今回は、水鳥藍さん(渋谷道劇所属)の新作「ウーマン・リブ」と「Circle of Life」について語りたい。
連日35℃超の猛暑が続いている。
H27年8月頭の渋谷道劇の香盤も熱いぞー。①水鳥藍(道劇)、②小町れの(道劇) 、③有馬美里(道劇)、④永瀬ゆら(林企画)、⑤香坂玲来(道劇)、⑥目黒あいら(晃生)〔敬称略〕。
水鳥藍さんの作品はどれも見応えがあるが、今週の水鳥藍さんの新作二個もさすが!という出し物だった。9作目の「Circle of Life」と10作目の「ウーマン・リブ」を一気に拝見した。ちなみに「『Circle of Life』は中日から限定versionでいきます!」と予告されていた。
1,3回目の演目「ウーマン・リブ」から語ろう。
最初に、お姫様のような、薄緑色(水色?)の華やいだロングドレスで登場。上半身はバストから、きゅっと引き締まったウエストへ、そしてスカート部はふわっとして足元まで包み込む。胸元、袖部、スカート部に白とピンクの花びらがたくさん括り付けられている。頭にも、黄色とピンクの花飾り。お姫様のような上品なドレス姿にうっとり。
ふと、足元を見ると、トリカゴがあり、花に囲まれて白い鳥が入っている。少女はトリカゴをもって立ち去る。
場面が変わって、軽装になった少女が登場。上着はストライプ(縦縞)が入った白いワイシャツを裾部で蝶結び。お臍が見える。下半身は、白黒の縞模様になった灰色のぶかっとしたズボン。裸足で軽快に踊る。
ズボンを脱いで、このままベッドショーへ。白いシャツの下に、黒いブラとパンティが見える。左足には黒い紐がクロスされている。
最後に、トリカゴから白い鳥を取りだして大空に放つシーンで終わる。
ちなみに、この鳥はアンと言う。先週のDX歌舞伎で一緒に出演していた上野綾さん(東洋所属)が名付けてくれたとポラ時に話してくれた。
「どうかな? 普通すぎる??」と感想を求められる。「自分であれ全部作りました。」というからには自分の想いが深く込められていそうだ。私に何かを感じ取ってほしいのだろう。私は、ドレスの少女と軽装の少女の関係、そして最初と最後に登場するトリカゴの鳥の存在が気になった。藍さんにポラで問うと「一曲目の演出を観て頂ければ分かると思いますが、花のゆるふわドレスを着せられた私と、花で飾られたトリカゴの中のトリ・・・はメタファーです。」と返って来た。メタファー、つまり隠喩・暗喩。「閉じ込められて、飾られた自分の投影です。」
ストリップというのは自己表現の場。ダンサーという表現者である藍さんにとって水を得た魚のように生き生きしている場と一見思えるが、本人の中には、踊り子としていい作品を出し続けなければならないプレッシャーある戦いの場なのかもしれない。一流ダンサーとしてのプライドからくるものか。またストリップという世界はそれだけ厳しい場なのだろう。かわいいだけでも・・、踊りが上手いだけでも・・、簡単には生き残っていけない世界ということか。
次に、2,4回目の演目「Circle of Life」について語ろう。
まずは、単独の演目「Circle of Life」の内容について触れる。
最初に、盆の上に、藍さんが倒れ込む。ライオンから人間にされた模様。衣装とヘアバンドに赤い鳥の羽根が散りばめられる。この鮮やかな赤い羽根がライオンのたてがみを象徴しているのだろう。裸足で踊る。
上着を脱いで軽装になる。腰周りに孔雀の羽根が見える。軽装になってからのダンスが素晴らしい。ステップが凄い。ムーンウォークまでさらりとやってしまう。この場面が作品の最高の見せ場になっている。
次に、黒地にカラフルな色彩の布を貼り合せたドレスで登場。オレンジ、ブルー、グリーン、ピンク、イエローと原色が並ぶ。この色とりどりな鮮やかな色彩が「アフリカの大地」を彷彿させる。
この衣装のまま、ベッドショーへ。手の指先にキラキラ輝くマニュキュアが。さらに足の指には真っ赤なマニュキュア。
この演目を観た瞬間に、劇団四季の「ライオン・キング」がイメージさせられた。私自身は「ライオンキング」そのものを観たことはない。演目名「Circle of Life」を教えてもらい、それがディズニー映画「ライオン・キング」の主題歌であることが分かった。いずれにせよ、演じているものはしっかり伝わってきましたよ。
更に、中日からの限定versionでストーリーがより明確になった。
中日から、仲良しの小町れのさんがステージの最初と最後に友情出演し、作品のストーリーに深みを加えた。
れのさんは自分の出し物「クール」で仮面を付けて踊っていたが、それをそのまま藍さんの演目に使った。最初の場面、仮面をかぶった魔術師が魔法を使ってライオンを人間に変えてしまう。そして最後の場面で、人間をライオンに戻し自然に帰してやるエンディングを付け加えたのだ。れのさんは大きなライオンのぬいぐるみを持ち出し、マジックの杖を使い演出した。「限定バージョンはノリで始めたオマケなので、お金もかけられないし、チームじゃないのでよろしく観て下さいね。」これはこれで成功している。お蔭で、藍さんの演目の内容がよく理解できたのと、合わせてトップの藍さんと二番手のれのさんの作品が繋がっているように感じられ、二つのステージを合わせたところですごく見応えのあるものになった。こんな演出もあるのかと改めて感心させられた。
平成27年8月 渋谷道劇にて