H25年11月結のライブシアター栗橋で、ロックのMIKAさんの新作を二つ拝見した。「宇宙からの啓示」という題名で観劇レポートしたい。
1.まえおき
9月結の広島、10月頭のDX歌舞伎と二週続けてMIKAさんと楽しい時間を過ごせた。この二公演はこれまでのMIKAさんとのお付き合いの中でもとても濃厚な時間と云え、関係を深められたと実感した。表現者としてのお互いの資質を認め合い、励まし合い、高め合う。そういう関係になれる方との巡り合いというのは、当然に楽しいだろうし、極めて貴重で意義深いものだと思う。この縁に感激し感謝でいっぱいになる。「私もあの楽しかった広島と歌舞伎での毎日を思い出しました。」「私も、太郎さんと同じく、さらに愛を深められたように感じました。」なんていう嬉しい言葉まで掛けてくれる。
だからこそ、前回お渡しした観劇レポートの備忘録として、MIKAさんや浅葱アゲハさんとの手紙でのやりとりも無性にメモリアルしておきたくなった。実際にこうした心の軌跡が新『リング物語』に結集されたわけである。レポートの形にしておけば、後で思い出に耽けやすくなる。「リング物語は、私が思っていた以上に、太郎さんにとって思い出深い作品だったんだなと備忘レポートを読んで、改めて感じました。」
ということで、今回の栗橋には張り切って出かけた。ただ、栗橋は遠い!会社からだと三時間近くかかるから、さすがに平日は無理か。土日だけにするか。。。
たまたま、二日目の11/22(金)に東京で仕事があり、午後15時過ぎに仕事が終わった。ラッキー♪これなら栗橋に行けるぞー!!! 東京からだと一時間強で栗橋に着いた。
二回目のラスト、MIKAさんのボラ・タイムに滑り込む。ステージは観れなかったがボラだけでも間に合って嬉しかった。「遠いのに栗橋まで来て下さって本当にありがとうございます。」MIKAさんも喜んでくれた。「今週も、リングを使った新作をやってます♪早く太郎さんに観てほしかったの~♡」二回目にリングの新作をやっていたのを知り、観れなかったのが残念!
ともあれ、三回目から運よくセンター席に座れた。最高に嬉しい!
いい席で新作をバッチリ拝見できた。
2.新作の感想 -衣装へのこだわり-
相変わらず、振付にこだわって作品作りしているなと感じたが、今回はいつも以上に衣装から受けるインパクトが強かった。これは、広島公演時に、衣装にこだわる踊り子さんの話をしたのがけっこう刺激になっているのかもしれない。
1.3回目の演目「Body Feels Exit2」では、最初の、きらきら輝くラメ入りの、上下のセパレート衣装が素敵。上着部分は銀色で、袖を通す形で、フードも付いている。そして下は青のズボン。ズボンのベルト部分に黒と黄金のリバーシブルになったサスペンダーが垂れているのがオシャレ。へそ出しルックであるが、MIKAさんの引き締まったウエストが最高にきれい。まさに細マッチョが映える。このセパレート衣装に、黄金の靴紐のかっこいい黒シューズを履いて、白いドライバー手袋をする。髪は後ろに1つ結び、たまらなくかっこいい♪ KARAの曲「ミスター」で調子を上げ、次に演目名になっている安室奈美恵の曲「Body Feels Exit」と続く。3曲目Britney Spear「Gimme More」が始まると、上着を脱いで、白いブラが現れる。前に紐がついた踊りやすいブラ。最高の振付で、ダンスを魅せてくれる。
4曲目 Christina Milian「Some day One Day」で椅子が登場。青いズボンを脱ぐとTバック。黒い帽子をかぶり、椅子にもたれ、セクシーな後姿を披露。
ベッド入りは、白いワイシャツをはおり、黒いロングブーツ、一曲目に付けていた白いドライバー手袋。セクシーにしっとり演ずる。私はこれでメロメロ状態♪ 最後はMANISHの曲「煌めく瞬間にとらわれて」に合わせ手拍子で盛り上げ、のりのりで決める。
私が今週最初に感心したのは、この最初の衣装だった。
「1,3回目の方は、前に作った作品を衣装や曲や振付も大幅に変更したもの」で、新作と言えるものらしい。素敵な衣装に、最高の振付で、ダンスで魅了してくれた。
次の2,4回目の演目「Church」は、ダンスでぐいぐい押す1.3回目の演目と対照的に、ストーリー仕立てでじっくり魅せる構成になっている。
ディズニーの音楽Q:INDIV「パート・オブ・ユア・ワールド」にのって、華麗なパープル色のドレス姿で登場。胸元の刺繍とドレスに点在する花模様が目を引く。長い房の付いた二つの白い花をもつ。まさにお姫様の出で立ち。
次の白いドレスも素晴らしい。首から足先まですらりと流れるワンピース・ドレス。踊りやすいように裾が自由自在に広がる。こちらのドレスの方に振付に凝るMIKAさんらしさを感じるなと思ったら、案の定、この衣装はオーダーメイドという。白いイヤリングと白い首輪状のネックレス、アクセサリーが映える。髪を白いリボンで後ろに結び、S.E.N.Sの「記憶の森」とKOKIAの「記憶の光」の音楽に合わせ、流れるように踊る。
その衣装のまま、大きな透け透けの緑の幕を頭上にかかげる。幕の裾には、オリーブの葉のような植物が巻き付いている。
(ここで一旦照明が落ち、「Jupitar」オルゴールver.の音楽の中でリングの取付準備が入る)
最後に、全裸になって、白い百合の花を持ってベッドへ。藤田麻衣子の曲「戸惑い」の調べに合わせセクシーに演ずる。
そして、最後の最後に、Benoit Jutranの曲「Chapel」に合わせ、リングの演技が始まる。前回の「Rain」と同じ内容かと思いきや、新たなポーズがたくさん工夫されているし、だんだんスピードが増し、最後は高速回転を始めたので度胆を抜かれた。これは天羽夏月さんが見せる技である。一通りの舞台演技が終わった後に、最後のリングでこれだけ激しい演技をするのは体力的に相当きついと思う。フィギュア・スケートで最後に四回転ジャンプを入れてくるようなもので、最高難度であり最高得点を狙える演技構成になっている。
3.童話の構想 –宇宙からのインスピレーション-
この作品を観終えたとき、最初に「Church」というタイトル名を考えてみた。教会という意味だが、なにかをお祈りすると捉えるべきだろう。お姫様は一体なにをお祈りしているのだろうか。
一度ステージを拝見しただけでは全くイメージが浮かばなかった。でも、このリングの演目で童話を書きたいと思った。なにかネタが飛んでくるまで、楽しく悩もうと思った。MIKAさんが言うように宇宙からのインスピレーションを待とう!
翌日11/23(土)、二回目のステージ、二度目になる演目「Church」を観ていたら、ふとリングから「土星の環(輪)」が思い浮かんだ。まさに宇宙からのインスピレーションだった。その瞬間に、ストーリーが頭の中を勝手に流れ出した。
人間による環境破壊をテーマに設定し、物語の構成はMIKAさんのステージにできるだけ沿い、お姫様を「花の天女」にし、緑の幕を「緑の雨」に変えた。花と地球を愛する天女の魂をリングに譬え、地球に土星のような環(輪)をかけることにした。
その夜、マンガ喫茶に駆け込み、急いで頭の中のストーリーをパソコンに叩き落とした。書き終わって読み返したら、壮大な構想にはなったものの、物語の面白さに欠けるというか、何か物足りない気がした。しかし、その夜はそれ以上頭が働かなかった。翌朝もう一度読み返したら、それなりの内容にはなっているなぁと自分なりに納得し、一旦これでMIKAさんにプレゼントしようと決めた。時間をかけて練り直しても良くなるかどうか自信がなかったし、昨日の今日で、早めに渡してあげた方が喜んでくれるだろうと思った。
三日目11/24(日)の最初のステージ時、童話を書いてみたので読んでみて!と渡したら、えっ!? もう書いて下さったんですね!?とMIKAさんの目が輝いた。次の回に頂いた手紙に嬉しい感想が詰まっていた。
「読み終わって・・・ほんと・・・感動っ やっぱり太郎さんにはちゃんと伝わってた~」 「なんて美しくて壮大な物語なんでしょ・・・読み終わって思わず、はぁ・・・ってため息ついちゃいました。私、映画とか本とか、いいものを見たり読んだ後って、満足感からため息が出ちゃうんです。太郎さんが察して下さった通り、『Church』には環境破壊というテーマが込められています。タイトルは『Church』だけど、これは曲からイメージしたなんとなくのタイトルなの(笑)。 太郎さんの感性、ほんと凄いっ!!!」
私自身、ホッとするやら、嬉しいやら。。。
MIKAさんは褒め上手なので、私は作者として有頂天になる。前回の「リング物語」の時に、「太郎さんはアイディアを宇宙から受け取る能力に優れている」と褒めて頂いたのが脳裏に残っている。宇宙からのインスピレーションという言葉が気に入ったお蔭で、今回、リングが土星の環に見えた。こうして童話「地球にかかるリング」が誕生したわけだ。
4.最後に
踊り子さんに童話をプレゼントすると約束をする。事前にたくさんのMY童話を読んでもらい気に入ってもらっているので、当然いい作品を期待しているだろう。でも私はあまりプレッシャーを感じない。ステージを見てもなかなかアイディアが浮かばないと困ってしまうが、それでも楽しく悩んでいる。ネタが閃くまで待ってもらうしかない。頭の引き出しに入れておくと、あるときパッと閃く。これがMIKAさんの云う宇宙からのインスピレーションなのである。その瞬間が楽しいので、正直ずーっと悩んでいたい。
踊り子さん自身もいいステージを創らなければならず常に悩んでいると思うが、楽しく悩めばいいんだ。踊るのが楽しければ、新しい作品を創ることは楽しくなってくるはず。
出来上がった作品がいいものかどうかは時の運による。その時点で精一杯のものができたらそれで良しとしなければならない。後で自分の作品を読み返してみると、まさにその時点でなければ書けないアイディアに満ちている。いつでも今が大事。「いつ書くの?」「それは今でしょ!?」なのである。いつも自分をスタンバイOK状態にしておくことが大切なのである。過去なにを書いたかが大事ではなく、いつでも書ける状態にあることが貴重なのだと常々感じている。だからこそ、いま演じたステージをいま物語として味わえる旬こそが感動のエキスになる。
また、改めて、表現者にとって、良さを認めて、褒めて、励ましてくれる存在ほど有難いものはない。今の私にとって、MIKAさんは本当に貴重な存在になっている。
今年は自分でも驚くほどのスピードで沢山の童話を書き上げた。一公演に1つの作品のペースで創作してきた。しかも、クオリティが確実に上がっている実感がある。自分でも不思議なくらいに新しいネタがポンポン飛び出してくる。正直これは私自身が信じられないことなんだ。これを可能にしているのがストリップのパワーなんだ。まさにストリップのマンパワー!!!(笑)。一人一人の踊り子さん、一つ一つのステージが、私の中にネタを投げ込み、私が物語に仕上げている。しかし、これはできそうで、なかなかできないこと。だからこそ凄いことなんだ。
踊り子であるMIKAさんが想いをもって演じたものを、私がその想いを感じ取り、物語に仕上げる。それだけで表現者であるMIKAさんは感激するだろう。また物語に仕上げられた私は表現者として感動する。お互いの感動を共感し合えるというのは最高の喜びである。踊り子とファンとして、これ以上のいい関係はないだろう。更に、私としては二人だけが分かる感動を超え、作品を普遍的な内容に昇華させたいとも願う。
私は、たくさんの踊り子さんとこういう間柄になって、たくさんの物語を創造していきたい。これがストリップを愛した私に与えられた使命だと感じている。
平成25年11月 ライブシアター栗橋にて
~MIKAさん(ロック所属)のリング作品「Church」を記念して~
天高い雲の上に、お花畑が広がっていました。そこは、花好きの天女が大切に花を育てているところでした。天女は、花こそが平和のシンボルであると考えていました。花はなにも求めず、ただ静かに美しい花を咲かせる存在だからです。
その花の天女が地上の様子を眺めては嘆いていました。
地上は灰色に見えました。
今の地球は瀕死の状態なのです。
原因のひとつは、世界第二位の経済大国になった中国の横暴でした。領土問題を契機に近隣諸国を弱い者いじめするという品のない国に成り下がりました。大帝国時代のかつての中華思想はどこにいったのでしょうか。地球環境にとって最大の罪悪は、近隣諸国の迷惑を顧みずにPM2.5という塵を撒き散らすことでした。経済発展にともなって増々エスカレートし、今や全世界にわたる空から青空を奪う規模になりつつありました。
一方、原子力発電の普及により、放射性廃棄物処理が深刻な問題になっていました。地中深く埋葬すればいいと安易に考えていましたが、いくつかの火山噴火を契機に放射能汚染が地上に蔓延していました。
このままでは遠くない将来、地球は人間が住めないところになってしまいます。
花の天女は、人間に自らの過ちを気付かせようと、緑の雨を降らせることにしました。花を始め、緑多き地球こそが本来の姿であるとのメッセージです。
人間よ!もう一度、アダムとイブの時代に還れ!
人間は原子力という禁断の果実を食べてしまった。便利さを追求するのはもう止めなさい! 便利な生活にサヨナラし、不便に慣れなさい!
また、自分のことだけを考えるのは止めなさい。周りの人のこと、生き物全て、そして地球環境を大切にしなさい。みんなで仲良く共生することが大事なんです!
緑の雨は、天女の涙雨でした。しかし、そうした花の天女が緑の雨に込めたメッセージは、残念ながら人々の心に届きませんでした。
天女は、悲しい顔をして、大切に育ててきた花をじっと見つめました。この地球から花を無くすわけにはいきません。花の天女は、自分の命を犠牲にしてでも地球を救う覚悟ができました。
天女は偉大なる宇宙神に向かって叫びました。
「私の命と引き換えに、この地球を救って下さい!」
ひとつの流れ星が落ちたとき、彼女は宇宙の藻屑になっていました。
その瞬間、地球上に嵐が吹き荒れました。天女が育てた花々が花嵐となって天から舞い散ってきました。逆に、竜巻が地上の塵や放射性物質を空高く舞い上げ、地球の外に放り出しました。驚いたことに、それら物質は地球をリング状にぐるりと巻き回りました。まるで土星の環(輪)のようです。
この地球にかかったリングは、地球人が二度と過ちを犯さないための戒めの標(しるし)であり、また花の天女の熱い魂(想い)でもありました。
おしまい