引き続き、目黒あいらさん(大阪晃生所属)の「あいらワールド」について語りたい。

 

「アラビアン」に続いて、次は「インディアン」のステージ模様を話す。この演目は今週初出し。

 照明が点くと、一人のインディアン娘が左側ステージに足を掛けて佇んでいる。

長い羽根が無数に付いた華やかなインディアンハットをかぶる。羽根の先端は赤い。

ビィーヨーオーマーン♪ と聞こえる音楽が流れる。音楽にのってインディアンぽいダンスを軽快に踊る。

今回も衣装がすごい! 羽根と毛皮と色とりどりの布がミックスされ、斬新な衣装になっており、あいらさんらしいオシャレ・センスが活かされている。

ハットと衣装を脱ぎ、上下セパレートの軽装になり、更にノリノリで踊る。

最後に、白いロングドレスをラフに羽織って登場し、裸足でベッドへ。

白いドレスの襟元、袖、裾には青いポチが点在している。青い細いヘッドバンドとマッチしている。

たくさんのペインティングが目に入る。先ほど演目「アラビアン」で話したが、これらのペインティングはむしろ「インディアン」のために入れたものだと分かる。

 

改めて、あいらさんは三つのセンスが卓越している。

そのひとつは音楽センス。ステージは選曲で決まる。今回のビィーヨーオーマーン♪の曲は最初と最後に使われているが、なにかインディアンの掛け声なのかなと思い、あいらさんにポラ時に尋ねたが、全く意識してなく「調べてみるね」との返答。インディアンの出し物で、なんとなくこの音楽を選んだようだ。無意識にせよ、自然とこういう選曲ができるというのが凄い。たくさんの洋楽をかなり聴き込んでいるのだろう。

そして、衣装センス。これは先ほど述べたオシャレ・センスに通じる。

最後に、ダンスセンス。今のストリップ界で他を寄せ付けない上手さ。

まさに三拍子揃っている。彼女のステージは全く付け入る隙がなく‘完璧’という言葉で飾られる。あいらイズムの完成である。

これらセンス三拍子は、あいらさんが醸し出す色香で彩られている。それが時にかっこよさに感じられ、また時にたまらない艶っぽさに感じられる。

これらが総称されて「あいらワールド」を形作っている。我々ファンは「あいらワールド」の住人として、あいらさんを絶対的な神と崇め、只々そのステージに酔いしれる。

 

平成27年8月                            渋谷道劇にて

 

 

 

                               H27.8

トラとインディアン娘』 

~目黒あいらさん(晃生所属)の新作「インディアン」を記念して~

 

 

  森の中に小さな湖がありました。

 透き通った清い水をたたえ、月夜に照らされた湖面はきらきらと輝いていました。

 ひっそりと静まりかえった中、一人のインディアン娘が湖で水浴びをしていました。名前をアイーラと言いました。つぶらな瞳、日に焼けた小麦色の素肌、長い黒髪、張りのあるバスト、小股の切れ上がったヒップ、そしてカモシカのようにすらりと長い脚。まるでビーナスの美しさ。彼女のヌードは月影に映え、静かな水浴びの音は森から流れる木々の葉擦れの風音と共に心地よい旋律を奏でていました。

 

 アイーラは、ふと気配に気づき、対岸に目を移しました。

 一匹の大きなトラが彼女のことをじーっと見つめています。アイーラは一瞬、恐怖で湖水の中に身体を縮めました。小さな湖なので、トラに襲われたらひとたまりもありません。

 アイーラは恐る恐るトラの目を見ました。不思議なことに、怖い気配は感じず、むしろトラの瞳には優しさが宿っていました。動物好きの彼女は、まるで猫に接するごとく、おいで!おいで!と手招きをしました。

 すると、トラは優しい眼差しを湛えたまま、静かに森の中に去って行きました。

 

 アイーラは、あのときのトラの優しい眼差しが忘れられませんでした。

 そして、なぜか、いつでも自分は、あの優しい眼差しに護られているような気分になりました。トラのことを思い出すたびに心が安らぎました。

 

 アイーラには病気の母親がいました。

 生活費と薬代を稼ぐために、彼女は都会に出てヌード・ダンサーになろうと決心しました。プロポーションには自信があったし、多少の踊りもできました。

 アイーラは懐かしい森に別れを告げるために、あの湖に向かいました。

 事件はそのときに起こりました。

 巨大なグリズリー(ハイイログマ)が彼女の前に現れたのです。アイーラの背丈の何倍もあります。グリズリーは彼女に襲いかかろうとしました。そのとき一匹のトラが森の茂みから現れ、グリズリーに飛びかかりました。グリズリーは驚き、手でトラを払いのけました。そしてトラに向かって大きな声で威嚇しました。グリズリーの身体の大きさはトラをはるかに凌いでいました。しかし、トラも怯まずに、牙を剥き出しにして吠えました。

 グリズリーは巨体でトラを圧倒しようとしました。トラはグリズリーの脇腹に飛びかかり噛みつきました。グリズリーは大きな腕の爪でトラに反撃しました。死闘が続きました。

 最後は、トラの気迫に押され、グリズリーが森の中に逃げていきました。

 グリズリーが見えなくなったことを確認した途端、トラは倒れ込みました。グリズリーの爪で致命傷を負っていました。トラは命をかけてインディアン娘を護ろうとしていたのです。

 倒れたトラに、アイーラが駆け寄り、抱きつきました。

「ありがとう。私のために本当にありがとう。」アイーラは死にかけているトラにしがみついて泣きました。

 トラは以前のように優しい眼差しで彼女を見つめ、そして静かに息を閉じました。

 アイーラはトラの強い愛を感じました。これまでも、いつも自分のことを護ってくれていたことを確信しました。

 

 アイーラは、ストリッパーになって、今ステージの上にいます。

 華麗なインディアン衣装を纏い、トラとの思い出を演じています。

 ベッドショ―では、トラの頭部がついた大きな毛皮を盆のうえに敷きます。彼女はトラの毛皮のうえに寝そべり、愛おしそうに毛皮を撫でる。指先をトラの頭部にはわせ、自分の方に顔を向けさせ、トラの顔をじっと見つめます。トラは生きているかのように優しい眼差しを湛えています。心の窓である目を通じて、二つの魂が重なり合いました。

「初めて湖で出会ったときに、あなたの素敵なヌードに憧れました。この世にこんなに美しいものがあることを初めて知りました。あれから、ずっとあなたのことを想っていました。」トラの目はそう語りました。

「ありがとう。わたしは動物にも心があることを知っていたので、あなたの気持ちはしっかり通じていましたよ。あなたのお陰でずっと安心して暮らしてこれました。本当にありがとうね。」と言って、トラの顔にキスをしました。

 インディアン娘は、トラの優しさに包まれながら、素晴らしいステージショ―を披露していました。

 

                                    おしまい