今回は、ロックの踊り子、吉沢伊織さんと雪見ほのかさんについて、「着物の艶舞競演」と題してレポートします。

 

 

H26年9月13~15日の三連休の前日から、栗橋に入る。今週は栗橋三昧するつもり。

今週の栗橋は開館記念特別興行としてロック大会。香盤は次の通り。①友坂麗、②雪見ほのか、③MIKA、④吉沢伊織、⑤小澤マリア〔敬称略〕。全員ロック。

以下、吉沢伊織さんをいおりん、雪見ほのかさんをほのたんと愛称で呼ばせてもらう。

 

 

いおりんは久しぶりの着物の出し物。

今週初出しになる「鶴の恩返し」という演目。

♪「人は翼をもつと自由になれるのですか?」という台詞から始まる。

いおりんの久しぶりの着物姿にぞくぞくする。金色の簪(かんざし)が華やか。真っ白な着物に、鮮やかな銀の帯をしめ、背中の方に大きなリボンを作り帯を垂らす。銀の帯の下には更に紫の帯がのぞく。足元、白い着物の裾に赤い襦袢が見え隠れする。

特筆すべきは白い大きな羽根。白の中にひとつだけ赤い羽根がある。羽根を優雅に揺らして舞い踊る。

そして、着物をひとつひとつ脱いでいく。

ここで、♪「私には翼が見えていますか?」という台詞が入る。

赤い襦袢姿になる。襦袢には白い絵柄がプリントされている。帯は白い。爽やかな格好で軽快に踊る。

最後に、赤と白の左右対称色になっている着物姿で、先ほどの羽根を使って舞い、ベッドへ。

「鶴の恩返し」というストーリーに従えば、鶴であることが知られ、鶴は去っていくことになる。赤い羽根の部分は鶴の血=生命を表しているのかなと思えた。

 

 

雪見ほのかさんは先月8月中に新宿ニューアートで9周年を迎えていた。

今回は9周年作「初恋 -ずっとあなたが好きでした-」。

最初が村下孝蔵の名曲「初恋」で、ほのたんが学生時代に聞いていたという懐かしの曲を並べたようだが、私が知っていたのは「初恋」だけ。でも、どの曲も心にすーっと入ってきて、特に立ち上がりのさだまさしの曲も良かったなぁ。殆どが男性ボーカルというのがミソだね。

さて、初恋というテーマなのに何故か着物姿となる。ほのたんによると、踊り子人生も長くなり漸く着物も様になってきたので清楚な着物でこのテーマを演じてみたいと思ったようだ。

最初の着物姿は、白地に黒い桜模様がプリントされている着物に、金色の帯、その上に紫の紐で縛る。華やかな髪飾り。成熟した日本女性の装いである。

ステージに現れた時、いろんな色彩の花房を繋いだハートマークを胸に抱く。ハートには長い白い布が付いて垂れている。ハートマークに初恋のイメージをのせる。熟女が若き日の初恋を懐かしむ情景となる。

ハートマークは椅子の上に置き、黒と紫と銀という渋い色彩の扇子を使って踊る。

ラストは、白と黄色の透け透けの襦袢姿でベッドへ。ほのたんはふくよかな日本女性こそがエロいという認識があり、着物が似合う体型になりたいと考えていたようだが、まさに今のほのたんがそう。たしかに豊満なヌードになってきたなぁ~♡ 妖艶さを感じさせる。

イヤリング、ネックレス、手足のブレスレット・・アクセサリーのさりげなさが素敵。

 

ちなみに、9周年作としてはもうひとつ「夏の終わりに-祭りの後-」がある。ほのたん新聞によると、この作品は実際に酒を呑んで客にからむ問題作(?)とある。無性に観てみたいと思ったが、車で来る客が多い栗橋ではまずいとなったらしい。観れなくて残念である。

その分、童話の中に酒を呑むシーンを取り入れた。(笑)

 

 

今回の栗橋では、太郎チルドレン代表といえる最強の人気者二人の艶舞が披露された。

二人とも2005年のデビューから応援しているが、今年でもう10年目のベテランになり感慨深い。しかもストリップ界最強の人気者。太郎チルドレンとして私の誇りである。

ストリップ界での長寿をお祝いして(?)、童話「鶴と亀」をプレゼントさせて頂きます。

 

 

平成26年9月                        ライブシアター栗橋にて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『鶴と亀』 

~吉沢伊織さんの演目「鶴の恩返し」&

雪見ほのかさんの9周年作「初恋」を記念して~

 

 

 

 ある湖で、一羽の鶴が魚を捕ろうと湖面に浮かんでいましたが、足が藻に絡み動けなくなっていました。鶴がもがけばもがくほど藻が絡みつき鶴は沈んでしまいます。

 一匹の亀がそれを見つけて、急いで水の中に潜って藻を食いちぎり助けてあげました。

 

 鶴は亀にとても感謝しました。

「カメさん、ありがとうございます。是非ともお礼になにか恩返しさせて下さい。」

 鶴は亀のずんぐりとした恰好をしげしげと見て、翼があったら大空を自由に飛び回れるのにと思いました。「私がカメさんを大空に連れて行ってあげます。広い世界を知るのは楽しいですよ。」

 そう言うと、亀を無理やり背中に乗せて、大空を旋回しました。

「カメさん、空の旅はどうかな。」と尋ねるも、亀は完全に目を回していました。

 そして、とうとう鶴の背中から落っこちました。

 ひゅーん! どっぼーん! たまたま運よく湖の上に落ちました。

 

 亀は命からがら岸辺に這い上がりました。

 鶴が亀の近くに舞い降りて心配そうに亀の顔を窺いました。

 亀は言いました。「あぁ~危うく天から授かった長い寿命を縮めるところだった・・・

やっぱり私は空の上はダメだわ。わしはここでずーっと育ってきたし、狭い世界ではあるが、これからもずーっとここに居ることが一番幸せのようだ。

 やっぱり夫々に住むべき世界があるようだね。ツルさんだって水の中の世界はダメだし、わしも空の上の世界はダメ。それぞれの世界を楽しみ生きていくのが一番だね。

ことわざにも‘鶴は千年、亀は万年’と言うよね。お互い、自分の住むべき世界で生きれば長生きができますよ。」

鶴は亀の言葉に納得しました。

 

それでも何か恩返しをしたいと考えた鶴は、亀にお酒を持参しました。

「ことわざにも‘酒は百薬の長’と言いますよね。お互い、お酒を呑んで楽しみましょう。」

 亀はお酒が大好きでした。そのため話が弾みました。

「巷では‘鶴は千年、亀は万年’と大げさに言うけど、実際のところツルさんは何歳くらいまで生きられるのですか?」と亀が訊く。

「寿命はだいたい90歳というね。」

「ツルさんの長生きの秘訣は何かありますか?」

「そうですね。私はいつも美しくありたいと願っています。だから気が若いんだと思います。」

「なるほどね。」

「そういうカメさんは、どうなんですか?」

「カメの寿命は(ゾウガメで)180歳といわれます。陸上の動物では一番長いんじゃないかな。」

「すごいですね。カメさんはどうしてそんなに長生きできるんですか?」

「のんびりと、刺激の少ない生活をしているからじゃないかな。ストレスとは無縁の生活です。

 だから、空を飛ぶなんてもっての外。空を飛ぶのは怪獣ガメラぐらいのもんですよ。」

 鶴と亀は大きな声で笑った。

そうやって鶴と亀は仲良く酒を呑みました。とさ

 

                                    おしまい