東洋で再会できると信じて手紙を書いています。
お怪我の具合はどうですか。
栗橋で無理して続投させたので、仙台ロックは出演できなくなりましたね。残念でしたが、これだけは仕方ありません。MIKAさんの身体が第一です。その後の三月の香盤もなくなったので治療に専念してくれると思い、私としては安心していました。初めての東洋なので、ここに照準を合わせてくるだろうなと予想していました。いずれにせよ、リングはしばらく封印したらいいと思います。
MIKAさんの負傷は驚きましたが、この一か月ほどの間に私のストリップLIFEを揺るがす大きな事件が立て続けに起こりました。
東洋の立花さやさんの引退は予想はしていましたが、3月前半に15日間の引退興行がありました。初日と3月15日の楽日に応援に行ってきました。後ほどレポートを披露します。
なんと言っても驚いたのが、晃生の目黒あいらさんが突然いなくなったことです。ご存知のように、青山はるかさんと羽音芽美さんが昨年暮れにいなくなり、今回は目黒あいらさんか。晃生の看板娘三人が次々と消えるという異常事態になりました。三週続けて香盤が飛んだらしく、私は三週目の3月頭のTSミュージック興行で知りました。お姐さん方も、まさかという感じで随分びっくりしていました。
正直、絶望に近い喪失感を味わいました。MIKAの突然の降盤に始まり、立花さやさんの引退、目黒あいらさんの消失と、まるで手足を捥がれる想いが続きました。2014年に入り、ずいぶん悲しい事件が続きます。
あいらさんは4月頭に戻ってきました。初日に渋谷道劇に行ったら肺炎に罹って休んでいたと話してくれました。元気に復帰してくれてホッとしました。
あとはMIKAさんが戻ってくれること。東洋の香盤から一瞬、MIKAさんの名前が消えかかりました。代わりに黒崎優さんor雪見ほのかさんの名前が出ていました。やはり無理だったか。そう思って予約していた夜行バスとホテルを一旦キャンセルしました。ところがMIKAさんの名前が再登録。慌てて、もう一度予約を取り直しました。
4月1日からの東洋の香盤を確認して、気持ちは大阪東洋に向かいました。再会できるのが待ち遠しくてたまりません。
晴れの東洋の大舞台。でも無理はしてほしくないなあ~心から心配でなりません。
二月結の栗橋で観たMIKAさんの新作を思い出す。栗橋が初出しで新作名は『蕾』だと後で知りました。三日目はベッドショーだけだったので、フルで拝見したのは初日の四回目、一度きりです。でも鮮明に覚えています。
こんな時だからこそ、元気になる童話を書きたいと思いました。演目『蕾』を題材にして、『冬から春へ』という童話を書いてみました。
ちょうどソチオリンピックで、スキー女子モーグルの伊藤みきさんが靭帯損傷で棄権したニュースが記憶に新しかった。今回のソチでは上村愛子選手が四位で悲願のメダルに届かなかったが、私は昨季のワールドカップで初優勝を飾った伊藤みきさんにメダルを期待していた。しかし、昨年暮れにフィンランドで練習中に右膝前十字靭帯損傷し、全治八か月で手術が必要とされていたが、手術をせずに、そのままの状態でオリンピックに出場したものの、予選で棄権する結果となった。さぞかし無念だったろうと察する。
それと今回のMIKAさんの怪我を重ね、主人公はミキではなくミカにした。
題名は『冬から春へ』。冬来たりなば春遠からず。長い不運が続いても必ずいい事がある。そう信じて、この童話を書きました。この童話は大好きなMIKAさんへの応援歌であると同時に、またストリップ命の自分自身への応援歌でもあります。
平成26年4月 大阪東洋にて
『冬から春へ』
~MIKAさんの演目「蕾」を記念して~
寒さも厳しい二月下旬。
ある山の麓に、たくさんの精霊が集まって来ました。
今年の冬は例年に増して雪が多く、厳しい寒さを迎えていた。
フリースタイルスキー女子モーグル界のオリンピック代表であったミカが、大雪と突風のため大怪我をしたというニュースが流れていた。ミカは自然を愛し、草花を大切にする、心の優しい娘だった。そのため、たくさんの精霊が彼女のことを愛していた。
精霊たちはミカのことを心配して集まってきたのでした。
花の精霊が言った。「私の大切なミカに怪我をさせるなんて、雪の精霊と風の精霊は何を考えているのかしら。オリンピックでの活躍を楽しみにしていたのに、棄権する羽目になっちゃったじゃないの。四年に一回のチャンスなのに、どうしてくれるのよ。今年は寒い冬だからと、雪の精霊さん、少し調子にのっているんじゃない」とすごい剣幕で詰め寄った。
風の精霊は「つい風を起こしたけれど、決してミカに怪我をさせるつもりなんかなかったんだよ」とたじたじになる。
雪の精霊も「スキーシーズンが始まった頃は、雪が多くて練習しやすいとミカも喜んでくれていたんだ。たしかに調子にのって少し雪を降らせすぎたかもしれない。今年はもう、雪も店閉まいするよ。だから、ミカの怪我のことは許してほしい。」
花の精霊が言う。「分かったわ。ミカを元気付けてあげたいので、みんな協力してくれるわよね!」
周りの精霊たちがみな頷いた。
ミカはオリンピックを棄権して傷心の日々を送っていました。
もうすぐ四月になろうとする頃に、靭帯損傷もだいぶ癒えてきて、ミカは雪の残った春山に向かいました。
久しぶりの雪の感触を楽しんでいたら、空から雪がちらちらと降ってきました。まるで、冬の忘れもののよう。
雪の精霊が、山々の木々に向かって囁きました。
「今から、精華を降らせます。精華は雪のように見えますが、実は雪の結晶ではなく、花の結晶なんです。」
たくさんの白い精華が空から降り注ぎ、木々の枝に積もりました。
そこに、お日様の精霊が優しく微笑みました。お日様の日差しのお蔭で、精華はすぐに溶け始めました。すると、たくさんの白い花びらに変わりました。
すると、風の精霊が「今度はぼくが春一番を吹かせてあげよう」と言って、爽やかな風を起こしました。白い花びらが風になびき、あたり一面に春の匂いを漂わせました。
ミカは歓喜の声をあげました。
「いつまでも冬は続かない。必ず春が来るのよね。」
山々の草木が、精華に呼応するかのように、一斉に蕾を芽吹かせました。
おしまい
事後録). MIKAさんからのお礼
「冬から春へ」にたくさん元気をもらいました。本当に本当にありがとう~。キラキラした暖かい光みたいな作品ですね。太郎さんが私の心に春を運んできてくれました☆
文章から伝わるやさしさは精霊という形をとった太郎さんの心ですね。素敵な贈り物を本当に本当にありがとう~