最近の私のストリップ日記から。「自由と拘束」という話題です。

 

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中條 美華 様

 

ご要望に応えて、今回の新作のステージ感想を書いてみました。思いつくままに書いたので、的外れだったら読み流して下さい(笑)。

 

先週H23年8月頭に大阪東洋に遠征して、初めて今回の新作を拝見。

まずは、新作の内容を私の目を通して簡単にご紹介してみます。

一曲目、白と紺が縞模様になった華やかなドレスで颯爽と登場。ドレスに合った豪華な髪飾りと腕飾りも装着している。サンバ風の軽快なリズムに乗って元気いっぱい舞い踊る。

二曲目は、華やかな衣装から、腕飾り、スカート、髪飾りの半分と順に外していく。スカートの下には紺のスター印が入ったかわいいスカートが見える。軽装になって、またリズミカルに踊る。ここまではダンス・ステージといったところ。

三曲目から、一転がらりと雰囲気が変わってベッドに入っていく。

トラ模様の布を上下に二枚はおっている。幻想的な音楽に合わせ、なまめかしい演技が続く。左手首と右足首には鎖がついている。トラ模様なので、ジャングルの中で囚われたトラがイメージされる。布の下には下着は付けていないので、ベッドではセクシーで艶かしさが強調される。

 

この内容から、どういうテーマを見つけたらいいのだろうか。

サンバとジャングルから、暑い南米の夏がイメージされた。

私はそうした感想を手書きして美華さんに渡した。夜行バス明けで頭が十分に働かず、こんな感想しか浮かばなくてごめんねと書き添えた。

それに対して、「翌週のTSで、また感想、待ってるわね」と言われ、私の第一感想はどうも的外れだったようだった。

 

翌週H23年8月中、TS初日、会社帰りに美華さんの応援に行った。

もう一度、しっかり新作を鑑賞してみた。

前半と後半でがらりと雰囲気が変わること。そして、後半の鎖、の二点が気になる。

前半と後半とでは、音楽ひとつとっても、乗りのいい明の前半と幻想的な暗の後半、まるで昼と夜の世界のように違う。すごく二面性のある設定だ。

ふと、「自由と拘束」というキーワードが浮かんだ。

前半は、華やかなサンバの踊りに象徴される開放感溢れる自由な世界。後半は、鎖に象徴される拘束の世界。

人の心は、自由と拘束の間を彷徨うもの。誰しもが自由を求めがちではあるが、一方人間の奥底には拘束されたい深層心理が潜んでいる。SMプレイを求めるのもその表れのひとつ。会社生活でも、だいたい一割の人間が方針を決め、残りの九割はその命令に粛々と従っていく。普通の人間は命令に従っている方が楽なのである。また日常的な話では、夫婦間でも「いつも女房はうるさいが、女房の言うとおりにやっていると楽でいいんだよな」という旦那の話をよく聞く。社会構造も、また人が生きていく上でも、自由と拘束の微妙なバランスの上で成り立っていると云えそうだ。

 

そんなことを考えながら、狭いTSのステージでまさに目の前で艶かしく演じている美華さんの心理が伝わってくるような気がした。

愛における自由と拘束のはざ間で揺れる女心か。女ざかりのお年頃になり、結婚願望もあるだろう。独身のままでいると自由を謳歌できる一方、いつかはすてきな王子様に自分の自由を奪われたいという結婚願望もあるだろう。愛は自由と拘束というパラドックスの上で揺れ動くもの。中には、拘束願望から結婚してはみたものの、最後には自由を求めて離婚する人もいるだろう。人生とはなかなか簡単に割り切れない、皮肉なものである。

 

平成23年8月                         TSミュージックにて  

 

【事後談】

 私の感想、図星でした!

 美華さんからのお返事「新作の感想ありがとうございます。そのとおり!!‘自由と拘束'です。どんな人にも生活するうえで必ずあるはずです。でもその中で皆はそれを保って生きてると思うので、作品にしてみました。。題名が難しいです。でも、伝わっていて良かったです。」「結婚願望は・・・予定もないですよ(笑)」

 当たって良かった・・・ストリップ評論家としての私の面目躍如・・・と思いながらも、こんな難しいテーマを作品にしようとする踊り子さんがいることに感心したり脱帽したり・・・

 これだったら、私のようなストリップ評論家も存在意義があるのかな(笑)