今回は、鈴木ミントさん(ロック所属)について、2019年6月中のDX歌舞伎での公演模様を、演目「華」を題材に、「ミントという花」という題名で語りたい。なお、本レポートは鈴木ミントさんの「ストリップの妖精に恋をする」シリーズ(その15)になる。
2019年6月中のDX歌舞伎に顔を出す。
今週の香盤は次の通り。①アキラ(道劇)、②牧瀬茜(フリー)、③坂上友香(東洋)、④広瀬あいみ(ロック)、⑤沢村れいか(ロック)、⑥清水愛(ロック)、⑦香坂ゆかり(ロック)、⑧鈴木ミント(ロック)〔敬称略〕。特別興行にふさわしい豪華なメンバーである。
DX歌舞伎が6月末に閉館するため特別興行が続いており、今週は閉館の前週になる。
今週のミントさんの出しものは、一回目は演目「深紅」、二回目は演目「華」、三回目は「紅葉狩り」だった。ALL和もの。ミントさんの和もの好きがよく分かるね!
演目「華」は先月5月頭のライブシアター栗橋で初披露(5月5日)されており、私も一度だけ拝見済み。ところが、今回のデラカブは栗橋時とは全く違って、豪華絢爛な舞台になっているのに驚いた。まるで別の作品を見ている感じ。栗橋では大きな花びらのスクリーン(幕)が間に合わなかったようだ。「これが本来の『華』の姿です」とのミントさんのコメント。観劇レポートしたくて果然張り切る私。
さっそく作品「華」のステージ内容を紹介します。
まずは舞台いっぱいに、たくさんの花びらを散りばめた白いスクリーンが中央の天井から左右に広げられる。この豪華絢爛さに度肝を抜かれる。
その中を、ミントさんが黄色地に銀と花柄模様の描かれた着物を着て登場。これまた豪華な衣装である。着物の裏地は白とピンクの格子縞。金の帯に、上から黄緑の布、下からピンクの布が覗く。
黒髪を後ろにひとつ結び。結び目にピンクの紐をめしべのように飾る。
右手に白い花を、左手に菊のような黄色い花を持って、音楽に合わせて舞い踊る。
一曲目は、吉岡亜衣加の曲「花びらの刻(とき)」。これはPS2ゲーム「薄桜鬼 随想録」のOP曲。吉岡亜衣加はすごく歌がうまいね。
吉岡 亜衣加(よしおか あいか、1986年12月25日 – 現在32歳)は、日本の女性シンガーソングライター。 所属事務所はロックンバナナ、所属レーベルはティームエンタテインメント。 静岡県出身、血液型はAB型。公式ファンクラブは「よしおかあいかFC」。静岡県立袋井高等学校を経て東放学園卒業。
次に、音楽が変わり、帯を解いていく。金の帯の下には、黄緑が。そして黄緑を取るとピンクの布が。どんどん着物を脱いでいく。
そして、白い襦袢姿になる。透け透けの生地ではあるが、ピンクの桜の刺繍が入っており、水色の襟、そしてピンクの帯と合わせ、高貴なイメージ。白い足袋を履いている。
二曲目が、とてもいい歌。いい声。暮部拓哉の「HANA」。作詞作曲:暮部拓哉。
2008年のNHK「みんなのうた」でかかっていたらしい。美しい言の葉とメロディー。
癒やしの歌声。この曲に出会えて本当に良かった♪ 心からそう思えた。
暮部拓哉(くれべ たくや、1979年8月9日 - 現在39歳)は、大阪府枚方市出身のシンガーソングライターである。血液型・O型。 <経歴>1998年、「六十歳の先生の唄」でヤマハTEEN'S MUSIC FESTIVAL '98全国大会出場(関西代表)。全国大会グランプリ、文部大臣奨励賞受賞。
白い花を手に持ったまま、ベッドショーへ。
近くに来たのでアクセサリーを目で追う。純金のネックレス。右手薬指に金のリング。足に赤いマニキュア。
立ち上がり曲は、SOFFetの「花」。作詞:YoYo・GooF、作曲:YoYo。
これも初めて知った音楽家だ。
SOFFet(ソッフェ)は、J-POP/ラップの分野で活躍する男性2人組である。ユニット名の意味は全くの造語で、語呂の良さで決まった。「Soffe」と表記していた時代もある。
<メンバー> ともに東京都出身。どちらも作詞作曲、歌、楽器演奏を担当する。
・GooF(1980年6月28日 - A型):作詞、エレアコベース、ウッドベース(アスタラビスタのメンバーとしても活動)
・YoYo(1980年8月19日 - 、O型):作詞、作曲、サウンドプロデュース、ピアノ、ギター
二人は小学校5年生のときに同じクラスになり、家も近かったので、家族ぐるみの付き合いをするようになる。15歳のとき、ラップと出会い、SOFFetの原型が出来る。
その幅広い音楽性でのライブはDJスタイル、アコースティック、バンドスタイル、さらには自ら楽器を弾きながらラップをするというオリジナルなスタイルを持ち、07年末にはSOFFetオフィシャルバックバンドTokyo Junkastic Bandを結成するなど、生のセッション感溢れるSOFFet独自のエンターテインメントを追及している。
いつも思うのだが、ミントさんの作品は「すばらしい歌の玉手箱」。ミントさんのお陰で、今回も素晴らしい音楽家と歌と出会うことができた。
たまたま演目のテーマが「華」だったので、花をテーマにした歌を集めている。
花はただ美しく咲いているだけ。なにも人に語ろうとはしない。しかし人が勝手に想いを花に託す。それが花言葉だったり、ポエムになったり、歌になったりする。
東日本大震災復興支援ソングである「花は咲く」もそうだったが、今回の歌たちにも花に託して素敵な想いが語られている。
素晴らしい作品を見せてくれたミントさんに心から感謝したい。
そして何よりも、ミントさん自身が美しい花そのものである。
2019年6月 DX歌舞伎にて
~鈴木ミントさん(ロック所属)の作品「華」を記念して~
ある国に冒険好きの王子がいました。王子は飛行機を自分で操縦して遠くまで冒険することができました。
ある日のこと。
王子は広い砂漠の上を飛行機で飛んでいるときに、飛行機の調子が悪くなり、砂漠の真ん中に不時着してしまいました。
見渡す限り、砂ばかり。王子は海の方角は概ね見当がつきましたが、歩いていくには何日もかかります。途方にくれましたが、とにかく海の方向に向かって歩き出すしかありませんでした。飛行機に積んでいた非常用道具をかつぎ、一人で歩き出しました。
四五日歩き続け、水や食料が底をつきました。
日が暮れかかったとき、王子は体力の限界を感じ、その場に蹲(うずくま)りました。
目の前に、一本の小さな小さなサボテンの木がありました。
「サボテンの木を切って、内の水分を頂こう」と思って、ナイフを取り出しました。
ふと、小さな小さな一輪のサボテンの花が、王子の目に止まりました。花はまるで王子に向かって微笑んでいるようでした。
「なんてキレイなんだろう。。。こんな美しい花を咲かすサボテンの木を切るわけにはいかないな。。。」と思いとどめると、王子は急に疲れを覚え、サボテンの木のそばに横たわり、そのまま眠ってしまいました。
美しい娘が、大きな瞳をキラキラさせながら、愛くるしい笑顔で王子を見つめていました。妖しい美しさをもち、どこかコケティッシュな雰囲気を漂わせます。娘は、王子を見つめたまま優しく声をかけてきました。
「私は、あなたに助けられたサボテンの花です。助けて頂いたお礼に、私があなた様が無事に帰還できるようお助けいたします。」
そう言って、娘は身に着けていた衣装を脱ぎ始めました。上下続きのドレス、肩ひもを外すと、張りのあるバストが現れました。王子はドキドキして見つめていました。そのままドレスが流れるように下に落ちました。きれいにきゅっと引き締まっているウエスト、そのため形のいいヒップラインが妖しいまでに大きく見えました。下半身の草むらはまるでオアシスのようです。この世にこれだけ美しいものはあるだろうか、王子は思いました。娘は王子の目の前に美しい裸体を晒しながら、「あなた様が助かるためのエネルギーを差し上げます」と言って、大切な秘部を王子の口元に近づけ、雫を飛ばしました。
王子は口の中に満たされた愛の雫を味わいました。温かく無味無臭の不思議な味でした。でも王子はたまらないほどの幸福な気分に満たされました。
娘は、「これから毎日エネルギー補給してあげますから、サボテンを携えて旅を続けて下さいね」と話して、そして消えました。
朝、目覚めたとき、王子は身体がほてってエネルギッシュになっているのに気づきました。王子は、小さなサボテンの木を根元からきれいに抜き取り、土のついた根本を布で包みました。そしてサボテンの木を携えて旅をつづけました。
サボテン娘は毎晩、王子の夢の中に現れ、愛の雫を捧げました。お蔭で王子は歩き続ける元気を保持することができました。一方、サボテンの木は少しずつ細くなっていきました。
サボテン娘と出会ってからちょうど十日目、王子は海辺に近い人里に辿り着きました。もう大丈夫です。
すると王子の耳元に「さようなら」というサボテン娘の声が聞こえました。王子は、急いで携えていたサボテンの木を見たら、木はすでに枯れていました。
王子はサボテンの木を抱きしめ、「ありがとう」と何度もつぶやきながら、枯れたサボテンの上に涙をこぼしました。
王子はサボテン娘のことを一生忘れることができませんでした。
おしまい