榎本らんさん(東洋所属)の、大阪東洋ショー劇場の令和30(2019)年7月結におけるステージ模様を、新作「アメリカが生んだ世界的有名なアーティスト」を題材に、「レディー・ガガの熱い心根」という題名で語りたい。

 

 

 2019年7月結の東洋ショーに顔を出す。

 今週の香盤は次の通り。①榎本らん(東洋)、②小春(ロック)、③春野いちじく(TS)、④鈴木千里(ロック)、⑤楓彩(ロック) 〔敬称略〕。今週は、楓彩さんの東洋初乗り。

 

 榎本らんさんの新作を拝見した瞬間、「これは必ずレポートせねば・・」と思った。

 今回の作品の何が私をそんなに惹きつけるのか!?

 それはまさしく題材のレディー・ガガである。

 実は私はレディー・ガガのことを全く知らなかった。ところがつい先日、DVD試写室で無料放映されていた映画『アリー/スター誕生』を観たばかり。めちゃめちゃ感動した。この映画でレディー・ガガのファンになった。歌手というよりは映画俳優としてファンになったわけだ。

 実際、彼女のことを何も知らない私は、この映画がレディー・ガガの実話かと思って観ていた。『アリー/ スター誕生』(A Star Is Born)は、ブラッドリー・クーパー監督による2018年のミュージカル・恋愛・ドラマ映画であるが、1937年の同名映画の4度目のリメイクであることを知る。主役の主演女優レディー・ガガも、相手役の監督兼主演男優のブラッドリー・クーパーも最高に名演技だった。

 ここでレディー・ガガに興味を持ったところに、榎本らんさんの作品が登場したのである。私の関心は全面的にこの作品に注がれた。

 

 何度も言うようだが、私は歌手としてのレディー・ガガを全く知らない。しかし、曲を聴いたら何となく聴いたことがある。たくさんの踊り子さんが採り上げているからね。自然と耳に残っている。たしかにいい曲が多い。

 今回、らんさんの作品に触れ、すぐにネットでレディー・ガガを検索。曲ばかりではなく、ファッションや彼女の人生、生き方にめっちゃ感銘した。

 しかも、映画のアリーにダブって見える。だから映画でこれだけの演技ができたのだろう。まさにアリーはレディー・ガガそのものなのだ。

「世界は私を必要としてなかった」という言葉からはじまるこの映画『アリー/ スター誕生』は、周りから容姿を否定され、自分の才能にも自信がない歌手志望のウェイトレス、アリーの物語。何ともレディー・ガガにピッタリな役どころ。監督・主演はブラッドリー・クーパー。自信がなかったアリーが歌の才能を見出され、戸惑いながらも前進しスターの階段を駆け上がっていく。ステージで“SHALLOW”を披露するシーンは、レディー・ガガ自身の周囲から疎外され、いじめられ、もがいてもがいて這い上がってきた人生とも重なり、深い感動を呼ぶ。

 

 ここで、レディー・ガガの生い立ちを紹介する。(ネット検索から)

 1986年、アメリカ合衆国のニューヨーク(マンハッタン)で裕福なイタリア系一家に生まれた。伝統的な富豪の令嬢達に囲まれて生活する中で、個性的過ぎる彼女は周囲から浮いてしまい激しくイジめられる。

 17歳で、難関であるニューヨークのティッシュ・スクール・オブ・アートに入学した才女っぷりで順調な一歩を歩き始めると思いきや、やっぱりそこでも周囲の生徒達と馴染めなくて嫌われ者になり苦しむ。

 勿体ないことに結局1年で退学し、19歳で親元離れてデフ・ジャム・レコーディングスと契約。

その傍らストリップクラブで働く事で生計を立てていた。

 その頃ドラッグ中毒になったが、自分の意志で辞めて音楽活動に専念するようになる。

 その頃関わりのあった音楽プロデューサーのロブ・フサーリが、ステファニー(レディー・ガガの本名)の声はフレディ・マーキュリーに似ていると感じ、彼女を見るたびクイーンの "Radio Ga Ga"を口ずさんだ事からそれを文字って "Lady Ga Ga"と呼ばれるようになる。ガガ自身も "ステファニー"を捨て "レディー・ガガ"で生きることになる。

 21歳でインタースコープ・レコードとソングライター契約し、ファーギー、ブリトニー・スピアーズ等...有名どころのアーティスト達に楽曲を提供することになる。

 アメリカ合衆国のR&Bシンガーソングライター、音楽プロデューサー、実業家であるエイコンがその才能に目を付け、自身のレーベルとアーティスト契約させた。

 そして21歳で遂にデビュー。

 

 ここで私が注目した点を少し述べさせてもらうね。

 ひとつは、これだけ派手な演出をするレディー・ガガは元々いじめられっ子であったという事実。

 ガガが通っていた聖心女子学院はいわゆる「お嬢様学校」であった。伝統的な富豪家庭の令嬢が多く通うなか、自身は一代の成り上がりの家庭であったため周囲に馴染めなかった。さらにガガは変わった性格で、話し方も大胆で芝居じみていたためいじめに遭い、ロッカーには悪口が書かれ、廊下では常に「売女」と罵られたという。街で男子に同級生の目の前で抱え上げられ、ゴミ箱に捨てられたこともあり、「あんた泣くわけ?かわいそ」などと笑われ、ガガも自分自身を笑うしかなかったという。(by『ウィキペディア』より)

 個性と言うのは時に嘲笑やいじめの対象になるが、一皮むけば大スターの素養でもある。目立つ杭は叩くのではなく、いかに伸ばすかが大切なことを、改めてガガの人生は教えてくれる。

 また、私はストリップファンとして、ガガがストリッパーだった事実に興奮した。うう~ガガのストリップが観たいよ~♪

 ガガは19歳のとき、(デフ・ジャム・レコーディングスとの間で契約を結んだころ)、親元を離れストリップクラブで働き出す。このことは特に隠さず、「ストリップクラブで働いていた。私のような裕福なイタリア系の家庭の出では珍しいことだ」と述べ、ストリッパーとして生計を立てていたことを明かしている。ストリッパーとして人気があったようで、ステージでヘアスプレイに火をつけて、狂ったように踊ったという。家族の助けなしに生活することで自由を実感したと語るが、家族は認めてくれなかった。そのほか、ドラァグ・クイーンとゴーゴーダンサーとパフォーマンスを行うためにクラブに出入りしており、このことを知った父は大変なショックを受け、ガガ本人も「あのとき、2、3か月の間父は私を直視することができなかった」と認めている。(by『ウィキペディア』より)

 まぁ、お嬢さん育ちでありながら、お嬢さんになりきれず、ガガとしての個性を突っ走っていくわけだ。ここが一般人とは一味違うね。

 

 デビューから後のスターダムはいまさら述べるまでもない。

 出す曲やアルバムが全て世界的大ヒットを続け、グラミー賞を何度も受賞し、音楽記録を塗り替えている。2010年5月、アメリカの雑誌『タイム』の世界でもっとも影響力のある有名人を選出する「タイム100」のアーティスト部門の1位に選ばれた。 そして、Twitterのフォロワー数は2019年現在7,000万人を超えている。

 彼女がこれだけ影響力の強い理由を私なりに述べたい。

 ひとつは、ファッション。榎本らんさんの今回の作品でもガガの奇抜で斬新な衣装が披露されている。ガガはファッションについて「何よりも大切なもの」でまた「私のすべて」であると話している。

 日本の浜崎あゆや安室奈美恵を例にとるまでもなく、音楽はファッションとともに時代をつくる。今や音楽はさまざまな分野の情報を取り込こんで爆発する。音楽単体での良さも当然にあるだろうが、時代を作るパワーはやはり総合的なものであることをガガの実績が示してくれる。

 もうひとつは、ガガの心根(本心からの言葉)にある。

 ガガは自らをバイセクシャル(男性も女性も愛す)であるとカミングアウトしている。だからゲイの人権平等を訴える集会でスピーチしたりする。

 ボーン・ディス・ウェイ財団を設立したことは有名。2011年、レディー・ガガは、イジメを苦に14歳の若さで自ら命を絶った "ジェイミー・ロードマイヤーの自殺事件"に心を痛めて "ボーン・ディス・ウェイ財団"を設立し、イジメ撲滅運動に力を注ぐ。ジェイミーはゲイである事からイジメを受ける。その時レディー・ガガの "Born This Way"を聴いて救われていたそうです。”生まれたまま、あるがままでいいの。自信を持って堂々と生きて”というメッセージを込めた曲です。

 彼女自身、10代の頃は個性的過ぎてイジメにあっていたので身につまされたのでしょう。

ガガにとっては他人ごとではなかった。オバマ大統領にも掛け合ったそうです。

 彼女の心根はとても優しく正直だ。そんな彼女の言動が多くの人の心に響いた。だから、Twitterのフォロワーが激増したわけです。

 ここまで彼女のことを知って、榎本らんさんがあえて作品の題名を「アメリカが生んだ世界的有名なアーティスト」にした意味がよく理解できる。らんさんから「演目名は‘レディー・ガガ’ではなく‘アメリカが生んだ世界的有名なアーティスト’だからね」と釘を刺された真意が伝わったよ。

 

 さて、最後になってしまったが、本作品「アメリカが生んだ世界的有名なアーティスト」のステージ内容をおさらいする。もちろん全曲、ガガの曲である。

 最初に、アメリカ合衆国の星条旗の後ろから日本の着物姿で登場する。ガガが大変な日本びいきで、東日本大震災にも多額の寄付をしていることは有名。

 それにしても、斬新な着物姿である。金髪に紫と金の髪飾り。黒いサングラスが特に凄い。赤い着物は左肩のみで長い振袖が垂れる。右肩の方は露出させ、右手には黒い手袋をしている。帯は金色。いやはや見たことのない派手な着物である。

 音楽に合わせ、金の扇子を持って踊る。扇子の中には赤い丸があり、きっと日の丸をイメージしているんだね。

 一曲目は、「ジューダス」(英: Judas=ユダ)。ガガの3作目のスタジオ・アルバム『ボーン・ディス・ウェイ』からの2枚目のシングルとしてインタースコープ・レコードから2011年4月16日に発売。ガガとレッドワンによって書かれ、プロデュースされたこの歌は、ダンスソングである。 タイトルの「ジューダス」は和訳すると、「ユダ」。 あの「最後の晩餐」にも描かれており、一説にはキリストを密告した裏切り者とされる「ユダ」。

 音楽が変わって、着替える。

 今度は金のドレス姿。これまた斬新な出で立ち。

 金髪に黒い髪飾り。肩出しで胸から下を黒い肩紐で吊るす。上半身は金ぴか。両手に黒い長い手袋をしている。スカート部は黒い生地に金線がたくさんフレンジ。スカートの裾は金のフリル。裸足で踊る。

 二曲目は、「ジ・エッジ・オブ・グローリー」(英: The Edge of Glory=栄光の果てに)。ガガの2枚目のスタジオ・アルバム『ボーン・ディス・ウェイ』からの3枚目のシングルとして2011年5月9日に発売された。 日本では、2011年7月 - 9月にテレビ朝日で放送されたテレビドラマ『ジウ 警視庁特殊犯捜査係』のエンディングテーマに起用された。

 ここで暗転して、着替える。

 またまた斬新な衣装で登場。金髪に銀の髪飾り。

 まるで宇宙服のようなイメージ。上半身は肩パットの入った逆三角形なピンクの衣装。青いパンツも腰部が逆三角形にせり出ている。脚部が凝っていて、太ももと脛の二か所に銀のパッチを付け、それを黒い紐でくるりと後ろに巻きつけている。しかも左足の方は銀のパッチが前を向いているが、右足の方は逆になっていて前からは黒い紐が見える。足元の白いズックの底が白・緑・赤と光る。

 三曲目は、「ボーン・ディス・ウェイ」(英: Born This Way=こうなる運命のもとに生まれてきた)。ガガの2枚目のスタジオ・アルバム『ボーン・ディス・ウェイ』からのタイトル・トラックで、2011年2月11日に先行シングルとして発売された。楽曲の制作者にはガガ、プロデューサーにはガガの他フェルナンド・ガリベイ、DJホワイト・シャドウが名を連ねている。

三曲同じアルバムから続いたのでは、『ボーン・ディス・ウェイ』 (Born This Way)について触れたい。レディー・ガガの2枚目のスタジオ・アルバム。このアルバムは2011年5月23日にインタースコープ・レコードより公式にリリースされた。アルバムは「自分のアートの表現」という部分からインスピレーションを得ており、収録された楽曲には同性愛や宗教といったテーマが包括されている。音楽性的に、このアルバムは1980年代から1990年代以前のコンテンポラリー・ポップスからの高影響を受けているほか、その他ヘビー・メタルやオペラ、ジャズといった要素を含む、異なる音楽ジャンルからの融合もみられている。 このアルバムは音楽評論家から肯定的評価を与えられ、評論家はアルバムでのガガのボーカルと刻々と変化する音楽スタイルについて褒め称えている。商業的にも成功を収め、アイルランド、アメリカ合衆国、イギリス、オーストラリア、オランダ、日本などで1位を記録し、いくつかの国ではトップ5ヒットを記録した。アルバムは世界で200万枚以上の売上を記録している。

アルバムからの最初の2枚のシングル「ボーン・ディス・ウェイ」と「ジューダス」は世界中でヒットし、前者はアメリカ合衆国のBillboard Hot 100を含む世界18カ国以上のチャートで1位を獲得した。また、「ボーン・ディス・ウェイ」はiTunesの歴史を塗り替え、リリースからわずか最初の5日間にて世界で100万ダウンロードを達成するという偉業も成し遂げている。「ジューダス」は複数の国でトップ・テン入りを果たしている。アルバムからのサード・シングル「ジ・エッジ・オブ・グローリー」とプロモーション・シングル「ヘアー」もいくつかの国でチャート入りしている。

 ここで、また暗転する。

 暗い中で、従業員が大きな箱を盆の上に運んできて置いた。少し丸みのあるボックスで、椅子代わりになる。

 音楽が変わり、着替える。

 今度も斬新な衣装だ。きらきらした黒い警察帽をかぶり、黒いサングラスをしている。グレイなジャケットを羽織っている。よく見ると、ジーンズの生地模様のジャケットで、襟にたくさんの宝石ちっくなポチが付いている。足元は黒のロングブーツを履く。

 光る拳銃を持って、暗い中を舞台から盆の上に移動してくる。なんと、さっき盆の上に置いたボックスが白く光る。その上に、らんさんが腰かける。警察帽とサングラスを取り、ジャケットを脱ぐ。下には首輪から繋がるショッキング・イエローのレオタード姿。トップレスでお股の部分も割けている。なんとエロいんだろう♡

 ベッド曲は、「Perfect Illusion(パーフェクト・イリュージョン)」。2016年10月に発売されたアルバム「Joanne(ジョアン)」からの1stシングル。発売当初は、詞の内容がLady Gaga(レディー・ガガ)の元婚約者Taylor Kinney(テイラー・キニー)に言及したものだと話題になりましたが、ガガ本人が「特定の人物を歌った曲」と否定しています。また同楽曲がBruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)の作品に類似しているとの指摘もあり、話題性に欠く事なく多くの国でヒットしました。

この曲は、ただの失恋ソングではなく、「彼にだまされていた 幻だったの」と割り切る「理性」と、「どこにいるの?あなたが見つからない」とまだ受け止めきれずに混乱している「感情」の二つが自分の中に混在している。複雑な心境を唄った歌。

 次の曲は「アレハンドロ」(Alejandro)。ガガの2枚目のスタジオアルバム『ザ・モンスター』からの楽曲で、アルバムからの3枚目のシングルとしてスウェーデンで発売された。歌はガガとレッドワンが共同で書き、レッドワンがプロデュースした。ミディアムテンポで、ガガの「セックスモンスターへの恐れ」に影響を受けている。批評家はこの曲はABBAとエイス・オブ・ベイスにかなり影響を受けていると批評し、肯定的な評価をした。 公式発売の前にイギリス・シングル・チャートに入った。ハンガリー・シングル・チャートでは最高5位になった。オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、スウェーデンでチャート入りし、シングル7作連続でアメリカのBillboard Hot 100入りを果たした。

 立ち上がり曲は、「マリー・ザ・ナイト」(英: Marry the Night=夜と結ばれる)。ガガの2枚目のスタジオ・アルバム『ボーン・ディス・ウェイ』から、5枚目にして最後のシングルとして発売された。作詞・作曲及びプロデュースはレディー・ガガとフェルナンド・ガリバイで、レコーディングはガリバイが同行した「The Monster Ball Tour」のツアー中に行われた。2011年2月に明らかにされたことは、この曲には前作「ダンス・イン・ザ・ダーク」の力強さと、ガガの故郷ニューヨークへの地元愛が込められているという。 この曲のミュージックビデオはガガ本人の監督により、2011年10月10日-13日にかけてニューヨークのスタテンアイランド及びハーレムで撮影された。

 最後に、ジャケットを羽織り、再び舞台に戻り、星条旗を翻す。

 

 らんさんが二年の構想をかけて作り上げた作品らしい。それにしても、衣装にせよ、光るボックスにせよ、ずいぶんとお金をかけた作品である。正直、これこそ、周年作にしたいなと思う作品である。意外なことに、私がらんさんの作品で特に気に入っている「Money MonsteRC」と「韓国の女子プロゴルファー」はいずれも周年作でない。出来上がったらすぐに出したい、周年までとっておけないわ、そんならんさんの気持ちが伝わってくる。二作品ともドラマチックな作品である。

 間違いなく、今回の作品「アメリカが生んだ世界的有名なアーティスト」もらんさんの代表作になった。本作品はどうしても衣装の派手さに目が惹かれるが、その実、とてもドラマチックな作品だと感じさせられる。だから、この三作に共通する点は、強いインパクト性、そしてドラマティック性の二点である。

 

 レディー・ガガのことを知って今とても幸せな気分である。心から、らんさんに感謝する。

 

 

2019年7月                          大阪東洋ショー劇場にて