羽音芽美さんは私の童話ファンだったので、喜んでほしくてたくさん童話を書いてプレゼントした。観劇レポートなしで、童話中心、童話だけというのもある。
ポエム『さかさ傘』
~羽音芽美さん(晃生所属)の演目「雅」を記念して~
空はこんなに明るいのに、私の心は暗い。。。
災難に遭ってかなり落ち込んでいた
私は暗い気持ちのまま道をとぼとぼ歩いていた
日射しが強くなってきた
今の私には明るい光なんて不要だ
私は持っていた傘を差し、日射しを遮った
そのまま歩き続けた
日射しが弱まってきたので傘をたたんだ
しばらくすると空模様が急変し、にわか雨が降ってきた
私は慌てて傘を差した
よりによって雨か。。。嫌な雨だなぁ~
ますます気持ちが憂鬱になってくる
雨が落ち着くまで歩くのを止めた
ふと、目の前に、ある少女が傘を逆さに持っていた
「傘はそんなふうに持つんじゃないよ」と話しかけた
すると少女はこう答えた
「人は、雨や日射しなど天から降り注ぐ恵みを、傘で遮ろうとする
でも、私は天からの恵みを全て浴びたいの
だから、傘を逆さにして、天の恵みを集めているの」
少女の瞳はキラキラ輝いていた
物事は考え方ひとつだな、と気づいた
風が吹いたときは風のまま過ごそう
雨が降ったときは雨のまま過ごそう
あるがままを受け入れて 自然のままに生きて行こう
この最悪の事態も、私の人生にきっと何か意味があるのだろう
気持ちを切り換えよう!
私は立ち上がってもう一度歩き出した
おしまい
童話『キツネの恩返し』
~羽音芽美さん(晃生所属)の演目「雅」「GOSICK」を記念して~
大阪に晃生という村がありました。その山の麓に、一軒の家があり、田畑を耕して暮らしてる青年がいました。名前をサワテと言いました。
「こらぁー!このいたずらキツネー!!」
一匹の白いキツネが家の中から飛び出てきました。口に魚を咥えています。
サワテが外に出たときには、キツネはもう山の中に隠れてしまいました。
「困ったキツネだな。今回はポラまで散らかされてしまった。・・・」
サワテは町のストリップ劇場に通い、踊り子さんのポラ写真を蒐集していました。いつもポラ写真を小まめに整理していましたが、机の上に置いていたポラ・アルバムを蹴散らされ、ポラは散らばるわ、汚されるわで散々な状態でした。「食べ物を盗るだけでなく、こんな悪戯までするとは・・・」気の優しいサワテも自分の趣味を穢されたのが我慢なりません。そこでキツネを捕える罠をつけることにしました。
翌朝、畑の中で、まんまとキツネは罠に掛かっていました。
サワテが近づいてみると、キツネは死んだようにぐったりしていました。最初しめしめと思っていたサワテでしたが、左足から流れる血がキツネの白い毛を真っ赤に染めているのを見て気が動転しました。死に物狂いで罠から抜け出そうとしたんだな。すぐに罠を解いて「悪いことをしてしまったな。これに懲りて二度と悪戯はするなよ。」とキツネを放してあげました。
その晩、サワテはいつものように町のストリップ劇場に行きました。
「本日、期待の大型新人デビュー!」と大きくポスターが貼られてありました。新人好きのサワテの心が激しく疼きました。
新人がステージに現れた瞬間、サワテは息を呑みました。なんてキレイな娘だろう~♡
彼女は愛くるしい笑顔、透き通った白い肌、ふくよかな胸、きゅっとくびれたウエスト、小股の切れ上がった形のいいお尻。しかも、まるで獣のようにシャープな動きをしました。ベッドでは妖しい流し目をサワテに送りました。また命がけのような迫真の演技に心を掴まれました。サワテは一目で彼女の魅力に嵌ってしまいました。彼女の名前はメイミン。
彼女の虜になったサワテは毎日のように劇場に通い、畑で採れたばかりの旬の野菜をメイミンに差し入れしました。メイミンはにこっと笑って、彼の差し入れを受け取りました。時に、サワテは長い手紙をメイミンに渡しました。そこにはメイミンに対する純粋な熱い気持ちが書き綴られていました。メイミンもサワテを気に入り、サワテが来ない日には「サワテ、来―ん、コン、コン、コン」と淋しがりました。
サワテにとって町のストリップ劇場は竜宮城になりました。浦島太郎になった気分で、メイミンという乙姫様に会いに行くのです。しかし、浦島太郎と同じく、幸せな日々は長くは続きませんでした。
メイミンはいつも赤い衣装を着ていました。足元を隠すほどの長い裾。実は、メイミンは左足に古傷があり、激しく動くとそこから出血していました。血痕が目立たないようにと赤い衣装を着ていたのです。
ある日のこと、ベッドショーで、真剣な眼差しで見つめているサワテに対して、メイミンが優しい瞳で見つめ返します。時間が止まりました。メイミンがサワテの目を見ながら語りました。
「今まで本当にありがとう。私は、あなたに命を救われたキツネです。どうしても恩返しがしたくて、踊り子になりました。あなたの家で、ポラ写真を見つけて、あなたがストリップファンであることを知りました。また好みの女の子も写真で大体分かりました。お蔭で今のメイミンに変身することができたのです。
私はもうすぐ命を終えます。傷口から細菌が入ったようで、身体が動かなくなりました。もうすぐメイミンの姿に化けていることができなくなります。その前に、あなたに本当のことを話しておきたかったのです。
私は、畑で汗を流して働いているあなたの姿が好きでした。木陰に隠れてあなたのことをずっとずっと見つめていました。あまりに好きすぎて、家の中で悪戯までしてしまいました。本当にごめんなさいね、
命を助けてもらったお礼がしたくてメイミンの姿に化けました。踊り子になった私のことを心から愛してくれてすごく嬉しかった。私はこれだけで十分幸せです。これからもストリップを楽しんで下さいね。
あなたはとても魅力的な人です。自信をもって生きて下さいね。 さようなら。」
言い終わった瞬間に、メイミンの左足のくるぶしから血が吹き出ました。足を覆っている布が血に染まるのが分かりました。そして、メイミンの身体が青白く光り、一瞬縮まってキツネの姿になったかと思われましたが、盆の上からふっと消えてしまいました。
メイミンは天に召されていきました。
メイミンがいなくなって、一時サワテは抜け殻のようになりました。
メイミンを思い出すたびに、いつも涙が止まらなくなった。「メイミン、ごめんな。」サワテは、キツネを罠にかけたことを悔やみました。
でも、時がサワテに優しくしてくれた。メイミンとの別れの悲しみが小さくなるにつれ、メイミンとの楽しかった思い出がサワテの中で大きく膨らんでいった。「こうやってメイミンに出会えたこと、そして愛したこと、たくさんの思い出を残せたこと、全てをメイミンとストリップの神様に感謝したい。メイミンのことは決して忘れない。だから淋しくなんかない。だってメイミンはいつだって僕の心の中で踊っているんだ。だから、僕は、メイミンに『さよなら』は言わない。」
別れの悲しみはやがて消えていくけれど、出会いの喜びは思い出となってどんどん輝きを増していく。
おしまい
今週の香盤は次の通り。①山口あゆみ(DX東寺の素人さん)、②星愛美(晃生)、③井吹天音(フリー)、④羽音芽美(晃生)、⑤青山はるか(晃生)〔敬称略〕。
私のお目当ても、後半の二人。
羽音芽美さんとは、関東の劇場(シアター上野とTS)が二つ連続でキャンセルになって、久しぶりの再会。風邪かなにかで体調を崩してしばらく休んでいたようだ。2月中のTSは、この羽音芽美と穂積あおいさんの突然のキャンセルで目玉を二つなくして完全に気勢を削がれ足が向かなくなった。穂積あおいさんは、丁度二週前に池袋ミカドで約一年ぶりに復帰したばかりで、また応援できると喜んでいた矢先、TSの警察ガサ入れにショックを受けてもうステージに上がりたくないと言っているらしい。ファンとしてはガッカリ。
さて、芽美さんの方は、休養明けで元気いっぱい。「病み上がりだとみんな優しいねぇ~」と大はしゃぎ。
今回の出し物は、雅(みやび)とアラビアンの二個出し。雅は着物姿でしっとり魅せるのに対して、アラビアンは明るく激しいダンスを披露。アラビアンは新作かと思ったら、デビューから三作目の作品をリメイクしたとのこと。
今回、雅をヒントに「さかさ傘」というポエムを創作しプレゼント。昨年11月結の池袋ミカドで思いついたままの手書きの原稿を渡してはいたが、この時は私自身が誹謗中傷の通報事件でまいっていて作品を練り上げる気力が萎えていた。今回、漸くワープロで清書したものを渡せた。このポエムには、あの時の私の心境が色濃く反映されている。童話やポエムというのは本当にその時の自分の気持ちがストレートに表現されるものなんだなと強く感じた。「雅の作品・・・実は私も雅を出すのに2ケ月かかったんです。自分を追いつめた時期がありました。なので傘のお話はすごく心にきました。ありがとう。」喜んでくれて嬉しかった。
アラビアンを観たときも、なんか童話のインスピレーションがないかなと拝見していたが、ダンスでぐいぐい押す感じだったので特に何もイメージされないまま。実はアラビアンが旧作と分かり、創作意欲が一旦落ちた。すると、芽美さんから「三作目の旧作だけど、完全リメイク版で新作と同じ。いっぱい練習したの。是非これも何か書いてほしいなぁ」と強く要望される。ひとつ宿題が残った(笑)。童話やポエムというのはすぐに思い浮かばなくても、意識してテーマを心の引き出しに入れておくといつか突然形になることがある。その瞬間も楽しいもの。しばらくテーマを私の引き出しの中で寝せておきます。
『風の妖精』 ~羽音芽美さんに捧げる~
広い砂漠の上を一陣の風が吹きぬけた。
ジプシーの一行がその風を避けるように砂漠の道なき道を急いでいた。彼女たちはアラビアンダンスの踊り子たち。いろんな国々の王宮に招待されては自慢の踊りを披露していた。
風の妖精メイミンが、雲の隙間から愉快そうにそのジプシーたちを眺めていた。先ほどの風を吹かしたのはメイミンの悪戯だ。メイミンが何をそんなに嬉しそうにしているのかと言うと、太陽と月の会話を聞いてしまったからだ。
元気いっぱいな太陽は言う。「あのジプシーたちが踊るのは、私が照らしている日中だと思うね。早く私が見ているところで踊ってくれないかしら。」
それに対して、控えめな月は言う。「そうかしら。あのジプシーたちが踊るのは、私が照らしている月夜のときだと思うわ。できれば私の下で踊ってほしいわ。」
ということで、太陽と月は競争することになりました。
太陽は明るさと暖かさを武器に、ジプシーたちの上着を脱がせて、踊りやすいようにしようと考えました。ところが、ジプシーたちは明るいところで肌をさらすのを嫌がりました。その上、太陽が張り切れば張り切るほど、砂漠の暑さは尋常でなく暑過ぎて上着を脱ぐことはできませんでした。メイミンも協力的に、少し太陽の熱を和らげようと風を吹かせましたが、熱風になってしまい逆効果でした。
結局、ジプシーたちを踊らせることができず、太陽が残念そうに沈んでいきました。辺りが暗くなり、そして暑さが和らぎました。そこでジプシーたちはピラミッドのそばにテントを張りました。そして、テントの中で休憩しました。
しばらくすると、太陽と交代に、月が現れました。月は、ただ静かに、そして優しく微笑むだけでした。
ジプシーたちがテントから出てくると、暗闇の中を月の光がジプシーたちを照らしました。まるで月の光が照明で、ピラミッドの前が大きな舞台のようになりました。
ジプシーたちはアラビアン特有の衣装に身を纏い、お供の楽器隊の伴奏に合わせて、踊りの練習を始めました。お腹と腰を妖しくくねらせて踊り、とても魅惑的、幻想的、エキゾチックなものでした。
暗い空の上から、星たちがキラキラと拍手を送りました。
メイミンも調子にのって、ピラミッドの周りにぐるりと涼風を吹かします。踊り子たちの長い髪や衣装が妖艶になびきました。メイミンは大喜び。
今回は、太陽の熱意より、月の優しさに軍配が上がりましたね。
おしまい