花屋に向かった。かわいいブーケをひとつ作ってもらう。これで準備は整った。
さて、いよいよ楽日ラストステージ。
ステージのさゆみさんの顔はこおばっていた。泣きそうな雰囲気を感じた。フィナーレで見せた憂鬱そうな表情はこれにつながっていたのか・・
涙をこらえているのが分かった。正面センター席にいる私と何度も目が合った。「泣かないで、しっかり踊るね」と目が語っていた。私は「頑張れ! ぼくがついているよ」と目で応えた。そういう私も泣きたくなる気持ちを必死で抑えた。さゆみさんが泣いていないのに父である私が泣いちゃうとかっこ悪いもんね。
最後まで踊り切った。立派なステージだったよ。すごく感激した!
ポラ時、私は用意していた花束をもって一番に並んだ。「十日間お疲れ様」と花束を渡す。「泣かないで踊れたわ」と笑顔でポラに納まる。目元が潤んでいる感じだった。
当日はポラの預かりはなかったが、なぜか最後の花束と一緒に写ったポラは預かってくれた。これは次に再会したときに返却する意思表示かなと思い嬉しくなった。
ちなみに、四回目ステージに、さゆみさんの知り合いの女性が来ていた。彼女がさゆみさんのポラを撮りにいったら、二人で感激して泣きだした。どういう知り合いかは分からないが、楽日に知り合いが応援に来てくれるということは、さゆみさんが踊り子をしていることはある程度周知のことかも。さゆみさんは親バレなどで急に消えるタイプではないかなと期待を抱かせてくれた。
ポラはたくさん売れていた。十日間を通した売上では、トリの虹歩さんといい勝負だと思う。
最後に、オープンショーで締めくくる。今回のデビュー十日間、私は手紙でいろんなアドバイスをおくった。ベッドショーでは、盆の中央で演ずるより観客に近い盆の縁で演ずると迫力があること。オープンでは、決まって五カ所(舞台左右と盆の正面と左右)でやっていたがバタバタしていたので盆周りだけ丁寧に回った方がいいこと。などなど「盆の縁で踊るといいって初めて知りました。ありがとうございます。」「オープンのポーズのバリエーションが少なくて悩んでいます。」「オープンの話、参考になりました。ありがとうございます。」実は、さゆみさんをできるだけ近くでたくさん感じたくて色々と要望させてもらったのだが素直に応じてくれて感激していた。だからオープンショーは私と一緒に作り上げた形でもある。まだまだ要望したいところもあるがぼちぼちといくか・・・(笑)
だから、オープンショーひとつにも思い入れがあり、観ていて感激してしまう。
やりきって舞台に戻ると盛大な拍手。「お疲れさーん」というお客さんの大歓声の中で、私は「また会おうねー」と叫んでいた。
平成26年12月 渋谷道劇にて
