蘭あきらさん(道劇所属)について、4周年作を題材にして語りたい。

 

 

H31年2月頭の渋谷道頓堀劇場に初日に顔を出す。

今週の香盤は次の通り。①虹歩(道劇)、②蘭あきら(晃生)、③御幸奈々(栗橋)、④望月きらら(晃生)、⑤園田しほり(フリー)、⑥本城ナナ(道劇)〔敬称略〕。今週は、本城ナナさんの一周年週。

 

5年目に入った蘭あきらさんの人気がブレイクしている。晃生でトリを任されるようになり、多くの固定客が最後まで残るほど人気が定着している。晃生ベスト3の人気という人もいるほど。そんなあきらさんが私とデビューからずっと仲良くしてくれて嬉しい限り。

  最近の作品もすごくいい。中でも私はマジシャンの演目が気に入っている。虹歩さんが元々やっていた演目を譲り受けたものと聞いた。観ていたら童話が浮かんできた。4周年作と聞いているので、合わせて観劇レポートしたくなった。

 

 最初に、インスト音楽にのって、一人のマジシャンが現れる。山高帽をかぶり、黒いコートを着て、マジシャンお決まりの恰好をしている。白いブーツを履いている。

 椅子の上に、一体の人形が置かれている。

 ここで暗転する。

 音楽が女性ボーカルの洋楽に変わる。照明が点くと、白い人形が人間に変わっている。

 白い髪飾り。黄色い衣装の上に、刺繍入りの白い肩掛けを羽織る。白いブーツを履いている。

 また音楽が変わり、髪飾りを取り、スカートを脱ぎ、金キラのパンツルックに。

 四曲目はインスト曲で、白いガウンを羽織り、盆に移動。

 ベッド曲は、女性ボーカルの洋楽。ノリノリになる。

 

 ストーリーとしては、マジシャンが人形を人間にした。その後、どう展開したのか分からないが気になる。私なりにストーリーを付け加えて、童話「愛を知ってしまった人形」が出来上がった。あきらさんにプレゼントするね。

 

 

平成31年2月                           渋谷道劇にて

 

 

 

 

『愛を知ってしまった人形』 

~蘭あきらさんの4周年作を記念して~

 

 

 マジシャンの姿をした気まぐれな神様が現れました。

「人間になりたいという人形はおまえか?」と、椅子の上に座っている白い衣装を着た可愛らしい人形の方を向きました。

 人形は答えました。「はい。人間になって、オシャレがしたいの。たくさんの綺麗なドレスを着て、歌やダンスをやりたいの。」人形の瞳は真剣でした。

 神様は人形の願いを叶えてあげようと思いました。「ひとつだけ条件がある。人間界の男性を愛してはいけない。おまえは人形と言う無機質の物体なので、それに命を与えることは自然界の法則に反していることになる。今回、無理やりに魔法で望みを叶えるが、万一、人間界の男性との間で恋愛が生ずると、魔法は解けてしまう。そのことに十分留意しなさい。」 人形は頷きました。そして、神様がマジシャンのステッキを人形の頭の上に振った瞬間、人形は素敵な女性に変わりました。

 

 人形は自由に動く身体が面白くてたまりません。大きな声で歌いながらダンスをしました。

 ふと、ストリップ劇場の看板が目に入りました。中をのぞくと、綺麗な女性が華やかな衣装に身を纏い、光と音の中を楽しそうに踊っていました。しかも、たくさんの観客の拍手を浴びて。「これだわ。それに、お金ももらえるし。これなら一人の男性に恋することはなさそう。」 可愛らしい容姿をもった彼女は一躍人気者になりました。

 

 ある日のこと。一人の青年がストリップ劇場にやってきました。

 彼は一目でその踊り子を見初めました。それから毎日のように劇場にやってきました。彼女は最初のうちは熱心なストリップ客の一人として応対していました。

 いつしか踊り子は彼の熱い視線を感じるようになりました。彼に見つめられると身体の奥の方が熱くなりました。彼の視線は、熱いキスのシャワーとなって降り注ぎ、ときに見えない手となって、彼女の身体を優しく抱きしめました。踊り子は身体の奥がとろけ出し、激しいエクスタシーを覚えました。

 

運命の日がやってきました。踊り子は彼の顔が劇場に入ってきた瞬間に、胸が高鳴りました。そして、ベッドショーのときに身体が動かなくなりました。

青年の目が自分のことを見つめています。踊り子の瞳から涙がこぼれました。

「さようなら。私のことを愛してくれてありがとう。人間になれて幸せでした。」

 彼女は意識が遠のく中で、マジシャンが微笑むのが見えました。

 

                                    おしまい