今回は、ロックの踊り子、MIKAさんについて、H26年10月頭の大阪東洋ショー公演の模様をもとに、リング演技に関して考察します。
H26年10月頭、MIKAさんにとって4月頭に引き続き半年ぶり二度目の大阪東洋ショー公演になる。
香盤は次の通り。①伊吹千夏(東洋)、②青山ゆい(東洋)、③MIKA(ロック)、④柏木由紀奈(ロック)、⑤赤西涼(ロック)〔敬称略〕。2.4回目は柏木由紀奈さんと赤西涼さんのチームショー「柏木涼太郎(仮)」。
今週は土日が一回しかないせいか、H26年10月4日の土曜日は立ち見のでる大入りだった。当日の朝、並んでいたら盛岡のMさんがいて前日から来ているよう。明日日曜日の台風の動向が気になると二人で話す。彼は飛行機を、私は夜行バスを予約していたが、台風の状況次第ではアウトになる。
そんな中、MIKAさんのステージは気合が入っていた。前回は、怪我のため痛み止めを打ちながらの不本意な公演になってしまったので、今回は最高の自分を観てもらう心づもり。「前回初乗りの東洋では怪我の影響でできなかったリングを東洋のみなさんにいっぱい観て欲しくて、ベッドをカットして、これでもかってくらいリングの部分を多くして作り直してきました!」
MIKAさんの言う通り、1回目の‘Rock with U~東洋バージョン~’は圧巻だった。
私は盆前センター席の最高の位置でステージを拝見。最初に、椅子を持ってきて盆の上にリングをセットする。東洋の盆は大きいが、天上は高くない。だから盆前で観ると目の前で演技する形になり迫力が半端でない。手に汗を握る感じ。
スタートからリング演技で来た!構成は先月栗橋で拝見したのと同じ。しかし、技の内容が更に進化している。下着をはいての演技。次々とポーズを決めていく。リングの下の部分で演ずる箇所が多くなったが、リングの位置が高くないので盆すれすれのところで演じている。下に触れないかなとハラハラする。
途中、一旦、本舞台の方で演ずるも、後半はまた盆の上へ。ベットをカットしている分、今度は下着を付けずに演技。しかし、エロさに浸っている暇はない。次々と高度な技を決めていき息をつく暇もない。
途中、東洋らしく、リングをブランコに見立て、盆前の私めがけて開脚オープン。目の前にMIKAさんの大切なところが飛んできて眩暈くらくら。私は爆発しそうになる☆
最後は高速回転で締める。拍手喝采。
ここまできたかぁ~♪ リング演技を観ていてしみじみとなった。
リング演技に最終点はない。真面目なMIKAさんのこと、どこまでも進化を続けることだろう。
私は演技に満足しながらも、MIKAさんにとってのリングは何かなと考え始めた。
今やMIKAさんはリング演技者として確固たる地位についた。MIKAさんのステージでは客の誰もがリングを期待しMIKAさんもそれに十分応えられるレベルに上達した。しかし、この先もずっとリング演技者として進化を続けるべきなのかどうか。
ストリップの世界は厳しい。人気稼業であるため、長く生き残っていくことだけでも大変なところ。そのためセールス・ポイントが必要になる。浅葱アゲハさんは空中ショーという誰も真似できない世界を構築した。これだけで客を呼べる。
一方、ロックの世界は少し違う気がする。単に人気がある、単にかわいいというだけでは残れない。数字で計れない、何か目に見えないものがある。要はロックの顔になることを求められる。
灘ジュンさんは長い間、ロックの顔として第一線を担ってきた。稀有な美しさ・人気だけでなく、ステージの内容といい、客も他の踊り子もみなが認める絶対的なものがある。他の踊り子さんがジュンさんに憧れ、尊敬の眼差しで仰ぐ。一言でいうと、ストリッパーとしての貴品なんだと思う。それが最も女性らしい魅力。この魅力はこれからの努力も大事だが、既に培ってきたこれまでの資質の部分がかなり大きくものをいう。もって生まれた資質に近い。
MIKAさんはデビューから既にそれを持っていた。たくさんの男性ファンが一目で貴品あるお嬢さんとしての魅力に憧れたが、同性の踊り子さん達も一目置いていた。MIKAさんの普段の言動・仕草・エチケットなどが女性からも尊敬される存在になっている。私はたくさんの踊り子さんを応援しているが、その中でMIKAさんを特別シートに座らせている。そのことを他の踊り子さんは敏感に感じ取る。しかし私がMIKAさんに憧れることを誰もが納得している。「太郎さん、ストリップ・ファンとしてMIKAさんに出会えてよかったね」と話してくれる。
既に持っている資質に加え、MIKAさんのステージに取り組む姿勢と努力は誰もが認める。だからこそ、「作品の完成度が高い」と他の踊り子さんも評価し目標とする。こうした延長線で考えれば、いずれMIKAさんが今の灘ジュンさんのようなロックの頂点に君臨するのは時間の問題だと思う。
それなのに、MIKAさんはリングという誰もが手を出せていない領域にチャレンジし自分のものとした。これは人並み優れた運動神経と資質、そして人並み外れた努力の賜物。リングを自己表現の絶対なる武器とできたことで、ロック内で一気にMIKAさんの存在感が増した。
ロック内ではAVで高い評価を受けていた者がギャラも高く、客を呼べるトリを張れるものと考えられてきた。この点、MIKAさんはAV経験がない。にもかかわらず、実力・人気がうなぎ登りになる。
東洋の篠崎ひめさんがAV経験もないのに絶大な人気を誇り、平成の伝説的ストリッパーになれたのとどこか共通したものがある。ひめさんはストリップ界の革命であった。MIKAさんもひめさんに近いものを感じるが、MIKAさんの場合は、知的で清楚なお嬢さんタイプのせいで、ファン層がとてもインテリぽい、ジェントルマンな方が多い。それはロックならではもの。私が‘ロックは貴族、TSは庶民’と言うことに通じる。
これを短期間でなしえたのはリングという武器を持ったお蔭である。
ところが、リングは諸刃の剣になる。
これだけアクロバテックな技をこなすためには相当な負担が身体にかかる。浅葱アゲハさんは超人であるが、MIKAさんは普通のお嬢さんだと感じる。だから、普通に怪我もする。栗橋での怪我や過呼吸は普通の女の子であれば当然なんだと思う。だから、この先、リングを続けるということはこの危険が付いて回る。
今回、東洋での演技を観ていて、ある領域まで達したが、リングの道はまだまだ先があるだろう。それを追い求めていくかどうかだ。
アゲハさんも常に進化していて、これからも空中芸を追い求めていくだろうが、MIKAさんが登る頂点は今の灘ジュンさんが守っている立ち位置である。あくまで貴品あるストリッパーの領域である。リングは美を表現するひとつの手段と割り切るべきだろうと考える。曲芸であれば、ストリップではなくサーカス等の見世物の領域になる。
先日、藤咲茉莉花さんの作品「風の盆恋歌」の話をしたね。茉莉花さんは11周年にして最高のステージ美を見せてくれた。茉莉花さんはもともと日舞を習っていたわけではないと聞いている。着物が似合う資質を活かして今のレベルまで精進してきた。やはり踊り子として求めるのはステージ美であるべきだ。
踊り子はダンスを極めることが第一義。日舞ひとつとってもなかなか一朝一夕には上手くならない。ジャズ、アラビアン(ベリーダンス)、フラメンコ等の伝統的踊り、ヒップホップ等の現代の踊り、等々数限りないダンスを少しでも多くマスターすることは大切だと思う。リングを追求するとダンスの修練は難しい。
リングは十分に今のMIKAさんのプラスになった。これからも上手く付き合っていくべきだが、付き合い方を考える時期に来たなと感じてやまない。
今回の東洋のリング演技を観ていて、お尻の上の擦り傷が気になった。リングには擦り傷や打ち身、痣なんて付きものだろう。実際、演技に夢中になっていれば痛くも痒くもないだろうし、大した傷ではないと思うのだろうが、私には気になってしょうがなかった。私にとってMIKAさんは美のシンボルであって、一点の傷もあってほしくない存在なのかも。傷や痣を私が代わりに負担してあげたい。
踊り子というのは、美しい裸体を男性に見せる商売。リングは身体を傷つける要因になる。また身体を鍛えすぎて筋肉質なアスリートの身体になると、女性らしい丸みのある身体でなくなっていく。ダンスを追求し過ぎてアスリート体型になってしまった踊り子さんもいる。ただダンスを練習すると必ずしも全員がそうなるわけではなく、柔軟性など個人的な資質に左右されるようだが。いずれにせよ、リングによるマッチョ化は避けられない。
当日、リングを使わない別の演目‘花になれ’もあり、別途感想を書いてみたが、これからのMIKAさんがどういう選択をするか気になる。いずれにせよ、MIKAさんが選ぶ道を我々ファンは黙って着いていくことはこれからも変わらない。
平成26年10月 大阪東洋ショー劇場にて