2020年1月結の栗橋における、JUNさん(西川口所属)の公演模様を、演目「雪女」「そば屋」を題材に、「日本の美」という題名で語りたい。
2020年1月中の蕨ミニ公演に1/20楽日に新年の挨拶に伺う。
その週の香盤は次の通り。①橋口美奈(フリー)、②みと小鳥美(道劇)、③kuu(フリー)、④黒井ひとみ(栗橋)、⑤JUN(西川口) 〔敬称略〕。
そして、翌週の栗橋にも伺うと約束する。
2020年1月結の栗橋公演に1/27に顔を出す。
その週の香盤は次の通り。①アキラ(道劇)、②蟹江りん(栗橋)、③JUN(西川口)、④黒瀬あんじゅ(TS)、⑤倖田李梨(ロック) 〔敬称略〕。
その日は夕方から関東に初雪が降る。そのせいもあって客入りは少ない。場内も当然のごとく寒いはずであるが、一回目ステージに、JUNさんの「雪女」と黒瀬あんじゅさんの「雪の女王」が続いて演じられたから、そりゃ寒くもなるわな。(笑)
二作品とも、すごくインパクトの強い内容で、お正月や寒い冬の時季柄に合わせた作品だ。しかもJUNさんの場合とても日本的だ。
ステージ内容を紹介したい。
まずは、演目「雪女」。なんと「すべて雪女という曲のタイトルなんです」。すごく凝ってるねー。
最初に、暗い中、ナレーションが入る。キッズソング ドリーム の曲「雪女」だ。
これは、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が書いた著書『怪談(Kwaidan)』の中にある雪女伝説が元ネタになっている。ナレーション(原作)は次のように続く。・・・
武蔵の国のある村に、茂作と巳之吉という2人の樵が住んでいた。茂作はすでに老いていたが、巳之吉の方はまだ若く、見習いだった。
ある冬の日のこと、吹雪の中帰れなくなった二人は、近くの小屋で寒さをしのいで寝ることにする。その夜、顔に吹き付ける雪に巳之吉が目を覚ますと、恐ろしい目をした白ずくめ、長い黒髪の美女がいた。巳之吉の隣りに寝ていた茂作に女が白い息を吹きかけると、茂作は凍って死んでしまう。・・・
舞台では、暗い中、JUNさんが白い着物姿で現れる。銀の帯をしている。白い足袋を履き、盆の上に進む。そして盆前の一人の客の顔に息を吹きかける。ゾクッとする。
また、おもむろに、他の客の顔に、自分の長い髪を揺らして上から叩きつける。お客は驚く。強烈な演出である。
音楽が変わる。葉のついた青紫色の花を一輪持つ。
銀の帯を解いていく。その下の白い紐も解き、白い襦袢姿になる。青い帯をしている。
二曲目は、Ningen I suの「雪女」。
人間椅子(にんげんいす)は、日本の3ピースロックバンド。1987年、青森県弘前市出身の和嶋慎治と鈴木研一によって結成された。ブラック・サバスを彷彿とさせる70年代風ブリティッシュ・ハードロックのサウンドに、日本語・津軽弁での歌唱、怪奇をテーマとした世界観の歌詞をのせた、独特の音楽性を特徴とする。
音楽が変わり、袖のところで襦袢を脱ぐ。下には透け透けの白いドレス。
青紫の花をもち口に咥えて、盆に移動する。
三曲目は、宝塚歌劇団の「雪女」。
ベッド曲は、TEAMS +NOAH + REPEAT PATTERNのアルバム「KWAIDAN」の中の三曲目「yukionna」。
立ち上がりは、JAYWALKの「YUKI-ONNA ~雪女~」。作詞:知久 光康、作曲:中村 耕一。
(歌いだし)♪「夜より密かに君月より静かにまた 夢より遠くで呼ぶ氷の炎に包まれて 夜空を舞い 雪を撤く寂しいほど自由に百万分の一秒の恋突き刺すように 永遠に 変わることなく綺麗なまま 閉じこめたい抱きしめて 融かしてしまえば今はダイヤの 涙が流れる 彩より総てを ...」 とてもキレイな歌詞でメロディだ。
よく雪女というタイトルの曲をこれだけ集めたものだと感心する。と同時に、これだけの一流ミュージシャンたちが何故これだけ「雪女」にこだわって曲にしたのかと思う。今回の作品を今の時季柄にあった妖怪ものとして、単に面白おかしく受け止めていいのだろうかと思うようになってきた。
いつものように、教えてもらった曲をネットで調べて聴きこんでみた。
その中で、ベッド曲の雪女を創った三人のインタビュー記事が目を引いた。・・・
USのプロデューサーTeamsと日本在住の写真家/ビートメイカーRepeat Pattern、北海道出身の女性アーティストNoahのコラボレーションによるコンセプト・アルバム『KWAIDAN』。本作は、1965年に公開された日本の映画『怪談』からインスピレーションを受けて制作されたものだという。3人のアーティストによる共同制作だからこそ生み出された、美しくも、まさに霊異な世界観が表現されている。
このアルバム「KWAIDAN」は、すなわち「怪談」を意味している。プレスリリースには、「古代から伝わる怪談を幽霊の物語としてではなく、サウンドトラックを持った普遍の物語/神話として捉え、身体のない人間と精神の対話をロマンチックに描く」とある。
インタビューの中で琴線にふれてくることがあった。
「『怪談』は、映画を見て人を驚かすためのホラー映画ではなくて、もっと人間がどういう生き物なのか知るような、考えさせてくれるような映画です。幽霊と人間との違いは、身体があるかないかというだけの違いなんですけど、生きている人間というのは、身体があるが故にいろいろと複雑なことを考えてしまいます。でも幽霊は、自分がこうしたい、とか、これをわかってほしいとか、考えがシンプルだけど、それに関してはものすごく極端というところがあって。幽霊と接する人間の様子から、普段はいろんなもので隠してる人間の本当の顔みたいなものを感じました。たまに垣間見る人の気持ちとか本性とか、その描写がまた神秘的で。そういうところを感じ取りながら歌詞を書いていきました。」
「この映画のストーリーは確かに怖いものではあるんですけど、このアルバムの曲はもっとオペラのような美しいものになっています。彼女(Noah)が書いたリリックは、主人公の幽霊に対する解釈でもあるんですが、なぜこの映画が美しいと感じるのか、その部分がどのように物語に関係しているのか、なぜそれが怖くないのか、そういったものが表現されているんです。それは、映画の幽霊と日本の文化を理解することだとも言えます。」
怪談は美しい。幽霊は日本の文化だ!!! すごい言葉だなぁ~・・・
こりゃ、もう一度、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の『怪談(Kwaidan)』を読み返さないといけないと感じた。先の引用文の続きを載せる。・・・
女は巳之吉にも息を吹きかけようと巳之吉に覆いかぶさるが、しばらく巳之吉を見つめた後、笑みを浮かべてこう囁く。「お前もあの老人(=茂作)のように殺してやろうと思ったが、お前はまだ若く美しいから、助けてやることにした。だが、お前は今夜のことを誰にも言ってはいけない。誰かに言ったら命はないと思え」そう言い残すと、女は戸も閉めず、吹雪の中に去っていった。
それから数年後、巳之吉は「お雪」と名乗る、雪のように白くほっそりとした美女と出逢う。二人は恋に落ちて結婚し、二人の間には子供が十人も生まれた。しかし、不思議なことに、お雪は十人の子供の母親になっても全く老いる様子がなく、巳之吉と初めて出逢った時と同じように若く美しいままであった。
ある夜、子供達を寝かしつけたお雪に、巳之吉が言った。「こうしてお前を見ていると、十八歳の頃にあった不思議な出来事を思い出す。あの日、お前にそっくりな美しい女に出逢ったんだ。恐ろしい出来事だったが、あれは夢だったのか、それとも雪女だったのか……」
巳之吉がそう言うと、お雪は突然立ち上り、叫んだ。「お前が見た雪女はこの私だ。あの時のことを誰かに言ったら殺すと、私はお前に言った。だが、ここで寝ている子供達のことを思えば、どうしてお前を殺すことができようか。この上は、せめて子供達を立派に育てておくれ。この先、お前が子供達を悲しませるようなことがあれば、その時こそ私はお前を殺しに来るから……」
そう言い終えると、お雪の体はみるみる溶けて白い霧になり、煙出しから消えていった。それきり、お雪の姿を見た者は無かった。・・・
まさしくこれは童話「鶴の恩返し」と同じストーリー展開だ。ここには普遍的な男と女の愛の物語がある。
ふと、私は別れた女房のことを思い出す。雪女のように色白で美しい女性だった。同じ郷土の秋田美人。いまさらながら私のような足の不自由な男のところによく嫁いできてくれ、かわいい三人の子宝を授けてくれたものだと感謝する。子供たち三人とも立派に社会人になってくれ、私はすでに孫三人のいるおじいさんになった。振り返れば、子供たちが立派に巣立った後の熟年離婚だったのがまだ救いだった。家庭を壊してしまったが、私は幸せな人生だったと思っている。
家庭を壊してしまったことが無念でもある。女房や子供たち、特に女房には心からすまないことをしたと思っている。私は死ぬまでこの大きな業を抱えて生きていくしかない。女房は雪女のように、私を殺さずに出ていってしまった。雪女は私にとって他人事ではない。
雪女に捨てられた男はこの先どう生きていけばいいのだろうか。今ではストリップで独り身の淋しさを紛らわせている。もしかしたら踊り子も雪女かもしれない。ふと、そう思う。いつまでも美しさを失わない。でも、ある日、突然に別れはやってくる。
雪女に秘められた「日本の美」を整理してみたくなる。
雪というものは真っ白で、溶けて消えていくもの。純白の美しさと儚さを合わせ持つ。それは真の美人に通じる。しがない男性と絶世の美女がいつまでも幸せでいられるはずがない。そこには無理に組み合わされた儚さ・脆さ、人生の不安定感が生ずる。そして男女の別れは突然にやってくる。美人薄明とは云うが、美人は男より早く死ぬことになる。死をもって別れとするのは面白くないので、昔の人は物語展開として「鶴の恩返し」や「雪女」に仕立てたのだと思う。
夫婦の間でも、言わなくてもいいことをつい口に出してしまったり、時に嘘をついてしまったり、いろんなことが起こる。「鶴の恩返し」や「雪女」はそうした戒めの話である。ストリップにはまり、どうしても劇場に行きたいものだから、「今日は残業だ」「忙しいから休日出勤だ」「今日は付き合いゴルフだ」と小さい嘘を重ねてしまう。それらが、一番大切な人を裏切ってしまう。「ストリップは単なる遊びだ」と言い訳しても、妻は聞く耳がなくなる。そして、去っていく。現代版の「雪女」みたいなものだ。
今にして思えば、妻は雪女のように綺麗だった。「美人薄明なんだから」というのが妻の口癖であったが実際は長生きしている(笑)。でも確かに老けなかった。そう思えた。夫婦は一緒に歳を重ねているせいか、いつも出会った時のまま。踊り子と客というのも同じで、いつも出会ったときのままなのである。男の心の中では踊り子は老けない。みんなが雪女の素養を持っている。
NHKのTVでやっていたが、日本の豪雪は世界の奇跡なのだそうだ。地球規模で日本と同じ緯度のところは乾燥地帯になり砂漠が多い。ところが日本には多くの雨が降り、森が多い。アマゾン並みに樹木が茂る。その雨は日本海側では雪になる。雨が多い原因は、黒潮が雲(水蒸気)を運んでくるから。たしかに台風の進路もそうなっているね。TVでは黒潮はマントルの影響により生じたと詳しく解説していたが、ここでは割愛する。
ともあれ、豊かな雨によりできた豊かな森で、厳しい雪の中、雪女という話は日本の風土としてできあがった。まさしく日本人の精神構造に深く根ざしている。
雪女というのは、常に「死」を表す白装束を身にまとい、男に冷たい息を吹きかけて凍死させたり、男の精を吸いつくして殺すものである。まさに「雪の妖怪」である。
しかし、雪女の妻は私を殺さずに別れて行った。雪女である踊り子たちも私を殺さずに相手をしてくれる。
生き残った私にも、これから先なにか生きる道があるのだろうと思える。
たくさんのミュージシャンが雪女の音楽を奏でているのと同じように、私も表現者の一人として雪女の童話を書いてみたくなる。もしかしたら、踊り子JUNさんは、今の私の気持ちを童話にしてみたらと背中を押してくれているようにも思える。JUNさんも雪女であり私のストリップの女房である。そう思いつつ、この観劇レポートをまとめている。
JUNさんの作品「雪女」は、前にあった「百鬼夜行」から続く妖怪もの。
最近、私は映画をよく観る。年間200本以上観ている。ストリップと同じく、完全に趣味化した。たくさん観るので、以前は避けていたホラー映画まで観るようになった。(笑)
ホラー映画を単に怖いものとして捉えるのではなく、人間のもつ奥深い情念の表現として捉えると面白い。そこには愛があり葛藤があり、人生の機微がある。だからこそ、その霊異な世界観を表現したホラー映画には味がある。
また今回、雪女という怪談に触れ、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の『怪談(Kwaidan)』を読み返すと、そこには日本人独特の精神文化がある。
表現者であれば、怪談などのホラーを避けては通れない気がしている。
2020年1月 ライブシアター栗橋にて
しんしんと雪の降りしきる、ある寒い夜だった。
私はこみいった用事をようやく済ませ、深夜遅く帰路を急いでいた。
一人の女が橋のたもとに立っていた。しかも傘も持っておらず頭巾をかぶっているだけだった。
「お嬢さん、こんなところでどうされたんですか? 」
私は不憫に思い声をかけた。
「道に迷ってしまいました。」
彼女は一言そう答えた。その声は哀れに満ちていた。なにか事情がありそうだ。もしかしたら橋の上から身投げしようとしていたのかもしれない。
「すぐ近くに私の家があります。よかったら今夜は私の家に泊まっていきませんか?」
彼女はこくりと頷いて、私の後をついてきた。
家の中に入り、灯りを付けて、頭巾をとった彼女の顔を見て驚いた。彼女は、まさしく雪のように透き通った白い素肌を持ち、面長な顔立ちの美しい女だった。
「疲れているでしょう。すぐに奥の部屋に布団をとりますから、そこでゆっくり休んで下さい。」
彼女は丁寧にお辞儀をしてから、奥の部屋に入っていった。
翌朝、彼女は早々と起き、朝食の支度をしてくれていた。
私が起きてきたのを見て、丁寧に泊めてもらったお礼を言った。
そして「あなた様さえよろしければ、このままここに居てもいいですか?」と言う。
私は美しい彼女の瞳を見つめたまま、おもわず「どうぞ」と答えてしまった。
彼女の名前は小雪といった。
私と小雪はそのまま夫婦になった。
近所の人たちは羨ましそうに私を見ていた。
「これほどの美人がなんで、こんな俺のとこに嫁に来たのだろう?」
私はずっと考えた。不細工な顔の私に、こんな美人の奥さんができるなんて信じられなかった。
これも運命なのか? いい運命なのだから有難く受け入れればいい。そう割り切った。
小雪はニオイを感じさせない女だった。
お風呂好きでキレイ好きだったせいもあるだろう。女の人って皆そうなのかな。女に比べて、男は不潔だからニオイを感ずるのかなとも思った。
しかし、小雪の場合は特別じゃないかなとも思えた。小雪は汚いものを一切見ようとしない。家の中はいつもこまめに掃除をして塵ひとつ落ちていない。食べ残しはすぐにビニール袋に包んで屑箱の中に入れてしまう。少しでも汚れた着物はすぐ洗濯してしまう。
だから私の目の前には汚れたものは何ひとつなかった。独身時代が長い私は、汚れた着物もゴミだらけの家の中も全然平気だったので、それは天国と地獄の差にも思えた。
さらに、小雪は「夫婦の間で嘘はいやよ。あなた、お願いだから絶対私に嘘はつかないでね。」と言う。
外見だけでなく、内面も潔癖を装った。そして、それを夫である私にも要求した。
小雪の真っ直ぐな美しい眼差しを浴びると、私は黙って「うん」と答えるしかなかった。
小雪は子供を欲しがった。
お腹に子供を宿していると幸せな気分になるらしく、立て続けに子供が生まれた。
美人の奥さんとの子作り行為は楽しいかというと、そうでもなかった。潔癖症の小雪は不感症だった。美しい人形を抱いている気分なのだが、私は小雪の雪のように透き通った白い肌が好きだった。そう、小雪には性のニオイが無かった。
もうひとつ不思議なことがあった。小雪は何人子供を産んでも老けなかった。いつも出会ったときの容姿のまま美しかった。
夫婦というのは一緒に歳を重ねるから、お互いに齢をくった感覚がなくなるという。だから、出会った時のイメージをずっと持ち続けるのだと。そうなのかなと私は自分自身を納得させていた。女房がいつまでも綺麗でいてくれるほど嬉しいことはないから。
私は美しい妻とかわいい子供たちという幸せな家族をもった。それがいつまでも続くものと思い込んでいた。
ある日、私は小さな嘘をついた。
「今まで仕事をしていたんだよ」
ストレス解消にただ遊んだだけだ。遊びと割り切っているから私には罪悪感がなかった。
夫婦円満でいるには時に「嘘も方便」だと思った。
しかし、小雪はその嘘を許してくれなかった。
「あなた、私のことをずっと騙していたのね。」
小雪の目は怖かった。しかし彼女の目には、怒りと一緒に悲しみが入り混じっていた。
「あなたは物書きだから、書くネタが欲しかったのよね。いいわよ。あなた、小説を書きたいんでしょ。あなたの好きなように、家庭を壊してかまわないわ。」
「その代わり、子供たちのことは預けたわよ。万一、子供たちを不幸にしたら許さないからね。」
小雪はそう言い残して、家の扉をバタンと開け、外に飛び出していった。そして二度と帰って来なかった。
外はしんしんと雪が降っていた。
私は、はっきりと小雪が雪女だったことを確信した。
しかし、いま考えると、小雪と過ごした日々は宝石のように煌いた時であったことに気づく。
雪は一切のものを包み隠す。綺麗なものも汚いものも、全てを区別なく覆い隠してしまう。区別しないところが雪の潔さでもあり、差別しないところが優しさでもある。
おしまい
ストリップ童話『ちんぽ三兄弟』
□第31章 北の劇場での恐怖体験の巻
~JUNさん&黒瀬あんじゅさんに捧げる~
ちんぽ三兄弟は劇場仲間を誘って、慰安旅行と銘打って北の温泉場に出掛けることになった。
今年は暖冬だったが、旅行の当日、夕方から雪が降るという天気予報だった。寒くなるが、温泉につかるには最高の気分を味わえそうだ。
一行は、温泉旅館に到着後、すぐにひと風呂浴びて、その後、郷土料理を味わう。お酒も入っていい気分。
「この近くに、たしかサビれたストリップ小屋があったはずだ」
一行はスト仲間ばかりなので、当然のごとくストリップに向かう。旅館の番頭に場所を聞いたら、すぐそこだと言う。一行は旅館の浴衣の上にコートを羽織って出掛けた。向かう途中でちらちらと雪が舞ってきた。なんともいい雰囲気。一行は酒酔いの勢いもあって意気揚々。
ストリップ小屋は夜20時が開演時間となっているが、お客が少なすぎると待ちとなり、お客が三人以上集まったところで漸くスタートとなる。
踊り子は二人だけ。四回公演で深夜24時前には終わる予定。
場内はずいぶん寒かった。雪が降ってきたこともあり、すきま風が通り抜けと、ちんぽ三兄弟一行は寒さにブルッとした。
一人目の踊り子が現れた。それはそれは綺麗な日本女性だった。憂いを帯びた流し目にゾクッとした。さすが北国の女性は色白で美人だなと一同感心する。
彼女は賄いの女将のような恰好をしている。そして、かぶりに座っているちんぽ三兄弟の長男に対して、一杯の冷やし蕎麦を差し出した。どうするのかと訝る長男に対して、彼女は「食べなさい!」と目で合図する。
さすが温泉場のストリップは小粋だなぁと感心する。長男は冷やし蕎麦に手を付けた。踊り子は一瞬ニヤリとした。冷やし蕎麦はガチガチに凍っていた。てんつゆの表面にもうっすらと氷がはっていた。その冷たさは、場内の寒気と相まって、長男の身体を心底ひやしてくれた。食べ終わった彼の唇は紫色に変わっていた。
食べ終わった彼の目の前で、踊り子はそっと請求書をきって彼に渡した。
請求書には「食事代20万円なり」と記載されていた。
それを見た長男は背筋に悪寒が走り、後ろにひっくり返った。
一瞬ぼったくりかと思い気や、ストリップでそんなことがあるはずがない。踊り子はくすくすと笑った。余興と分かって、一同ホッと安心するも、酔いは一気に醒めてしまった。
すぐさま踊り子は観客席に冷たい視線を流した。観客は一同ゾクッとした。
雪女の怖い音楽が流れた・・・♪
「彼女は雪女なんだ!」 ちんぽ三兄弟はハッと気づいた。一瞬、逃げようかと考える。
しかし、彼女が踊り出すと身体が凍り付いたように動かなくなった。
彼女が着物の裾を掴んでめくる。綺麗な素足が見える。そうなると「雪女のあそこはどうなっているのかな」と気になる。寒気が吹き飛び、目が血走る
透き通るほどの色白の素肌の間に、黒い陰毛が見えた。なんか寒い中にも一瞬のほのかな温かみを感じる三兄弟だった。
男ってバカだよねぇ~♪
もう一人の踊り子が舞台に現れる。舞台の上に、雪が舞っていた。たまらなく寒い。
彼女はキラキラと輝く王冠をした「雪の女王」の恰好をしていた。寒いはずである。
ちなみに、彼女の髪の毛は金髪だった。でも顔立ちは日本人なのできっとウイッグ(かつら)をかぶっているのだろう。
彼女はかぶり席に座っていたちんぽ三兄弟の顔に息を吹きかけた。めっちゃ冷たい。とても人間の吐く息とは思えない。
「彼女は本物の雪の女王だ!」
ちんぽ三兄弟はそう気づいたものの、逃げられない。身体が凍り付いて動かなかったのだ。
しかし、その美しさは格別だった。Cool Beautyというのはまさに彼女のことを言う。美しさを感ずるためには寒さなんて甘んじて受け止めなければならないのだと思わせた。
音楽は映画「アナと雪の女王」のテーマソングである。いいメロディだ♪
しかし、ちんぽ三兄弟は音楽よりも、「彼女のヘアは金髪だろうか? 雪の女王のアナはどうなっているのだろうか?」と真剣な眼差しとなる。あそこも金髪にしているのかな? もしかしたら雪の結晶になっているかもしれないかなと真剣に思う。
男って本当にバカですよねぇ~♪
あっという間の一時間であった。
最後に、二人の踊り子が並んで見送りをしてくれた。一行はどこか後ろ髪を引かれる気分で外に出た。雪がしんしんと降り、辺り一面真っ白な雪化粧になっていた。
ちんぽ三兄弟は身体が芯まで冷え切っていたが、なぜか心はポカポカと暖かくなっていた。
おしまい