今回は、H28年11月中のライブシアター栗橋のロック大会の模様を話します。

 

 

 11月20日(日)に栗橋に行く。田んぼの中を吹き抜けてくる風はもう冬の冷たさ。朝早く場所取りで並んでいると辛い。11月頭にも栗橋に来たが、あの時の秋晴れとは一変した。

今週の香盤は次の通り。①木村彩、②安田志穂、③白砂ゆの、④柏木由紀奈、⑤高崎美佳〔敬称略〕。全員ロック。

 

 今週は久しぶりにロックのお姐さんとの再会を楽しみにしてやってきた。

 楽日の日曜日なので朝早くからロック客が並んでいた。最近はロックの劇場に行っていないので殆ど顔見知りはいない。朝早くから仲間内で楽しく屯していたのは安田隊とのこと。デビューからずっと仲良くさせてもらっている安田志穂さんもいつの間にかこんなに沢山のファンに囲まれる人気者になったことを目の当たりにして私も嬉しくなった。

おっ、たった一人、顔見知りがいた。白砂ゆのファンのTさんがいたので嬉しかった。彼とは大阪東洋に遠征しているときに二人で呑んだ仲。一緒に近くのスーパー・ベイシアに買い物に行き、一緒に昼食を食べた。ストリップというのも、当然に踊り子さん目当てなのだが、同じ踊り子さんを追いかけてくるうちに仲間に会うのが楽しみのひとつになる。一緒に応援し、帰りに一緒に呑むのがいい。

 

 トップの木村彩さんとは約2年ぶり。「お久しぶりです。お元気そうで何よりです。仙台ロックはなくなって本当に悲しいです。劇場が年々なくなっていきまます。」2年前の仙台ロックで初出しの「Winter White」を季節柄として今回も出していた。懐かしい人が懐かしい作品を演じてますます懐旧の念にかられる。ロックでは顔なじみの踊り子さんがどんどん辞めていっている。年齢の問題もあるだろうが、今や仙台ロックを始め劇場数が減って働く場が少なくなり、更に四年後の2020年東京オリンピックを考えるとこの先が不安だということだろう。そうした中で頑張っている彩さんは貴重な一人。「後数年頑張ります。」数年と云わず、もっともっと頑張ってほしいな。

 2番手の安田志穂さんとはなんと2年半ぶり。「お会いできて嬉しいです。お元気そうでなによりです。今年も後一ヶ月少し、早いですね。」今回も三個だし。最初に、浮浪者がカメラマンだったという作品には驚いた。相変わらずバリエーションの多いユニークな作品に感激。

 トリの高崎美佳さんとは9月中に大阪東洋で初めてお会いして二ヶ月ぶり。しっかり私のことを覚えてくれていて嬉しかった。今回は二個出しで、東洋で拝見したデビュー作『夢のあと』の他に、すてきな新作を披露してくれた。「新作はお世話になっていた劇作家さんに作って頂きました。『なぐさめのオフェーリア』がタイトルです。」

 

 今週は、なんと言っても、柏木由紀奈さんに会いたかった。「12月30日引退まで1ヶ月と10日です。」そう、彼女は今年いっぱいで引退。新宿ニューアートで最後を迎える。

 11月頭の大阪東洋で、関西ラスト公演があったが、私は行けなかった。東洋常連には‘ゆきなん人気’が凄い。私のスト仲間にも熱狂的な方が多い。私としても、是非ともここ栗橋で一目お会いしたかった。

 今週も圧巻の三個だし。ゆきなんワールドに酔いしれた。

 最初の着物の出し物に度肝を抜かれる。演目名は「ゆきなん、おいらんになれるのか?!6」。この「ゆきなん、おいらんになれるのか?!」シリーズは彼女の代表作であり、今回で六作目であり、そしてこれが引退作になる。

 華やかな花魁の着物姿で登場。赤い着物で、煌びやかな帯の結びを前面にしている。踊りの最後に「ゆきおい6 ‘旅立ち’」と書いた布を掲げる。拍手喝采。

 赤い上着を脱ぐと、紫の着物になる。ひらひらした布が付いた大きな扇子を両手にもって舞い踊る。最初に、赤・紫・青のひらひらした布、そして次に赤と黒が入り交じった炎のような模様の布で激しく燃え上がるように踊る。

 一転、イルカの「なごり雪」のインストルメントが流れ、しんみりした中で赤い襦袢姿になり、ベッドショーへ。

 ゆきなんのステージの魅力は、ユニークなステージ構成、スタイルのいい身体でのシャープな動きであるが、ヌードの美しさも天下一品である。改めて感じるのが、ヌードの美しさは色白に叶わない。ゆきなんは透き通るように肌が白く、そのためか乳首や性器がピンク色でたまらなく美しい。まさしくストリップファン涎垂もの。引退されると聞いて、私としてはこの美しいヌードが観れなくなると思うと悲しくて泣けてくる。

 

 余談になるが、この日、仙台ロック常連の若い方にお会いした。仙台ではよく顔を見ていたが話したことがなかったのだが、ここ栗橋で私を見つけて話しかけてくれた。

 仙台常連の方々は仙台ロックがなくなって、遠征を余儀なくされている。彼もこの3日間で川崎ロック→DX歌舞伎→ライブシアター栗橋と廻ったらしい。DX歌舞伎はパンツ興行で驚いた様子。

 彼から仙台ロックの話をいろいろ聞く。仙台ロックは以前から赤字経営というのは知っていた。過去に何度か閉館の憂き目に遭いそうになるも、ファンの嘆願書などでどうにか継続していた。しかし、今では光熱費だけでも賄えないほどの大赤字になっていて、ロック全体の経営を揺るがしかねない存在になっていた模様。ロックの経営幹部がもう我慢できないと、閉館一週間前に突然仙台に来て、閉館宣言をしていったらしい。田島社長も事前に話を聞いておらず驚いたらしい。

 彼から話を聞いた中で驚いたのが、突然解雇された田島社長と従業員の川田さん、ブッチャーの三人には社会保険制度が適用されないこと。天下のロックでも社会保険制度がないのか。だから失業保険もなければ年金ももらえない。田島社長には三人の子供がいて、長男と長女は就職していて、よく劇場に顔を出していた末の娘さんはまだ高校生。これからは長男と長女に養ってもらうことになろう。川田さんは山形の方に出稼ぎに行っているらしい。晩婚で子供がいる川田さんは生活に大変だろう。ブッチャーは丁度60歳になり実家に戻る。足が悪くかったので現在治療中らしいが、しかし、その後の生活保障はない。

残された人たちの悲惨な状況は私としても他人事ではなく身につまされる。先のお三人や仙台常連さんのことを考えれば私はまだ恵まれていると思わざるをえない。

 ストリップファンとして、劇場関係者や踊り子さん、そしてストリップを愛するファン達が泣かされる今の状況がたまらなく嘆かわしい。

 

 

平成28年11月                        ライブシアター栗橋にて