H29年9月頭の大阪晃生ショー劇場での、道劇所属の踊り子・多岐川美帆さんについて、九周年作を題材に、「選曲の面白さ」という話をします。
今年の夏も暑かったが、九月に入って暑さも和らいできた。でも大阪はまだ暑いね。
H29年9月頭の大阪晃生に初日から顔を出す。
メンバーは次の通り。①寿恋花(晃生)、②雪乃舞(小倉A級)、③多岐川美帆(道劇)、④春野いちじく(TS)、⑤望月きらら(晃生)〔敬称略〕。
先週8月結の渋谷道劇は多岐川美帆さんの9周年週だった。名古屋のスト仲間が美帆さんの周年イベントは花ではなく米袋が贈られていたのに驚いていた。お母さんも出席されていたんだね。私は昨年イベントを観ていたので、昨年と同じだよ!と彼に話した。
私の方は一週遅れで9周年のお祝いに駆け付けた。「今日は私に会いに来てくれてありがとうございます。嬉ぴー。」と喜んでもらう。
さて、9周年作(演目名→28作目)を紹介しよう。
最初に、肩を露出した胸下からのワンピース姿で登場。色はブルーで、よく見ると胸元の縁には銀のキラキラ星、スカート下部にも金のキラキラ星。青い花の髪飾り、黒いベルト、黒い手袋、黒いハイヒールと、青と黒のコントラストが落ち着きを深める。
楽曲はZYUN(ジュン)の「かげおくり」。まるで女性が歌っているような、エモーショナルないい歌だ。音楽に合わせて、しっとりと舞い踊る。
次に、ガラリと雰囲気を変えて、肩紐で吊るした赤い斑点の付いた金の上着に、キラキラ赤い三層のミニスカート。楽曲は、SWEET BLACK feat.MAKI GOTOの「Lady-Rise」でセクシーに踊る。
いつもなら、ここで‘おふざけ路線’に入るのだが、今回は脱線することなく真面目に踊っている。これが9周年作の一番のポイントか。(笑)
衣装を脱ぎ、最後は裸で勝負。黒い首輪、黒い手袋、黒いパンティ、そして黒いハイヒールと四つの黒がアクセントになっている。
音楽は、ソニンの「ほんとはね。」でしんみり、そして立ち上がりはCHAGE&ASKAの「終章(エピローグ)」で渋く締める。
さて、今回、レポートを書くにあたり、何を書こうか迷う。今回の演目のテーマが分からないからだ。テーマが分からないと私としても何を書こうか迷ってしまう。
多岐川美帆さんとは9年間の長いお付き合い。今日で会うのは270日目で、なんと現役の踊り子としてはトップ。もちろん大好きだから沢山お会いしているわけで、ならば沢山レポートを書いているかというとそうでもない。今回の演目が28作目ということは、毎年三作平均で作品を発表している。本当なら28作のレポートがあっても不思議ではない。なぜか? いつも作品のテーマがよく分からないため書けなかったのだ。
今回初めて、選曲を尋ねた。ここからヒントを得ようと考えた。
私はこれまでレポするに際し、あまり選曲を尋ねることはしなかった。自分なりにテーマが分かったら私なりに勝手に書いちゃう。しかし、最近、選曲はとても大事だと思うようになった。選曲を知らないままレポートしてもピンボケしていることが多いのだ。あくまで私のレポートだから間違っていてもそれはそれでいいと考えることもできる。踊り子は踊るだけで観客がどう感じるのも構わない。観客が悲しい想いをしているなら悲しく感じてもいいと。人それぞれ感じるものは違うのだから、色々と感じてくれることに意味があるのだと割り切ることもできる。
でも、せっかく踊っている踊り子さんと観ている客が同じ思いを共感しないでいるのも勿体無い気もする。楽しく踊っているのだから、客も同じように楽しく感じてほしいよね。普通は同じ思いになるのが自然だろう。
そのためには、客は踊り子の想いを知る必要がある。まず作品を作る前提となるテーマを知らなくてはならない。それは映画や童話などの具体的なテーマであったり、愛や夢のように抽象的なテーマであることもあろう。またダンスを魅せる目的として、クラシックバレエやジャズのように古典的なダンスだったり、フラメンコ、アラビアンや日舞のような民族舞踊等だったり。そしてテーマが決まったら、それに合わせた選曲と衣装を決めていく段階になる。逆に、我々観客は選曲と衣装から踊り子の想い⇒テーマを感じていくことになる。
選曲は単にメロディだけでなく、歌詞を味わう必要がある。歌詞の内容が分かって初めてテーマや踊り子の想いが分かることがある。
一般的に、テーマは演目名にストレートに反映される。私は必ず演目名を確認することにしているが、それは演目名でテーマのかなりの部分が窺い知れるからだ。ところが、美帆さんの場合、演目名が28作目だけなのでテーマが見えない。
今回の演目について、レポートを書き進めながら、選曲を調べていくと面白いことがどんどん分かってきた。
今回の演目で私が知っている曲はラストの「終章(エピローグ)」だけ。歌っているCHAGE&ASKAが私のお気に入りで最も多くカラオケで歌っているため、曲が流れた瞬間に当時の思い出が浮かぶ。しかし、それだけをネタにするのもどうかなぁ~と思う。
ところが、選曲を調べていったら、そのひとつひとつの歌にドラマがあることに驚かされた。歌そのものに、そして歌う歌手自身にドラマがある。
全体のテーマというドラマを追求していくのも楽しいが、選曲のひとつひとつを追求していくのも楽しいではないか。そのドラマにも感動し、またそれを知ることで知識欲も満たされる。
今回、選曲を調べて聴いているうちに感銘したことを以下に記録していきたい。
例えば、二曲目の「Lady-Rise」をYouTubeでセクシーでポジティブなMusic Videoで拝見し、モーニング娘を卒業した後藤真希さんがSWEET BLACK feat.MAKI GOTOとして歌っているのを知って驚いた。モーニング娘時代は不動のセンターを務めていた彼女でしたが、実弟の元歌手の後藤祐樹の窃盗事件や母親の死など大変だったようですが、その後も音楽活動で頑張っていたんですね。28歳で25歳年下の一般男性と結婚して男女二人の子供に恵まれたそうな。デビューが早かったので現在もまだ31歳と若いんですね。
是非書きたいと思ったのは、一曲目のZYUN(ジュン)の「かげおくり」と、三曲目のソニンの「ほんとはね。」である。長くなるので別紙にする。
最後に、選曲について一言。
最近、選曲の重要さを再認識し、踊り子さんに尋ねるようにしている。ところが、選曲を教えてくれない人がいる。彼女は特許権などを気にしているのだろう。その気持ちが分からないではない。ただ、そうなると彼女の想いに踏み込んでいけなくなり、残念ながらレポートできなくなる。
一歩譲って、教えてくれるがレポートに書いてはダメという人がいる。このレポートは公にするものではないから問題ないと思うのだが、ダメと言われると書けない。時に、歌のことを書けずにスカスカのレポートになることもある。
せっかく調べて、感動を共感できたのにレポートできないのは淋しいことである。
平成29年9月 大阪晃生ショー劇場にて