今回は、KAERAさん(TS所属)の演目「ピエロ・サーカス」について、「ステージに自分自身を投影して観る」という題名で観劇レポートします。

 

 

楽しみにしていたTS興行が始まった。今週は開館記念興行につきメンバーも豪華。

今週の香盤は次の通り。①虹歩(札幌ニューカジノ)、②遠野こころ(東洋)、③KAERA(TS)、④目黒あいら(晃生)、⑤石原さゆみ(道劇)、⑥荒木まい(東洋)〔敬称略〕。

各劇場の看板娘たちがそろった。そんな中、TSの代表としてベテランのKAERAさんが入っている。最初は、香盤情報にきよ葉さんの名前も入っていたが消えた。どうも、激しい咳のせいで胸の肋骨にひびが入ったとの噂を聞く。咳をするのはステージ上の埃やスモックが原因じゃないかとファンが心配している。骨折となると簡単には回復できないと思われていたので、予想された欠場。きよ葉さんが抜けても残りの豪華メンバーで客入りに影響はないようだ。

いずれにせよ、来年1月に閉館が決まっているTSとして最後の開館記念興行になる。

 

初日・二日目と土日からのスタート。客は朝から大入り。

三番手のKAERAさんが登場。いつも、度肝を抜く派手な衣装で登場するKAERAさんだが、これまた今回のピエロの衣装には驚いた。かなり手が込んでいる衣装だ。オーダーメイドだろうか。いや、KAERAさんの手作りの衣装にも思われる。

まずは、ピエロ顔のお面が印象的。白いお肌に真っ赤なだんご花。目の周りの縁が青色で、目の下に涙のような銀色の星が並ぶ。金色の唇。レインボー色のくしゃくしゃの髪。「最初のお面こわくない?? こわいって言われたから、もっとふざけたものにしたら前の方がいいって言われて戻した。」とのコメントをもらう。べつに怖くはないよ(笑) 

衣装がカラフル。上着は金ピカの服で胸元にピンクと黄緑の二つのダイヤマークが前と後ろに並んでいる。この衣装の最も特徴的なのが、首の周りと上着の裾部分の二か所に、ヒトデ状の形で幾つかに分かれ、がっちりとめくれ上がっているものを装着している点。下には、水玉模様のズボン。そしてレインボーな布が垂れている。足元もカラフルな脚絆と素足。

二つの長い蔓状のポイ(ベールポイ)を手に持つ。ひとつはピンク・黄色・白、そしてもうひとつは紫・ピンク・黄色・白の光ものが巻き付けてある。それを振り回しながら踊る。

 

派手な面を外すと、いつもの穏やかなKAERAさんの顔が現れる。なんかほっとする。

お面と素顔のアンバランスに、私は人生の悲喜こもごもを垣間見た気分になった。

私の中にポエムが流れた。「わたしは道化者」という詩が、踊り子としてのKAERAさん自身と、ストリップファンとしての私自身の二つが同時に浮かんだ。ピエロという作品を通して、私は現在の自分の感情や想いをそこに投影しようとしていた。

 

ところが、この作品についてのKAERAさんのコメントは、私が感じたものと全く違ったものだった。

「今回のピエロはカラフルで遊園地にいる感じにしようと思い、ショールをくるくる回したり、ポーズベッドでくるっとしてる所とかは空中ブランコ的なイメージです。私の中でだけどね。」

 彼女はこの作品を通して楽しいイメージを演じようとしていた。ところが、私はこの作品から人生の悲喜こもごもを感じ取っていた。ピエロというのは滑稽な恰好でおどけた仕草をし、人を笑わせる役の人。あくまで道化役者で、主役を盛り立てるための脇役にすぎない。単に、もの笑いの種になるだけの人という意味もある。ピエロとは元々そういう悲しい存在。

 今回、同じ作品を観ても、いかに捉える人の感情で違って見えるかを改めて思った。まさに、人は作品を通して自分自身を見ている。人それぞれに感じ方があっていい。芸術というのは本来そういうものである。

 

 KAERAさんのステージはくるくる回ることが多い。狭いTSの花道で衣装がよく客にぶつかる。ふつうなら踊り子の衣装に触れたら罰金ものなのだが、ことTSでは狭いので不可抗力。もちろん客は誰も文句を言わない。むしろTS独自のサービスのひとつとして受け取る。それが狭いTSの良いところでもあるから。

 今回の演目も、布やリボンなどをくるくると振り回す。先ほどのKAERAさんからのコメントにあるように、これは遊園地をイメージした「くるくる」であった。たしかに楽しく音楽にのって踊っている。

 しかし、私はそれを「くるくると巡る人生」と捉えた。だから「人生いろいろ、悲喜こもごも」という発想になっていった。

 演じている踊り子とそれを観ている客で、ステージに感ずるものが全く違っていた。しかし、それはそれでいいのだと思う。捉え方が十人十色だからこそステージは面白い。

よく、踊り子さんに「にこにこ顔で楽しそうに観ていてくれて嬉しい!」と言われる。実はすけべ心でにやにやして観ていることもある。(笑) でも踊り子さんにそう感じてもらえたら、ストリップはそれでハッピーなのである。

 

 

平成28年5月24日                      TSミュージックにて

 

 

 

 

 

 

 

 

『わたしは道化者』 

~KAERAさん(TS所属)の「ピエロ・サーカス」を記念して~

 

 

 わたしは道化者

 みんなを笑わせるストリッパー道化者

 

 ピエロの恰好をして みんなを笑わせる

 わたしってかわいくないし

 踊りだって上手に踊れないし

 プロポーションだってとてもセクシーといえない

 それなのにみんなの前で踊って裸になって・・・

 

 わたしは道化者

 笑ってくれてもいいの

 いや笑ってほしい 

 笑ってもらえれば救われる

 わたしは道化者がお似合いなの

 わたしはストリッパー道化者

 

 でもね

 こんなわたしでも 

かわいいよ!

すてきだよ!

大好きだよ!

と言ってくれるファンがいる

一人でもそう言ってくれるファンがいる限り

わたしは喜んでピエロを演ずる

わたしはストリッパー道化者

 

 

                                    おしまい

 

 

 

 

 

 

 

『わたしは道化者』 

 

 

 わたしはストリップの道化者

 ストリップが大好きになり

 家庭も壊し

 仕事まで失った

 みじめなストリップの道化者

 

 お笑いものだ

 笑われてもかまわない

 みんな好きなように笑えばいいさ

 

 ネットにむちゃくちゃ書き込まれる

 差別用語 人格否定の言葉たち 落ち込む

 誰が書いているか分からない

 嫉妬深い根暗なやつかと思ったら

 いつも劇場で親しく話しかけてくるあいつか

 スト仲間と思っていたあいつか

 誰も信じられなくなる

 人間不信になるのが一番怖い

 

 虚しさが漂う

 もう生きていても・・・

 やはり生きていかなければならない

 

 わたしはストリップの道化者

 今のわたしに残されたたったひとつの真実がある

 ストリップで全てを失っても やはり私はストリップが好き

 この気持ちに微塵の嘘偽りはない

 

 なるようになる

 必ずいいことがあると信じて

 生きていく