今回は、8月20日で引退する鮎原かおりさんを「最後の花電車」と題して観劇レポートします。
晃生の青山はるかさんが復帰するということで、H26年8月頭の晃生にやってきた。
その週の香盤は次のとおり。①山口あゆみ(DX東寺)、②星愛美(晃生)、③愛野いづみ(渋谷道劇)、④鮎原かおり(フリー)、⑤青山はるか(晃生)〔敬称略〕。
鮎原かおりさんは来週8月11~20日、小倉A級で引退する。
引退前にお会いできて良かった。ポラ時に「もう会えないかと思っていました。青山はるかさんの復帰公演で太郎さんにお会いできてラッキーです。」と言ってもらう。
かおりさんの今回の演目は「ゆかたで花電車」「曽根崎心中」の2つ。
かおりさんの代名詞である花電車について「ゆかたで花電車」の内容を披露する。
最初に、すてきな色柄の浴衣姿で登場。紺色の下地に、赤い花がたくさんプリントされており、全体として赤い浴衣か。帯が明るい色調で着物に合っている。帯は白地に緑のクロス線。髪を結いあげて、水色のリボンを付けている。小さい扇子を持って、裸足で踊る。
すぐにメインの花電車に移る。
最初に、かおりさんのあそこから紐がぷらりと垂れている。何が出るかな?と言って、客に引っ張ってもらうと、国旗がたくさん現れる。拍手喝采。
次に、たばこ飛ばし。吹き矢で勢いよく飛ばす。
次に、クラッカー鳴らし。まずは糸をぐるぐる巻きしたタンポン状のものをかおりさんのあそこに挟む。そこから出ている糸でクラッカーと結ぶ。お客の口にクラッカーを咥えてもらい、糸を引っ張る。見事に客の口の中でクラッカーが鳴る。客の口から煙が出ているが全く支障はないようだ。
次に、オロナミンCを2本取り出す。飲みたい人は手を上げる。一本は初心者用。お客がオロナミンCを手で押さえ、あの糸で引っ張って栓抜きする。次は上級者用。オロナミンCをめいっぱい振る。3.2.1の掛け声で栓を抜き、客はすばやく口に含む。ぼやぼやしていたらオロナミンCの泡が溢れ零れる。スリルいっぱいの楽しい遊び。
次は、バナナの輪切り。立派なバナナが一本。二人の客がバナナの両端を掴み、真ん中を糸で輪切りする。見事な切れ味。
そして、最後のスプーン曲げが、かおり花電車の真骨頂。他の人がやるのを見たことがない。頑丈そうなカレーライス用の大きなスプーンをあそこに挿入し、エイッと掛け声をかけてうつ伏せになる。顔を上げてにこっとするとスプーンが真ん中でグニャッと曲がっている。まさに‘マンパワー’♪ 拍手喝采である。
今週は、かおりさんのファンがたくさん押しかけているため、客のノリが最高にいい。かおりさんの喋りに客が調子よく合わせてくる。すごく楽しい雰囲気♪
かおりさんは花電車をTSのるな姐さんに指導してもらったと教えてくれた。
私が知っている範囲で、TSの乱さん、そしてポールダンスのるなさんが一番新しい花電車だった。それでも10年近く前の話。炎のヨーコさんが数年前まで頑張っていた。今では完全に鮎原かおりさん一人になってしまった。
長いストリップ歴の中で、花電車は特殊技能として伝承されてきた。若くなくなった踊り子さんがまさに芸として学んできたところがある。花電車ができれば年をとっても仕事が続けられた。しかし、誰でもできるものではないのだろう。それなりの資質が必要だろうし、なによりもやりたいと思う人がいるかどうかだ。
いまでは花電車はパフォーマンス系のひとつと捉えることができそうだが、パフォーマンスそのものが幅広いために特赦技能の花電車をやろうとする人がいなくなった。
かおりさんに後継者はいるのかと尋ねたが「いない」との回答。一旦途切れても、やりたいと手を上げる人がいれば教えられる人はいるだろうが、一旦途切れてしまうと復活はなかなか難しいだろうな。
かおりさんが面白いことをポラコメントしてくれた。「この前の広島も4人中3人が空中芸。4人中2人が花電車で、あの閑散とした広島が満席立見だったんだよー」
7月中の広島第一劇場に、浅葱アゲハさん、道劇の川中里紗子さん、栗鳥巣さん、そして鮎原かおりさんの4人がのった。そのとき、前3人が空中芸を披露。浅葱さんと川中さんはリング。栗鳥巣さんも空中自縛ショーができる。また、多芸な栗鳥巣さんはあそこに筆を差し込んで似顔絵を描ける。そして、鮎原かおりさんの花電車。・・相当盛り上がったと想像できる。晃生のスト仲間のTーくんもアゲハさんの応援で広島に行ったと話してくれた。
ストリップにおける空中ショーは、浅葱アゲハさんと天羽夏月さんを第一人者とするが、ここ最近流行している芸。二人に憧れて、挑戦している踊り子さんが続いている。
リングへの挑戦は、ロックではMIKAさんを皮切りに、最近では彩音しゅりさんや灘ジュンさんまで浅草でリングを披露したと聞いた。
道劇の川中里紗子さんも昨年から始め、今ではすっかり様になってきた。
少し前には、東洋の木城レナさんもリングに挑戦していた。怪我をして中断しているが。
合わせて、ポールダンス系は昔からあるものの、現在たくさんの踊り子さんが挑戦している。
最近観た中では、蕨ミニのRikaさんのTSでのショーが素晴らしかった。Rikaさんはポールダンスを習いたくて一時休業して海外留学したというから筋金入り。TSでは山口桃華さんがポールの第一人者であるが、彼女に影響されてつい最近TSの小森ななさんまでポールでポーズを決めだした。すごい!すごい!
こうした空中芸は立体感があり、ステージをとてもダイナミックにかつ華やかに見せる。踊り子さんは誰しもが憧れる。ただし、それなりの運動神経や資質がないとなかなか難しいが。
それでも、これだけ普及してくるとストリップ界の一大ムーブメントになっている。
つまり、花電車が廃れると同時に新しい空中芸が台頭してきている。これが時代の流れなのかもしれないな。先ほどの広島興行はそれを象徴的に示している興行だ。
鮎原かおりさんは「最後の花電車」になるのかなぁ。寂しい限りだ。
鮎原かおりさんはH21(2009)年8月11日に蕨ミニでデビュー。まだ5年間という芸歴で辞めてしまうのはあまりにも悲しい。花電車は一生の芸なのに、、本当にもったいない。
ちなみに、その2年前のH19(2007)年4月、DX歌舞伎にて、デラかぶ学園でペアデビューしている。そのときペアになったお姐さんは、ゆのさん、京はるなさん、夏川あきさん。
私が初めて鮎原かおりさんと出会ったのはデビューから1年後のH22(2010)年9月TSだった。かおりさんが山形出身と知り、隣の秋田生まれの私としては同じ東北の匂いを感じ、すごく親近感を覚えた。かおりさんは私の手紙を喜んでくれて、ずっと仲良くしてくれた。だから、今回の引退は個人的にもたまらなく淋しい。
かおりさんのオープンショーでは、いつも親指を立てたグーを突き出し、親指同士をくっつける。まるで映画のETのような感じ。すごく温かみのあるスキンシップだった。
最後に晃生でお会いでき、こうしてかおりさんのレポートが書けたことが記念碑的なものとなった。肝心の本人にこのレポートがお渡しできなかったのが残念である。今度、京はるなさんに頼んで、かおりさんにこのレポートを渡してもらえるかどうか尋ねてみようと思う。
平成26年8月 晃生ショー道劇にて
【事後録】
この後すぐに、京はるなさんに相談したら「この手紙を読んでもらうのはいつ!? 今でしょ!!」と言ってもらい、速達で小倉A級に送ることをアドバイスしてくれた。まだ公演中だったので私はすぐに実行した。
その一カ月後、このとき小倉A級に一緒に出演していた吉沢伊織さん(いおりん)と栗橋で会う。彼女から、かおりんが太郎さんから手紙を送ってもらったと大喜びしていたと聞く。かおりさんへの手紙に仲良しのいおりんにもよろしく!と書いていたのがよかったようで、いおりんもこの手紙を読ませてもらって一緒に喜んでくれたようだ。
いい思い出になったなぁ・・・。
ストリップ童話『ちんぽ三兄弟』
□第15章
~鮎原かおりさん&葉月凛さんに捧げる~
「花電車って知ってる? 本当は‘ちんちん電車’に対して‘まんまん電車’という名前にしたかったらしいけど、放送禁止用語に抵触するからと花電車にしたらしいよ。」
「ほんまかいな?」 ちんぽ三兄弟の三男の話に、長男や次男そしてまんこ三姉妹は怪訝な顔をした。みんなは花電車を観たことがなかった。
側に‘ストリップの生き字引’と言われる物知りのおじいちゃんがいて、口をはさんできた。
「路面電車のことをチンチン電車と呼ぶけど、あれは警笛のベルが‘チン’と鳴るからだよ。昔の路面電車は交通渋滞をしている道路を走ることもあり、人や車が路面電車の前を横断しようとしていることも多々あったようだ。その際に運転手は警笛を“チンチン”と鳴らして注意を喚起していた。
また昔は車内に車掌がおり、車掌は運転手にベルを鳴らしてメッセージを送るという形をとっていた。“チン”とひとつ鳴らすと停留所が近づいてきたしるし、“チンチン”とふたつ鳴らすと、降りる客はいないというしるしというものだった。」
物知りのおじいさんの説明に納得する長男と次男そして三姉妹。首をすくめる三男。
更に、おじいさんが説明を続ける。
「ストリップの花電車は、元は遊廓のお座敷芸として、大正時代に大阪の飛田新地で始まったと言われる。語源は、路面電車の花電車から来ている。だから、チンチン電車と関係していることは当たっているね。」
おもわず、胸を張る三男。(笑)
「面白いのが次の点。花電車は装飾をして走るだけで『客を乗せない』ものであったため、『客を乗せない』が『売春行為は行わない』と共通するとして、もっぱら見せるだけの風俗芸を花電車と呼ぶようになったという点だね。」
「そうなんだ!」と感心するちんぽ三兄弟とまんこ三姉妹の面々。そして「よし!おれたちもフィナーレを盛り上げるために、ちんちん電車とまんまん電車をやろうぜ!」と提案した。
その日からフィナーレ時に、ちんちん電車とまんまん電車が行われた。ちんぽ三兄弟とまんこ三姉妹は、長い紐に花をたくさん飾り、それを四角い輪にして六人が持ち、いわゆる汽車ポッポを始めた。
ちんぽ三兄弟とまんこ三姉妹が交互に掛け声をあげる。
♪ちんちん まんまん ちんちん まんまん ちんちん まんまん
ふたつ そろって ふたつは ひとつ
いつも 仲良しこよし
だから とっても しあわせよ♪
ちんぽ三兄弟とまんこ三姉妹が、舞台の上を「チンチンとマンマンは仲がいい!」という掛け声をあげて回る。やんやの歓声。これが、ちんちん電車とまんまん電車として大いに盛り上がった。
そんなある日のこと、花電車をやる踊り子が来演することになった。
それを聞いた物知りのおじいさんが驚いた。「まだ花電車をやれる子がいたのか!?」
物知りのおじさんは昔を懐かしむように花電車の話を始めた。・・・
今から5年ほど前になるかな、この劇場に花電車をやる最後の踊り子がやってきた。名前を鮎原かおりと言う。
以前は花電車をやる踊り子はたくさんいたものだ。というか、ある程度年配になったら踊り子として生き残るために身につける芸技のひとつが花電車とされていた。ところがその当時ステージで花電車を売り物にしているのは鮎原かおりしかいなくなった。
彼女はまだ若く、デビューして僅か5年しか経っていない。それなのに、花電車に興味を持ち最初から花電車をやっていた。そしてその時が彼女の引退公演だった。きっと個人的な事情があるのだろうが深く詮索するわけにもいかない。それにしても、まだ5年という芸歴で辞めてしまうのはあまりにも悲しいと思った。花電車は一生の芸なのに、、本当にもったいない。
かおりさんのその時の演目は「ゆかたで花電車」。その内容は次の通り。
最初に、すてきな色柄の浴衣姿で登場。小さい扇子を持って、裸足で踊る。
すぐにメインの花電車に移る。
最初に、かおりさんのあそこから紐がぷらりと垂れている。何が出るかな?と調子を合わせ、客に引っ張ってもらうと、各国の国旗がたくさん現れる。拍手喝采。
次に、たばこ飛ばし。吹き矢で勢いよく飛ばす。うまく飛ぶと客がキャッチ。
次に、クラッカー鳴らし。まずは糸をぐるぐる巻きしたタンポン状のものをかおりさんのあそこに挿入。そこから出ている糸でクラッカーと結ぶ。お客の口にクラッカーを咥えてもらい、糸を引っ張る。パーンと見事に客の口の中でクラッカーが鳴る。客の口からふわりと煙が出ているが全く支障はない。客は苦笑い。
次に、冷えたオロナミンCを2本取り出す。飲みたい人は手を上げる。一本は初心者用。お客がオロナミンCを手で押さえ、先ほどの糸で引っ張って栓抜きをする。客は美味しそうにそのオロナミンCを飲む。次は上級者用。オロナミンCをめいっぱい振る。3.2.1の掛け声で栓を抜き、客はすばやく口に含む。ぼやぼやしていたらオロナミンCの泡が溢れて零れる。スリルいっぱいの楽しい遊び。
次は、バナナの輪切り。立派なバナナが一本。二人の客がバナナの両端を掴み、真ん中を糸で輪切りする。見事な切れ味。バナナは客が美味しそうに食べる。
そして、最後のスプーン曲げが、かおり花電車の真骨頂。他の人がやるのを見たことがない。頑丈そうなカレーライス用の大きなスプーンをあそこに挿入し、エイッと掛け声をかけてうつ伏せになる。顔を上げてにこっとすると、スプーンが真ん中でグニャッと曲がっている。まさに‘マンパワー’♪ 拍手大喝采。
その週は、かおりさんの引退公演なので、かおりファンがたくさん押しかけていて、客のノリが最高にいい。かおりさんの喋りに客が調子よく合わせてくる。すごく楽しい雰囲気だった♪
かおりさんは花電車をTSのるな姐さんに指導してもらったらしい。
昔は花電車をやる踊り子がけっこういたなー。新しいところでは、TSの乱さんや、ポールダンスの上手なるなさんを思い出す。そうそう、炎のヨーコさんのファイヤー芸は大したものだった。火の点いたライターに向かってヨーコさんのあそこからガソリンを噴き出す。彼女がファイヤー!!!と叫んだ瞬間、大きな炎が舞い上がる。盆前が炎の熱気に包まれる。なんと、盆前で観ていた客の髪の毛がちりぢりと焼けたほどの勢い。消防法破りの芸だね(笑)。ほんと、あのファイヤーには驚かされたものだ。こんな感じで、いろんな花電車があったものの、今では完全に鮎原かおりさん一人になっていた。
長いストリップ歴の中で、花電車は特殊技能として伝承されてきた。若くなくなった踊り子がまさに芸として学んできたところがある。花電車ができれば年をとっても仕事が続けられた。しかし、誰でもできるものではないのだろう。それなりの資質が必要だろうし、なによりもやりたいと思う人がいるかどうかだ。
かおりさんに後継者はいるのかと尋ねたが「いない」との回答。一旦途切れてしまうと復活はなかなか難しいだろうな。もう花電車は観られないのかなぁ~
そう思っていたところに、花電車をやる踊り子が来演することになったわけだ。彼女の名前は葉月凛、DX歌舞伎所属で10年目のベテランという。
彼女の演目に熱海温泉ものがあり、その中に花電車が登場した。
国旗出し、ラッパ鳴らし、バナナ切り、オロナミンCと定番の花電車が続いた。
ちんぽ三兄弟もまんこ三姉妹も、初めての花電車に目を丸くした。
「どうして、ラッパを吹けるの?」と、ちんぽ三兄弟は聞く。
「お尻から‘おなら’が出るのと同じように、膣からも‘ちなら’というものが出るらしい。しかし簡単には出ない。ところが腹筋を鍛えると膣から自由に空気を出すことが可能になるらしいよ。」物知りのおじいさんが答える。
「えぇー、そんなことができるんだ!」と、ちんぽ三兄弟が驚く。
「奥が深いんだねぇ~」と興味津々なまんこ三姉妹。
最近は、毎回のステージで花電車を演ずる花電車専門の踊り子はいなくなったが、葉月凛さんのように花電車に興味をもって演目に取り入れている踊り子は何人かいるようだ。ベテランではA級小倉のゆきみ愛さんが花電車ができる。栗鳥巣さんの女性器で描く似顔絵も有名。
花電車という特殊技能は、なんらかの形でストリップの中で是非とも残していきたいものである。
おしまい