今回は、ロックの踊り子・大見はるかさんについて、H29年12月結の大阪東洋ショー公演模様を、童謡「おもちゃのチャチャチャ」に絡めて語ります。
H29年12月結の大阪東洋ショー劇場に顔を出す。
今週の香盤は次の通り。①上野綾(東洋)、②桃瀬れな(ロック)、③有沢りさ(ロック)、④大見はるか(ロック)、⑤清本玲奈(ロック) 〔敬称略〕。
今週は、大好きな踊り子の大見はるかさんと清本玲奈さんに年末の挨拶がしたくてやってきた。まぁ年末じゃなくても来てますが(笑)。
大見はるかさんの演目「ミッドナイトドール」を1,2回目ステージで初めて拝見した瞬間に、是非ともレポートさせてもらおうと思った。
というのも、最近、私はMY童話「うさぎとカメ」シリーズを書いていて、そのネタのために沢山の童謡を聴いていた。童謡「おもちゃのチャチャチャ」で始まる今回の作品に私はすぐにのめり込んだ。
最初に、演目「ミッドナイト・ドール」について紹介する。
柱時計の音が深夜24時の時刻を告げる。全てが寝静まった真夜中、童謡「おもちゃのチャチャチャ」のオルゴールが鳴り出す。おもちゃが動き出す気配。
舞台には、大きな丸い絨毯が敷かれ、その上に二匹の熊のぬいぐるみと、カラフルな熊のお家が建っている。
一人の少女が白いドレス姿で登場。よく見ると白地にピンクのストライプが入っている。頭には白とピンクの花飾りで左側頭部に薄い布等の飾りを垂らす。ドレスの形は、半袖で、肩から下に流れるようなワンピースで、胸元に大きなリボンを付け、スカート部は前上がり後ろ下がり。足元は白いシューズを履く。
the brilliant greenのボーカル・川瀬智子のソロプロジェクト、Tommy february6の曲「SUGAR ME」(リリース2013年6月12日)に乗ってノリノリで踊る。
二曲目が中川翔子の「シャーベット色の時間(とき)」(2009年1月1日リリース2ndアルバム「Magic Time」に収録)に変わる。
白いドレスを脱ぎ、その下にノースリーブのキラキラした白いワンピースが現れる。足元は白い網タイツに白いシューズ。
三曲目がFolderの「NOW AND FOREVER」(2枚目のシングル。1997年12月17日発売)に変わる。90年代に結成されたFolderは沖縄アクターズスクール出身の男女混成による小中学生7名で構成される。当時人気だったポンキッキーズに出演し、あらゆるジャンルの歌やダンスをこなすスーパー小中学生グループ。DAICHIがボーカルを担当。このくらいの年頃の子で、これだけかっこよくこなしているのは凄い。演目の「おもちゃのチャチャチャ」に合わせた選曲だね。
この曲と同時に、舞台左手に腰掛けて白いシューズを脱ぎ、次に白いドレスも脱いで、白いガータ―と白いパンティ姿になって、盆に移動。
そのままベッドショーへ。パンティを脱いで左手首に巻く。背中まで流れる長い髪。かわいいヌードにときめく。キレイに整った小さなヘアがそそる。
アクセサリーとしては、ガラスの長短二重のネックレスで先端に葡萄の房のような真珠が輝く。左手首には純金のブレスレット。
最後の立上り曲は、BoA( ボア )の「Amazing Kiss」。圧倒的な歌唱力を持つ韓国出身のBoAのミディアムバラードで締める。
最後は盆から舞台に戻り、黒い椅子に座る。童謡「おもちゃのチャチャチャ」が鳴り、時計の音とともに人形に戻り、照明が落ちる。
少女はおもちゃ箱の人形だったというストーリー。
真夜中におもちゃ箱の人形が踊り出すというのは、まさしくファンタジーの定番。今回のストーリーに近い童話もきっとあるはず・・・そう思って、ネットで調べたら、バレエ『くるみ割り人形』で有名なE.T.A.ホフマンの童話『くるみ割り人形とねずみの王様』(1816年発表)とか、アンデルセン童話『すずの兵隊』などがあるが、この演目にぴったりしたストーリーは見つからない。やはり童謡「おもちゃのチャチャチャ」の歌詞が一番近い。
この童謡「おもちゃのチャチャチャ」は西洋から来たものかなと思いつつ紐解いたら、なんと日本で作られたもの。<「おもちゃのチャチャチャ」は、野坂昭如作詞、吉岡治補作詞、越部信義作曲の日本の童謡である。2007年(平成19年)に日本の歌百選に選出されている。>とある。
まず歌詞をしっかり見てみよう。
『おもちゃのチャチャチャ』(1963年)
※おもちゃのチャチャチャ おもちゃのチャチャチャ
チャチャチャ おもちゃの チャチャチャ※
そらにきらきら おほしさま
みんなすやすや ねむるころ
おもちゃは はこをとびだして
おどるおもちゃの チャチャチャ
(※くり返し)
なまりのへいたい トテチテタ
ラッパならして こんばんは
フランスにんぎょう すてきでしょ
はなのドレスで チャチャチャ
(※くり返し)
きょうはおもちゃの おまつりだ
みんなたのしく うたいましょ
こひつじメエメエ こねこはニャー
こぶたブースカ チャチャチャ
(※くり返し)
そらにさよなら おほしさま
まどにおひさま こんにちは
おもちゃはかえる おもちゃばこ
そしてねむるよ チャチャチャ
(※2回くり返し)
今回の演目は、「みんながすやすや寝静まる真夜中に」まさに二番の歌詞の「フランス人形が花のドレスでチャチャチャ」に当てはまる。
この詩をもう少し踏み込んで考察してみよう。
この詩は結構ハイカラである。フレーズひとつ取っても「鉛の兵隊 トテチテタ」「子豚ブースカ」なんかナウい。ちなみにトテチテタというのは昔軍隊がラッパを使って時を知らせたり号令をかけていたころの口の動き。軍隊で使っていたラッパには押すところが無く、口の動き(タチツテト)で音を変化させていた。したがって「トテチテタ」と言うのはその号令のラッパの音のこと。
また、曲名にもなっているメインフレーズ「おもちゃのチャチャチャ」は「おもちゃ」と「チャチャチャ」の掛詞になっているわけだが、旋律として見ると、元々チャチャチャ( cha cha cha )はキューバ起源のリズムやダンスの一種で、マンボから発展したもの。ノリの良さもしっかりしている。
なんと言っても一番驚いたのが、この歌の作詞者が、あの野坂昭如氏ということ。野坂昭如(のさか あきゆき、1930年(昭和5年)10月10日 - 2015年(平成27年)12月9日85歳で没)は、直木賞作家、歌手、作詞家、タレント、政治家というマルチな才能を見せた方である。彼は映画にもなった長編小説『エロ事師たち』に代表されるエログロや情念、相克の世界の表現者のイメージがある一方で『火垂るの墓』のような戦争の悲惨さも描いている。野坂作品を読めば「人間なんざ、皮一枚剥きゃ獣と同じ」の感覚を教えてくれる。その彼が童謡『おもちゃのチャチャチャ』を書いているという事実に驚く。
童謡『おもちゃのチャチャチャ』と『エロ事師たち』が矛盾なく同居しているのが野坂昭如という人のかっこよさと思えてきた。
改めて、ストリップ通いを趣味とする私がステージを観て童話を書いているのに非常に通じるものがある。
小説『エロ事師たち』は、世の男どもの「エロ」を満たすため法の網を潜り、あらゆる享楽の趣向を凝らし提供することを使命とする中年男の物語で、売春斡旋、白黒ショーやブルーフィルムの上演、エロ写真の販売などが描かれる。考えてみると、これらは昔のストリップに本番まな板ショーや白黒ショーがあり、今のストリップでエロポラ撮影があるのと、よく通じている。もしかして、毎日ストリップ通いしている私はエロ事師なのかなとふと思えてきた(笑)。
今回の演目「ミッドナイト・ドール」を観ながら、童謡や童話というメルヘン(ファンタジー)の世界とストリップなどのエロスの世界は紙一重というか、いや一枚の紙の裏表なのだと感じた。改めて「メルヘンとエロスは、人間が本能としてもつ心の奥底から求めて已まない夢として相通じている」ということに気付かされた。
以上、小難しい話をしてしまったが、これらを素敵なステージ作品として演じてくれた大見はるかさんに心から拍手を贈りたい。
平成29年12月 大阪東洋ショーにて