平成23年‘新生’池袋ミカド劇場について話します。
先日、平成23年3月頭の池袋ミカド劇場に行った。ミカドがTS系になって初めての観劇となる。
従前の池袋ミカド劇場は閉館し、一時ロック系になるという噂も流れたが、最終的にTS系の傘下に入った。平成23年1月結から、TSの従業員しげちゃんが社長になって再開した。ミカドの従業員はほぼそのまま残っている。ただ、所属の踊り子は他の劇場に移籍した。森優希奈さんはTSへ、HIKARUさんと水野リカさん(Rikaと改名)はワラビへ、浅見みくさんと愛野すみれさん(愛野いづみと改名)は道頓堀劇場へ。かすみ玲さんの去就は今のところ不明。
それにしても、昨年からここ一年程の間に、ずいぶん多くの劇場が閉館・休館してしまった。調べて書きながら驚いた。郡山ミュージック劇場(H21年11月1日閉館)、札幌道頓堀劇場(H22年1月11日休館)、船橋ニュー大宝(H22年1月15日閉館)、山代劇場(H22年3月31日閉館)、ロック座マカオ(H22年10月11日休館)、名古屋銀映(H22年10月31日閉館)、福山第一劇場(H23年2月21日閉館)、そしてこの三月に芦原もなくなる。芦原は温泉街なので冬場だけ営業するかも、とのTS社長の弁も聞こえてきたが。
私は名古屋銀映に一度も行かずに終わってしまった。名古屋銀映は大阪東洋、京都DX東寺に並ぶ西日本有数の立派な劇場という。もう建物が撤去されたらしく、二度と見ることはかなわない。私がお気に入りで応援している多岐川美帆さんは名古屋出身で、その名古屋銀映を見学して踊り子の道に入ってきたと本人から伺った。経営不振もあるだろうが、経営者がやる気をなくして閉めたと聞くとホント情けなくなる。名古屋ほどの大都市にストリップ劇場がひとつもないというのはあまりに淋しい。名古屋銀映がなくなった影響で、中部地区では岐阜の劇場まさご座がけっこう客が入っているという情報も聞く。
郡山ミュージックは仙台から足を運んだことがある。ストリップ・ファンにとっては、東京から仙台ロックに遠征するついでに郡山に立ち寄る方も多かった。東北地方に二つしかなかった劇場のひとつがなくなったのだから、これまた淋しい。ここは林企画所属の踊り子さんの本拠地だったので、彼女たちも大変だろう。
福山第一劇場にも一度だけ行ったことがある。体育館のように広い劇場なのに、休日でも遠征客が二三人、地元の客が数名という淋しい客入りだった。踊り子さんも二三人しか出演しないが、経営的には厳しいだろう。赤字だが、経営者が趣味でやっていると聞いていた。
劇場が閉館するのは、他の風俗の影響もありストリップ人口がどんどん減っているのが原因である。その煽りは地方都市で激しく、ひとつの劇場を維持するストリップ人口に達していない。
劇場は減る一方で増えることはない。だからストリップ・ファンとして、劇場の閉館はまるで髪の毛がどんどん抜けていくような、たまらなく悲しい寂寞感を覚える。特に地方劇場の衰亡はひどい。大阪でさえ、まともな劇場は大阪東洋と晃生の二つになってしまった。札幌も道頓堀劇場の再開は難しそうだ。博多や神戸、そして名古屋ほどの大都市にストリップ劇場がないというのは有り得ないこと。ストリップファンとして本当に嘆かわしい現状だ。
一方、首都圏はストリップ人口が多いため、たくさんの劇場が維持できる。まさにストリップ業界は東京一極集中が進んでいる。
とは言いながら、大都市である池袋に劇場がなくなれば、もうストリップは衰退の一途を辿るだろうとファンは心配していた。踊り子さんが働ける場所がなくなる。そうなれば、新しい人も入ってこなくなり衰退するのは明らか。だから、TSがミカドに乗り込んでくれて、ストリップ・ファンは皆拍手を送っている。
TSとしても、ミカド劇場が増えれば、それだけ所属の踊り子を増やすことが可能。ただ、ミカドに客をとられ、上野の客入りが少なくなっているという話も聞こえる。でも、それは一時的なことだと思う。いい踊り子をたくさん持てば、必ず客のキャパは増えるはず。ただ、TS系の芦原、山代、また船橋大宝の閉館を見るに、地方の運営は難しいのだろうと推測される。ロックに負けないよう、是非TSには頑張ってほしい。ロックに対抗できる劇場があってこそストリップ業界全体が発展するのだから。
前置きが長くなってしまったが、私としてはこれだけの想いを抱えつつ今回池袋に足を運んだ次第である。
さて、ミカドの観劇レポートをしよう。
元のミカド従業員さんがそのまま残っているので、ステージ進行や雰囲気は全く変わっていない。私のお気に入りの長いパチンコ・フィナーレがそのままだったのが嬉しかった。
システムが少し変わった点のみ述べる。従前のメンバーはトップに天板があり、それを除いた踊り子さんは計五名だったが、天板がなくなり踊り子さんが一名増え実質六名体制となった。上野が五名、TSが七名に対して、ミカドは六名ということで他の劇場並みの人数。
早朝の入場料は従前より500円アップの3500円。上野が3000円、TSが3600円。踊り子の人数当りの単価ではTSが一番お得ということか。
入場時間は10時半。開演は11時半と早くなった。踊り子六名のときのTSと同じ。
フィナーレで合同ポラが入ったこと、そして月・金にパンプレを行うところは、新たにTSシステムを導入している。
ポラは、従来のポラとデジカメの併用となり、好きな方を選択できる。サインはどちらにでもしてくれる。ちょうどTSでも3月頭からポラとデジカメの併用を導入したが、ただTSの場合はデジカメにはサインしてくれない。一回遅れでデジカメ写真を渡せばサインをしてくれるようだが。
当日の公演は休日で、かつメンバーが良かったせいか、朝から客が並び、場内は身動きできないほど立ち見客が溢れた。ミカドでこれだけの客入りは初めてだと常連さんが言っていたほど。
私は九時前に劇場に到着したが、五番目。お蔭で盆前最前列に座れたので、ステージを心置きなく堪能できた。ラッキー☆
TS系になって香盤が良くなっているのが客入りの一番の要因だろう。その週の香盤を記しておく。
1. 利奈さん(TS)
2. AZAMIさん(TS)
3. 山口桃華さん(TS)
4. 浅葱アゲハさん(フリー)
5. 水咲カレンさん(TS)
6. 華原希さん(TS)
AZUMIさんは先週TSの穴埋めでお会いしたばかりの新人さん。三日ほど会っていたので私のことを覚えていて、私を見つけた瞬間に笑顔になってくれた。「太郎さんが見えて笑顔になりましたよ」ミカドにも応援に行くと伝えてあったせいか、TSで渡した私の手紙に対して返事を準備してくれていたのには感激した。
華原希さんもちょうど一か月前のTSに出演し、その週は何度も通ったので、私のことをよく覚えていた。「やっと太郎さんに会えたー。テンションめちゃ上がりましたよ♪ 1カ月ぶりですね。」 私がミカドに現れるのを心待ちしてくれていたようだ。新人さんにこうやって歓迎されるのが何よりも嬉しい。
残りのベテランの姐さんも全員、私が応援している踊り子さんばかり。お蔭で、めっちゃ楽しかった。当日は三回目のフィナーレまで拝見して帰宅したが、楽しすぎて一日があっという間だった。
当日出演者全員の名前を香盤順に使って、即興でこんな話を考えて踊り子さんに渡した。
花の名前あてゲームをしてみよう!
「これは何?」「知らない」「百合の花だよ」「あっそう、ユリなんだ!」
「これは何?」「アザミだ!」
「これは何の花かな?」「モモか!?」
「それじゃ、この葉は?」「この葉、あの葉、あげ葉・・・」
「そんないいカレン(かげん)な!(怒)」
「やっぱり、全ての花をあてるのは、希(のぞみ)薄だよ」
平成23年3月 池袋ミカドにて