鈴木ミントさん(ロック所属)について、2019年6月中のDX歌舞伎での公演模様を、演目「夜雨(よさめ)」を題材に、「雨に抱かれて」という題名で語りたい。なお、本レポートは、鈴木ミントさんの「ストリップの妖精に恋をする」シリーズ(その16)になる。
2019年6月中のDX歌舞伎に、七日目、今週二回目に顔を出す。
その日のミントさんの出しものは、一回目は演目「華」、二回目は新作「夜雨」、三回目は「深紅」だった。
その日に演目「華」の観劇レポートを渡したばかりだが、既にもうひとつ新作があった。前週の5月結のSNAで初披露されていた。新作を連続で拝見できて感激しきり。
さっそく新作「夜雨」を紹介します。
「梅雨のイメージで作りました」。梅雨の季節に合わせた、雨の演目である。「夜雨」とは字のごとく夜降る雨のこと。タイトルがずいぶん意味深だ。しかも、ステージでは大人の雰囲気がぷんぷん漂う。ポラ時にミントさんが「失恋した女性が雨に濡れ、立ち直っていくストーリー」と話してくれた。
私が一度観て気づいたのが、全四曲すべて男性曲であること。DEEN、玉置浩二、B’z、小田和正と最高のミュージシャンが並ぶ。我々の世代なら知らないはずがない。失恋した相手の男性はこうした魅力的な男性で、もしかしたら不倫じゃないのかなと思っちゃう。
前置きはさておき、さっそくステージ内容に入ります。
最初に、黒いワンピースドレス姿でビニール傘をさして登場。
髪は黒く、腰まで長く垂れ、髪先はカールしている。白化粧に赤い口紅がくっきり。妖しい美女というほどに大人の女性を強く感じさせられる。
右肩を露出し、左肩から斜めに流れるような黒いドレス。左袖は長くふわりと裾広がり。左手に薄い生地の黒い手袋。右手には黒いロングの手袋。ドレスは足元まで裾広がりで流れる。全て黒ずくめだが、首輪は銀色。
一曲目は、懐かしいDEENの「このまま君だけを奪い去りたい」。恋の終焉を感じる。
音楽が変わり、着替える。
今度は一転、白ずくめ。銀の首輪。白いワンピースドレスで薄い生地だが、キラキラした花の刺繍入りで気品がある。足元までドレスが流れ、裸足。
髪型と、右手の黒いロング手袋、左手の手袋はそのまま。
二曲目は、玉置浩二の「サーチライト」。心にしみ入る優しい歌だなぁ。
ここで、一旦暗転。
音楽が変わり、また衣装が黒の基調になる。
胸から下に流れる黒いドレス。上半身はきらきらした黒、下半身の薄地のスカートは黒いパンティをくるりと包むように腰から足元まで裾広がり。足元は裸足。
髪型、首輪、両手の手袋は同じ。
三曲目は、B’zの「もう一度キスしたかった」。ドラマチックな曲だ。
そのままベッドショーへ。黒いパンティを左手首に巻く。
立上り曲は、小田和正の「キラキラ」。(ラスト曲はてっきり徳永英明の「レニーブルー」で来るかと思ったよ笑。でも立ち直っていくには「キラキラ」の方がいいか。「キラキラ」は揺れる恋心と恋をして輝くことの素晴らしさを歌っているもんね。この歌を聴いていると何歳になっても恋をしていたい気分にさせられる。)
最後は、雨の音が聞こえ、傘をさして幕が締まる。ひとつのドラマを観ているようだ。
黒から白へ、そして黒へという色の変化が、女性の心の変化と重なっているのかな。
それにしても、先ほども話したが、全四曲が最高の大人のミュージシャンである。たしかにそれぞれ「雨」をイメージした場面が出てくる。まるで、この男性曲に濡れ包み込まれたい。いや、これら男性曲に抱かれたい! そんな気持ちがストレートに伝わってくる。ミントさんもそんなお年頃なんだよね。
2019年6月 DX歌舞伎にて
【参考】
●「このまま君だけを奪い去りたい」は、DEENのデビューシングル。1993年リリース。
作詞:上杉昇(WANDSのボーカル) 作曲:織田哲郎
●「サーチライト」は、玉置浩二の25枚目のシングル。2013年11月27日発売。
作詞:玉置浩二・須藤晃、作曲:玉置浩二
「サーチライト」は、自身出演ドラマ『東京バンドワゴン』のエンディング曲である。
●B’zの「もう一度キスしたかった」。作詞:稲葉浩志、作曲:松本孝弘。
私はこの曲だけ聞き覚えがなかった。この曲はシングルカットされていない。
曲の初出は、1991年11月27日にリリースされたB'zの5thアルバム『IN THE LIFE』であり、ベストアルバム『B'z The Best "Treasure"』(ファン投票で4位)、『B'z The Best "ULTRA Treasure"』(ファン投票で13位)、バラードベストアルバム『The Ballads 〜Love & B'z〜』に収録されている。 B'zの人気曲のひとつではあるが、シングルカットはされていない。
<歌詞の解説> とある男女の夏の出会いから冬の別れまでが描かれている。
稲葉が、作曲した松本に「単純なメロディーの繰り返しなので、歌詞に展開がないと間延びするかもしれない」と言われ、このストーリー性のある歌詞に仕上げた。 松本は「『もう一度キスしたかった』というフレーズが3回出てくるけど、「何でもう一度キスしたかったか」が違うんだよね。こういう稲葉の作詞のテクニックはすごいね」と絶賛した。
●「キラキラ」は、2002年2月27日に発売された小田和正通算21作目のシングル。
フジテレビ系テレビドラマ『恋ノチカラ』の主題歌。
~鈴木ミントさん(ロック所属)の新作「夜雨」を記念して~
ここは飛行場のあるパリの郊外。
ちょっと前まで少しばかりの霧雨が降っていたが雨はもう止んでいる。
夜のとばりがおりる頃、外灯の明かりが灯る。外灯の下にはたくさんの花が咲き、その花の蔓が外灯に巻き付いている。
黒い皮ジャンを着た男が外灯の下に佇む。黒い帽子を小粋にかぶり、黒いズボンに黒いブーツと黒ずくめの格好。外灯の明かりが無いと、黒い闇の中に紛れてしまいそうだ。
胸に赤いスカーフをしている。少し夜露で寒いのかもしれないが、きっとオシャレな男なんだろう。
手には赤い薔薇を一輪もっていた。今しがた別れた女性を思い起こすようにじっと見つめる。
そして、外灯に手紙を挟んだ。彼女が来れば必ず目にとまるように。
彼は飛行機に向かって歩き出した。
しばらくして、赤いドレスを着た女性が外灯の下に現れる。
彼女は彼が残した手紙に気付いた。
彼が乗った飛行機は既に発っていた。彼女は、彼からの手紙を手に取り、しばらく考え込んでいたが、おもむろに破いて捨て去った。
「さようなら。楽しい思い出をありがとう。」と書いているのか、「必ず迎えに来るから待っていてほしい」と書かれているのか、そんなことは、彼女にはどうでもよかった。男の言い訳なんて聞きたくない。
この一年、彼との思い出が走馬灯のように駆け巡った。
外灯の下の花々が気の毒そうに彼女を見つめていた。
大丈夫よ。家庭のある男性を好きになってしまっただけのこと。仕事が終われば彼は家族がいる国に帰って行く。そんなことは最初から分かっていた。
「けんか別れしちゃったなぁ・・・気持ちよく別れてあげればよかった・・・」
もう恋は卒業・・・
夜のとばりの中を、一陣の風が優しく彼女の長い髪をなでた。
彼女の頬が濡れていたのは、夜露のせいか涙の跡なのかは分からない。
おしまい