今回は、中谷ののかさん(TS所属)の三周年週の模様を、演目「LADY」と周年作「シンデレラ(仮称)」を題材に、語りたい。
H30年5月結の大和ミュージックに顔を出す。
今週の香盤は次の通り。①天羽夏月(フリー)、②潤奈(天板)、③本城ナナ(道劇)、④箱館エリィ(TS)、⑤目黒あいら(晃生)、⑥中谷ののか(TS)〔敬称略〕。
今週は、中谷ののかさんの三周年週。5月26日(土)に周年イベントがあったが、私はその翌日に顔を出した。ののかさんのリボンさんさんと挨拶し「昨日のイベントはお陰様で盛り上がったよ。昨日来てくれればよかったのに。」と言われる。たくさんのののかファンが二日連続で通っていた。
ののかさんから周年記念の黒い扇子とポストカードを頂く。ポストカードには昨年一年間で出した演目のステージ写真がずらりと並んでいた。二周年作「Symphony」から始まり、昨年の演目は殆どレポートしているので全てフォローできた。それにしても凄い数というか、新作発表のスピードの速さに驚く。私の隣に座っていたののかファンの方が「今は乗れる劇場数が少ないから、あっという間に一回りして、また次に乗るときには新作を出す感じになる。1~2カ月間隔の新作発表のスピード感だね。これじゃ踊り子さんも衣装代等の元がとれないよね。」と話していた。一昔前には考えられない異常な速さだ。前は半年くらい同じ演目をやる人も結構いた。ほんと、ののかさんの場合は少しさぼっていると新作を見逃す惧れが高いもんね。私自身、全ての作品をファローできたということはここ一年は相当いいタイミングでののかさんのところに通っていたことになる。
今週は、1,3回目に演目「LADY」、2,4回目に周年作「シンデレラ」という二個出し。なお、周年イベントの日のみ周年作一個出しだった。
そう云えば、演目「LADY」の観劇レポートを未提出だったな。そのせいか、ののかさんから1回目ステージが終わった時のポラタイムで「これが周年作なの!」と言われる。騙されませんよ。また2回目ポラタイムでも「これが新作の眠れる森の美女なの!」と言われる。騙されませんよ。・・・(笑)
Ⅰ.演目「LADY」について
今回は遅ればせながら、最初に演目「LADY」の観劇レポートをしておこう。
この作品は4頭の晃生で初披露された。私は遠征してちょうど拝見していたが、まだ固まっていない様子だった。翌週の池袋ミカドに行ったときに「新作だいぶ落ち着いたよ。大人な女ってことでLADYです。」と話してくれた。このときに曲名も教えてもらう。
正直に言うと、「RUSH」のときは新しいののかさんを観た想いですごく新鮮だったが、それ以降、同じ路線が続いた。そのため前作「BAD」と「LADY」の違いがよく分からない状態。どちらも好きな音楽に合わせて踊っている印象。相変わらず選曲センスは抜群であるが、曲調が前作「BAD」とよく似ている気がする。また踊りも、最初はうまく馴染めてないが次第に固まっていくという感じ。おそらく本人の中でテーマの区別がついていないのだろう。演目名が決まるのが後手後手になるのはそのためと思える。(←この考えは後で180度ぐるりと引っくり返る!!!!)
最初に、赤いロングドレスを着て登場。肩紐で胸から下のドレスを吊るしている。上半身はチェック柄の赤地、下半身のスカート部はキラキラした赤地になる。赤の中にある黒が色彩アクセントになっている。黒いハットを小粋に被る。白い襟の中の黒い蝶ネクタイ。肩紐、服の縁、胸リボン、ベルト部、スカート部にも中央や裾に黒が置かれる。足元も黒いハイヒール。なお手首の布は襟に合わせて白。
何度も言うようだが、前作「BAD」と区別する上でポイントになるのが最初のドレスの色。「BAD」は白が基調で、「LADY」は赤が基調色。演目名を忘れたら、‘白の演目’と‘赤の演目’というのもシャレているかも。
音楽は、Fifth Harmony(フィフス・ハーモニー) の「I'm In Love With a Monster」。アニメ映画「モンスター・ ホテル」の続編「Hotel Transylvania 2」のサウンドトラックとして有名。変わった人を好きになってしまった人の気持ちを歌詞の中に込めたラブソング。
音楽に合わせてノリノリで踊る。お客に黒いハットをかぶせる。私にも来たー!!!
二曲目が、Ray Charlesの曲「Hit the road Jack!」。1961年の懐かしいナンバー。女性コーラスの♪no more, no more, no more. モノモノモノと聞こえる、物々しい曲(笑)。
ここで黒い軽装に着替える。
胸から下に身体にヒットした黒い上着と短パン。上着の襟と裾には白い真珠。両手首には白いバンド、とモノトーン・バランス。更に、膝丈の黒いロングブーツを履く。またロングヘアを背中まで垂らす。
音楽が、カミラ・カベロ(Camila Cabello)の大ヒット曲「Havana」に変わる。昨年2017年に発表したこの曲は、何とオバマ前大統領もお気に入りなのだとか…。この曲を使用していることが本作品のイメージをとても高めている。
カーラ・カミラ・カベロ・エストラバオ(Karla Camila Cabello Estrabao、1997年3月3日- 現在21歳)はキューバ・ハバナ生まれ、アメリカ合衆国フロリダ州マイアミ出身のシンガーソングライター。
キューバのハバナ生まれ。6歳のときに父親の故郷であるメキシコへ飛行機で向かい、その後アメリカ合衆国のフロリダ州マイアミへ移住した。
2012年にガール・グループ、フィフス・ハーモニーのメンバーとして、オーディション番組『Xファクター』(アメリカ版)に出演。2013年にグループがデビューし、2枚のアルバムに参加したが、2016年12月19日に脱退した。
2017年5月に脱退後初となるシングル「Crying in the Club」をリリースし、本格的にソロアーティストとして始動。同年9月にヤング・サグをゲストに迎えた楽曲「Havana」をリリース。タイトルの通り故郷であるハバナへの愛を歌ったものであり、曲調もラテンを大きく取り入れたものとなっている。この楽曲は全米チャート1位を記録したのをはじめとして世界各地のチャートで1位を記録する大ヒット曲となった。
2018年1月12日に1stアルバム『CAMILA』をリリース。全米アルバムチャート初登場1位を記録した。
ラテン調のリズムにのって華麗にステップ。
椅子に座る。衣装を脱ぐ。椅子に赤いブレザーが掛けてあり、それを着る。
黒いロングブーツを履いたまま、ベッドショーへ。
ベッド曲は、またしもFifth Harmony(フィフス・ハーモニー) の「He Like That」。この曲はワルな男に惹かれてしまう女心を歌った曲。出す曲出す曲ヒットを飛ばしまくっているFifth Harmonyは基本的に健康的な路線のグループアーティストであるのだが、でもちょっとバッドガールを演じてみたいという気持ちもあるようで、ライトなバッド路線の曲をちょくちょく発表している。今回の曲はまさにそうした曲なのだが、思うにこの点が前作の演目「BAD」に通じてきてしまうのだろう。
近くでアクセサリーを目で追う。右手首に純金のブレスレットが二本。マニキュアはなし。
そして、立ち上がり曲はPinkの「Fuckin' Perfect」。ののかさんはこれまでPinkの曲を何度か使っていて好きなアーティストだと思う。今回、この曲が気に入ったので少し詳しく調べてみた。
P!nk(ピンク、1979年9月8日 - 現在38歳)は、アメリカ合衆国のシンガーソングライター。本名はAlecia Beth Moore。2000年に、R&Bシンガーとしてデビューした。
経歴を見ていたら、幼少時代から目を引いた。彼女はペンシルベニア州、フィラデルフィアに生まれる。父は、ベトナム退役軍人。幼い頃から、彼女にボブ・ディランなどの曲をギターで弾いて聴かせてくれていた。その影響でP!NKは歌手を志すようになる。音楽好きな父親から色々と音楽を教えてもらったようで、ボブ・ディランやジャニス・ジョプリン、ジミ・ヘンドリックスなどの古いロックなどを好むようになる。しかし、7歳の頃に両親が離婚。尊敬していた父親が家を出て行ってしまった。
母親は彼女の夢を全く理解してくれなかったようで、彼女が高校を中退した際に、家から追い出したという。ヘロインの中毒者だった過去もある。
そんな彼女は歌の才能を通じて立ち上がって来た。
P!nkという名前のエピソードが凄い。元々の髪色はブロンドである。芸名の由来は、髪色をピンクに染めていたから。他に、子供の頃ズボンを下げられて顔が真っ赤(ピンク)になったため、あだ名がピンクになった、という話もある。しかしこれらは建前で、ピンク自身がテレビで、「親友のゲイの男の子に、『女の子のアソコを見たことがないから見せて』とせがまれて仕方なく見せたら、『女の子のはピンクなんだ』と言われたのが始まり」と語っている。ストリップに通じたエピソードだなぁ~。
彼女は今ではモトクロスレーサーのケアリー・ハート結婚し、2011年6月2日、彼との間に女児を出産した。最近のP!nkは、当然だけどママ業優先であんまり表立った活動が少なくて寂しいというファンの声も出ている。
ちなみに、今回の曲「Fuckin' Perfect」は2010年11月23日リリース。P!nk自身の生い立ちを振り返った曲で昔の自分を励ましてるのだろう。この曲を聴いていると、ほんとに心が弱ってる時に励ましてもらえる。ただ頑張れとか励ましてるんじゃなくて、分かってもらえてる気持ちになれる。
すんごくかっこいい生き様である。ここまで本演目を味わうことで、初めてBAD GIRLがすてきなLADYになったのだと私なりに理解できたよ。この二作は続きものとして意味を持っているんだね。ここまで理解できているファンが何人いるかなー。
Ⅱ.周年作「シンデレラ(仮称)」について。
これまた私の得意とする童話の世界。このレポート、どんだけ長くなるんだー!(笑)
ただ、ステージを一回しか拝見していないし、曲名も確認していない段階なので、今回は速報として触りだけとする。
さっそく、内容紹介から始める。
シンデレラが召使として掃除をさせられている。白い頭巾をかぶり、白いエプロンをして動き回る。エプロンの下には茶系のワンピースが見える。半袖口だけ青い。スカートからすらりとした脚が見え、黒い靴を履いている。
音楽はノリノリの洋楽に乗って踊る。
一旦暗転。音楽がインスト曲に変わる。
颯爽とお姫様ルックに変身。いやー、ののかさんは脚が長いので、その分スカートが長くなり、ドレス姿がものすごくカッコいい♡
銀の王冠。肩出しで胸から下の青いロングドレス。長い腕かせ。スカートの長い裾から銀のハイヒールが見える。
三曲目は、シンデレラのサントラ盤から定番ソング「A Dream is a Wish Your Heart Makes」がかかる。
四曲目は女性ボーカルの洋楽。ここで着替える。
白いワンピースドレスに青色があちこちに散りばめられる。頭には青いリボンが四つ。肩紐に青いリボン。胸の部分も青いし、胸から下に青いリボンが左右三つずつ並び、一番下のリボンから紐が長く垂れる。スカートは薄い生地でふわふわ透け透け。裾の部分は青い。
今回の作品の基調色はブルー♪ 爽やかなイメージ。裸足のままベッドへ。
ベッド曲、立上りも女性ボーカルの洋楽。
ベッドから舞台に戻り暗くなり、これで終わったかに思われたら、インスト曲が流れ、ブルーのドレス姿で再び現れ、銀の靴をひとつ残していく。これにて終演。
定番のシンデレラものであるが、印象に残るいい作品に仕上がっている。
先ほども述べたが、背が高く足の長いののかさんに非常によく似合ったドレス姿が美しさを永遠なものとしている。
平成30年5月 大和ミュージックにて
童話『シンデレラがやってきた ―うさかめver―』
~中谷ののかさん(TS所属) の3周年作「シンデレラ」を記念して~
森のストリップ劇場に、シンデレラがやってきました。シンデレラはディズニーから派遣され、森のストリップ劇場で特別企画として登場したのでした。
彼女のステージは、継母やその娘たちに虐められながら召使として働く場面から、魔法使いがきてシンデレラを美しいお姫様にするクライマックス・シーン、そして最後はガラスの靴を階段に残していくラスト・シーンと続きました。
シンデレラのあまりの美しさに、森のストリップ劇場の面々は、踊り子も客も誰しもが「この世にこんな美しい人がいたのか」と思うほどでした。
そんな中、カメさんだけ、シンデレラが抱えている憂鬱に気づき、「なにか悩み事でもあるのですか?」と声をかけました。シンデレラはカメさんの優しい眼差しに誘われるように話し出しました。
彼女の抱えている憂鬱とは「ガラスの靴」コンプレックスでした。
「先ほどステージを観てもらいましたが、あれはかなりディズニーナイズされたものです。実際のところは少し違うのです。
魔法使いがカボチャの馬車もネズミの馬も、そして衣装や御者まで全て魔法で出したように見せましたが、実際は違います。王冠や衣装などは亡き母が私のために遺してくれたものです。私が魔法使いにお願いしたのは『ガラスの靴』だけなのです。
このガラスの靴には魔法がかかっていて、私以外の人は履けないようにできています。私が履こうとすると自動的に大きさが調整されますが、他の人には小さくて履けないようになっているのです。
そのため、私のお姉さん達は、継母の命令もあり、無理やりガラスの靴に足を入れようと、足の指先を切ったり、かかとを削ったりして、歩けない身体になってしまいました。お姉さん達の苦痛を考えると、なんて可哀そうなことをしてしまったのかと胸が痛むのです。」
博識なカメさんは、今回のシンデレラ物語がかなりディズニーナイズされたものであることを知っていました。シンデレラ物語は有名なグリムやペローの童話だけでなく、ヨーロッパ各地にたくさんの逸話がありました。しかし、ガラスの靴だけが魔法使いから贈られたという事実は初めて知りました。
ヨーロッパでは、女性の靴に特別な意味がありました。貴族たちは上品で小さい靴を履き、労働者階級の大衆は大きなドタ靴を履いていました。女性なら誰しも小さい靴に憧れていたのです。それを知っていたカメさんはシンデレラの気持ちを察しました。そして、自分のわがままで、身内のお姉さん達を不幸にしたことを後悔しているのでした。
カメさんは、シンデレラの美しさは彼女の優しさから来ているのだと痛切に感じました。そして、ステージ上の「ガラスの靴」がより一層輝いて見えました。
おしまい