今日は、H25年11月の、初めての道後ミュージック観劇を話します。

 

 自分でもまさかなのだが、とうとう遥々四国までストリップ観劇にやってきた。

ひとえに、踊り子さんが惹きつける強い魅力に感動するのみ。実は、渚あおいさん(東洋所属)とは、今年に入って、西川口にも初めて行き、更に道後まで初体験することになった。たくさんの劇場通いをしている私にとって、行きたい劇場が毎週たくさんあって、今更新しいところまでは中々足が向かない。それでも引っ張ってくれる踊り子さんの魅力に脱帽&感謝である。

以前、もう引退されたロックの矢島愛美さんを追いかけて全国を回ったことを思い出す。その中で、今ではもう無くなった郡山ミュージックと福山第一劇場がある。あのときに行っておかなかったら二度と行けなかった。だからこそ、非常に懐かしく感じる。最近も、若松劇場が閉館になったりと、ストリップ劇場はどんどん少なくなっている。行かないままで消えてしまうのはあまりにも淋しい。今回の道後や西川口のように、好きな踊り子さんに引っ張られるのが一番うれしい。そういう踊り子さんと巡り合えるのがストリップの醍醐味である。

お蔭で、初めての道後を、観光も兼ねて、しっかり記録させて頂く。

 

今回の道後行きは最初から計画していたものではなかった。

11月2~4日の三連休に大阪に遠征した。警察ガサ入れから先月八か月ぶりに再開した東洋に、ロックの灘ジュンさんや小宮山せりなさんが出演したので、引き続き東洋に向かった。最初の2日(土)は夜行バス明けで一番乗り、いい席で観劇できた。ただ席は入れ替え制なので落ち着かない。最初は三日間東洋にいるつもりだったが、ふと道後に渚あおいさんがのっていることに気付いた。大阪からだったら道後に行ける!!! すぐに夜行バスの運行状況を確認したら連休の中日だったのでまだ空席がある。それで心は決まった。当日東洋にいたスト仲間に道後への行き方を教えてもらい参考にした。

ステージ四回目の途中で東洋を出て、大阪駅から22時50分発の松山エクスプレス号に乗り込んだ。往復12,000円。乗り心地としては、東京・大阪間の便よりは落ちるが、東京・仙台間の便よりはグレードが上。

翌3日(日)早朝、予定時刻より少し早い五時半頃に到着。外は寒くはなかったが、まだ真っ暗だった。明るくなるまで松山駅で休むことにした。駅の中に‘ぼっちゃん広場’という休憩場所があった。そういえば松山は夏目漱石の「坊ちゃん」の舞台だったなと思い出す。

昨日の観劇レポートを書きながら時間を潰し、八時過ぎに行動開始。市電に乗って、松山城へ。広島もそうだったが、西日本は市電がいまだに走っていて便利。市内は大人150円均一料金と安い。10分ほどして大街道(おおかいどう)という駅で降りると、左手に松山城方面の路地がある。当日は商店街の祭りだった。2~3分歩くとロープウエイ乗り場があり、そこから正味二分半で松山城入口に到着。ロープウエイの案内役のお姉さんがすてきな袴姿でマイクでの説明も上手かった。最後に「だんだん」と言っていたが「ありがとう」の方言らしい。ロープウエイを降りてから城内に行くのに急な勾配でけっこう大変だった。たまたま路面が雨に濡れていて滑って上り辛い。三連休なので見学客は多い。天守閣までゆっくり観て回った。少し感想をメモしておく。

松山城の入口に、松山城マスコットキャラクター、いわゆる‘ゆるキャラ’の「よしあきくん」が鎧兜姿で立っている。松山城の創設者は加藤嘉明(よしあき)。豊臣秀吉から才能を見いだされて登用された彼は、関ヶ原の合戦では徳川家康側に従軍し、その戦功を認められ伊予20万石の大名になる。嘉明が来て初めて松山という名称が公になった。まさに嘉明が松山の名付け親的存在。彼は20年の歳月をかけて勝山に城を建築したが、完成を直前にして、会津40万石に移される。まるでサラリーマンの転勤みたいだな。城の完成を見れなかったなんて余りに気の毒だ。

松山城は、市内の中央部にある海抜132mの勝山山頂にあり、天守閣から松山市全貌と遠く瀬戸内海が見渡せる。国の重要文化財となっているだけあって、非常に立派な天守閣で、姫路城と並び称される慶長期の城郭建築。城内の説明に、いろいろ匠の技が紹介されていた。私はふと66歳と早くに亡くなった父を思い出す。父は大工の棟梁で、父の建てる家はお城のような形をしていた。金を惜しまない注文には特に評判が良かった。城を建てた人々の技と苦労をしみじみ感ずる。

朝食もとらずに城の見学をして疲れたので、見学を終えて食べた「いおかんソフト」は美味しかったな~♪

下山した辺りから雨が降ってきた。私はすぐ近くの「坂の上の雲ミュージアム」に急ぐ。入口の警備員さんが雨に当たらないようにと親切に道案内してくれた。このミュージアムは建築家の安藤忠雄さんの建築と知り感激。また私は20代にけっこう司馬遼太郎作品を読んでいて、その中でも「坂の上の雲」は好きな作品。初めて道後を訪れて、秋山好古と秋山真之の兄弟と正岡子規を生んだ土地柄が分かるような気になった。

改めて、ここ松山は文化の香りのする街だ。先ほどの夏目漱石の坊ちゃんもそう。言葉を愛でる風土があるようだ。「言葉は心の中から湧き出る温泉。あったまるでー」という看板の文字がやけに印象に残った。私もこうやって文筆を趣味にしているので、言葉の力はよく理解できる。ほんとうに温泉のように癒される言葉を紡ぎたいものだ。

このミュージアムをじっくり観ていきたいところだが、私の主目的はやはりストリップという文化!!! 心は劇場に向かう。

市電を使ってもよかったが、雨も降っていたのでタクシーを拾って、道後温泉に向かう。タクシーの運転手に温泉場や美味しい店を教えてもらう。

ニュー道後ミュージックに到着したのはお昼の12時過ぎ。ストリップ劇場らしい派手な入口ではなく、おとなしい感じの入口。普通の小さなビルの一階が劇場になっている。両隣にはラーメン屋がある。劇場の看板も控えめな感じで、この看板がないとストリップ劇場だとわからないほど。派手にしないように規制を受けているのかも。今週の出演メンバーのポスターが出ている。また「四国唯一のストリップ劇場、絶対に残したい!」という垂れ幕が目に入る。ほんとうだよね。四国にも、中国地方にも九州にもそれぞれ1軒の劇場しかなくなった。特に西日本のストリップ衰退は目を覆いたくなる。

さて、開演の15時まで時間がある。温泉場なので開演は平日17時、土日は15時と遅い。今日の開場は一時間前の14時かな。それまで温泉に行ってみることにした。劇場から繁華街に向かい徒歩1分ほどの近さに道後本館という温泉場がある。初めて来たからにはここ!とタクシー運転手が教えてくれた。入浴料400円、貸しタオル30円、シャンプーとリンス100円を払って中へ。温泉らしい(?)少し臭い匂いがするお風呂に入る。夜行バスと観光の疲れを癒す。ここがあの映画「千と千尋の神隠し」の舞台になった温泉場と知り、滅茶苦茶感激した。

その後、腹ごしらえにタクシー運転手から教えてもらった大和屋本店のランチ(お刺身がお勧め)に向かう。ところが満席で入れず残念。仕方なく適当なところで天ぷら寿司定食を食べる。

14時前に劇場に窺ったら、従業員から14時からと言われ、少し待って一番乗り。

私は道後温泉というイメージから、温泉街の鄙びたストリップ小屋を想像していた。ところがところが、中は非常に小ぎれいで、照明機具も整備され、トイレも新しく清潔感溢れ、なんかリニューアルしたばかりの印象。

前に、盆周りは檻のような構造と聞いていたが、なるほど盆周りに鉄製の手すり(柵)が付いている。客があまり盆に近づけない構造。最初に劇場を覗いたときには客席が盆から離れて置いてあったが、始まる直前に盆周りに小さな腰掛をたくさん置く。背もたれがないため長時間は疲れそうだが、その分、前の手すりに腕組みで凭(もた)れかかれる。意外に観やすいかも。「昔はこういう形が多かった。今ではここくらいしか残っていないが。」と常連さんが教えてくれた。

せいぜい座れて50人弱かな。晃生や仙台ロックを少し小さくした感じだが、正方形なので場内は狭い感じはしない。西川口に近いかな。ただ休憩できるロビーなどは無い。

 

15時からスタート。踊り子は三人なので一公演一時間半。三人がそれぞれソロステージし、最後に集合写真とフィナーレ・オープンショー。今日は一回目終了後、ビンゴ大会があった。一枚1000円。客が十数人のところに景品が十数個と、ほとんどの人に当たる確率。私もタルトが当たった。

一回目はビンゴもあって時間が少し押したので待ち時間もなく、二回目はすぐ17時から開始。問題は二回目終了後、20時20分始まりまで1時間半以上の休憩が入ること。遠征客の殆どはこの時間に温泉に繰り出す。私は当日、東洋常連の顔見知りがいたので三人で隣のラーメン屋に入り、少しお酒を飲む。一時間半はあっという間に過ぎ、三回目突入。

当日の夜、22時40分松山駅発の夜行バスだったので、余裕をみて三回目のあおいさんのステージを観て劇場を出る。道後温泉から市電で15分くらいで松山駅に着く。

 

今回は、渚あおいさん目当てで来たが、他のメンバーも揃っていて私的に嬉しかった。

トップは晃生の七海セーラさん。私の登場を驚いて、後のメンバーに話したようだ。

ステージで笑顔が爆発し、すごくいい雰囲気で踊っていた。二年目に入りステージは安心して観ていられる。本人は「あたしもそろそろ凝ったやつやりたいです」と話す。今年は飛躍する年かな。

ラストは渋谷道劇の愛野いづみさん。「ここで会えるとは。思わず、びっくりよ~。」セーラさんに私が来ているのを聞いたようだ。いづみさんは一年半ぶりの道後らしい。関東から顔見知りのタンバリンの方が遠征に来ていた。彼は全国各地どこでも応援に駆け付ける熱心ないづみファン。道後で彼に会うとは私も驚いたが、それ以上に彼が私の登場を驚いていた。

いづみさんの演目は「天女」「誘惑のマドンナ」と続いた。すごく艶っぽくて、ベテランの域に近づいた流石の演技を魅せる。今回は2ステージしか拝見できなかったが、今週は他にも「ビヨンセ」や「できないOL」を披露しているようだ。

さて、お目当ての二番手、渚あおいさん。私の登場はサプライズになった。「今日は道後に初入場!! ありがとう。とっても嬉しいです。西川口に続いて、道後まで!! 太郎さんのテリトリーが広がったね。」当日、東洋の常連さんが二人いて、三回目のボラ時に三人であおいさんを囲んで記念撮影を撮った。この二人とは一緒に酒を飲んだし、翌日東洋でも合流し、急に仲良くなった。こうやって仲間が増えることがストリップの楽しみのひとつでもある。

あおいさんにしても、自分のファンが遠征してきてくれてハイテンション。オープンの時に盆の柵(檻?)に足をかけてオープンし、ぐっと目の前に突き出してくれる。眩暈がするほど嬉しかった♪「道後は、オープンショー楽しいね。」

仲間三人で、大好きなあおいさんを応援できて、私も最高に気分がいい。久しぶりにハイテンションになる。広島のときも感じたが、こういう見知らぬ土地で好きな踊り子さんを囲んで気の合う仲間とストリップを楽しめるというのは、なんとも言えない楽しさがある。もっと色んな土地に行きたいものだ。しかし今は地方の劇場がどんどん無くなって、こういう楽しみ方ができなくなってきたんだと思うと凄く寂しい気持ちになる。

ちなみに、当日、巨人対楽天の日本シリーズの最終戦があり、楽天ファンのあおいさんは気が気でない様子。田中投手の大ファンというのを初めて知った。東北出身で、仙台に住んでいた私ももちろん楽天を応援している。サッカーの仙台ベガルタより早く野球の楽天が日本一になるなんて想像していなかった。九年目の日本一に心から乾杯!

 

 観光も兼ね、思い出深い最高のストリップ観劇(遠征)になった。

 

平成25年11月                             道後にて