東洋の踊り子・伊東紅蘭さんについて、2020年9月中の大阪東洋ショー劇場での公演模様を、新作The Strength of nature」を題材に、「チャレンジフルな演目」という題名で語ります。

 

 

2020年9月中の大阪東洋ショー劇場に8日目から三日間通う。

今週の香盤は次の通り。①上野綾(東洋)、②虹歩(蕨ミニ)、③清水愛(ロック)、④伊東紅蘭(ロック)、⑤南まゆ(ロック) 〔敬称略〕。

 

前作の1周年作「ゆいま~る」はまさしく伊東紅蘭さんらしい味のある作品で、誰もが絶賛していたので、次の作品はそれなりにプレッシャーがありそうに感じていた。ところが、そのプレッシャーを跳ねのけるようにチャレンジフルな作品が出来上がってきた。

ちなみに、チャレンジフルと言ったがこれは和製英語で殆ど使われない。英語的には、チャレンジングの方が正しい。これは”困難だが挑戦しがいのある”という意味です。同じ意味で「チャレンジャブル」という言葉が使われますが、これはchallengeにableをつけた造語なので外資系では使用されません。今回は、私の語感から、なんとなくチャレンジフルを使ったよ。   

なにがチャレンジフルかと言うと、まずタイトル名「The Strength of nature」。直訳すると「自然の強さ」になる。Strengthの意味は「力強さ。体力。筋力。また、気力。精神力。」と辞書には出てくるが、英語で「長所(短所)/強み(弱み)」は、“strong point (weak point)” や “ strength (weakness)” を使って表現することができるとのことなので、「自然の優しさと寛大さ」と捉えることもできる。

すぐに伊東紅蘭さんから解説してもらった。以下の通り、そのまま転記させてもらうね。

「この演目では私は、私たちに到底及ばない自然の『強さ』(自然の神のような存在)を演じています。2曲目は、人間の様々な自分勝手な感情、言動に惑わされたり、囚われる場面です。そんな私たち人間の勝手な感情、言動にも揺らぐことなく、空気を放ち、太陽をさし、強く、優しく、そこに在り続ける。そんな自然の『強さ』を表しています。私も、こうありたい。」

 こりゃ、すごいテーマに取り組んだものだと思った。

 しかも、選曲は全て自分でやり、振付は「初めてダンサーさんに付けてもらった」という。めちゃくちゃ気合の入っている作品である。

 今週が初出しの新作「The Strength of nature」を私なりに紹介したい。

 

 初めて、なんの予備知識なしでステージを拝見したときの私の印象はこうだった。すっぽり頭から大きなベールをかぶって登場し、お顔が見えたら、白い数珠のヘアバンドに額のアクセサリーが見えた。なんとなく、インドの結婚式なんかで着飾るターバンヘアぽいかなと感じられた。音楽も、インドではないが、どことなく民族音楽ぽい。しかし、この最初の印象は全く間違っていた。そもそもブルー系は、インドではなく、ヨーロッパ的。また音楽も北欧のケルト系の癒し音楽である。

 

 最初にステージに登場したとき、頭からすっぽりと布(ベール)で覆っている。鮮やかなブルーに金の模様が刺繍されている。スカート部も同じ柄なので全身をマントで包んでいるような恰好だ。

 おもむろに、布をとる。頭には白い数珠がヘアバンドのように織り込まれている。額にぽつんとペンダントのアクセサリーが垂れる。

 白いドレスが現れる。上半身は着物のような衿状で、襟の部分は水色。下半身は前上がり後ろ下がりの大きなスカート。前は白く、裾は水色。白いスカートを包み込むようにブルーに金の刺繍が入った布がおおう。そして腰には大きな水色のリボンを付ける。

 紅蘭さんのコメントを読んで、ブルーが空、水、空気などの自然を表し、金の刺繍が太陽を表しているのだと気づく。

 金のハイヒールを履き、音楽にのって踊る。

 一曲目は、Liz Madden(リズ・マッデン)の「Spancil Hill」。美しく儚げな歌声で奏でるケルトの調べ。伝統的なアイルランド・ミュージックをベースにしているヒーリングサウンド。

ケルト音楽とは、レコード会社、音楽メディア、ジャーナリズムなどによって西ヨーロッパのケルト人達の民族音楽から発展し、継承されていった幅広い音楽のジャンルを総称する音楽用語である。特にバグパイプ使用など、民族音楽色が濃いミュージシャンが、このジャンルの代表格とされている。

 一転、二曲目で激しい旋律に変わる。

二曲目は、Sweetboxの「SORRY」。ネットで検索したらMVの画面が戦闘もののゲームシーン。PS2のRPGゲーム、「ファイナルファンタジーX-2」北米版でのテーマソングらしい。

スウィートボックス (Sweetbox)は、ドイツ出身の音楽グループ。エグゼクティブ・プロデューサーHeiko Schmidt、サウンド・プロデューサーRoberto "GEO" Rosanと歴代ヴォーカルによるユニット。

紅蘭のコメントによると、この曲がキーポイントになっているようだ。曲のタイトル「SORRY」が示すように、人間の様々な自分勝手な感情や言動を申し訳ないと言っている。

ここで一旦暗転し、着替える。

肩から吊るした白いロングドレス姿で登場。スカート部は前上がり後ろ下がりで、花柄の刺繍入りの透け透けの生地だ。

頭は先ほどと同じ。以降もずっと同じ。白いピアスがきらり。

音楽に合わせ踊る。

三曲目は、Celtic Womanの「The Call」。天使のような歌声に癒される。

ケルティック・ウーマン(Celtic Woman)は、アイルランド出身の女性で構成される4人組の音楽グループ(過去には5人組、6人組の時代もあり)。結成後、ツアーやスケジュール等によりメンバーが変遷している。

2006年2月に行われたトリノオリンピックのフィギュアスケートで金メダルを受賞した荒川静香が、エキシビションで「ユー・レイズ・ミー・アップ」を使用し、日本でケルティック・ウーマンが知られるきっかけになった。なお、「ユー・レイズ・ミー・アップ」 (You Raise Me Up) はアイルランド/ノルウェーのミュージシャン、シークレット・ガーデンの楽曲。2002年のアルバム『Once in a Red Moon』に収録されている。多くのアーティストがカバーしている。

そのままベッドへ。

きれいなヌードに酔う♡ 手には白いマニキュア。

ベッド曲は、Enyaの「Wild Child」。癒し系の代表曲である。

歌詞は「無暗に理由など考えずに、自分の周りをとりまく大きな流れを受け入れ、それに身を任せましょう」というメッセージ。「Wild Child」というタイトルが‘自然と生きる子供’であることから、自然と共に生きる人々にとっては、このような時間の移ろい身を任せる、ただそれだけで充分かけがえのない物ということでしょうか。

エンヤ(1961年5月17日 -現在59歳)は、アイルランドの歌手、作曲家、音楽プロデューサー、音楽家。音楽一家に生まれ、アイルランド語圏のドニゴール県グウィドーで育つ。1980年、エンヤの兄姉ほか家族が結成したケルト音楽グループ「クラナド」に加わり、キーボードおよびコーラスを担当し、音楽家としてのキャリアを歩み始める。1982年、ソロ活動を追求するため、クラナドのマネージャーおよびプロデューサーを務めていたニッキー・ライアンと、後にエンヤの楽曲の作詞を手がけることになるローマ・ライアン夫妻とともにクラナドを脱退。それから4年の歳月をかけて、デジタル・マルチトラック・レコーダーを駆使したボーカルとキーボードの多重録音や、ニューエイジ、ケルト音楽、クラシック音楽、教会音楽、民俗音楽の要素を取り入れた、エンヤ独自のサウンドを作り上げていく。アイルランドの伝統的な文脈の上で、テクノロジーを活かした作曲を行う。レコーディングでは、さまざまな楽器を自身で演奏するマルチプレイヤーでもある。これまでに10の言語で歌っている。

立ち上がり曲は、Sonna Rele(ソナ・レレ)の「Strong」。映画"Cinderella"(シンデレラ)のエンディングで歌われている曲です。Sonnaさんの声が素敵です。低く落ち着いた声もいいですし、サビなど高音になってもディズニーっぽい柔らかさでなく、力強さがあります。歌詞も、「シンデレラ」のお話にぴったりで、「おとぎ話のようにいいことばかりじゃない。辛いことだってある。それでも強く生きましょう。」という感じ。

そして、この"Strong"というのが、今回の作品「The Strength of nature」にぴったりな選曲ですね。

 

選曲も振付も衣装も、とてもよく出来た作品です。二周年目のスタートを飾るに相応しい素晴らしい作品と感じました。

 

 

2020年9月                             大阪東洋ショーにて