渋谷道劇の六花ましろさんの演目「ネバーランド」を記念して、観劇レポート「ネバーランドとネバネバランド」を語ります。
H26年4月結のDX歌舞伎は思い出深い公演になった。お蔭でたくさんのレポートを書いた。
その週の香盤は次の通り。①香坂玲来(道劇)、②六花ましろ(道劇)、③綾瀬ナナ(道後)、④ALLIY(ロック) 、⑤川原美咲(ロック)、⑥小室りりか(ロック)〔敬称略〕。2,4回目は香坂玲来さんとのチーム「ハモンセラーノ」の『DOLL』を演じていた。
1,3回目は新作「ネバーランド」を演じる。タイトル通り、私の童心を刺激した。
内容を簡単に期しておく。
最初に、虹色の天使が登場。衣装は黄色をベースにカラフルなレインボー色。ブラには虹色の数珠飾りがたくさん付いている。黄色の衣装のスカート部分は、ひらひらとした布が黄・赤・青・黄緑・黄と重なる。また、ピンク・黄・青の髪飾り。
最初に「レインボー・ガール」というタイトルかなと思って、ましろさんに尋ねたほどにカラフルな色合い。「『レインボー・ガール』と呼んで虹歩と書きまーす!」と冗談を飛ばすも、ましろさんは笑わない。
おっと!忘れてはいけないのが、背中の白い天使の羽根。
少し長めの白いシューズを履き、赤い薔薇の花をもって軽快に踊る。
次の場面は、ピーターパンのような感じで登場。ダーク・グリーンのブラをし、白いコルセットを胴に着ける。黒いエナメル生地のスカートは逆三角形状にギザギザ模様。そして、モスグリーンなジーンズ風の上着を羽織る。また、緑のフリフリなフラボーが、首から前に短く垂れ、腰から後ろに長く垂れる。
ナイフをもって戦っているイメージ。ナイフを口にも咥える。
最後に、上着を脱ぎ、赤い薔薇の花を持ち、ベッドへ。胴周りに白いコルセット、そして白いパンティと白い首輪。
ベッド曲の歌詞が頭に残る。
「とろけるキッスは誰のため? 蜂蜜キッスはどんな味?」 ♪♪♪
「もう、世界征服、止めた!」 ♪♪♪
さて、以上の内容からどんなストーリーを展開させようか悩んだ。「ネバーランド」はまさにメルヘンの世界なのだが、きれいな筋書きが出てこない。私の頭の中が混沌とし出した。そして「ネバネバランド」というフレーズが浮かんだ。「ネバーランド」に対する「ネバネバランド」とは面白い!と感じた。そこで、すぐにましろさんに「ネバネバランド」という話にするね!と話すと「納豆みたいでヤダー😩」との第一声。
私は「ネバーランド」と「ネバネバランド」という言葉遊びに悦になっていた。だから、ましろさんの声にめげない。
また私はもっと別の次元で考えていた。ははは、いやらしいことを考えていたよん♪
ネバネバにエロスを感じていた。キスにせよ、愛液にせよ、男と女の関係はネバネバにより燃え上がる。男女の愛憎のない天使の世界はきっとサラリとしていて、ネバネバと対照的な世界なんだろうな。天の「ネバーランド」と地上の「ネバネバランド」を比較することで物語を展開させた。
9日間劇場に通いながら、ましろさんに只今「ネバネバランド」を書いているよーと話す。ましろさんは一体どんな童話ができるのだろうかと考えていたと思う。そういえば、最近、私の童話をよく読んでいる榎本らんさん(東洋)が「こんな発想ができる太郎さんの頭の中って一体どうなっているんか覗いてみたいわ」とコメントしてくれたが、私自身も自分の頭の中のカオスを覗いてみたいもんです(笑)
そして、私の楽日となる9日目の土曜日に創作童話「ネバーランドとネバネバランド」を渡した。
「ついに来ました!!ネバネバランド♡(笑) うまいことステージとつながっているわね!! キッスの味を知ったまっしーは天使の羽を失ってしまうのでした・・・!!」
ましろさんからの感想を頂き、なんとか納得・満足して頂けたようです。
ステージを通じた、こうした踊り子さんとの駆け引きが、私の私たるストリップの楽しみの極地なんですね。
平成25年4月 DX歌舞伎にて
H26.4
『ネバーランドとネバネバランド』
~六花ましろさん(道劇所属)の演目「ネバーランド」を記念して~
天使が大空を駆け回っていた。名前をマッシーと云った。
マッシーは天使の羽根を付け、身体は七色に輝いていた。天空は太陽の光を遮るものがないため、直接、身体が太陽光線を反射する。
天空の世界をネバーランドという。そこは、からりとした世界。いつも明るく、そして雨も降らない。天空に棲む神様や天使たちは、事件や揉め事を極端に嫌い、お互いに干渉せず、関係はさらりとしていた。ネバーランドはからり・さらりとした平和な世界だった。
しかし、マッシーはその退屈さに耐えられなかった。
地上の世界は、天空から見て魑魅魍魎とした世界と考えられていた。
空には雲があるため雨がよく降り、海や川がたくさんあって、とてもじめじめしていた。なによりも地上に住む人間たちが、欲望や愛憎が絡み、どろどろした人間関係を呈していた。そのため、天空のネバーランドに対して、地上の世界のことをじめじめ・どろどろしたネバネバランドと称した。
最初に、マッシーは人間のもつ欲望に興味をもった。支配欲をもつと世界征服も可能だった。そこでマッシーはナイフをもって戦う。そのスリルとサスペンスがたまらない刺激となった。
次に、マッシーは恋愛に関心を抱いた。
人間同士がよくキスをしているので、マッシーも人間とキスをしてみた。気持ちのいいネバネバ感に酔いしれた。
「とろけるキッスは誰のため? 蜂蜜キッスはどんな味?」 ♪♪♪
マッシーは人間と身体を重ねてみた。すると、身体の奥底から泉が湧いてきた。身体全体がしっとりと潤う。こんな快感は味わったことがない。
「もう、世界征服、止めた!」 ♪♪♪
マッシーは人間の世界に不思議な空間を見つけた。
光と音のファンタジックな世界であり、男と女の妖しいネバネバ感が充満している場所。そこはストリップ劇場であった。
マッシーは踊り子になった。彼女の持って生まれた美貌をもって、たくさんの客のハートを掴む。たくさんの熱い視線を浴び、マッシーはステージの上でとろけることができた。
このネバネバ感、最高だわ!
おしまい