今回は、H28年8月結の多岐川美帆さんの8周年について語りたい。

 

 

例年ならお盆を過ぎてそろそろ秋の気配を感じ始める頃だが、今年の夏は梅雨明けが7月末だったために夏が期ずれして未だに暑い夏が続いている。それでも台風の到来とともに暑さも少しは和らいできている実感はある。

H28年8月結の渋谷道劇の香盤は次の通り。①北川れん(道劇)、②花咲はな(道劇)、③井吹天音(フリー)、④新條希(道劇)、⑤きよ葉(TS)、⑥多岐川美帆(道劇)〔敬称略〕。

 

今週は多岐川美帆さん(以下、愛称のタッキーと呼ばせてもらう)の8周年。私はお祝いの手紙を用意して、8月27日(土)の周年イベントに参加した。「今日は私のためだけに来て下さってありがとうございます」⇒もちろん、タッキーのお祝いに駆けつけたんだよ。私は新人好きではあるが、決して新人の新條希さんや花咲はなさんの応援のためだけに来たわけではない。(笑)

その証拠に、こうして周年レポートをプレゼントさせて頂く。

 

さっそく、8周年作を紹介しよう。一年ぶりの新作は26作目になる。この一年は歌でも活躍して忙しかったからね。

今回はベリーダンスできたかー!ゴールドの衣装が華やかに輝く。ついに本格的なダンスものか・・このままシリアス路線を貫け! と思って観ていたら、・・・

次なる衣装は、カラフルなドレスで登場。なんと・・浜田ばみゅばみゅ(ダウンタウンの浜田雅功(52)がきゃりーぱみゅぱみゅ(22)の妹に扮する)のデビュー曲♪「なんでやねんねん」(2015年) やはり、いつものようにコミカル路線に展開していく。(笑)

ラストのベッドショーは、暗がりの中、舞台の上に、裸体のまま体育座りの後ろ姿で浮かび上がる。幻想的な雰囲気で始まる。最後はヌードで勝負!という気迫を感ずる。最後の2曲が聴かせる。鬼塚ちひろの「蛍」(2008年)とチューブの「君となら」(2003年)。いい選曲だ!

 

  二回目のステージが終わると周年イベントが始まった。

アットホームな心温まる周年イベントだった。顔見知りのタッキーファン達がてきばきと準備に動く。仲良しのみっちょんが乾杯の挨拶。司会慣れしていない新しい従業員の不慣れなとちりがこれまた良かったね~(笑)

タッキーは花粉に弱いため花束のプレゼントがなく、その分、お米の袋がたくさん並ぶ。大食漢のタッキーらしいプレゼントににやり(^0^)。ファンがタッキーのことをよく理解している表れ。

一緒に出演されている踊り子さんの贈る言葉が味わい深かった。来月休業を表明しているTSのきよ葉さんと同期と思っていたら、タッキーが1年お姐さんなんだね。井吹天音さんが同期なのに驚き。そういえば昨年の周年週も井吹さんと一緒だったね。二人で当面2年後の10年目指して、いや四年後のオリンピックまで劇場がある限り、いやいや劇場が無くなっては大変なので20年、30年を目指して頑張ろう!って話していたね。ストリップに対する踊り子の熱いものが伝わってきたよ。

タッキーの実の母親と事務所の社長が来賓されていて、最後に一緒に舞台に上がって記念撮影していた。

 

タッキーが周年挨拶で、8年間も頑張ってこられたのは全てファンを始めとした周りのみんなのお陰だと語っていた。

私は、今朝、イベントの幹事をやった栗島さんと話したのを思い出していた。

私は今朝早く劇場に並んだ。10時前に来たら私が一番乗り。すぐ後に、タッキー一番客の栗島さんが3番目にやってきて、当日の8周年イベントについて話した。当日、タッキーの母親がやってくることを聞き、両親公認なのに驚いている私に対して栗島さんがタッキーの身の上話をしてくれた。少しは知っていたが改めて知ることも多かった。

タッキーが名古屋銀映で初めてストリップを観て「私の仕事はこれだ!」と決心した話は有名。そのとき名古屋銀映は踊り子を募集していなかったので渋谷道劇を紹介してもらい、こうしてストリップの道に入ってきた。日舞を習っていたほどでダンス経験もあり、また類い希な美貌でこうして一躍トップスターになった。日舞を習っていたことを聞いてタッキーの実家はお金持ちなんだなと思っていたが、実際にかなりの資産家であることを窺った。だから、タッキーはお金に全く執着せず、ストリップで稼いだお金は衣装代等のストリップ費用につぎ込み、また大食漢なために食事代にも相当かかり(笑)、殆ど貯金を残していないらしい。

栗島さんが話してくれた、タッキーのお客に対するスタンスに感銘した。タッキーは自分のファンに対して、チップや多くのポラ代を求めず、その分のお金を自分に会いに来る費用(入場料や交通費)に使ってほしいとよく言っているらしい。彼女は「自分に対する愛情の深さはどれだけ劇場に会いに来てくれるかに尽きる」と確信している。素晴らしい考え方だ。お金になびいてしまう踊り子も多い中、彼女のしっかりした考え方に強く共感する。お金になびくと変な客が寄りつくからね。お気に入りの踊り子さんにはお金ではなく心で動いてほしいと念ずる。そうでなければ、心あるファンは長く応援を続けられないし、結果的に踊り子さんもこの仕事を長く続けられないのだと思う。

タッキーは、踊り子とファンの本来のあり方をよく知っていて、ファンを大切にしてきたんだなぁと改めて思い知った。私もデビューからタッキーを好きで応援しているのは、無意識のうちにもそういう気持ちが感じられるからなんだろう。

これからも応援していくからね。追っかけするほど熱心に応援していなくて申し訳ないけどね(笑) 

 

 

平成28年8月                            渋谷道劇にて

 

 

 

 

 

『肩叩きする警官』     ~多岐川美帆さんに捧げる~

                     *.多岐川美帆さん(道劇所属、愛称タッキー)の18作目(コミカル第三弾)にて、美帆さんが警官に扮してピコピコハンマーにて客の肩叩きをする

 

 

 

 一人の厳(いか)つい顔をした警官がふらりと劇場に入ってきた。

 警官は、持っている警棒を振上げ、舞台の上の踊り子に向かって叫んだ。

「もしもし、あなたは何をしているんですか? 

こんなところで裸になってはいけませんよ!」

 

 踊り子は言った。

「ここはストリップ劇場ですよ。裸になって何が悪いんですか! 

そんなことより、あなたは他にすることがあるでしょ!」

 と言って、客席の方にちらりと目を移した。そこには、しこしことオナニーをしている客がいた。

 

 警官は警棒を使って、その客の肩を叩いた。

「もしもし、あなたは何をしているのですか? 

ここはオナニーをするところではありません! 

ストリップにはマナーとエチケットがありますから、ちゃんと守って下さいね。」

 その客はオナニーを止めて、すごすごと帰っていった。

 

 警官は客席の後方に、キラリと怪しく光るものを察した。捜査の感が働く。

 警官は近づいて、警棒を使って肩を叩いた。

「もしもし、あなたは何をしているのですか? 

いま隠したものを出しなさい!」

 彼はおそるおそるペンを取り出した。そのペンには精巧なカメラが内臓されていた。

「盗撮は罰金です! 

ストリップにはルールがあります。それをしっかり守って下さい。」

と言って、警官は彼を劇場スタッフに引き渡した。

 

 

 ふと、ロビーに、夢中で手紙を書いている客がいるのに気付いた。

 警官は警棒を使って、その客の肩を叩いた。

「もしもし、あなたは何を書いているのですか?」

 彼は瞳を輝かせながら「大好きな踊り子のタッキーにラブレターを書いているんです。ストリップは踊り子に恋をする場なんです。」と答えた。

 

 次に、警官は、舞台の横で夢中でタンバリンを叩いている人や、リボンを投げている人がいるのに気付いた。

 警官は警棒を使って、彼らの肩を叩いた。

「もしもし、あなた方はそこで何をやっているんですか?」

 彼らは口をそろえて「大好きなタッキーの応援をしています。みんなでタッキーのステージを盛り上げているんです。」と答えた。

 彼らは音楽に合わせタンバリンを鳴らし、リボンさんは桜吹雪を鮮やかに降らせた。

 

 警官は、改めて舞台の上で華やかに舞う踊り子を眺め、目が釘付けになった。そして、踊り子の美しさ、ステージの素晴らしさに心から感動した。

 警官の厳つい顔は次第に柔和な笑顔に変わっていた。

「この世にこれだけ素晴らしい場はない。ここはまさに竜宮城だ。」と溜め息を漏らした。

 

「われわれ警官は間違っていた。ここには警察が介入して刑罰に処するものなどなにもない。それどころか、ここには美と愛とエロスのオアシスがある。

大至急、ストリップを取り締まることを止めなければならない。警察権力で大切な庶民の楽しみを奪うようなことをしては断じていけない。」と警官は何度も何度も繰り返すのだった。

 

                                    おしまい