美咲遥さんのお店スナックでmisakiさんと時咲さくらさんがチーママとして働いているので、次はmisakiさんを登場させます。

 

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今回は、ロックの踊り子・misakiさんについて、演目「箱の中」を題材にして語りたい。

 

 

H28年10月に入り、漸く秋が始まった。これまで半袖でも過ごせたが、急に朝方が涼しくなってきた。もう半袖の人はいなくなった。

10月頭の週のDX歌舞伎の香盤は次の通り。①美咲遙(DX歌舞伎)、②真由美(DX東寺)、③misaki (ロック)、④川菜ひかる(ロック)、⑤小宮山せりな(ロック)、⑥矢沢ようこ(ロック)〔敬称略〕。

 

今週はロックの新人、misakiさんと川菜ひかるさんを見たくてやってきた。川菜ひかるさんとは初顔合わせになるが、misakiさんとは既に今年の1月中の大和でお会いしている。あのときは若くて可愛いけど、金髪の今風ギャルと認識していた。今回なんと10ヶ月ぶりの再会となる。

三日目に顔を出したとき、丁度、若い女の子のベッドショーの最中。私はその子が川菜ひかるさんだと思った。ポラが始まり、場内のアナウンスが「misakiさんのポラの時間です」と流れ、慌てて準備してきた手紙を差し替えた。misakiさんは以前の金髪のギャルではなかった。もうひとつ、私は川菜ひかるさんを見たことがなかったのだがmisakiさんと川菜ひかるさんはなんか雰囲気が似ているよね(笑)。

私は急いで手紙に「大和ぶりです。おぼえているかな?」と書いて渡した。misakiさんが気づかないかなと思ったが「もしかして大和でお会いしてますよね」と声を掛けてくれた。私は驚いた。そして、私のことを覚えてくれていたことに非常に機嫌を良くした。(単純です笑)

 

misakiさんはH27年11月1日に新宿ニューアートでデビュー。いやぁーもうすぐ一周年なんだね。

今回のDX歌舞伎では、misakiさんのファンの方がたくさん来ていた。今やイメージチェンジしてかわいい系で売っているんだね。かくいう私もmisakiさんのかわいさにかなり参っています。(笑)

 

早速、今回のステージ模様をご報告します。今回は一個出し。

新作の演目「箱の中」。

最初に、ドレスを着たmisakiさんが現れ、人形っぽい動きをする。

一見、バレエの素養があるのかなと思い気や、「ダンス経験はありません。よさこい12年くらい笑」と言われる。ちなみに、よさこい祭りって高知だよね。

白と青の色彩が入り交じるドレス。スカートは膝上。肩紐、腕と足にゴム状の黒い線が入りドレスを引き締める感じ。頭には赤・白・青の髪飾り。なんかピエロのドレス版というイメージかな。白いブーツを履いて、パントマイムで人形踊り。

五つのお面を持っている。「仮面は五つ『無』『嬉』『怒』『哀』『悲』まぁ感情を表しています。なので表情を変えているつもりです。」四つの金の仮面には黒い目元、これが『嬉』『怒』『哀』『悲』を表す。そして、白いお面は赤い目元で『無』を表す。

ドレスを脱ぐと、赤いベビードール。そのまま、ベッドショーへ。衣装の下にはピンクのパンティが一枚のみ。

 misakiさんの若いヌードが輝く。薄いヘアに恥部がこんにちは。たまらなく嬉しい♡

 指先のマニキュアを見ていたら薬指が宝石のようにキラキラ輝く。足の指先はひとつ置きに黒いマニキュア。オシャレだね。

 選曲もいい。

1.Spiral parade/TK from 凛として時雨 

2.小フーガ/ピアノジャック 

3.真夏の通り雨/宇多田ヒカル 

4.見たくないもの/KANA-BOON

misakiさんに「踊り子を続ける気はあるの?」と確認したら「ステージを観て下さったなら分かるはず」という回答。聞くまでもなく、この演目には彼女の強い想い入れを感ずる。

misakiさんから、今回の演目が「箱の中」という名前なのを聞く。

その瞬間に、私の童心を擽(くすぐ)った。頭の中を勝手にストーリーが流れ出した。童話『箱の中から出ておいで!』がすぐに出来上がった。少し早いがこれを私からの一周年プレゼントにさせて頂きたい。

 

 

平成28年10月                               DX歌舞伎にて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箱の中から出ておいで! 

~misakiさんの演目「箱の中」を記念して~

 

 

 ミサキは小さい頃から一人で箱の中で遊ぶのが好きな女の子だった。

 箱の中は自分の世界。ふつうの子供が目をつぶって自分の世界を楽しむごとく、ミサキは箱の中で自分の世界を持っていた。

 その分、外の世界は怖かった。外にはたくさんの人間がいる。彼ら彼女らがどんな感情をもっているのか分からない。相手がどんな感情をもっているのかを知らないとどう接していいのかも分からない。私は一体どんな顔をして接していいのだろう?

一方で、自分がどんな感情でいるのかを相手に悟ってもらいたかった。そうでなければ他の人と接触したくない。そうしないと気分を害してしまうだけ。ずっと箱の中にいる方が楽だった。

 

あるとき、面白いお面を手に入れた。人間の喜怒哀楽をそれぞれ示すお面だった。それは黒っぽい色で、男の人の表情で喜・怒・哀・楽の四つを表していた。他にもうひとつ、白っぽいお面があって、それは女の人の無表情を表すものだった。

ミサキは、その白っぽい無表情のお面を気に入っていた。他の人と接して喜怒哀楽を感じるより、無表情でいた方が気が楽だった。彼女にとって箱の中の世界は無表情の世界だったのだ。

 

しかし、ミサキも学校に行くようになって、箱の中に閉じこもってばかりいられない。彼女はいつも喜・怒・哀・楽の四つを表すお面を持ち歩いた。友達が寄ってきたら、その中のどれかのお面を取り出してかぶった。たとえば「今の私は気分が悪いの。だから話しかけないで!」と怒ったお面を付ける。友達はみんなミサキのことを気持ち悪がって、段々近寄らなくなった。こうして彼女は心の中に無表情のお面をかぶっていたのだった。

ただ、ミサキは自分の世界に閉じこもっていたが、成績は抜群に良かった。友達と遊んでふざけ合う時間がない分、本を読んだり、勉強したため、成績は常にトップクラス。優秀な成績で、女子高校に進み、女子大の最高峰であるお茶の水女子大学にストレートで入学する。

 

ミサキは年頃の女性になった。ミサキは相変わらず無表情だったが、顔立ちは整っていた。世に言うクール・ビューティなタイプだった。

ミサキはお化粧に興味をもった。男性には無関心だったが、自分の美貌を磨くことには興味を示した。髪型をいろいろ変えたり、髪をいろんな色に染めるのが楽しかった。小さい頃に箱の中で女性雑誌を読んで楽しんでいた思い出に浸った。あの頃のささやかな夢がいま現実のものとなったのだ。今やミサキ自身があの頃の箱の中で描いていた理想の女性に近づきつつあった。もう、ミサキは箱の中から出て行くべき時期にきていた。

 

ある青年がミサキの美貌に心を寄せてきた。ミサキはそれまで殆ど男性と話したことがなかったので彼を避けようとした。ところが彼のミサキを想う気持ちはとてもピュアなものだった。なによりも彼の視線は温かかった。ミサキの中で、これまで感じたことのない感情が芽生え始めた。

その青年が話しかけてきたとき、ミサキはいつものように喜・怒・哀・楽の四つを表すお面を付けて対応しようとした。ところが、ミサキは迷った。話しかけて来られたら困るという怒ったような悲しいような表情もしたいけど、一方で心から嬉しくて、たまらなく楽しくて、どういう顔をしていいのか分からなくなった。いろんな感情が身体の奥底から吹き出した。ミサキは頭の中が混乱しどうしようもなくなった。

青年が優しい声で囁いた。「それが恋という感情なんだよ!君はそのままで美しい!」

ミサキは彼の優しい視線を感じながら黙って頷いた。

 こうして、ミサキは彼の手が導くままに箱の中から出ていこうとしていた。

 

                                    おしまい