2010年早々、TSですてきなシンデレラ・ガールに出会えました。
彼女の名前は月川音さん。
デビューは昨年12月11日。TSミュージック所属。身長は165㎝くらいかなぁ、フィナーレで他のお姐さんと並ぶとけっこう長身なのが分かる。細身でスタイル抜群。1987年11月21日生まれだから現在22歳か。でももっと若く見える。うさぎちゃんと自称しているほどで、たしかに色白でうさぎのイメージがある。オープンではうさぎルックで登場する。
1月23日(土)、初めて音さんのステージを見た時に、これまでのストリップにはない新鮮な風を感じた。
ひとつは「普通っぽい魅力」とでもいうのかな。音さんは渋谷や原宿にでもいそうな普通のかわいい女の子。AV出身者が注目されるストリップの中で、こんな普通にかわいい娘がステージにのってくれたことが凄く初々しい。
もうひとつは「メルヘンちっくな魅力」かな。自称うさぎちゃんのイメージがよく似合っている。音さんは、メルヘンの世界から飛び出した妖精!
音さんはショート・ヘアがよく似合っている。私は、失礼ながら幼い女の子のおかっぱ頭をイメージした。初日にその旨を手書きしたが、音さんは嫌な顔をしないで、ポラ・コメントで反応してきた。「あけましておめでとうございますbyこけし」簡単な一言なのだが、私の手書きに対する素敵な反応だった。その‘こけし’の一言が私の心を音さんに向かわせた。
こけしの話を少ししよう。
私が住んでいた仙台市近郊にはたくさんの有名な温泉場がある。秋保温泉、作並温泉、鳴子温泉・・。そこにはこけし館があるほど、たくさんのこけしが売られている。いまでは全国で「こけし人形」が売られてはいるが、こけしはもともと東北地方発祥で、そこの「伝統こけし」が本流である。毎年5月3日から5日まで宮城県白石市において「全日本こけしコンクール」が開催されている。東北自動車道にはこけしの絵柄の標識が使用されてもいて、まさに東北地方全体の象徴でもある。東北出身の私にとって、こけしは身近な存在。
こけしは元来、子供の玩具として作られたものだが、現代においては一種の芸術品として見られるようになった。
その背景には次のことがある。東北地方にはいい温泉場があるが、江戸時代末期頃から農民達に湯治習俗が定着しだす。その湯治客にお土産品としてこけしが売られ始めた。そのため、木地師というこけし職人が山から降りて温泉地に定住し湯治客の需要に直接触れるようになったことがある。もうひとつ、こけしが赤物であったことがポイント。赤物とは赤い染料を使った玩具や土産物をいうのだが、赤は疱瘡(天然痘)から守るとされ、子供のもてあそび物としてこの赤物を好んで買い求められた。そのため赤物こけしは、心身回復のイメージと重ねられる縁起物でもあり、それを自らの家族の下へ運ぶ象徴的な形象でもあった。
考えてみれば、ストリップは元々温泉場で盛んで、男性にとって心身回復のシンボル。そして赤い衣装の踊り子さんと赤物こけしのイメージが重なってくるなぁ~。
音さんのステージを観ていたら、久しぶりに童話のネタが飛び込んできた。私は席をはずし外の階段のところでノート・パソコンを叩き始め、そのネタを文章に落とし込んだ。童話は一瞬で出来上がった。
題名は『踊り出したこけし』。
青く澄み切った大空の下、真っ赤な顔をしたお日様の光がさんさんと山の木々に降り注ぐ。小川の水が嬉しそうにきらきら輝いている。
鳥たちが大空を舞い、獣たちが走り回る。たくさんの生き物が水辺に集まっていた。
そこは躍動感溢れる天地。
夜になり、月の明かりが静かな山を照らした。
生い茂る木々の中、一本の小さな若木がため息をついた。
「いったい私は、いつまで、こうやってじっとしていなければいけないの? 私も、この広い空の下、自由に動き回りたいの!」
若木を囲む大きな木々たちは、そんなことを言ってはいけませんと若木を諌めた。
「だって、鳥さんは自由に空を飛び、獣さんも自由に走り回る。小さな虫さんだって私たち木々の間を楽しそうに飛び回っているんだもの。私もみんなと一緒に遊びたいの。それなのに、どうして私だけじっとしていなければならないの?」若木はぷうっとむくれた。
そんな木々のやりとりを、遠い空の上から月夜のうさぎがニコニコしながら眺めていました。
川面に月夜がゆらゆらと浮かんでいる。
若木の枝がボキッと折れて、小川の中に落ちました。
枝は川下に流れ、岸に打ち上げられました。それを木細工職人(木地師)が拾って持ち帰りました。
職人はその枝から、大きなこけしを一体作りました。おかっぱ頭の背の高いこけしでした。
そのこけしは町の商人に買われ、立派なお家の床の間に飾られました。
ある夜、その床の間からコトコト音が聞こえてきました。
こけしが動いているのです!
若木の魂がこけしを動かしているのです。しばらくすると、こけしから長い手足が出てきて、おかっぱ頭のかわいらしい女の子に変身しました。
女の子は外に飛び出して、月夜の中を自由に舞い始めました。心から楽しそうに♪
今、その女の子は、劇場のステージの上にいます。名前を月川音といいます。
おしまい
文章表現者である私にとって童話創作は最高に感動する一瞬。音さんのお陰でまたひとつの童話が私の中から飛び出してくれた。音さんに感謝!
この童話をプレゼントしたら、音さんは望外の喜びを示してくれた。「童話、ステキすぎます!! 音、カンド~しちゃいました。音の心を表しているみたい!! 世界観も澄んでてキレイ。名前に合わせてくれたのもセンスが良いです。」
2010年最初の創作童話になった。さて今年はステージからインスピレーションをもらって何作の童話が書けるかなぁ~私も今から楽しみだよ。
平成22年1月 TSにて