浅葱アゲハさんについて、H31(2019)年3月頭の広島第一劇場の公演模様を、演目「人魚」を題材に、「広島第一劇場での思い出」と題して語ります。
H31(2019)年3月頭の広島第一劇場に顔を出す。アゲハさんとは今年の渋谷道劇お正月公演ぶりになる。大阪から夜行バスで行ったので早朝六時半頃に到着。もちろんトップで場所取りをして定宿のカプセルホテル・ニュージャパンの早朝サウナで寛ぐ。
今回は3/6(水)~7(木)の二日間の滞在予定。
今週の香盤は次の通り。①愛野いづみ(道劇)、②浅葱アゲハ(フリー)、③小春(ロック)、④鈴木ミント(ロック)。開場は12時だが、四人香盤なので平日の開演は14時から。
今回は私的にいいメンバーが揃って嬉しい。
観劇レポートをする前に、ひとつ触れておきたいことがある。
劇場の受付正面に、広島第一劇場「来場記念ポストカード」が販売されていた。二枚一組で200円。外からの劇場入り口の様子と劇場内の様子を描いた絵だった。
ここ広島第一劇場は閉館が決まっている。たまたま都市再開発の着手が遅れて、劇場閉館が延期しているだけで、近い将来閉館するのは確実。そのためにも、この広島第一劇場「来場記念ポストカード」をどうぞ!といった趣旨のようだ。
そのポストカードの横に、その絵を描いた広島県大竹市出身の画家「はと」さんのことを紹介している新聞記事の切り抜きが置いてあった。私は興味をもってそれを読んだ。彼女自身が自分のプロフィールを丁寧に書いてあった。趣味の絵で、頑張って生活している姿に共感した。私も趣味の執筆で芽を出したいなと思っているので、その記事がとても励みになった。
さて、当日のアゲハさんの出し物は三個出し。1回目は演目「人魚」、2,4回目は14周年作「ハンドメンズテイル(侍女の物語)」、3回目は演目「フェアリー」。
演目「人魚」は今年のお正月、渋谷道頓堀劇場で初めて拝見した作品。今回、この作品を観劇レポートさせてもらう。
最初に、水色の着物姿で登場。(お正月のときには、お正月らしく着物だなぁと思った。)
水色生地の中に花柄がプリントされている。帯も水色。長い袖の先端部は紫と青のラメが入っていて光の加減で紫になったり青になったりとキラキラ光る。
髪飾りも素敵。なんと白いヒトデ状で、中央の突出部に真珠が付いている。とっても洒落ている。
音楽に合わせ、青い扇子を持って、裸足で舞い踊る。着物を着た人魚を演ずるのは初めて観たなー♪
音楽は、SEKAI NO OWARIの「マーメイドラプソディー」。作詞:Saori、作曲:Nakajin。
能年玲奈主演の映画「海月姫」でも主題歌として使用されている。意味深な歌詞と軽快なメロディ。前にアゲハさんの作品は「音楽の玉手箱」と評したが、今回もこの曲と出会えただけでも幸せな気分になったよ♪
音楽がインスト曲に変わり、次々に着物を脱いでいく。
一旦暗転し、幕が閉じる。
音楽が変わり、上下セパレートの白い衣装で登場。上は白いブラ、下は白いふわふわしたスカート。白地の中に金線がきらり。頭には左側にヒトデの髪飾りを付けたヘアバンド。水色の透明な布を持って、盆の上で裸足で舞い踊る。
エアリアル・ハンモックの演技が始まる。これが本演目のメルクマール。
まるでティシューのように扱うこともできるし、ハンモック特有の技として、布の中に全身をくるんで卵のようになったり、魚のように身体をくねくねさせて泳いだり、時に下半身のみくるんで人魚のように扮する。独特なハンモックの演技にうっとりさせられる。
音楽が変わり、水色の布を持ってベッドショーに移行。
近くに来たのでアクセサリーを目で追う。左側にヒトデの髪飾りを付けたヘアバンド。純金のネックレス。右手首に白い真珠のブレスレット。
改めて気づいた、広島第一劇場の魅力について述べたい。
まず、建築構造の素晴らしさを再認識した。ここは体育館のように広い。そういえば以前近くにあった福山第一劇場もこの広島第一と姉妹館だったので、同じように広かった。広さとともに、天井の高さが凄い。一方、これだけ大きいと冷暖房費を始め電気ガス光熱費が相当かかることだろうなと経営者の気持ちで心配になる。大きさという点では、京都DX東寺や大阪東洋ショー劇場を彷彿させる。昨年末に、京都DX東寺でアゲハさんのステージを観て感激したのを思い出す。天井が高いと、アゲハさんの空中ショーがこんなに迫力があるんだと感動し、すぐに観劇レポートを書かせてもらった。
ここ広島第一劇場が京都DX東寺と大阪東洋の二館と違う点は、鏡張りの美しさ。DX東寺にも鏡張りがあるが今ひとつ。たしかに鏡張りのストリップ劇場は他にもあるが、なにせこの広さだから規模感が違う。岐阜のまさご座も天井が高く周りが鏡張りという点では近いものの、規模は広島が大きい。いずれにせよ、一度まさご座でアゲハさんの空中ショーを観ないといけないなと感じた次第。
今回、特筆したいのはステージ正面の鏡張り。アゲハさんのステージがとても綺麗に見えて正直びっくりした。お陰で初めて広島のステージの正面が鏡張りなのに気づいた。確かにステージ正面が鏡張りなのは、ここ広島だけだ。アゲハさんに話したら、以前は幕を降ろしたままで鏡張りにしてなかったようだ。今回から初めて幕をあげて鏡張りにした模様。
アゲハさんのステージの魅力を最大限に引き出すには、天井の高さと、そしてこの鏡張りが必須だと痛感した。そのためにも、ここ広島第一劇場を失くすわけにはいかない。まさに広島第一劇場は文化遺産としての役割を持つ。空中ショーがこれだけ隆盛したからには絶対に遺していきたい歴史的な遺産だと思う。
もうひとつ、広島第一劇場の雰囲気が劇的に良くなっている。
私は今回、お正月ぶり、つまり二か月ぶりに来所した。従業員さんからも挨拶される。社長から「いつも来て頂いて」と丁寧に挨拶されて恐縮する。
たしかに最近の広島は客入りが多くなった。以前は平日に来ると客はほんの数人ということも多かったが、その日は平日というのに朝から20人以上いる。ポラ押しで、休憩時間も少ない(通常は各ステージ毎に30分の休憩が入る予定)。いいメンバーを揃えていることが功を奏し客足が増えているようだ。顔なじみの常連さんと話したら、今では黒字経営になっている様子。やっぱり劇場は経営者のやり方次第だと思った。
顔馴染みの客としばしスト話をする。彼とは関東でよく会う。その彼がしみじみと次のように話してくれた。彼は以前から、関東の常連客が、よくもこんな広島くんだりまで足を伸ばしてくるもんだなぁと不思議に思っていたらしい。関東にたくさん劇場があるのに、なんでわざわざ広島まで来るのかと。最近その理由がようやく分かったという。それは、関東の劇場はどこも混雑して踊り子さんとゆっくり話ができない。客が多いのでダブル・トリプルが当たり前。ポラサインももらえない。その点、広島はのんびりしていてポラタイムで大好きな踊り子さんとゆっくり歓談できる。その雰囲気を味わいたくて好んで広島にやってきているというのだ。私はそれを聞いて、仙台ロックを思い出した。たしかに地方劇場の良さは‘まったり感’にある。それぞれの劇場にそれぞれの特徴や魅力があるんだから、それを活かせばいいんだと思う。やはりストリップも東京一極集中はよくないし、昔は各100万都市には必ずあった劇場が今やどんどん減ってしまった。もう全国で20を切ろうとしている。あまりにも劇場数が減りすぎた。
夕方からは常連客がたくさん押し寄せてきた。昔からの常連客の顔も見え、私を見つけて話しかけてくる人もいるが、むしろここ最近ストファンになった若い元気な方が多いね。お正月ぶりなので私の顔をおぼえていて目で挨拶してくれる方もいた。
当日だけでも女性の若い固定客が4~5人来ていて完全に劇場に馴染んでいるのに驚かされる。というか、いまやスト女は全国的な流行。たまたま、かぶりセンター席に座っている私の後ろに座っていた女性客二人が突然私に話しかけてきた。「ちょっとお尋ねしてもいいですか。ステージ中に踊り子さんの衣装を熱心にメモされていましたよね。どうしてなんですか。」と聞いてきた。私は観劇レポートを踊り子さんに渡していることを説明した。二人は「すごいですねぇ~」と驚いていた。
彼女たち二人組が外出して食品を買い出ししてきて、ラウンジで食べていた。驚いたことにその食品を従業員や常連客にお裾分けている。まるでピクニック感覚。たまたま私がラウンジの長椅子に座っていたら、私にも「ウインナー食べませんか?」と爪楊枝に刺して渡してくれた。恐縮しながら食べたら、「良かったら、つくねもどうぞ!」と渡してくれる。今度は地獄坦々メンと書いてある激辛カップヌードルにお湯を注ぐ。いかにも激辛風の香辛料が辺りに匂う。周りの客が真っ赤なスープを覗き込む。「よかったら食べませんか?」と彼女が勧める。中には食べる輩もいた。彼女は残った麺を食べ、スープまで美味しそうにすすった。激辛好きのようだ。
また、踊り子さんの配慮が嬉しい。二日目7(木)の一回目ステージ終了後に、浅葱アゲハさんから鶏肉鍋の差し入れがあった。具材の鶏肉は社長から、野菜は常連客から提供されたものらしい。大きなお鍋からラウンジに居たみんなに配られた。アゲハさんの好きななめこは入っていなかった(笑)。そういえば、お正月のときも鶴見つばささんからお汁粉が振舞われていたなぁ。この広島の、踊り子とお客のアットホーム感は他所の劇場にはない。
こんな感じで、広島の劇場内は和気あいあいしている。一昔前とずいぶん雰囲気も変わったものだ。
もちろん、ステージでは、彼らはポラをよく買うし、踊り子さんと一緒に場内を楽しそうに盛り上げる。
このように、彼らが今の広島第一劇場の活況を支えているのは間違いない。広島第一劇場はいつ閉まるか分からない状態になってしまったが、ここにきてストリップ活況のいい見本になっている。
こんないい劇場を閉めたくない!つくづくそう思った。
平成31年3月 広島第一劇場にて