東洋所属の荒木まいさんの演目「Emotion」の観劇レポートを、「ピンクに染まっちゃう」シリーズ(その9)として語ります。

 

 

H29年6月中の大阪東洋ショーGW公演に顔を出す。

今週の香盤は次の通り。①美里麻衣(東洋)、②友坂麗(ロック)、③桜庭うれあ(ロック) 、④荒木まい(東洋) 、⑤清本玲奈(ロック) 〔敬称略〕。

 

 今回は二個出し。1,3回目は演目「Strawberry Fields」、2,4回目は新作「Emotion」。ちなみに辞書によると、日本語ではエモーションではなく、正確にはイモーションと呼ぶらしい。

前回の5月頭に新作を初披露したときに、すぐに私は観劇レポートを提出した。ところが内容の把握が不十分であった。まいさんからの返事が「レポートありがとう。やっぱりお客さんの解釈はそれぞれですね。」とのコメントなので、ひとつの感想としては「あり」なのかもしれないが、別途まいさんから丁寧な作品解説のお手紙を頂き仰天☆ 私なんかのレポートに丁寧に手間と時間をかけてくれて、神対応だよー。心から大感激☆彡

また、まいさんがいかに本作「Emotion」に思い入れが強いかを思い至った。私も気合いを入れ直して本作とレポートに向き合う。

 まいさんの解説に従って、作品内容をもう一度おさらいする。

 

今回の作品のテーマは『喜怒哀楽』。曲もそれぞれの場面に合わせた4曲で構成。

①    .明るい「喜」のイメージ

 最初に、いつものまいさんらしく、可愛いオレンジの衣装で登場。オレンジのワンピース・ドレスで、半袖、膝上丈のスカートという軽装。オレンジの中に、白い胸ポケット、白い半袖襟、白いエプロンという明るい色彩コントラスト。襟首の左右に黄色い毛玉が二つ。オレンジ色の帽子をかぶるが、その帽子の上にも同じ黄色い毛玉がある。そして白いブーツを履く。長い髪をなびかせて軽快に楽しく踊る。

 この場面が「喜」なのはよく分かるね。

②    .「怒」のイメージ

 場面が変わって、今度はアイドル少女とは全く違った、夜のナイトドレスの格好で登場。肩を露出した吊るし型のロングドレスで、バストが強調され、足元は裾が割れ脚線が見えるという、なんとも艶っぽい赤いドレスである。腕には長い赤い手袋をしている。まいさんがこんなにアダルトな恰好したのを初めて見たので一瞬目が点になった。銀のハイヒールを履いて踊る。

 この場面を「怒」と解釈するのが難しい。恋をしてみたものの、相手にされず、怒っちゃって、浮気してやるぞー!という感じは、女心を知り尽くしていない男にはなかなか思い至らない。到底私には無理だー(笑)

③    .ベッドは「哀」のイメージ

頭から白い花柄のベールをかぶったウエディング・ドレス姿で登場。先ほどの赤い手袋をしている。この赤が白一色の中でやけに鮮明に映る。

 そのドレスと手袋を脱いで、白いベールだけを残してベッド・ショーへ。

 この場面で流れた曲は「ずっと隣にいたい自分」=「隣人」というイメージ。

 ここが喜怒哀楽というドラマ全体のクライマックスになる。浮気をしてみたものの、やっぱり私はあなたのことが一番好き。この一途な気持ちがどうして分からないの。赤い手袋を取るのが浮気という罪を犯し悔やむ仕草。

④    .「楽」のイメージ

 白いベールとまいさんの透き通る白い肌。白一色の中に、今度は右手小指に赤いリボンの紐が結ばれている。やはり運命の赤い糸はあなた。あなたの腕の中で抱かれたい。

 

 以上、まいさんの解説に従って私なりに作品を味わってみました。Emotionから喜怒哀楽の四場面を設定していくのがミソですね。

作品解説に加えて、まいさんからの曲の説明に関心を惹かれた。

今回の作品の四曲は某男性グループのもの。まいさんがデビューの頃から、彼らの曲を使いたいと思っていたらしいが、「男性歌手の曲は使ってはダメというのがアイドル小屋の宿命」というのを聞いて驚いた。そんな暗黙のルールがあったとは・・・

でも二年経ち、先生にお願いして前作「恋するうさぎちゃん」(2017お正月新作)二曲目で念願の一曲を入れられたとのこと。良かったね。ほんと今回の作品は全曲好きな歌手の曲でまとめられて幸せなんだ。この作品へのこだわりがよく理解できたよ。

今回の作品はいいEmotionになっているんだね。まいさんの気持ちになりきって作品を味わってみるね。

 

 

平成29年7月                              大阪東洋にて

 

 

 

 

                                 H29.7東洋にて

天使のEmotion』 

~荒木まいさん(東洋所属)の演目「Emotion」を記念して~

 

 

 カキーン!

 雲ひとつない青天の中、白球が飛んでいます。その球を翼をつけた選手が見事に捕球しました。

 それもそのはず、ここは雲の上の天界ですから空に雲があるはずがありません。また野球をやっているのは天使たち。

 そう、彼らは天界の天使野球チームでした。

 

 そのチームの話をする前に、天界の状況を説明しておかなければなりませんね。

実は、天界といえども、人間界と同じようにキリスト圏やらイスラム圏、仏教圏など幾つもの宗教圏があり、それぞれの真理を高めるために切磋琢磨していました。天界ではフェアな精神が重んじられるので、人間のように戦争するようなことはありません。あくまでフェアなプレイに基づいて勝敗をつけようと、人間界が作った野球のルールを参考にして、野球を通して肉体と精神を鍛えようとしていたのです。それぞれの宗教圏を勝ち残ったチームが代表として天界ワールド・シリーズに参加できるのでした。

 そこで、ある神様が監督として就任し、天使たちを集めてひとつの天使野球チームを作ることになったのです。

 天使の野球は基本的には人間と同じルールなのですが、違っているのは、天使は羽根があるため、空中で守備をするのが得意でした。そのため、フライは簡単に捕球されるし、またホームランがかなり少ないという感じかな。

 

 そのチームには若き才能あるピッチャーがいました。監督はそのピッチャーを中心にチーム作りをするつもりでした。

 ところが、そのピッチャーはプライドが高く、怒りっぽい性格のため、他のメンバーとよく衝突しました。配球についてキャッチャーとよく揉めました。また内野手や外野手の守備や送球の悪さ等に文句をいいました。ピッチャーは自分の投球に自信があったので、他の選手から足を引っ張られるのに我慢できなかったのです。とうとう先日、ある事件に進展してしまいました。単純なイレギュラー・バウンドを捕球し損ねた内野手のことをなじったのです。内野手は年上のベテランだったので、若いピッチャーの言い方にカチンときました。監督に、「こんなピッチャーをリーダーにするんだったら私はこのチームを辞めさせて頂きます。」と退部届を突き付ける始末。監督は内野手の気持ちを理解し、ピッチャーの天使に感情コントロールできるように指導する必要性を強く感じました。また野球はチームでやるスポーツであり、個人プレーは許されずチームとしての協調性の大切さを教え込まなければならないと考えました。

 神様である監督は、そのピッチャーである天使を地上に下ろし、人間界で少し勉強させることにしました。

 

 その天使をベビーシッターにして赤ん坊の世話をさせました。

 生まれたばかりの赤ん坊というのはまさに天使でした。人間の感情の基本には喜怒哀楽があり、赤ん坊はそれを忠実に行っています。

 赤ん坊は命を保つために、ミルクを飲もうという行動を行います。「喜」はまさに天使の笑顔。これによって母親を始めとした周りの人達の愛情を得てミルクを与えられます。万一、ミルクが足りなくなれば怒ります。赤ん坊の場合は「怒」を泣くことで表現します。また「哀」も泣くことです。ミルクを求めて泣くことは赤ん坊の仕事なのです。

 最後の「楽」というのは他と比べると次元の高い感情です。人間は殆どの時間を働きます。「はたらく」は「楽」に通じます。働いてお金を稼ぎ、趣味や余興を楽しむのです。人間は、「楽」を大きくするために、より働きやすいように人間関係を大切にします。そのために、笑顔の「喜」を大切にし、「怒」や「哀」はできるだけ小さくしようと努力します。

 赤ん坊はミルクを求める立場から、子供へ、そして大人へと成長し、喜怒哀楽の感情コントロールを学んでいくのでした。

 それと合わせて、天使は人間の醜い特質も学びました。先ほど天界では戦争は存しないと話しましたが、それはなぜかと言うと、天上の世界には憎しみや恨み、妬み(ねたみ)・嫉み(そねみ)などマイナスの感情は存在しないからです。ところが人間界では違います。「赤ちゃんは天使に近い存在なので最初は真っ白な状態で生まれてくるけど、人間は大きくなるにつれ、醜いマイナス感情を学んでいく。悲しいことだ。」天使は思いました。

 

 天使は人間界でいろいろ学び、天界に戻りました。

 そして、感情を衝突させたチームの各メンバーに丁寧に謝りました。こうして、天使は他のメンバーから信頼を得て、そしてピッチャーである天使はチームの要になり、チームをまとめ上げました。

このチームが天界ワールド・シリーズに選出されるのも時間の問題でしょう。

 

 

                                      おしまい