この間の記事として、演目「渡り鳥」については、先に「バレエダンサーとの思い出(その3)   中谷ののかさん」でご紹介しているので、そちらを参照してほしい。

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 今回は、TSの踊り子・中谷ののかさんの演目「drop」を題材に「あじさいと涙雨」という話をしてみます。

 

 

 GWも終わったH29年5月8日にシアター上野に顔を出す。

  今週5月頭のシアター上野の香盤は次の通り。①神崎雪乃(晃生)、②MOKA(TS)、③玉(TS)、④浅葱アゲハ(フリー)、⑤中谷ののか(TS)〔敬称略〕。

  今週の話題は、MOKAさんとの久しぶりの再会、そして新人の玉さんとの初顔合わせとあったが、私としては何よりもトリの中谷ののかさんに会いたかった。

  ののかさんから相変わらず「パパ、久しぶり!」「ずっと来てくれないから私のこと嫌いになったのかと思ったわ!」と言われるが、嫌いになったら会いに来るはずがないではないか。(笑)

 

  ののかさんとは丁度二カ月前の3月8日に、大和でお会いして以来となる。その週の大和の香盤は次のとおり。①いちる(TS)、②三枝美憂(TS)、③左野しおん(道後)、④六花ましろ(道劇)、⑤羽音芽美(晃生)、⑥中谷ののか(TS)〔敬称略〕。その週は開館記念月間前々夜祭として賑わっていた。

  そのときに新作の「MIYABI」を拝見した。「MIYABI」は花魁の演目。お正月に出すつもりが間に合わなかったらしく、まさしく正月向きの豪華絢爛な作品。

  赤い打掛けに、緑の帯。煙管をもって舞い踊る。

  打掛けを脱ぐと、かっこいい軽装になる。銀の襦袢を青い帯で巻く。左側の袖や裾は白いふわふわの布。右肩を露わにし右手に金の扇子を持って、黒いブーツで踊る。

  最後は赤いドレスで決める。白い羽根を持つ。椅子の上で足を伸ばしたら長い長い。

 

  この作品は大和で一度観ただけ。このときに観ていないと見逃していたことになる。

  今回のシアター上野での新作「drop」も先週4月結の大和で初披露して二週目になるが、次は今月結のミカドで二周年作を出すために、これまた見納めになる。二週で封印しちゃうなんて余りにも早すぎるー。

  ここ一年でみても、一周年作「マーメード」⇒「渡り鳥」⇒「プレゼント」⇒「MIYABI」⇒「drop」⇒次は二周年作と、なんと五作品が並ぶ。

  その新作を出すスピードの速さと、その作品のレベルの高さは驚異的である。万一見逃したら余りにももったいない話。しかも、ののかさんの出演頻度は高くないので、ちょっと気を抜くと次々と新作を見逃す危険をはらむわけである。

  今回の新作「drop」も何とか間に合ったという気分で、じっくり観劇した。

 

  新作「drop」は次のような内容。

  最初に、黒いドレスの上に、豪華な羽織り。透け透けの布地だが紫の花柄が刺繍されている高貴な感じ。これはユイリー(あいかわ優衣姐さん)から譲り受けたものらしい。

  二本の枝付きの紫陽花(アジサイ)を両手にもって、姫神の名曲「神々の詩」、この縄文語の独特なメロディにのって舞い踊る。

  羽織りを脱ぐと、黒いロングドレスが現れる。露出した肩から吊るされている型。裾の部分に白やピンクの花模様が散在している。赤い羽根を二つ持って裸足で踊る。音楽はRINの「千年の虹」、そしてSei-Peridotの「雫」と続く。

  最後に、最初の羽織りを着て、ベッドショーへ。音楽はTinaの「月」、そしてAimer の「Brave Shine」と続く。

 

 この六月には、長く応援してきた踊り子さんが次々と辞めていく。13年間応援してきたロックの灘ジュンさん、12年目のロックの豊田せりかさん、そして、ここ二年半の間で精力的に応援していた道劇の石原さゆみさんが引退していく。あまりにも大きな穴が開くことになる。

 ちょうど梅雨の時期。今年はきっと涙雨になるだろう。

 そんな寂莫とした想いを抱きつつ、淋しさを紛らわすように、ののかさんに会いに来た。これからはもっと、ののかさんに会う頻度が高めようと考えている。そんな気分で新作を拝見していて、すごく心が癒された。

  今回の演目名「drop」は、滴(しずく)という意味だろう。曲名にも「雫」とある。

  アジサイの青紫色が目に優しい。とても癒される色だ。

  ののかさんのステージを観ていて、とても感傷的な気分になる。そして私は詩人になる。

 

 

平成29年5月                            シアター上野にて

 

 

 

 

ポエム『あじさいと涙雨』

 

 新しい雨の季節になった

 今年もあじさいの花に出会った

 しっとりと雫に濡れている

 美しく 優しく 時に凛として 語りかけてくる

 

 紫色のあじさいの花 薄紅色のあじさいの花・・・

 よく見ると本当にたくさんの色がある

 あじさいは土質によって色が変わるらしい

 今年のあなたは何色になるのかな

 いや 今日のあなたは何色なの・・

 その色を確かめたくて ぼくは立ち止まる

 移ろいゆく時の狭間で

 ぼくは移ろいゆく花の色を眺めていた

 

 あじさいは小さき花の寄せ集め

 たくさんのファンがあなたを慕って集まった

 花のひとつひとつが思い出になる

 そして あなたはひとつの大きな花を咲かす

 

 もう会えないんだね

 今年の雨は涙色

 優しくあなたに降り注ぐ

 そして ぼくの心にもあじさい色の雨が降る

 雨よ どうかいつまでも降り続いてくれ

 

                                   おしまい