中条彩乃さん(ロック所属)の、大阪東洋ショー劇場の令和元(2019)年8月結におけるステージ模様を、新作「お嬢の事情」を題材に、「踊り子になっても普通のお嬢様だよー」という題名で語りたい。

 

 

2019年8月結の東洋ショーに顔を出す。

今週の香盤は次の通り。①坂上友香(東洋)、②中条彩乃(ロック)、③ゆきな(ロック)、④伊東紅蘭(東洋)、⑤水元ゆうな(東洋) 〔敬称略〕。

 

今週は、公演の目玉そのものが、中条彩乃さんとゆきなさんのチームショー「おんざろっく。」。東洋の人気者二人の初出しチームショーとあって連日の大入りで、チームショーはかなり盛り上がっている。「東洋でチームは、運動量がすごくて疲れるけど最高の疲労感です。」

中条彩乃さんは、今週は三個出しの予定。前半は、1,4回目にチームショー、2,3回目に「愛と憎」。後半は、「愛と憎」に代えて新作を披露する予定だった。しかし、実際には前倒しで新作が8/25(日)に初披露された。「本当は新作、明日からの予定だったんだけど、せっかく日曜日だし、太郎さんも来てくれてることだしってことで今日から。まだまだ表現不足なところが多いけど、育てていけるように頑張るね。」

私としては嬉しくなって、いつも通りすぐに選曲を確認する。タイトル名は「お嬢の事情」と聞くも、その『お嬢』とは誰?『事情』とは何?さっぱり分からない。一度拝見しただけでは何を演じているのか全く分からなかった。翌日、彩乃さんにテーマを確認する。すると次の解説文を頂く。そのまま記載させてもらうね。

「今回の演目は、表現力がかなり必要で、私の思う『お嬢』をまだまだ演じ切れてなくて申し訳ないです。友達に、趣味で小説を書いている子がいて、その子のお話をモチーフにさせてもらっています。その子が観に来てくれるのがすごく楽しみ!!」

「自分の意志とは別に、家系でお嬢に産まれた女の子。本当は身軽な服で走り回りたいけど、ちゃんとしなきゃいけない。でも、靴脱いで服も脱いで、頭飾りも取って、運命に決まった相手との恋愛なんて辞めちゃおう、そんな内容です。

その子の小説は、中国が舞台だったので、チャイナっぽい曲を探しました(笑)。

好きな人とは結ばれないけど、恋心を大切にして、お嬢として生きてくストーリーです!」

 

さっそく、私なりに内容をおさらいする。

本作「お嬢の事情」で10作目になる。「2曲目は仙葉由季先生振付」とのこと。

チャイナドレス風の衣装で登場。

頭には、真珠を散りばめたヘアバンドを付ける。茶色のボブヘアに似合う。

華やかな振袖のピンクの羽織り。花柄の刺繍入りだ。両肩の下に二つの紫の花がワンポイント。花の中央は銀色になっていて、銀の蔓が二本ずつ垂れている。

音楽にのって、白い毛の扇子を持って、銀のハイヒールを履いて、舞い踊る。

一曲目は、相対性理論の「ペペロンチーノ・キャンディ」。作詞:真部脩一/ティカ・α 作曲:真部脩一/やくしまるえつこ(ティカ・αはやくしまるえつこの別名義。だから作詞作曲とも真部脩一とやくしまるえつこによる共作)。アルバム『シンクロニシティーン』の6曲目に収録。

2000年代後半、一部の世間をざわつかせた(?)不思議系おしゃれバンド『相対性理論』。実験的な言葉選びとアレンジが非常に個性的。最初のミニアルバム『シフォン主義』の発表からもう10年が経とうとしている。結成当初はメディアへの露出がほとんどなく、謎に包まれていた。2ndアルバム「ハイファイ新書」で注目を浴びるまでは、ほとんど姿を見ることができませんでした。ようやくメンバーの写真が公開されるようになったのは、2009年後半になってから。中でも一番注目されたのが、ボーカルのやくしまるえつこ。相対性理論が注目される前から、歌声が超絶可愛いと評判だった彼女。解禁されたビジュアルも歌声に負けないぐらい可愛いと話題になりました。

音楽が変わり、髪飾りを取り、靴を脱ぎ、そして羽織りを脱ぐ。

羽織りの下には、紫の振袖のチャイナ風衣装。金の首輪が見える。襟が立っていて、胸元は花の刺繍、そして帯を締める。足元まで流れるドレス。

音楽に合わせて、裸足で踊る。

二曲目も、同じく相対性理論の『チャイナアドバイス』。作詞:真部脩一 作曲:真部脩一。同じくアルバム『シンクロニシティーン』収録。この曲は、アニメ「らんま1/2」で私もお馴染み。

音楽が変わり、袖で着替える。衣装を脱ぎ、最初のピンクの羽織りを身に着け、そのまま盆に移動。

三曲目はがらりと曲調が変わり、aikoの「KissHug」(キスハグ)。これはいい曲だ。2008年7月23日にポニーキャニオンよりリリースしたaiko24作目のシングル。2008年の紅白歌合戦でこの曲を披露した。 恋の終わりをイメージし制作された曲である。井上真央主演の「花より男子F(ファイナル)」の挿入歌であり、映画の挿入歌となるのは今作が初となった。

ベッドショーへ。白い紐パンを脱いで右手首に巻く。

近くに来たのでアクセサリーを目で追う。ネックレスが二つで豪華。上の細い方は純金のネックレスに♡型のプチペンダント。下の太い方は金の上に大きな銀や赤の宝石が五つも散りばめられている。手のマニキュアも緑と銀の組み合わせでキラキラしている。

ベッド曲は、平井堅の「トドカナイカラ」。2018年5月30日にアリオラジャパンから発売された平井堅の43枚目のシングル。前作「ノンフィクション」から約1年ぶりとなるシングル。 表題曲はソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給映画『50回目のファーストキス』主題歌として書き下ろされた。主役の二人は山田孝之と長澤まさみ。山田孝之×長澤まさみ×平井堅という組み合わせから、『世界の中心で、愛を叫ぶ(セカチュー)』を思い出す。映画版『セカチュー』の主題歌は平井堅の「瞳をとじて」だった。この曲のリリースに際し、平井堅は「愛とは継続するものだけれど、実は日々忘れて思い出しての繰り返しの中で構築され、磨かれていくものなのかもしれない」とコメントを寄せている。

 立ち上がり曲は、「高橋瞳×BEAT CRUSADERS」の「ウォーアイニー」で盛り上がる。かわいい曲だ。2009年9月9日にgr8! recordsから発売された。作詞:タカハシヒトミ(#2 高橋瞳) 作曲/編曲:BEAT CRUSADERS。テレビ東京系アニメ「銀魂」14期エンディングテーマ。

今回のチャイナ娘は「らんま1/2」のシャンプーと「銀魂」の神楽をイメージしておけばよさそうだね。笑

 

さて、この演目「お嬢の事情」の本意はどこにあるのかな。単に友達の小説をモチーフに演じただけではないだろう。あくまで自分の問題として、このテーマを演じているはず。そのことは今までのお付き合いから何となく察せられる。

「お嬢」とは自分であり、「事情」とはストリッパーになった自分の事情と考えるのが自然な流れだろう。ステージを観ながら、彩乃さんの心の扉をノックしてみる。踊り子になって二年目に入る。今回の作品も、心の中のわだかまりを演目にしているように感じられた。その‘わだかまり’って何かな? ストリップの父を自任している私としては、娘である中条彩乃の心の声に耳を傾ける。「ストリップに忠実に生きていきたい」そんな踊り子になった覚悟みたいな声が聞こえる。

 

選曲から少し考えてみよう。

まずは一曲目の『ペペロンチーノ・キャンディ』。“ペペロンチーノ”といえばパスタの一種という認識が一般的かと思うが、こちら、本来のイタリア語では”トウガラシ”を意味する言葉。なので、曲名の『ペペロンチーノ・キャンディ』とは、”トウガラシ味のキャンディ”ということになる。そんな曲名を持つ『ペペロンチーノ・キャンディ』ですが、歌の方は「お嬢さん」をキーワードにナンセンスな言葉遊びをするという内容になっている。

 “ペペロンチーノ”も”キャンディ”も食べ物であり、”ペペロンチーノ(トウガラシ)”=”辛いモノ”と考えることができる一方、”キャンディー”=”甘いモノ”と考えることができる。『ペペロンチーノ・キャンディ』とは、”辛いモノ”と”甘いモノ”の対比関係を持つ言葉の並びだと言えそう。

 踊り子というのも、”辛いモノ”と”甘いモノ”がミックスしているよね。

 普通のお嬢さんだった娘が、ある日突然、中条彩乃という踊り子としてデビューした。しかし、本質は「普通のお嬢さん」であることに変わりない。歌詞の中に、次のフレームがある。

♪あの子はきっと本物のお嬢さん

ぐれてもきっと本物のお嬢さん

あの子はきっと家ではきっと

本物のきっとお嬢さん

あの子はきっとぐれてもきっと

心はきっとお嬢さん

「私はストリッパーになったけど、心はふつうのお嬢さんのまま。本質はなにも変わっていないわ。」という心の叫びが聞こえそう。

二曲目の『チャイナアドバイス』の歌詞の中にも、

♪もうわたしの虜になっちゃいなよ

♪いい加減に 大人になっちゃいなよ

♪さあ浮世を手玉に取っちゃいな

と、踊り子になろうとする娘をけしかけるフレームが並ぶ。

三曲目の「KissHug」(キスハグ)では、次の歌詞がある。

♪あなたに出逢ったその日から

変わってしまったのもあるけど

変わらない事の方が

あなたもあたしも多いよ

ここで曲調が優しくなる。踊り子にはなったけど、やはり私は「普通のお嬢さん」であることには変わらない。そのことを信じて!

四曲目の「トドカナイカラ」。この題名の通り、その想いはなかなか届かない。でも、この歌は「♪大好きさ 笑ってほしい」で締めくくる。

ラスト曲「ウォーアイニー」は、二曲目の『チャイナアドバイス』のフレーズ‘我愛尓’に呼応するとともに、この意味である「愛してる」を強調している。私の気持ちが届かなくても、私を「普通のお嬢さん」として愛してほしいという切なる願いが伝わってくる。

 

それをそのままポエムにしてみたよ。実は、レポートより先にこのポエムが出来上がったんだ。

 

 

2019年8月                          大阪東洋ショー劇場にて

 

 

 

 

 

 

 

ストリップポエム『踊り子になった私の覚悟』 

 ~中条彩乃さん(ロック)に捧げる~

 

 

 音と光があふれるステージ

 踊る汗と躍動感 そして爽快感

 たくさんのファンの笑顔と拍手

 今ここが私の生きる場所

 

 そう 私はここで生きるって決めたの

私はファンの声援に応えたい

 誰にも邪魔させない

 お父さん お母さん 私を信じて

 将来の旦那さんにも恥ずかしくない

 踊り子になって結婚できないなんて言うなら結婚しなくてもいい

 ひとりのお嫁さんになるより たくさんの観客のお嫁さんでいたい

 世間体とか貞操なんて関係ない

 だって私は何一つ悪いことはしていない

 私は精一杯いまを生きてるだけ

 

 ストリップはエロス

 エロスは悪いことなの?

 男と女がいればそこにエロスはある

 決してエロスは悪いことではない

 むしろ楽しくて素晴らしいもの

 このステージの上で 踊り子も観客も一体になってエロスを楽しむの

 

 エロスは隠すからいけないの

 裸でいることが悪いはずがない

 だって みんな裸で生まれてきたのよ

 エロスを認めない世間の方がおかしい

 私は何も隠さないから 私のすべてを見て! 私のすべてを受け入れて!

 きれいでしょ!?  私のすべてを感じて!

 ストリップでエロスを解放したい

 

 女の子はきれいでいられる

 かわいいドレスが着れて かわいいスカートがはける

 お化粧ができる

 整形だってかまわない

 TATOOを入れても平気

 私はとことんきれいでいたい

 だって 女の子はきれいになれる特権があるのよ

 もちろん男の子はきれいな女の子が好きだもんね♪

 

 男と女がいるから この世は楽園 ここはEDEN

 みんながアダムとイブになれる みんなが主人公

 ストリップで感じ合いたい

 エロスを全身で感じたい

 

 さあ 踊るわよ!

 ステージに上がれば 私は羽ばたける

 音と光のシャワーを浴びて ビーナスの輝きを放つ

 

 私はここで生きていくの

 心の声に素直に従って生きていく

 そう決めたの

 

                                    おしまい