今回は、H25年9月15日の晃生での羽音芽美さんの4周年記念イベントの模様を、観劇レポート「晃生パラダイス」(その14)にて掲載します。

 

 

 9月14(土).15(日).16(月)と三連休があって、中日の15(日)に羽音芽美さんの4周年記念イベントが催される。

その週の香盤は次の通り。 ①結奈美子(フリー)、②井吹天音(フリー)、③飯島しき(道劇)、④坂上友香(東洋)、⑤羽音芽美(晃生)〔敬称略〕。

最初は、道劇の立花莉央さんの名前が出ていて、久しぶりに会えるのを楽しみにしていたが飛んでしまった。8月の渋谷でも香盤が飛んだから、もう会えないかも・・・。代わりに東洋の坂上友香さんが先々週の晃生に続き穴埋めに入った。友香さんとも仲良しなので嬉しい限り。井吹天音さんとは晃生でよく会う。彼女はもう晃生の準専属タレントだね。GWぶりに結奈美子さんに会うのも楽しみ。また飯島しきさんには先週の渋谷で初めて童話をプレゼントして喜んでもらえたので、そのときのレポートも書いて今回持参した。と色々楽しい香盤なのだが、なんといってもメインは芽美さんの4周年記念イベントである。

 

関東の劇場でも頻繁に、芽美さんの応援に通っている。

直前の8月結の大和ミュージックにも三日ほど通ったが、そのたびに「4周年には絶対に来てねー!3連休なんだから二日間は居てよー」と何度も念を押された。ところが私は3連休は仙台に遠征する予定が入っていた。仙台から大阪に向かうのは大変なので「絶対に二日間行く」とは約束できず曖昧な返答をしていた。ジョークで「(嘘つき)ピノキオの鼻」という童話を書いて渡した。「この浮気者~!!!」と芽美さんに叱られながらも(笑)、心の中ではなんとかイベントに行くつもりではいた。

3連休初日には予定通り、仙台ロックに行く。お目当ての新人さんを気に入ってしまったが、仙台遠征は一日だけにして夜行バスで日帰りした。翌朝六時前に東京に着いたら風雨がかなり強くなっていた。台風18号の影響だ。今晩大阪を直撃するとの天気予報なので帰りが心配された。いや、その前に大阪晃生ショー劇場の公演が心配。前日のうちに劇場に直接電話して確認したら、当日の公演はイベントもあるので必ずやる!と断言してくれた。ということで、迷わず新幹線に乗り換えた。ところが途中、小田原あたりで風雨が強まり一時間近く新幹線が停まる。ここで遅れたため、劇場には早く辿り着けなかった。10時半の開場過ぎに入場したら、盆周りのかぶり席は全く空いてなかった。芽美さんの4周年イベントがあるためか、開場前に20人以上が並んだと聞いた。これだけ朝一から入るのは珍しいと常連さんが話してくれた。しかもイベント目当てなので最初の客は誰も途中で帰らず、私は始めて終日かぶり席で観れなかった。

もちろんこういうこともありだが、ひとつ気に入らなかったのが、最近、一回目が始まる5分前に座席に座っていない者の荷物を撤去することになっていたが、その日に限って実施されなかった。先月そんなルールになったことを知らなかった私の荷物が見事に撤去されたので、逆に今回は誰かの荷物が撤去されたら私がかぶり席に移ろうと思って、かぶり席を狙っていた。案の定、開演5分前に座席についてない客が三名いたので、よっしゃ!と思いきや、撤去しようとしないから完全に拍子抜け。センターに近い右側のいい連続3席が見事に一回目公演中ずーっと空いていた。当日は大入りで座席は後ろ三列目までびっしり満席。そんな中で、席を確保していた芽美ファンがラストの芽美さんのステージだけ堂々と座っていた。周りの客がかなり不満げに見ていた。マナーには気をつけたいものだし、劇場側もこういう中途半端な対応はしないでほしい。

 

さて、前置きはこのくらいにして、まずは芽美さんの周年作「ウエディング」について話す。

ステージに現れた瞬間、衣装の素晴らしさに溜息が漏れた。芽美さんが自分でデザインしてオーダーメイドで製作していることが分かっているだけに感動が大きい。こんな華やかな純白のウエディングドレスを見たことがない。お顔の回りを白い花で囲み、芽美さんがはにかむような笑顔を見せる。なんて可愛いんだろうと惚れ直してしまう。ほんと嫁さんにしたくなる美しさである。

盆前に来て、観客の一人に手を差しのべて、ドレスのすそをしっかり握るよう話す。そして、そのままくるくると回転して白いドレスを剥ぐ。下には別のドレスが現れる。このドレスも華やかで素敵である。そして華麗に舞う。

芽美さんが得意とするドレスの二重構造になっている。これだと二倍のお金がかかるね。こりゃ、ハンパじゃないわ。

 改めて、芽美さんのステージのベースは衣装にある。ふつうはステージのイメージがあって、そこから衣装が作られる。ところが芽美さんの場合は、最初にイメージから衣装を創り、衣装からステージを創るという感じ。衣装が主役に躍り出ている。しかもデザイン力が並はずれており、衣装そのものがアートになっている。本物の踊り子はアーティストであるが、芽美さんは踊り子以前に既にデザイナーとしてアーティストと云える。だからこそ、ステージの衣装を見た瞬間に、凄いインパクトがあり、こりゃ参った!と思わされる。

 私は今回、仙台から来るのが大変だとか何とか述べたが、最初にこのウエディングドレスを見た瞬間に、あぁ~仙台から見に来た甲斐があったぁ~と心底思った。そう思わせる感動の衝撃が衣装にあるのだ。もちろん、本人がそれを一番分かっていて、労力とお金を惜しまない。観客誰もが納得のステージである。こんな踊り子と出会えて応援できる幸せを感じない客はストリップ・ファンとは言えない。芽美さんみたいな踊り子がいること自体、ストリップ・ファンである私はつくづく幸せだと痛感した。

 

 芽美さんは今回の作品を誰よりも早く私に観てほしいと思っていたようだ。そして、すぐに童話にしてほしいと願っていた。

 私がこの作品を気にいるのを知っていた。私が初めてステージを拝見したとき「いやぁ~素晴らしい作品だね」と話すと「太郎さんが絶対に気に入ってくれると思っていたわ」と言ってくる。そして、すぐにでも童話にしてほしいので「すぐに読みたい。なんなら、すぐラウンジで書いてー!」とまで話してくれた。 以前、私が「ウエディングドレス」という短い童話を書いたことを思い出したのかもしれないな。

 

 さて、4周年記念イベントは二回目ステージ終了後に盛大に催された。

 その頃には、立ち見が出るほどに客が場内にあふれる。私の晃生の飲み仲間ではH君が来ていて、私に挨拶してくれた。イベントは次のような進行だった。

 最初に、ケーキに四本のろうそくを灯し、芽美さんが吹き消す。クラッカーが鳴る。

 たくさんのファンからの花束とプレゼントの贈呈。私のよく知っている方がファン代表の挨拶をする。晃生のママさんに挨拶を振ろうとしたが遠慮される。次に、出演中のお姐さん方からお祝いのお花と言葉を頂き感激いっぱい。結奈美子さんが「仕事でウエディングドレスを着ると三年は結婚できない!って言うわよ。私が身を持って証明してるわ(笑)」なんて面白い話をして受けていた。楽しい時間が流れる。

その後、芽美さんからのお礼の言葉。「私、わがままじゃないから、その点をよろしく!」との締め言葉に会場が湧く。

心の通った素敵なイベントだった。

 

私としては、お目当てであるイベントにはとりあえず参加できた。このまま最終回まで観劇し、泊まって翌日も観劇したいと思っていた。今晩と明日の午前中に童話を書き上げて芽美さんに4周年プレゼントをしたいと当初は考えていた。

 しかし、当日、台風18号が近畿方面に近づいていた。夕方あたりに上陸するとの予報だったが、だいぶ遅れていて、翌日になりそうだった。私は週明け17日(火)に大事な仕事があり、どうしても明日中に東京に戻りたかった。台風が発生する以前に、明日16日の夜行バスを予約していたが、台風の状況によっては中止になるか大幅に遅延する懸念がある。万一、週明けの仕事に穴を開けたら大変なことになる。そこで15日当日の夜行バスの状況を電話で確認してみたら、予定通り走ると聞いた。私は前倒しで帰ることに決めた。

 三回目の芽美さんのステージを目に焼き付けて、夜行バスの時間に間に合うように、ポラも撮らずに劇場を飛び出した。後ろ髪が引かれる思いがしたが致し方ない。

(実際、翌日は台風18号は近畿地方に上陸し、交通機関は大幅に乱れた。新幹線もストップし、高速道路も途中で遮断されていたから、一日遅れていたら帰れなかったかもしれない。そういう意味では私の判断は正解であった。17日朝、関東地方もかなり激しい風雨となり、関東の劇場は殆ど休演になった。台風は内陸を通って、17日夕方には関東から東北に抜けていった。)

 

 翌日、東京に帰ってから、早速、童話を書き始めた。そして、書きながら、芽美さんのことをあれこれ考えていた。

 あるストリップ・ファンが、今のストリップ業界で最も勢いのあるのが羽音芽美だ!と断言していた。そして笑いながら芽美さんのことをズルイ~とまで付け加える。なぜなら、かわいい上に、スタイルが抜群で、しかも踊りまで上手いときた。また、お客の心をガシッと掴んでしまうキャラが最高。今や引退した東洋の篠崎ひめさんは伝説となったが、ひめファンの多くが芽美さんの魅力にはまっているこの事実。芽美さんはあまりにも凄い!と感心していた。

芽美さんには、そう思わせるに相応しい資質がある。

 私はもともと童話を書くのが好きなんだと思っていた。子供に語るつもりで創ってきて、あくまでその延長線で踊り子さんにプレゼントしてきた。ところが芽美さんと出会い、昨年「王子とサボテン娘」を書いてから作風ががらりと変わった。私自身、これをストリップ童話と呼んでいるが、一種独特な世界観を表現できるようになった。そのエネルギー源となったのが、芽美さんのパワーでありエネルギーである。まさに新しい太郎ワールドの扉を開いてくれたのが、紛れもなく芽美さんである。私は芽美さんとの出会いに感謝し、そして感激している。

 彼女は男を元気にするパワーとエネルギーを持っている。まさに‘上げマン’‘福マン’なんだと確信する。彼女と居るだけで男は幸せになれる。

 今回、新作「ウエディング」の童話を書こうと思いつつステージを見ていたら、頭の中にストーリーが勝手に流れ出した。童話「王子とサボテン娘」を構想したときと同じ感覚だった。この感覚はなかなか味わえない。話の展開は、困難を乗り越えて婚約者が待つ結婚式場に辿り着くとした。ウエディングドレスの二重構造に意味をもたせた。また私が仙台から移動したことや台風18号など今今の状況も反映させた。以上いろいろ脚色を巡らしたものの、物語のベースにあるのは元々私の中にあった実話ラブストーリーである。芽美さんをその主人公に見立ててストーリー展開していった。「ストリップ・ウエディング」はイベント日の翌日に出来上がった。書き終えたときに、私は自分の分身を産み落としたような気分に感動を覚え、涙が勝手にあふれた。またひとつ、芽美さんとの共同作業で素敵な結晶が出来上がった。

出来上がってすぐに芽美さんに披露したいところだが、芽美さんの次の出演予定は翌週の西川口。西川口は千葉から遠いけど、西川口でこの童話「ストリップ・ウエディング」をプレゼントしたい。遅ればせながらの私の芽美さんへの4周年プレゼントである。

 童話の中の細かい話をすると、味付けをしたくて後々かなり手を加えた。味付けのひとつが「風の妖精」である。これで、童話らしくなったし、物語としてひとつの筋が入ったと思っている。時間をかけた分、かなり丁寧に仕上げられたと思っている。

 

 僕は芽美さんのお陰でたくさんの童話を書けた。こうやって、その解説まで書き加えているし、また芽美さんのレポートもある。それらを材料にして、いつか二人の童話集や絵本(写真集)を作れたら素敵だろうなと夢みている。芽美さんは絵も上手いしね。

 夢というのは願えば叶うもの。そう信じて、今回の長いレポートを締めくくりたい。

 

 このレポート内容は芽美さんにしか見せられないなぁ~笑。

 

平成25年9月                           大阪晃生にて

 

 

 

 

 

ストリップ・ウエディング』  

~羽音芽美さん(晃生所属)の4周年作品「ウエディング」を記念して~

 

 

 

 僕は今、東北の杜(もり)の都・仙台で仕事をしている。もうすぐ結婚する。

 

 僕には3年間付き合った婚約者がいる。

 僕と彼女とは変わった長距離恋愛を楽しんでいる。というのは、彼女の仕事はストリッパーで、僕は彼女が出演する全国の劇場を追いかけているわけ。ステージを応援して、アフターで密かにデートを楽しんでいる。

 彼女とは3年前に地方の劇場で出会った。丁度デビューから1年経った頃。当時、失恋したばかりで精神的にかなり参っていた僕は偶然ステージの上のメイミンを見つけた。

なんて可愛らしいんだろう・・こんな素敵なヌードは見たことがない・・まるでストリップの天使だ・・僕は一目で彼女の魅力にはまった。彼女の笑顔と美しい裸体は僕を元気付け、生きる勇気を与えてくれた。それから僕はメイミンを追いかけ始めた。

 メイミンはチャーミングな容姿と明るい性格からストリッパーとして人気を博した。ちょっとわがままなところもある(笑)が、そこがファンを離さない魅力でもあった。

 メイミンには不思議にも風を感ずる。風が僕を包み込んでくれるのだ。ときには暖かいそよ風であり、ときには竜巻に巻き込まれそうな強い風。メイミン自身、風が大好きと言う。それはメイミンが南国土佐の室戸岬に吹く海風を浴びて育ったからだと僕は思っている。おそらく風の妖精がメイミンのことを護っているのだろう。

 

いつも元気いっぱいのメイミンだが、ときにホームシックになったりセンチメンタルになったりした。そんなとき僕の応援が彼女を支えることもあった。

 いつしか僕らは将来を約束するようになった。

 僕は彼女にとって彼氏でもあり、ストリッパー・メイミンの一番のファンでもあった。メイミンが類稀なストリッパーとしての資質をもっていることは僕自身が一番よく理解していた。彼女はストリッパーになるべくして生まれてきた‘ストリッパーの申し子’であり、ストリッパーという仕事は彼女にとっての天職と云える。だから、結婚してもメイミンには好きな踊り子という仕事を続けてほしい。僕はメイミンを独り占めするつもりはない。きっと、僕と同じように、メイミンの魅力に癒される方々がたくさんいることだろう。今も、これからも・・・

 

 僕は結婚を前にして、メイミンにウエディングドレスを贈った。僕自身がデザインし、オーダーメイドで作ったのでかなりの出費になった。このデザインには僕の彼女への想いが込められた。

 このウエディングドレスは二重構造になっている。踊り子としてのドレスを下地にして、その上にウエディングドレスを重ねた。ウエディングドレスをくるくると剥がすと下には踊り子としてのドレスが現れるようにした。だから普通にドレス代の倍は掛かった。

 今回、4周年記念として大阪のホーム劇場で着ることになっていた。大阪のメイミン・ファン達は、自分らのアイドルであるメイミンが幸せになることを心から喜んだ。だからメイミンの結婚をお祝いしてあげようと計画していた。ウエディングドレスを着たメイミンが、仙台からやって来る僕を待って、4周年記念&結婚披露宴を行うことになっていた。

 

 ところが恋に障壁はつきもの。

 ひとつ目の障壁は僕の仕事。三連休なのに直前にクレームが入る。僕が手掛けていた仕事なので僕が抜けるわけにはいかなかった。メイミンに話し、当日の午後までに必ず大阪に行くと約束した。予定通り、前日まで仕事を終え、当日早朝五時に起きて新幹線で仙台から大阪に向かった。

 ふたつ目の障壁は大型の台風18号。これは想定外だった。小田原を過ぎた辺りから雨風が強くなってきた。富士山が霞んで見えた。そのとき、新幹線が止まった。気象状況を確認するため、しばらく停車すると云う。

「しまった!これではメイミンとの約束が守れない。困ったなぁ~」

 僕が来るのを楽しみにしているメイミンの顔が浮かぶ。そんなメイミンを悲しませたくない・・・僕はすがるような気持ちで富士山の方角を見つめた。

ふと、前に、メイミンと一緒に富士山を登ったことを思い出した。お互い忙しい時間を調整して楽しいバカンスを過ごしたな。励まし合いながら頂上まで登った記憶が蘇る。ご来光を眺めながら、二人で将来を約束し合ったのだった。

 そんなことを思い出しながら、富士山を新幹線の窓越しに見ていたら、富士山の頂上がキラリと光った。

その瞬間、風の妖精が新幹線の窓を叩いた。驚く僕に向かって「あなたの想いをメイミンに伝えてあげます!」

 風の妖精はそう告げるや風になり大阪に向かって飛び去った。

 

 大阪の劇場では、メイミンは僕の到着を今か今かと待っていた。

 そこに、風の妖精が現れ、メイミンの耳元で囁いた。「彼は新幹線の中で立ち往生しています。だから予定の時間に劇場に到着できません。たくさんのファンがお祝いに集まってくれているから、その方たちを待たせるわけにはいきません。彼が贈ったウエディングドレスを着て、ステージを始めて下さい。」

 メイミンはたくさんの観客を前にしてステージで踊り始めた。

 不思議なことに、僕は新幹線の中で、目をつむると、そのステージの光景が浮かんだ。

 メイミンが純白のウエディングドレスに身を包んで現れる。こんなに可愛らしいメイミンを見たことがない。いつもの茶目っ気な笑顔ではなく、まさしく花嫁になる神妙さで、はにかむような笑顔を見せる。ドレスはお顔の周りを白い花が囲んでいる。白いシュールが流れるように広がる。眩しいばかりに輝く白い花嫁姿だった。誰もがうっとり眺める。

 メイミンは前列にいる観客の一人に手を伸ばし、白いドレスのすそを強く握るように話す。そして、身体をくるくると回転させた。白いウエディングドレスがするすると脱げ、下に華麗なドレスが現れた。誰もが驚き、そして拍手喝采。

 メイミンはそのドレス姿で踊り子としての本領発揮。四年間培った舞いを披露した。ストリップ業界で今一番輝いているメイミンに誰もが惜しみない拍手を贈った。

 舞いが終わった後、祝宴が続いた。花束やプレゼントの贈呈。ファン代表の挨拶。劇場のママからの挨拶。そして一緒に集まった踊り子仲間からも祝辞が続いた。涙を流してメイミンに抱きつくお姐さんもいて、とてもいい雰囲気で時間が流れた。

 

 祝宴が終わりかけたときに、僕は劇場に滑り込んだ。

 メイミンが僕を見つけて飛びついてきた。残っていたファンの皆が僕とメイミンに盛大な拍手を贈ってくれた。僕は持ってきた結婚指輪をメイミンの指にはめた。さらに一段と大きな拍手が湧き起こった。祝宴は最後に感動的なクライマックスを迎え幕を閉じた。

 

 劇場を出た僕とメイミンは大阪の新居に向かった。小さなマンションだったが、ここから僕らの生活はスタートする。

 部屋にはたくさんのファンから贈って頂いた花束が所狭しと置かれ、最高にいい香りを漂わせていた。爽やかな風が部屋の中を巡り、まるでお花畑にいるような気分になった。風の妖精の粋な計らいだった。

 シャワーで汗を流したメイミンは大きなバスタオルを身体に巻いて僕の前に立った。僕はメイミンをお姫様抱っこして優しくベッドに運んだ。

 この3年間、僕らはプラトニックな関係を保ってきた。踊り子に触れてはいけないものと僕は自分に言い聞かせてきた。というか、ステージの上のメイミンを見ているだけで僕はいつも十分に幸せな気分になった。ストリップには「見守る愛」というひとつの愛の形があることを僕は知った。だから、メイミンを自分の腕で抱きしめられなくても不満はなかった。

ただ、今夜は違った。二人にとって初めての夜になった。これまでずっと目で愛してきたメイミンの美しい身体にキスの雨を降らせた。僕の優しい指先に、激しい息遣いに、強い愛に、メイミンの身体は素直に反応していく。僕らはひとつになり、メイミンはエクスタシーの華を咲かせた。ステージの上で見せる華の輝きとは別格のものであった。

僕らは最高の初夜を迎えられた♡

 

 僕はメイミンにいつでも帰ってこれる安らぎの場を与えてあげたいだけで、メイミンにはこれまで通りステージの上で輝いていてほしい。

 そしていつの日か、・・その日がいつになるかは分からないが・・・メイミンが踊り子を辞めるときが来たときには、力いっぱい抱きしめてあげて、残りの人生を僕がメイミンの一生のホームとして守っていくことを誓おうと思っている。

 

                                    おしまい