今回は、道劇所属の踊り子・水鳥藍さんについて、H29年7月結の渋谷道劇の公演模様を、演目「雨に唄えば」を題材に話します。
H29年7月27日に渋谷道劇に顔を出す。
今週のDX歌舞伎の香盤は次の通り。①水鳥藍(道劇)、②園田しほり(フリー)、③MOKA(TS)、④浜崎るり(晃生)、⑤新條希(道劇)、⑥葵マコ(DX東寺)〔敬称略〕。今週は葵マコさんが9周年を迎える。
久しぶりに水鳥藍さんのステージを拝見する。ダンスのうまい彼女のステージはいつ観ても惚れ惚れするものがある。
今回は1,3回目『ラ・ラ・ランド(LA LA LAND)』、2,4回目『雨に唄えば (Singin' in the Rain)』の二個出し。翌日7/28からは『ラ・ラ・ランド(LA LA LAND)』の代わりに『道 (Fellini)』を出す予定とのこと。
言うまでもなく、今週は映画シリーズになっている。「今週のテーマはずばり映画音楽特集!!」
1回目ステージで音楽が鳴った瞬間に映画『ラ・ラ・ランド(LA LA LAND)』の世界に入り込めた。
この映画の音楽は全て最高の名曲である。実は、この映画は未だ観ていないのだが、現在ロック人気№1の踊り子・清本玲奈さんが新作として披露しており何度もステージを拝見しているので音楽は耳慣れしていた。他にも、TSの新人・玉さんもデビュー作に使っている。どの場面でも、この曲がかかるとすぐに盛り上がる。まさに魔法の名曲だと思う。
水鳥藍さんの演目『ラ・ラ・ランド(LA LA LAND)』も、藍さんらしい味が出ている。本作品を解説していくと先の清本玲奈さんの演目とダブったり比較になってしまうので、今回はあえて内容の説明はしない。藍さんに頂いたコメントとポイントだけを述べる。
本演目は相田樹音さんから譲ってもらった作品で、藍さん流にアレンジされている。見せ場はやはり『ラ・ラ・ランド』の音楽に乗せたリングの演技であり、素晴らしいの一言に尽きる。「音と1曲目の紫色のドレスを樹音姐さんに戴いて、自分なりの解釈でアレンジしてるよー! 劇場ごとにポールになったり、リングになったり、椅子になったり壁になったりします。とても汎用性高くて、ある程度広さのある劇場ならどこでも出せます。」
楽曲はLaLaLandのサントラ版から「①.Another Day of Sun ②.Someone In the Crowd ③.City of Stars ④.Audition(The Fools who Dream) ⑤.Epilogue」
今回のレポートは、新作『雨に唄えば (Singin' in the Rain)』を中心に述べる。本作は先週のシアター上野で初出しされている。
内容は次の通り。
最初に、キラキラ生地のブルーのレインコートを着て登場。頭からフードをかぶり、だふっと着ている。赤い長靴を履いて、名曲「Singin' in the Rain」の音楽にのって楽しく踊る。
次の衣装が驚くべき斬新さを放つ。ビニールのレインコートに、肩にある青から始まって胸元の赤、そして青・ピンク・黄色と色彩豊かな大きめの水玉が張り付けられている。頭にはブルーの帽子にピンク・黄色・赤の水玉が付いている。なんともカラフルな衣装である。驚いたのは、盆前に座っている私のところに来て、そのビニールのレインコートからお腹のピンクの水玉を取って渡されたこと。胸元の赤と合わせて二か所の玉が外れるようにしてある。
雨傘を振り回す。傘の持ち手はブルーで、レインボー色彩豊かな図柄がたくさん。
最後に、ドレスに着替えてベッドへ。上着はジーンズ柄に胸元を白いリボンで飾る。スカート部は白に黒い水玉模様。頭にかわいい白いリボンを付ける。
近くでヌードを眺める。手のマニュキュアが銀色にきらめく。
この作品は奥が深い。
藍さんから長い解説を頂いた。「梅雨の時期だから雨が少しでも楽しくなるよーな好きな衣装と曲で作ったんだけど、全然雨降らなくて(笑)」 藍さんは自分のことを雨女と言っているが、今年は雨が少なくて残念だったね。
衣装に相当凝っている。「3年前に考えたデザインのビニールワンピース! やっとお披露目できてうれしー! 特別オーダーで諭吉が8人飛んで行ったよ。」「衣装、小道具の総額で諭吉が14人ぐらい飛んでいったけど・・・どれも気に入ってるからまぁいいか(笑)」 衣装にお金をかけても・・という人もいるが、やはり踊り子のステージへの思い入れは衣装に確実に反映する。衣装への入れ込み具合からもこの作品への強い思い入れが伝わってくる。
この映画音楽は名曲中の名曲。その使い方が凄い。「5曲中4曲が『Singin' in the Rain』とゆー曲でアーティストは別!! 3曲目がSingin' in the RainとUmbrellaのマッシュアップ(2曲をmixすること) 4曲目がDaniel PowterのBad dayだよー。」
私は藍さんの解説を基に、すぐさま映画『雨に唄えば (Singin' in the Rain)』をネットで検索してみた。調べれば調べるほどに、この映画の魅力に惹き込まれた。
以下、ネット検索による。主にWikipediaなど参照
『雨に唄えば』(原題:Singin' in the Rain)は、アメリカのポピュラーソングおよびそれを主題歌にした1952年公開のミュージカル映画。
『トップ・ハット』『バンド・ワゴン』『巴里のアメリカ人』などと並ぶミュージカル映画の傑作として知られる。サイレント映画からトーキー映画に移る時代を描いたコメディあふれるバックステージ(舞台裏)・ミュージカル。ハリウッドを代表する名作のひとつであり、今なお、色あせることなく輝きを放っている。特にジーン・ケリーが土砂降りの雨の中で、主題歌を歌いながらタップダンスを踊る場面は、映画史に残る名シーンとされる。アメリカ映画協会(AFI)が発表したミュージカル映画ベストの第1位、アメリカ映画主題歌ベスト100の第3位、アメリカ映画ベスト100の第10位、情熱的な映画ベスト100の第16位に選出された。
久しぶりに、昔のアメリカの映画っていいなぁ~と思わせられた。
この映画の監督はジーン・ケリーとスタンリー・ドーネンとあり、しかもそのジーン・ケリーは主演を演じるのだから凄い。
数ある映画音楽の中でも最高峰と言われる『雨に唄えば (Singin' in the Rain)』をジーン・ケリーが直接歌っている。曲は勿論、雨に打たれながら軽やかに、流れるようなダンスも素晴らしい。雨と傘とタップダンスを見事に融合させた名場面には恐れ入った。しかも、雨でもhappyになれるジーン・ケリーの笑顔は本当に素敵。動きも何もかもカッコイイ! ジーン・ケリーはまさにダンス、歌、演技力を兼ね備えたスーパースターである。
ネットで検索していて、この映画はその後のミュージカルにたくさん採用されていることを知る。その中で、アダム・クーパーのミュージカル『雨に唄えば』に出会った。彼の演技、どしゃぶりの雨の中を水しぶきをあげながら踊るシーンは最高。ジーン・ケリーのタップダンスに対して、アダム・クーパーはバレエを基調としているところが違った味わいがある。水しぶきの上げ方はアダム・クーパーが上手いね。
久しぶりにミュージカルに心が高ぶった。
私は雨が苦手なのだが、その雨でこれだけHappyな気分になれるなんて。ほんと映画って凄いや。
いやぁ~藍さんはいつも新しい知識と感動を与えてくれるね。今回、これだけの名場面を与えてくれた藍さんに心から感謝する。
平成29年7月27日 渋谷道劇にて