十年以上ストリップ通しているが、皆勤したのは一度しかない。仙台に単身赴任していた平成20年8月頭の仙台ロック公演。当時応援していた矢島愛美さんが初めて仙台ロックにのった週だった。ただ、七夕祭りの三日間は休館だったため、実質七日間の興行だった。
十日間興行で一番多く通ったのは、同じく単身赴任していた平成19年6月頭の仙台ロック東洋大会で、九日間の準皆勤。一日仕事で山梨出張が入って皆勤できなかったのが本当に残念。このときは当時夢中になっていた東洋の春乃霞さんが出演。霞さんは私との約束を守り東洋のママさんに仙台ロック出演をお願いしてくれ、かつ私も仙台ロックの社長に働きかけて実現した夢の公演だった。私は当時、たくさんいた霞ファンの間で‘春乃霞を仙台に呼んだ男’として一目おかれていた(笑)。お蔭で、大阪からたくさんの霞ファンを仙台まで遠征させるはめになったというわけ。
こう書きながら、皆勤するほどの興行というのは、夢中になっている踊り子さんとの思い出深い公演であり、今更ながら感慨深いものがある。
そして、今回ついに10日間の完全皆勤をやってしまった。
平成23年2月頭のTSミュージック。この興行は私のストリップ歴に永遠の金字塔として記録されることになった。
私は今関東でストリップ通いをしているわけだが、仙台のように仙台ロックしかないわけでなく、劇場数も多く、応援している踊り子さんもたくさんいるので、ひとつの劇場を皆勤することはまずない。また平日は会社帰りになんとなく足が向かってしまうが、土日は会社に行くことも多く、家族サービスもあり、劇場に行くことは少ない。だから皆勤はありえない。
少し前に、お気に入りの東洋の踊り子さんがTSにのったときに張り切って八日間通い、うち後半は皆勤したが最後は疲れてヘロヘロになった。皆勤は体力的にももう無理だぁ~と思っていた。
それなのに今回、完全皆勤したのだが、不思議に疲れは全く感じなかった。毎日楽しく通っていたら十日間が過ぎていた感じだった。
なぜか!? 振り返って考えてみると、一度に二人のストリップ天使と出会ったからである。本公演では三人の新人さんと初対面した。新人好きの私は三人とも気に入ったが、私はそのうちの二人の踊り子さんに一度に恋に落ちてしまった。二人ともステージを拝見するたびに胸がキュンキュンした。それが1ステージ毎に二度訪れるのだからたまらない。こんなことは初めての体験。ふつうは二人のどちらかに優劣を付けるのかもしれないが、優劣付け難くどちらも好きになってしまった。二股をかけるとか、そんな下世話な言葉では言われたくない、ストリップの父として二人とも応援したいという本当に純粋な気持ち。人によっては複数の踊り子さんを好きになるのはいけないという方もいるが、私はそうは思わない。時間と経済的に余裕があれば何人の踊り子さんを応援しても構わない、それがストリップの良さなんだと思う。本公演では、ストリップだからこそ可能なダブル恋愛を体験した。今回は二人そろったからこその完全皆勤だと感じている。
さて、本公演の香盤を記録しておく。
1. 徳永心さん(TS)
2. 三沢いまりさん(TS)デビュー
3. 山口桃華さん(TS)
4. アキラさん(道頓堀)
5. 藤森由夏さん(東洋)
6. 水咲カレンさん(TS)
7. 華原希さん(TS)デビュー
本興行は、ベテランと新人の組み合わせが絶妙だった。私が理想とする‘新人へのときめき’と‘ベテランとのやすらぎ’というバランスがとれた最高の週だった。
徳永心さん、山口桃華さん、水咲カレンさんはデビューから応援しているお馴染みのお姐さん方。いつものように手紙で楽しくコミュニケーションさせて頂いた。
その中でも、今回初めてエロ童話を書いて渡したが、もしかしたら顰蹙(ひんしゅく)をかうかなぁ~と心配していたらうけた! うけた! 特に心さんに喜んでもらえて嬉しかった。「エロおもしろい物語。桃太郎で大爆笑ですよ。流れてきたエロポラ・・・みんなで回し読みしてしまいました。あはは~」
山口桃華さんが山形出身なのを初めて知った。今週は、藤森由夏さんが岩手、三沢いまりさんが福島、そして私が秋田と、東北勢がそろったので東北人会でもやりたい気分だったよ!
心さんも、桃華さんも、カレンさんも、日を重ねるごとに私の皆勤が現実のものとなっていき「頑張って、皆勤してね!」と逆に私を応援してくれた。私としては頑張らなくても皆勤できる感じを持っていたが・・・。感激したのは、楽日のラストポラの時に、カレンさんからの返却ポラ袋にパンプレが入っていたこと。私はカレンさんの匂いに昇天した(笑)。私のお宝がまたひとつ増えた。
そして、新人三人がみなさん素晴らしかった。先週東洋でデビューしたばかりで、そのまま関東に初乗りの藤森由夏さん。そして、TS所属の三沢いまりさんと華原希さんが今週デビュー。三人とも私の手紙にとてもよく反応し仲良くして頂けたのに大感激。
華原希さんはAV出身で前評判通りのナイスな踊り子さん。日に焼けた今風のギャルといった雰囲気で、ダンスセンスがいい。落ち着いてくるにつれ、どんどんダンスがよくなり、すてきなステージになっていった。皆勤したので彼女の成長の過程が手に取るように感じられた。
さて、二人の天使について述べさせてもらう。
一人目の天使は三沢いまりさん。
最初に、本公演初日の私の事情から話す。タイミングよく、東京で午後から二時間ほどの仕事があった。そのため、朝からTSに並んでいい席をキープ。二番目の三沢いまりさんを見てから仕事に向かうことにした。劇場にちょうど顔見知りの方がいたので、私が戻ってくるまで私の席に座ってもらうようお願いした。
お蔭で、三沢いまりさんのデビュー初日の初ステージを拝見することができた。最初、私は、入り口に貼ってある宣材ポスターを見て私の好みのタイプではないなと全く期待していなかった。ところがところが、ステージに現れた実際の彼女はキュートなかわいい子で驚いた(失礼!)。そのギャップもあり、私は最初のステージで彼女に一気にはまった。
かわいらしいだけでなく、笑顔がよく出ていて、ダンスもうまいし、ウエスタン・カーニバルの演目は見ていてとても楽しいステージ。さらに若くてきれいなヌードに魅了された。
仕事から戻ってきて、ポラ返却してもらったら、丁寧な長い返事が同封されていた。手紙の中に自画像の絵が描かれていて、驚くほど上手だった。「私は絵を描くのが好きなのです!」この丁寧な反応に私は一発で夢中になった。
二日目に来たときに、TSの従業員さんから「そうですか、太郎さんもいまりさんを気に入りましたか。新人のいまりさん、すごく評判がいいですよ。2日続けてリピートしてきた常連客のほとんどがいまりさんを気に入ったと言っているんですよ。彼女はすごい美人ではないけど、ストリップ・ファンを惹きつけるいい魅力を持っているんですね」と話してくれたのが面白かった。
彼女は根っからの踊り子だと思う。初日からダンスの振りを間違えても全く動揺しなかった、というか間違ったのに気付かなかった。「正直ダンスは、ちょっとずつフリが違くなってたりします(笑) 決めてたフリがとんでも、やりきっちゃえば違うフリでもなんとかなると思ってると少し気持ちが楽になります。だから毎回ちょっとずつフリが違うところがあるかもです。」「私は小学校の頃に少しの期間ですが新体操と社交ダンスを習ってました。それも今回のステージで役に立ってくれています。一つ目のダンスは社交ダンスでやっていたステップを思い出しながら、先生とフリを考えて作りました。小さい頃少し習ったことでも、ミスをしたとき、おかしくない動きがパッと出てきたりするので助けられております。もとから身体は柔らかい方ではあったのですが、今回のステージのための練習でもっと柔らかくなりました。」「笑顔になると体も動くので笑顔はお守りみたいな感じです。私のステージを見て幸せになってもらえたら、私も同じくらい、いえそれ以上に幸せでいっぱいですよ!」「恥ずかしいとかそういうのを我慢してチャレンジした人だけが行けるところってありますよね。そこを目指して頑張りたいな。」
私は彼女のステージを絶賛した。「アドバイスありがとうございます。自分でも考えて工夫していきます!」「沢山のお言葉で胸がいっぱいです。」また、私がベッドで衣装が邪魔でせっかくのきれいなヌードがよく見えないなぁと注文をつけたら、すぐに対応しサービスしてくれた。「先生に言われたとおりだけでなく、お客さんの声を大切にしないといけないですよね。自分でどう布を扱うか考えてみますね。」その素直さにも感激した。
私は彼女のステージからたくさんの元気をもらった。一方、彼女も「ダンスやベッドのとき、とても楽しそうにしてくれているので、私も元気いっぱいになります☆」「太郎さんの楽しそうな顔を見ると、私も元気と勇気がわいてきて頑張れます。」「太郎さんのお顔を見るとなんだか安心します♪今日も良い一日になりそう、そんな感じがします。」
踊り子とファンとしてお互いが最高の関係になってきたのを実感した。毎日がとても楽しかった。「今日も見に来て頂きありがとうございます。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。そして、とても嬉しいです♪ ラブレターもありがとうございます。どういう風に思われているのかわかって、私も色々考えさせられました。ステージの上で私もいっぱい気持ちをお返ししたいです。しっかりと伝わるよう、私の中にあるものをしっかり出していきたいと思います。」十日間が本当にあっという間だった。「今日は楽日、夢中でやってきたせいか十日間、本当にあっという間でした。困ったり、悩んだりしたこともあったけど、楽しくステージに立つことができるようになって、それが本当に嬉しいです。太郎さんに出会えてストリップの色んなこと、喜びを教えて頂きました。」
改めて、彼女との文通は最高に楽しかったなぁ。いつも私の手紙に敏感に反応してくれた。時に「哲学の世界で、よく言われていることの引用ですが」と前置きして、私の手紙の奥底に流れる哲学的な思想に真剣に反応してきたときにはびっくりした。長いお手紙を何度か頂き、すごい頭のいい子だと感心した。「そんなこんなで色々思ったことをぱーっと書いてしまいました。書くことは楽しいですね」ホントこの子とは気が合うと感じ、これからは追っかけて応援してあげようと心に決めていた。
ところが、彼女はまだ美術系の学生で、いま春休みということ。ストリップは次の3月頭のシアター上野で一旦やめると言われ、正直ショックは大きかった。ともあれ、次の上野で会えることを楽しみにしていたら直前で飛んでしまった。本当にがっかりさせられた。
今ではもう会えない幻の踊り子になってしまった。
もう一人の天使は藤森由夏さん。
彼女もとてもチャーミングな美少女。
さて最初に彼女のどこを気に入ったか? 失礼なエピソードを話す。実は私の目は上の顔より先に下の顔にいった。よく下半身にも顔があると言われるが、彼女は間違いなく美人コンテスト・グランプリ!!! 透き通るような白い肌のせいか、淡いピンク色のきれいなお顔。なんてきれいなんだろう~見ていて本当にそそられた。岩手の盛岡出身ということで、私と同じ東北の血が流れている親近感まで覚える。私はストリップ・ファンであるからには、かぶりつき大好きを隠したりしない。(笑)
ただ、初日の彼女は真正面だけ向いてベッド・ショーをやっていて、真横に座っている私には肝心なところが全く見えない。盆の動く東洋から来たばかりで、TSの盆に全く慣れていなかった。私は手紙で、ベッドでは自分で動いて、盆周りの客にサービスしてね!とアドバイス。そうしたら、彼女は真摯に反応してくれ、いっぱいサービスしてくれた。「回らないベッドショーに悪戦苦闘中です(汗)!」
私は彼女の下の顔の美貌を絶賛した。綺麗な顔を近くで眺めたいと心から思い、是非ともオープンでは私のところに来てほしいとお願いした。そうしたら、「今日も太郎さんの所に行きますよぉー!」この彼女の素直さに感激し、けなげに頑張る彼女に私はどんどん夢中になった。
私は、ステージの上から彼女の視線をたくさん感じた。「太郎さんはニコニコしていらっしゃるので目が合うとホッとします。ほかの方々はムッとした表情の方が多くて・・・(真剣に見て下さっているととらえておきます・・・)」「ステージに立つとすぐに太郎さんを見つけられます☆ 太郎さんのニコニコはとても素晴らしいと思います。」「ステージに立っている時は淋しさもあるし不安もあります。でも、その分、太郎さんのような笑顔を見るとすごく嬉しくて、楽しくなって涙が出ちゃいそうになります。太郎さんは私の妖精さんですよ☆」
彼女は私の手紙に毎回きっちり反応してくれ、毎回楽しい会話ができた。「どんなお手紙をもらえるのか・・楽しみにしています。すごく支えになります。」
笑顔と視線と会話がスパイラルに回り始め、まるで毎日デートをしている気分になった。
劇場に行くのが楽しくて楽しくてたまらない。疲れなんか全く感じない。私は完全にファンに落ちた。そして恋に落ちていた。「太郎さんのような女性に対して丁寧な男性にまだ出会った事がないです。」「太郎さんの愛は十分すぎるほど伝わってますよ!! 実際、お客様からこんなに長いお手紙と童話をもらう事は初めてだし、このお手紙に支えられ、成長していく自分がわかります。今までにない感覚ですね☆」 私はラブ・ストーリーを自作自演していたのだろう。こんな夢見心地は久しぶり。
楽日が近づくにつれ悲しい気分になってきた。楽日のときに自分がきっと泣くだろうなぁ~と由夏さんへの手紙に書いた。「あなたの涙は私がふいてあげます。百万倍の感謝!!」というポラ・コメントに感激する私。でも、楽日は楽しい日と書くのだから、笑顔で終わらせないといけないなぁと思いかえした。
由夏さんの楽日ラスト・ステージ、私が花束を渡した瞬間、由夏さんの目に涙があふれた。私のドラマは由夏さんの涙で最高のクライマックスを迎えることができた。「10日間どうもありがとうございました!! 皆勤おめでとうございます。太郎さんのお蔭で私も皆勤する事ができました(笑) 本当に感謝してもしきれないくらいです。ストリップの魅力を教えて下さってありがとうございました!」この10日間は素敵なドラマであり、そして由夏さんはドラマの素晴らしき共演者だった。
今回の完全皆勤は決して忘れないことだろう。
平成23年2月 TSミュージックにて